ヒグのサッカー分析ブログ

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【しぶとく得た勝点1】明治安田生命J2第9節 清水エスパルスvsベガルタ仙台

 さて、今回は清水エスパルス戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ヴァンフォーレ甲府戦で3-0の快勝。今シーズン初の3得点と久々のクリーンシートで連敗を脱出した。

 風を味方に付けた試合だが、陣形をコンパクトに保ってルーズボールを拾うことで主導権が握れた試合だった。今節の相手は、個人能力で上回る清水エスパルスが相手だけに、いかに組織で対抗できるかが試合のキーポイントとなった。

 今節は前節と全く同じ18人をチョイス。前線に離脱者が続出しており、台所事情は厳しいが、なんとかアウェイ連戦を乗り越えたいところだ。

 一方の清水エスパルスは、ゼ・リカルド監督が解任し、秋葉忠宏ヘッドコーチが昇格する形で監督に就任した。前節の東京ヴェルディ戦では終了間際にオ・セフンが決勝ゴールを決め、8試合目にしてようやく今シーズン初勝利を挙げた。

 縦へアグレッシブな姿勢で戦う秋葉監督のサッカーだけに、いかにその強度を保てるかが重要となってくる。ルヴァンカップを含めて連戦続きのなかで、いかに強度を上げて試合に挑めるかがカギとなった。

 今節は、左サイドバックに吉田、右サイドハーフにディサロ燦シルヴァーノがスタメン起用され、両サイドハーフは逆足を配置する構成となった。

 

前半

(1)守備基準点を狂わせる清水の右サイド

 この試合の仙台も前節同様に清水のボール保持に対して、守備基準点をハッキリさせて、人への意識を強く持って前線からプレッシングを行っていた。

 清水は、ボール保持時に中盤が逆三角形のような形になる。

 対する仙台は2トップがアンカーを消しながら、センターバックへプレスし、サイドへボールを誘導させることが狙いだった。

 しかし甲府と違って個人能力が高い清水は、仙台のプレッシングに対してしっかりパスコースを作りながら剥がしていき、前線へボールを届けていく。

 また、15分をすぎると清水は配置を4-2-3-1にし、センターバックの列にボランチが落ちるなどしてボール保持を安定させていくようになる。

 また右サイドではディサロが右ハーフスペースに降りることでビルドアップの出口となり、ディサロが降りたことをきっかけに北爪が高い位置を取るようになった。

 人への意識が強い仙台は、清水の列やレーンの移動に対してどこまで付いていくのかが曖昧になり、それが結果的に全体のバランスを崩すことに繋がった。

 よって清水のパステンポが上がり、次第に右サイドから仙台を押し込んでいくシーンが増えていった。

 

(2)横幅を狭くすることで時間とスペースを奪う清水

 また清水は仙台にボールを持たれないように、奪われたあとの切り替えを早くし、またコンパクトな陣形を保つことでボールホルダーへ複数人が襲い掛かれるような作りとなっていた。

 清水はボールサイドと反対サイドのサイドハーフ及びサイドバックがしっかり絞ることで横幅をコンパクトな陣形にする。

 清水は特に右サイドからの攻撃が多かったので、ボールを失った際はすぐにキム・テヒョンや秋山へプレッシングを仕掛けるシーンが目立った。仙台に時間とスペースを奪うべくボールホルダーへ複数人が襲い掛かり、逃がさないことで再びボールを奪い返し自分たちのターンを継続した。

 そしてその狙いから生まれたのが先制点だった。

 右サイドの攻防でボールを奪うと左へ展開し、最後はペナルティエリアに侵入していたボランチの白崎が決める。

 

 仙台としては、自分たちが甲府戦でやった形を今度は相手にやられるような格好となった。

 時間とスペースを奪われ、逆サイドへ解放することができず、どうしても縦への選択肢しか持てなかったので2トップが収められればチャンスとなるが、センターバックボランチに潰されてしまうシーンもあり、苦しい時間が長引いてしまった。

 

 前半は、攻守ともにエネルギッシュでアグレッシブな清水に終始主導権を握られる展開となった。最低でもスコアレスで折り返せれば良かったが、終了間際に決められて1点ビハインドで折り返す。

 

後半

(1)ハーフタイムの修正と負け筋を消した内田・フォギーニョの登場

 後半スタートと同時に秋山から内田へ交代。そのまま左サイドハーフの位置に投入する。

 後半開始直後も清水がアグレッシブな姿勢で仙台を押し込んでいく時間が続いた。

 その一方で、清水の攻撃は前半に比べると右サイド一辺倒から左サイドも活用しながら攻撃していく姿が見られた。

 

