ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

胎動~明治安田生命J1 第2節 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台~

 新型コロナウイルスの影響で長らく中断を余儀なくされていたJリーグ。先週のJ2・J3の再開を皮切りに、いよいよ今週からJ1も再開する。

 ということで、今回は再開初戦となった湘南ベルマーレ戦を振り返ります。リモートマッチ。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 今回のリーグ戦再開に当たり、レギュレーションや特別ルールが設けられた。大きなところだと、まずはリーグの降格がなくなったこと。加えて交代人数が3人から5人に変更となったことが挙げられる。降格がなくなったことで各チームが、思い切ったチャレンジができるし、また交代枠が増えたことで戦術変更が容易になった。この点が今シーズンのリーグを戦う上で、1つポイントになりそうな部分である。

 

 ベガルタ仙台は、この中断期間でロシアから西村拓真が帰ってきたことが最大のトピックだろう。スタメン、システムともに開幕から大きな変化をしてきた。

 ゴールキーパーにはルーキーの小畑裕馬。4バックはケガのシマオ・マテに代わって吉野、左サイドバックにはコンバートされた石原崇兆が起用され、3センターはアンカーに椎橋、その前に松下と関口が並ぶ。3トップは左から西村、長沢、ジャーメインというメンバーとなった。常々アグレッシブに攻撃的なサッカーを目指したいと公言していた木山監督だが、この中断期間を経て、どのようにチームが成長したのか楽しみなところだ。

 一方の湘南ベルマーレは、仙台とは対照的に開幕からのメンバー変更は少なかった。インサイドハーフ山田直輝に代わって松田が起用された以外は、開幕戦と同じ布陣でこの試合に挑んだ。

 

前半

(1)相手を引き出すためのボール保持

 2月の公式戦2試合(ルヴァン・浦和レッズ戦、リーグ・名古屋戦)では、キャンプ時からケガ人が多く、なかなか思うようなチーム作りもできなかったことで、木山監督が本来やりたかったことができない内容だった。

 

 しかし、今回の中断期間ではケガ人の多くも復帰し、改めてやりたいサッカーを仕込める時間を作ることができた。そしてこの湘南戦では、木山ベガルタの新しい姿を見られた。

 まずはそのあたりを見ていきたい。攻撃面から。

 

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 この試合は両チームのシステムが違う。仙台が4-3-3に対して湘南が3-1-4-2のシステム。噛み合わせ上、仙台はサイドバックのエリアがフリーになりやすい。

 よって、ここのエリアをどうするかが仙台は攻撃においての、湘南にとっては守備においてのポイントなった。

 

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 湘南の守備の振る舞いを見ていくと、仙台のサイドバックにボールが入ったときには、インサイドハーフ(齊藤と松田)がスライドして出ていくようになっていた。前から積極的に行く姿勢がスタイルである湘南らしい振る舞いである。

 そして、仙台としてはそのインサイドハーフが狙い目であった。仙台のビルドアップは4バックに椎橋が加わった形で行われる。仙台は、あえてサイドバックにボールを出すことで、湘南のインサイドハーフを引き出す。

 そこからセンターバックへ戻し、センターバックから松下と関口のところへ縦パス。または、戻さずにサイドバックからウイングへ。さらに椎橋やインサイドハーフ(松下と関口)が加わり、サイドバックとウイング、椎橋(またはインサイドハーフ)のトライアングルで突破していくなどなど。さまざまな方法で、湘南の前プレを剥がしていった。

 湘南は、インサイドハーフが出ていくと中盤のスペースが大きく空くのでそこを狙いとしたわけだ。仙台も松下と関口がその位置(アンカーの脇)にいて欲しいので、下がってくることなく、背後でボールを引き出していた。

 

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 また仙台はパスで突破していくだけではなく、ロングボールも使いながら、背後を狙った。湘南の前プレがハマりそうなときは、構わず長沢を目掛けてロングフィードを送る。そうすることで、湘南はより間延びすることとなるし、走らせることになる。

 また試合序盤では蜂須賀からリバプールのアーノルドよろしく、大きなサイドチェンジからチャンスも作っていた。湘南が3バックゆえに横の揺さぶりは有効的だ。よってサイドチェンジから西村が仕掛けるというシーンも1つの形となった。

 

 仙台は、ボールを保持することが目的ではなく、湘南のどこを引き出し、その背後を突いて、攻めていくかが明確となっていた。この辺りは中断期間中にしっかりトレーニングを積んでやれていた部分ではないだろう。

 

 (2)前から行くときと後ろで構えるときと。

 続いては守備面を見ていく。

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  またシステムの噛み合わせのお話になるのだが、仙台にとってポイントになるのがアンカーの福田を誰が見るのかである。福田を無視しすぎると1列目(3トップ)を突破されるし、福田を基準とすると後ろ重心になってしまう。

