さて、今回はヴァンフォーレ甲府戦を振り返ります。
スタメン
ベガルタ仙台は水曜日の開催された大分トリニータ戦で1-3の敗戦。今シーズン初の連敗となった。新型コロナウイルス陽性による離脱とケガ人続出のダブルパンチで台所事情が厳しい状況。しかし前節から原崎監督が復帰し、少しずつコロナ陽性者も戻ってきている。悪い流れを断ち切るためにもここで勝利が欲しい一戦だ。
仙台は大分戦から5人のメンバーを入れ替えた。センターバックに平岡と前節デビューしたキム・テヒョンがコンビを組む。ボランチには鎌田が初スタメンで、サイドハーフに復帰した氣田と加藤が起用された。ベンチには名倉も帰ってきている。
一方のヴァンフォーレ甲府は吉田達磨監督が復帰したシーズンだが、4戦勝なしの20位と出遅れた形となった。甲府もケガ人が多く、台所事情が厳しい様子。仙台同様に悪い流れを断ち切りたい一戦だ。
甲府は最終ラインに北谷が起用され、浦上が3バックの真ん中で北谷が右バックの布陣。それ以外は変更点なし。ベンチには三平、ブルーノ・パライバ、宮崎といった攻撃的な選手が控える。
前半
(1)狙い目が明確だった仙台の攻撃
前半は序盤から仙台が準備してきた形でボールを前進させ、チャンスを作り出していく時間帯が多かった。
まずは、その辺りを見ていきたい。
甲府の守備は5-2-3(または3-4-3)の形でセットすることが多い。前線3人は極力高い位置を取り、仙台のビルドアップ隊をけん制する。また仙台のボランチがキーマンであるため、そこへは甲府のダブルボランチが見ていく形を採用していた。
そんな甲府に対してこの試合の仙台はボランチが列を降りずにオリジナルポジションを保ったままでボール保持攻撃をスタートさせることが多かった。
仙台の狙いは、簡単に言えば甲府ボランチの周辺だった。甲府のボランチが人への意識が強いため、あえて仙台のボランチへ食いついたところを狙い、スペースが生まれたボランチ周辺にポジショニングするサイドハーフや2トップへボールを届けていき、攻撃を加速させていく。
特にサイドハーフのポジショニングは重要で、この試合では甲府の3バック、ウイングバック、ボランチの三角形の中心にいることでプレッシャーを受けづらいポジションを確保していた。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月3日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第8節
🆚 甲府vs仙台
🔢 0-1
⌚️ 11分
⚽️ #皆川佑介(仙台)#Jリーグ#甲府仙台
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11分の先制ゴールでは鎌田と加藤がワンツーして右の真瀬へ展開しているが、加藤に対して左ウイングバックの須貝が食いついたことで、右サイドにスペースが生まれ、そこへ富樫がランニングしたことでサイドを突破することに成功できた。先制点のシーンは狙い通りの得点と言っていいだろう。
また仙台は、それ以外にも左サイドでは石原からダイレクトパスでサイド裏へ送り、そこへ2トップが抜け出してボールを受けるようなシーンもあり、相手のブロック内のスペースと背後のスペースをうまく使い分けることで効果的な攻撃を行うことができた。
(2)守備基準点の明確化と同点ゴール
仙台に先手を取られた甲府も徐々に仙台のやり方に対応してくるようになる。
甲府は改めて各選手の守備基準点を明確化することで、前線からのプレッシングを強めていく。
この対応で仙台も配置によるズレがなくなったことで前進することが難しくなっていき、少しずつ甲府ペースに試合が運んでいく。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月3日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第8節
🆚 甲府vs仙台
🔢 1-1
⌚️ 19分
⚽️ #長谷川元希(甲府)#Jリーグ#甲府仙台
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そして仙台のビルドアップを引っ掛けるとショートカウンターから長谷川が右アウトサイドでゴールネットを揺らし試合を振り出しに戻す。甲府としては狙い通りの守備の形で追いつくことができた。
その後は両者ともに膠着状態が続き、前半は1-1で折り返す。
後半
(1)鎌田大夢の輝きと攻守における微調整を行った仙台
前半は先手を取りながら追いつかれるという展開になった仙台。しかし、狙いとしていることはできており、この勢いを加速させたいところ。
そんな後半の仙台は、大まかに狙いを変えたわけではないが、微調整を行うことで攻守において主導権を再び握っていく。