 そんな清水の状況を鑑みて伊藤監督は57分に若狭からフォギーニョへスイッチする。

 ここで仙台の守備の修正がより分かるようになった。

 まず右サイドではフォギーニョが右サイドハーフに入ったことで、吉田へのプレスができるようになった。フォギーニョは吉田からボランチへのパスコースを切りながらパスコースを限定する。フォギーニョが限定したことで、今度はカルリーニョスに対して小出がチャレンジしやすくなり、そこでボールを奪える回数が増えた。

 またフォギーニョは特徴である切り替えの早さで、スペースを見つけてボールを受けることでカウンターの起点になったり、清水のネガティブトランジションを抑制させる役割を担っていた。

 

 続いて左サイドは、前半は人への意識が強いことでバランスを崩してスペースを与えていたが、後半はサイドバックサイドハーフがゾーンやスペースを意識して守ることで、守備で後手を踏む回数が減った。

 前半よりも清水が右サイドから攻めていく回数は少なかったものの、仙台は前半よりも冷静に対応できたし、これが結果的に同点ゴールへの伏線となる。

 

 しかし、前半にも増して清水のカウンターは脅威となったのも事実。この日の仙台は背後への抜け出しや縦パスの意識が強く、そのパスが奪われると間延びしているので一気に形勢が逆転した。特に圧倒的な強さを誇るチアゴサンタナがしっかりボールを収められるので、前線は迷いなく追い越すことができる。よって清水の迫力あるカウンターは何度も炸裂した。

 苦しいシーンもあったが、それでも最後は林を中心とする守備陣が食らい付いてゴールを割らせない。ここで追加点を奪われていたら、かなり厳しい状況となっていた。

 

(2)一瞬の隙を突いた仙台

 前半から強度の高いプレーを維持していた清水だが、次第にスタミナが落ちていく。よって前線からボールを追うことができずに、逆に仙台は少しずつボールを保持してゲームを落ち着かせるようになった。後半になると鎌田とエヴェルトンが清水の2トップとボランチの間でボールを受けられる回数も増えるようになる。

 しかし、この日の仙台は前述した通り背後へのボールが多く、決定機に繋がる場面はなかった。

 

 それでも集中力が落ちた清水の一瞬の隙を突いて同点ゴールを決める。

 白崎のパスをインターセプトした内田がそのまま駆け上がり、マイナスのクロス。そのクロスを郷家がインサイドで丁寧に逆サイドへ流し込んで同点に追いつく。

 なかなかチャンスを作れなかった仙台だが、後半は前線からボールを引っ掛ける回数も増え、そのチャレンジが実った形となったし、ゾーンを意識した守備に変わったことで内田の特徴であるインターセプトがこの場面では発揮された。

 

 その後、清水はオ・セフンや神谷といった前線のメンバーを入れ替えながら勝ち越しを目指す。

 一方の仙台は蜂須賀と松下を投入し、5-4-1で守備ブロックを敷き、勝点1を見据えながら、逆転のチャンスをうかがう。

 

 最終盤には清水と仙台ともにチャンスを迎えるものの決めきれずに試合は終了。

 連勝を目指したチーム同士の一戦は1-1のドローで終わった。

 

最後に・・・

 甲府戦同様の入りで、主導権を握りに行こうとした仙台だったが、ボール保持時に列とレーンを移動する清水に対して守備基準点が曖昧になり、結果的に主導権を握られる展開だった。それでも後半は交代選手を含めて上手く守備を修正することで負け筋を徐々に消していけた試合だったかなと思う。清水に対して同点に追いついて勝点2を削ったと思えば、結果としては及第点だったのではないだろうか。

 それでも個人能力の高い清水のカウンターは脅威だったし、もう少しカウンターに対する対応やカウンターを発動させないリスクマネジメントしたポジショニングを取れるようになればいいのかなと感じた。

 

 主力選手に離脱者が多く、なかなか台所事情が厳しいが、それでも伊藤監督はじめとするスタッフ陣の創意工夫と修正は見て取れるので、このような苦しい戦いが終盤になって生きてくると信じたい。まずはアウェイ連戦で勝点4を加えられたことを素直に喜びたい。

 次節はホームに帰ってきてファジアーノ岡山との対戦。ヨルディ・バイスを中心とする堅い守備と機動力のある攻撃はやはり厄介である。アウェイ連戦で得た勝点4をより価値あるものとするために、ホームで久々の勝利を挙げてたい!!

 

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