さて、今回はいわきFC戦を振り返ります。
☆前節のレビュー
スタメン

ベガルタ仙台は、前節・栃木シティに3-1で勝利し、負けなしを6に伸ばした。前半から前傾姿勢の栃木シティに対してボールを奪ってカウンターを仕掛けるシーンを数多く増やし、ディフェンスライン背後への抜け出しやバイタルエリアへの侵入から足を振ることでゴールを重ねられた。アディショナルタイムの失点は悔しいが、しっかりと複数得点を取れたことは収穫となった。
今節の相手はいわきFC。いわきFCと言えば、高強度とハードワークが売りのチームで、過去の対戦でも幾度となく苦しめられた。2025年最終節に敗れたことでプレーオフ進出を逃した記憶は新しい。
監督交代後に連勝している相手だが、しっかりと球際のバトルやハードワークでいわきを上回ることで勝利をもぎ取りたい一戦となった。
今節は2人のメンバーを入れ替え。松井の欠場に伴ってアンカーに鎌田が起用され、右ウイングバックには復調の兆しが見えてきた五十嵐が起用された。岩渕と五十嵐にとっては古巣対戦となる。また、ベンチには怪我明けの相良や工藤らが名を連ねた。
一方のいわきFCは、前節・サガン鳥栖に3-1で勝利し、田坂体制になって連勝を記録している。いわきらしい高強度のプレッシングとハードワークが復活し、またセットプレーも活かした得点で鳥栖に勝利した。
田坂和昭監督が就任し、原点回帰によって結果を残している印象で、まずは下位からの脱出を目指したいところだ。
3連勝を目指す今節は仙台との対戦になるが、自分たちのやるべきことを徹底することでゴールを奪い取りたい。仙台に勝利することで、この勢いが解任ブーストではなく本物であることを証明したい一戦となった。
前節からは1人を入れ替え。2トップの一角に怪我から熊田が復帰し、早速スタメンに起用された。ベンチには長身2m超の木吹やベテランの永木、前節スタメンだった加藤大晟らが控えている。
前半
(1)マンツーマンと中盤圧縮で仙台を窒息させるいわき
試合開始から両チームのロングボール合戦による陣地の取り合いが繰り広げられ、どちらがセカンドボールを拾うかということに焦点が向けられた展開が続く。
そんな中で、先にセカンドボールの奪取からチャンスを作ったのはいわきで、熊田が中盤エリアで体の強さを活かしてボールを収めると、そこからサイドへ展開してチャンスシーンを作り出す。
7分には左サイドから深港のアーリークロスに熊田がファーサイドで折り返して、高橋がバイシクルシュートで狙う。続く14分には右サイドのスローインから熊田が突破し中央へ侵入。藤井のスルーパスに抜け出した山口がシュートを放ち、こぼれを高橋が押し込むが仙台がライン際でなんとかクリアする。
このように前半序盤だけもいわきがセットプレーも合わせて5つほどチャンスを作り出し、主導権を握る展開に持っていく。
そして、いわきの真骨頂である高強度のプレッシングがこの試合でも発揮される。

いわきは仙台のボール保持に対してオールコートマンツーマンで守備基準点をはっきりさせる。
右インサイドハーフの高橋が前に出てマテウス・モラエスを担当し、藤井と遠藤が武田と鎌田を、右バックの牛澤が中島を担当する形となっていた。
仙台はボールの出しどころがなく、サイドにボールを渡せばいわきの両ウイングバックが縦スライドでプレッシングを掛け、梅木や岩渕を目掛けてロングボールを送っても中野と深港に阻まれることが多く、ボールの収めどころがなかった。

