さて、今回は水戸ホーリーホック戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・V・ファーレン長崎戦で2-1の勝利。今シーズン初勝利となった。前節はボール保持時の立ち位置が整理され、細かいパスからチャンスを作ることもできていた。一方で水曜日に開催されたルヴァンカップ1回戦のアスルクラロ沼津戦では2回リードする展開を得たものの、終盤に連続失点を喫して1回戦敗退。しかし、菅原や郷家といったゴールを取って欲しい選手にゴールが生まれたのは収穫となった。
アウェイ3連戦を経ていよいよホーム開幕戦となる今節。高いモチベーションを持って水戸ホーリーホックへ挑む。
仙台は相良がスタメンに復帰。それ以外は変更点はなかった。ベンチには菅原が入っている。
一方の水戸ホーリーホックはヴァンフォーレ甲府に1-2の敗戦。就任2年目となる濱崎監督の下で攻守にアグレッシブなスタイルで戦っている。今シーズンは大卒ルーキーを多く起用しており、非常にフレッシュな面々だ。水戸も仙台同様にルヴァンカップは1回戦敗退。リバウンドメンタリティを持って敵地ユアテックスタジアム仙台へと乗り込んだ。
水戸は、右サイドバックに大崎、左サイドバックに城南国際大から加入した石井隼太がスタメンになった。それ以外にも大卒ルーキーの牛澤健、長尾優斗を前節同様に起用している。ベンチには前節ゴールを決めた久保征一郎やドリブラーの新井晴樹らが控えている。
前半
(1)仙台のサイドバックを引き出す水戸
試合開始直後は、両チームともに相手陣地でプレーしたいゆえに相手ディフェンスラインの背後を狙ったロングボールの応酬となった。
そんな中で、ロングボールから最初にシュートシーンを作ったのは水戸。6分には落合がミドルシュートを放つが林の正面に飛んだ。
その後はボール保持vsプレッシングの構図が両チームで入れ替わっていく形でゲームが進んでいった。
まず、水戸のボール保持vs仙台のプレッシングを見ていくと、仙台は4-4-2を基本としながら、2トップと両サイドハーフが高い立ち位置を取ることでビルドアップ隊を牽制し、キーパーへのバックパスなどを合図にプレッシングを開始する。
水戸のボール保持の狙いは、そんな仙台のサイドハーフの背後を狙うことだった。水戸は長井がセンターバックの間に落ちて、両サイドバックが高い位置を取るオーソドックスな形。ちなみにトップ下の落合はフリーマンであらゆるところに顔を出しながらボール保持の安定に貢献していた。
水戸の狙いは、後方3人から高い位置を取るサイドバックへ出すことで、仙台のサイドバックを釣り出して、その背後をスピードのある野瀬と甲田がランニングしていくことだった。恐らく開幕2試合の仙台の守備を見ての判断だったように思える。
仙台としてはサイドバックが水戸のサイドバックとサイドハーフを1人で見ることになり、守備の判断が難しくなる。
またサイドで前進することが厳しかったら、安藤に背後へのボールを送ることも狙っていた。
そんな水戸の立ち位置もあって、仙台は果敢にプレッシングに行くことよりも、水戸のサイドに対してアラートに対応しながら、コンパクトに守備ブロックを組んでいた。
サイドへの対応はサイドハーフが列を越されないようにプレスバックする。またサイドバックがプレスへ行って背後を突かれそうになったら、サイドバックの背後をサイドハーフがカバーするシーンもあった。加えて右サイドでは、小出がカバーリングすることもあったし、安藤へ対しては小出と菅田が仕事をさせないようにしっかりとマークできていた。
よって、ボールを保持されてもそこまで危険なシーンはなかった仙台の守備だった。
(2)サイドアタックに終始した攻撃
ところ変わって仙台のボール保持vs水戸のプレッシングを見ていく。
仙台のボール保持は髙田が高い位置を取って、小出、菅田、石尾の3人とダブルボランチがビルドアップ隊を編成する。
対する水戸は、仙台のビルドアップ隊に時間とスペースを与えないよう2トップを中心にプレッシングを仕掛けていく。
前半の仙台はリスクを負いたくない側面もあったのか、ロングボールを選択することが多かった。後方3人から両サイドを目掛けてフィードを送るシーンは多かった。
そこでボールが収まれば両サイドハーフが縦へ仕掛けていく。よって前半の仙台はコーナーキックや相手陣地深い位置でスローインを獲得していく。
また、仙台はボール保持を安定させようとダブルボランチが下がったり、それに呼応して中島が相手ボランチ付近まで下がることでビルドアップ隊を助けようという意識が強かった。よって結果的にエロンが孤立気味になり、突破力のあるサイドから可能性を見出そうとしていた側面もある。
水戸へチャンスを与えなかった一方で、仙台もなかなか決定機ができなかった。
それ以外にもお互いに強度が高く、ピッチ内のあらゆるところで球際バトルが行われていた。そんな球際バトルも両者ともに譲らず、前半はスコアレスで折り返す。
後半
(1)仙台のプレス回避とU字迂回
後半序盤は水戸がキックオフと同時に、安藤へボールを送りながら仙台を押し込んでペースを握ろうとするところからスタートした。