まず攻撃では、前半よりもサイドバックを経由することが増え、サイドバックからボランチやサイドハーフへパスをし前進を試みる。また2トップはサイド裏というより真ん中にポジショニングし、背後へ狙うことで甲府の3バックを押し下げるプレーが多くなった。彼らが背後へランニングすることでシュートへ直結するプレーを増やすことや手前でサイドハーフが利用できるスペースを作り出すというのが変わった狙いだったと思う。
守備においては前半よりも前から仕掛けるシーンが増えた。前半は仙台の2トップが甲府のダブルボランチを基準としては3バックへはあまりプレッシングに行ってなかった。
しかし、後半は2トップがボランチを基準とするのはそのままでサイドハーフが3バックへ圧力を掛けるシーンが多くなる。この時にサイドハーフが外切りでウイングバックを消しながらプレスを掛けることで中央へとパスを誘導する。このプレッシングで前半よりも甲府に自由を与えずに最終的にロングボールを蹴らせて回収することが多くなった。
そして仙台は47分と58分に甲府を突き放すゴールを決める。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月3日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第8節
🆚 甲府vs仙台
🔢 1-2
⌚️ 48分
⚽️ #富樫敬真(仙台)#Jリーグ#甲府仙台
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🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月3日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第8節
🆚 甲府vs仙台
🔢 1-3
⌚️ 63分
⚽️ #富樫敬真(仙台)#Jリーグ#甲府仙台
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この2ゴールに絡んだのが、この初スタメンだった鎌田だった。2点目はセカンドボールを回収すると相手を引き付けて氣田へパス。氣田がドリブルで仕掛けると6人を引き付けて事故が起こり、最後は富樫がゴールへ流し込んだ。
3点目はフォギーニョから横パスを受けた鎌田がダイレクトで背後にボールを送ると後半の狙い通りに抜け出した皆川から富樫が決めて突き放した。
この試合では、非凡なパスセンスとテクニックから仙台の攻撃にアクセントをつけていた鎌田。この2ゴールも彼の輝きがあってこそのゴールだった。
(2)真の姿を見せる甲府
一気に2点差をつけられた甲府は、67分に最初の交代を行う。
レナトと松本に代わって小林と林田を投入する。またこの交代でシステムを3-1-4-2に変更する。
攻めに出なければならない甲府は、このシステム変更によって中盤の3人(長谷川、山田、林田)が流動的に動いて仙台の守備陣形の間に入っていくことで、徐々に押し込み始める。
またサイドでも右では須貝と関口のコンビになり、左サイドでは入ったばかりの小林が仕掛けていくようになった。
仙台としては2トップの守備基準点が失われたことで守備がハマらなくなり、甲府にペースを握られてしまった。
また3連戦の最後でケガ人も多く起用できる選手も限られている中で、スタミナも切れ出して、ボールを奪いきれないシーンが増えていく。
73分には名倉、79分にはリャンと若狭を投入し5バックへシステムを変更し、逃げ切りを図る。
しかし83分には小林のクロスをこちらも途中投入で入った三平が合わせて1点差へと詰め寄られる。
その後も仙台はフォギーニョが足を攣って大曽根と交代するなどギリギリの戦いを強いられたが、ストイシッチのビッグセーブなどもあってなんとか1点を死守した。
アディショナルタイム4分も守り切った仙台が3-2で勝利。連敗を2で止めることができた。
最後に・・・
ラスト20分以降の甲府は流動的で非常に厄介だったし、恐らく目指しているところはあのようなサッカーなのかなと思う。しかし守備のバランスを考えるとリスクも高く、現状ではなかなか難しい状況なのが本音なのかなと感じた。
一方の仙台は、3連戦最後の試合を連敗で迎えケガ人やコロナ陽性者もいる中だったが、前半から後半中盤に掛けて狙い通りのサッカーができたことで3得点をこの試合でも奪うことができた。また鎌田やキム・テヒョンといった初スタメンだった選手の活躍やくすぶっていた皆川、富樫にゴールが生まれたことは間違いなく大きな収穫となった。中山が長期離脱を余儀なくされる中で奮闘が求められるストライカー2人には今後も期待したい。
次節はホームに帰ってレノファ山口との対戦。関憲太郎や渡部博文との再会となる。田中渉とは契約上の関係で試合には出られないが仙台に縁のある選手が多チームだけに彼らに強くなったところを見せつけたい。まずは連勝を目指して次節も攻撃的なサッカーに期待したい!!