また、中島や武田らが中盤でボールをキープし押し上げを図ろうとすれば、今度はいわきの中盤3枚が一気にボールサイドへ圧縮しダブルチーム、トリプルチームでボールホルダーへ襲い掛かる。
これだけ激しいプレッシングを受けると、仙台もなかなかボールを解放し、安定して前進ができない。いわきのプレッシングが強いことで相手が寄せる前にパスをしなければと焦りがでて、パスが雑になってしまったことでミスが増えて、いわきの攻撃機会が増えていった。
(2)狙った形で生んだ得点シーン
序盤からいわきの攻撃的な守備の前に、仙台は圧倒される展開になった。
ただ見方を変えれば、これだけ押し込まれたのなら、まずは全員で体を張って守ろうという方向へと意思統一がしやすかったとも言える。仙台の面々からは慌てずにしっかりピンチを防いでいくことに集中していたように感じた。
試合は30分すぎ、仙台はいまだにシュートを打ててなかった。それでも林や3バックを中心に粘り強く守ると、34分にようやく好機が訪れる。
🦅📹HIGHLIGHTS CLIP
— ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2026年9月26日
⚔️明治安田J2リーグ 第8節
🆚いわきFC
⚪️2‐0
🗓9/26 SAT 17:00
🏟️ハワイアンズスタジアムいわき
💬4️⃣4️⃣➡️7️⃣➡️2️⃣7️⃣➡️4️⃣2️⃣💨☄️1️⃣8️⃣✨#VEGALTA #BREAKTHROUGH_未来を切り開け #08いわき pic.twitter.com/K1rIW6kR0T
プレーの始まりはいわきのオフサイドによる仙台のフリーキックからだった。右サイドから自陣でU字に迂回し、井上へボールが渡ると、井上は中島へ楔パスを差し込む。中島はフリックして岩渕へ繋ぐと、岩渕は左サイドを駆け上がっていた石井へスルーパスを送る。抜け出した石井はダイレクトでクロスを上げて、中に走り込んでいた梅木が頭で合わせて先制に成功した。
ファーストシュートがゴールに繋がったが、森山監督のコメントを借りれば「唯一、狙い通りの攻撃」ができたシーンだった。
仙台の狙いはマンツーマンで来るいわきに対して、後方から縦パスを差し込み、相手を引き出すことでディフェンスラインにギャップを作り出し、そこへ2列目、3列目から飛び出していくことで、相手ディフェンスラインを破っていくというものだった。

ゴールシーンを振り返ると、井上が中島に縦パスを差し込んだときに中島には右バックの牛澤が付いていた。牛澤を引き出したことで、センターバックの中野と右ウイングバックの西谷の間にパスコースを生み出すことに成功している。
また、岩渕が1.5列目で中島に近寄っていたことで、マーカーの中野や深港は付いてきておらずフリーで前を向き、石井へのスルーパスを送ることができた。
もちろん、ペナルティエリアが手薄にも関わらず梅木に合わせた石井の高速ピンポイントクロスの質の高さはお見事だし、梅木も石井のクロスを信じて飛び込んでいた。最後の質の高さを発揮できたが、それを作ったシチュエーションがまさに狙い通りのプレーだった。
また余談ではあるが、この攻撃は右サイドから始まっている。前述の通り、いわきの中盤はボールサイドに圧縮を掛けるため、U字で迂回をすると逆サイドにはスペースが生まれる。そこに井上がしっかり縦パスを差し込んだ判断も良かったし、中島と岩渕のコンビネーションと技術も見事なゴールとなった。
押されていた仙台だったが、先制できたことで少しずつ落ち着きを取り戻すようになる。いわきのプレッシングも45分間も掛けられず、仙台が中盤でボールを動かしながら、右サイドの五十嵐が仕掛けてフリーキックを獲得するなど少しずつ状況が好転していった。
その後も同点を許さなかった仙台が、1点リードで後半へと折り返す。
後半
(1)まずは相手陣地でプレーする
後半からいわきは牛澤に代わって桒田を投入する。
前半は先制したものの、内容としてはいわきに押し込まれ苦しい時間帯が長かった。
後半の仙台は、まず相手陣地でプレーすることを優先に戦っていった。