そんな水戸の攻勢を防いだ仙台は、次第に自分たちのペースへと持っていくことに成功した。
前半はサイドアタックから好機を見出そうとしていたが、なかなか水戸の守備ブロック内へ侵入できず、チャンスを作ることができなかった。
ハーフタイムを挟んだ後半は、ロングボールをあまり使わずに地上戦から水戸のプレッシングを剥がして押し込んでいく。
まず、改善されたのはボールを奪ったあとのプレーだった。ボールを奪うと仙台のダブルボランチである長澤と工藤は素早くポジションを取って、相手選手間に立つことでパスコースを創出しボールを受ける。長澤も工藤もしっかりポジションを取り、水戸の2トップとボランチの間でボールを受けることで水戸のプレスを回避することに成功していく。
長澤も工藤もこの相手の選手と選手の間、いわゆる「門」にポジションを取ることが上手い。地味なプレーではあるが、彼らの貢献度は非常に高いと思う。
押し込むことに成功した仙台は、主に左サイドから組み立てていく。後半は石尾と相良に加えて、中島が水戸のボランチとディフェンスラインの間にポジションを取り、石尾の横に長澤がサポートする形が多かった。
そして、同サイドで完結できないときは長澤を経由して右サイドへと迂回し、前進していく。このときに長澤は、菅田ではなく小出に出すことで水戸の守備ブロックのスライドの距離を長くしていく。そして水戸のブロックを揺さぶりながら、中央へと縦パスを仕掛ける。
59分のシーン(菅田の楔パス→中島フリック→エロン)や65分(髙田サイドチェンジ→相良→工藤アーリークロス→郷家)など押し込んで、揺さぶってから決定機を作り出せるようになった。
仙台は61分に郷家と菅原を投入。ライン間でのポジションがうまくてゴールを狙える郷家と、高さでポイントになれる菅原を投入することで、よりゴールへと迫っていこうとする。73分には髙田の楔パスから相良、中島と繋いで最後は菅原がシュートを放つも惜しくもゴール左へ逸れた。
一方の水戸も、67分に甲田と安藤に代えて新井と寺沼を投入し、攻撃のギアを一段上げる。
お互いが交代カードを切ることで、お互いにゴール前へと迫っていくプレーが多くなった。
(2)結実した背後への抜け出し
両チームともにゴール前まで迫るプレーが多くなったが、なかなかゴールを割ることができない。
水戸は75分に石井のロングスローから落合が決定機を迎えるも、林のビッグセーブで決めきることができなかった。
そしてピンチの後にチャンスありで76分に均衡が破れる。
CLIP📹
— ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2024年3月10日
🦅明治安田J2 第3節
🆚水戸ホーリーホック
⚪️1-0
🗓3/10 SUN 13:00
🏟ユアテックスタジアム仙台#相良竜之介 の技ありループ⤴️⤵️#小出悠太 の出足鋭いパスカット #郷家友太 の狙えるパスから生まれたナイスゴール👍#VEGALTA #PASSION_限界を超えろ #03水戸 pic.twitter.com/hzNskpA75W
小出がインターセプトして郷家へパス。背後へ抜け出した相良へ渡ると冷静なループシュートで松原の頭上を越えてネットを揺らした。
前線からのプレッシングから前向きでボールを奪い、背後を素早く付いた相良のゴールまでチームが狙いとしている形でのゴールが、大分戦、長崎戦同様に生まれた。
得点後も、意識的に出力を上げる仙台は、ペースを握らすまいとギアをもう一段上げてアグレッシブにプレーしていたことが印象的だった。
しかし、その後は水戸も久保と山崎を投入し前線の枚数を増やし同点ゴールを目指す。
仙台も虎の子の1点を守り切る方向へ舵を切り、前節同様にマテウス・モラエス、知念を投入し5バックに変更する。
最後は押し込まれる展開だったが、スタジアムの雰囲気も含めて、最後まで集中力を切らさず水戸の攻勢を弾き返した。
そしてタイムアップ。仙台はクリーンシートでホーム開幕戦を白星で飾り、2連勝となった。
最後に・・・
アグレッシブなスタイル同士、球際バトルが激しく強度の高い試合となった。
そんななかでも仙台は後半になるとボールを左右へ動かしながら、水戸のブロックを揺さぶったことでペースを握れた。ここはまた1つ成長できた部分かなと思う。
ルヴァンカップを含めて、終盤での失点が多く、かつクロスからの失点がほとんどだったが、そんな反省も踏まえて、最後まで体を張って守り切ったことも、チームとして自信になっただろう。
毎試合、こうやって課題をクリアしながら、強度・出力を上げてもっともっと個人もチームもレベルアップしていく必要がある。これからはもっと多くのチームが仙台のことをスカウティングして厳しい戦いになる。そんななかでもそれを乗り越えながら強くなっていって欲しいと思っている。
次節はアウェイでブラウブリッツ秋田戦。蜂須賀孝治との再会だ。秋田にとってはホーム開幕戦。今節は徳島ヴォルティスに逆転勝利し、調子を上げてきている。
秋田もまた球際での厳しさが売りのチームだけに、しっかりと球際バトルを制して主導権を握りたいところだ。
次節も慢心せず、相手よりもハードワークして勝点3をもぎ取りたい!!
ハイライト