前半は、相手を引き出すためにどうしても足元へのパスが多かったが、後半はまず相手陣地でプレーをスタートするためにロングボールを使い始める。
特に右サイドのディフェンスライン背後や岩渕、五十嵐を目掛けたボールが増えていった。
仙台にとっては、右サイドで起点が作れれば右バックの髙田も攻撃参加し、厚みを加えられる。それと同時に髙田のマーカーである山口の立ち位置も押し下げることが出来るため、後半は右サイドからの前進が多かった。
相手陣地で前向きにプレーすることが多くなり、仙台はいわきのプレッシングを受けることなくプレー出来るようになっていった。
いわきも攻められている左サイドを押し返そうと、55分には山中から中島に交代し、64分には藤井に代わって加藤を投入。左インサイドハーフに山口を配置してボールを保持し、左サイドを攻撃によって改善しようという意思を見せた。
(2)スタメン組のバトンをしっかり受け取った途中出場組
仙台は1点リードしていることもあり、相手陣地のときにはしっかりプレッシングを掛けて、自陣では全員が帰陣して5-3-2ないしは5-4-1の守備ブロックを形成し、いわきの攻撃を跳ね返していく。
最初の交代は66分。イエローカードを受けていた鎌田と岩渕に代わって奥山と浅倉を投入する。この交代で仙台は3-4-2-1へとシステムを変更する。
交代で入った奥山と浅倉は存在感を発揮。奥山は前節同様ボランチで投入されると中盤の底でしっかり相手を潰しながらセカンドボールを回収。守るだけではなく、奪ったボールをしっかり捌いて繋ぐことで攻撃に転じる役目も果たした。69分には自陣で奥山がボールを奪い、前線の梅木、浅倉と繋いで、そのまま最前線へと抜け出した奥山が反応するがシュートまでは打てず。しかしながら攻守で存在感を出して、後半の疲労が見え始める時間帯にチームを締める働きをした。
浅倉も前節はチャンスシーンを活かせないことが多かったが、この試合では中盤でパスやドリブルで絡み、攻撃にアクセントを加えた。また守備でもしっかりプレスバックしてボールを奪うなど、前節の悔しい想いをこの試合で晴らそうと戦っていた印象だった。
72分には梅木に代わって宮崎、75分にはピッチに倒れ込んだ井上とイエローカードを受けた武田に代わって菅田と工藤を投入。早い時間帯で5枚を切ることになったが、1点リードを守り切るというメッセージを森山監督は伝えた。
(3)チームに基準を示した中島元彦の守備
1点リードを守り切る意識は持ちながらも、攻撃の機会を窺っていた仙台は79分に追加点のビッグチャンスを獲得する。
浅倉と宮崎がワンツーで抜け出そうとしたが、いわきに阻まれる。しかしながら、中島が後方から深港にプレッシングを仕掛けてボールを奪うと、慌てた深港は中島を倒してPKを獲得する。
🦅📹HIGHLIGHTS CLIP
— ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2026年9月26日
⚔️明治安田J2リーグ 第8節
🆚いわきFC
⚪️2‐0
🗓9/26 SAT 17:00
🏟️ハワイアンズスタジアムいわき
💬勝利を手繰り寄せるため、終盤までボールを追う中で得たPK✨中島元彦選手が自ら決めて追加点✨クラブ歴代ゴールでも8位に🦅#VEGALTA #BREAKTHROUGH_未来を切り開け #08いわき pic.twitter.com/BoLGpBuGZ4
このPKを中島自身がど真ん中に突き刺して、追加点を奪う。開幕戦ではPKを失敗したものの、その分もと中島らしく思いっきりど真ん中に蹴り込んだ。
また、このPK獲得シーンでは、疲れが出ているであろう時間帯にも関わらず中島はプレッシングを掛けてボールを奪い、PKを誘った。
チームのエースである選手がああいうプレーを見せられることは本当に大きい。中島自身も試合後のコメントでチームの基準を示すためのプレーだったと振り返っていたが、チームの基準を押し上げるビッグプレーだった。
2点リードできた仙台は、残り時間をしっかりと締める。いわきは最後の交代で久永と長身の木吹を投入するも、仙台の牙城を崩すことは出来なかった。
試合はこのまま2-0で勝利。仙台は連勝を達成し、首位に立った。
最後に・・・
前半は本当に苦しいゲームだった。いわきのマンツーマンと強烈なプレッシングに苦しめられ、攻撃の糸口が見出せない時間が長かった。
それでも狙っていた形を唯一出せたシーンでゴールを奪えたことで、試合の流れが一気に変わった。このチャンスを活かせたのも、百年構想リーグから積み上げてきたサイド攻撃の質が高まっている証左だし、それまでの苦しい時間帯を全員で体を張って防いでいたからだと思う。
時代は違えど、前回昇格した2009年も、こういう苦しい試合展開で焦れずに守りながら、カウンターやセットプレーからゴールを奪って、試合の流れを変えて勝利できた試合は幾度となくあった。
今の仙台には、徐々にそんな部分が芽生えてきているのかもしれない。押し込まれていても、ゴールを割らせなければ問題ないし、ワンチャンスを活かすクオリティも備わってきた。
もちろん、まだまだ研鑽しなければいけない部分はあるし、謙虚に成長していかなければならない。しかし、こうやって強かに勝ちを積み上げていければ、自ずと目指す場所に届いてくるはずだ。
次節は3試合ぶりのホームにジュビロ磐田を迎える。秋葉新体制になった磐田だが、ここまで調子が上がっていない。前節はアルビレックス新潟に敗れ、今節もヴァンラーレ八戸に連敗を喫している。
こういうチーム状況の相手は非常に難しい。前々節の北海道コンサドーレ札幌戦もだが、調子が悪いチームは、一気にやり方を変える可能性があり、スカウティングが外れる可能性があるからだ。
磐田の調子が悪いといっても、個人能力はリーグ屈指。ピースがはまれば破壊力があるため、しっかり警戒して挑まなければならない。
もちろん、やるべきことは変わらないし、いかに球際、走力、ハードワークで上回れるかが重要になる。また押し込まれても、今節のように粘り強く守ることも大事だ。
磐田がどういう出方をするのか注意をしながらも、襲い掛かるときには全員で襲い掛かり、ホームで久々の勝利を挙げて欲しい!!
ハイライト