 まず、守備の立ち位置を見ると、その福田に対しては長沢がカバーシャドウで見る。長沢が福田へのパスコースを切りながら、坂を見るような形になっていた。

 一列目を簡単に突破されたくない仙台は、坂にはボールを持たせ、それ以外にはしっかりマークを付くことで、坂がどこにボールを出しても対処できる準備をしていた。

 実は、長沢がこのカバーシャドウができることがとても大きくて、長沢が2人を見られるので、一石二鳥となる。このポジショニングはかなり重要になるのだ。

 

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 また、前からプレッシングに行くときは、人へ行くことを意識。長沢が坂へプレスに行く代わりに後方は関口が出てきて福田を見る。さらにその背後では松下と椎橋が湘南のインサイドハーフを監視することで、マンツーマンでプレッシングをし、湘南のボール保持を窒息させていく。

 

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 さらにボール非保持のときには、4-5-1でセットする。3センターは中央を封鎖。センターバックと協力して、中央を割らせないことを意識していた。

 サイドはサイドバックとウイングで、相手のウイングバックに対して数的優位で守ることを徹底。湘南は大岩と石原広教も上がってくるので、そこをケアしながら、簡単にクロスを上げさせないように守備をしていた。

 

 守備でも、前に行くときと後ろで構えるときの使い分け、または意識づけがされており、組織的な守備が構築されていた。ここも中断期間のトレーニングの賜物だろう。

 

 前半は、開始3分にジャーメインの右足のクロスが風で流れて決まり、仙台がリードで折り返す。

 

後半 

(1)オープンな展開とゲデスの登場

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 後半、湘南は3バックの並びを、左から石原広教、坂、大岩の並びになる。

 これはあくまで予想だが、突破されていた右サイドをケアしつつ、鈴木の左サイドの攻撃をより強化したいというのが狙いだったのではないだろうか。

 

 しかし、後半はあまり展開、戦術的な変更がなかった。前半よりもボール保持からの攻撃が少なくなった仙台だが、中盤のルーズボールを拾い、そこからサイドへの展開で湘南ゴールへと迫ることが多くなった。

 

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 そして後半開始10分を過ぎるとお互いに選手交代を行う。湘南はタリクと鈴木に代えて茨田と大野を投入。その3分後に仙台は長沢と関口に代えて赤崎とゲデスを投入する。

 仙台がフォワードを2枚投入したので、並びが代わるかと思いきやゲデスがそのままインサイドハーフで起用された。

 しかし守備時のゲデスは怪しさ満点で、スペースを埋めきれずに椎橋と松下がカバーするような状況となった。

 一方で攻撃、特にボール保持の局面になると、中盤でボールを収めてくれるので、チーム全体が落ち着くことができた。後半、ペースが落ちてくる中で、ゲデスというポイントがあることで一呼吸置くことができた仙台だった。

 ゲデスは、器用な選手だと思う。足元もエアバトルも苦にせず、なんでもそつなくこなせる。もう少し前の位置で見てみたい選手だ。

 

(2)間延びしてくる湘南。追加点を奪いたい仙台。

 時間の経過とともに、お互いに疲労が見える展開になっていく。ただでさえ、蒸し暑いのに、それに加えてフィジカルコンディションが上がり切ってない。やはりこの過密日程は総力戦だなと思った次第だ。

 

 湘南は同点ゴールを目指すのに、より前掛かりになる。それを平岡と吉野を中心に跳ね返していく。ただ、湘南は前半から走らされていたので、スタミナ的に厳しくなり、攻守が切り替わると湘南は間延びして、仙台にカウンターのチャンスが巡ってくるシーンが増えた。ここで交代で入った赤﨑やゲデス、山田が追加点を奪えれば理想的なのだが、決めきれず。

 

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 ラスト10分あたりになると仙台は、ハッキリさせるためにシステムを4-4-2へ変更する。それまでもゲデスはアンカーの茨田を見ていたが、システムを変えてより明確にした形に。飯尾と中原を入れて、しっかり守備を締めた。

 最後は指宿を狙った湘南のパワープレーを集中して跳ね返して、試合終了。再開初戦を仙台は勝利で飾った。

 

最後に・・・

 再開初戦。楽しみ反面不安もあったが、この中断期間でチームがより完成されていて良かった。攻守に狙いを持ち、かつ組織的なチームにしっかりとなっていた。

 個人ベースで見てもルーキーの小畑は堂々とかつ冷静にプレーしていたし、吉野はシマオがいないことを忘れさせてくれた。また左サイドバックにコンバートされた崇兆も、持ち味を活かしながら、そつなくこなしていた。西村もまだまだトップコンディションではないだろうが、相変わらずゴールへと向かう姿勢を良かった。

 

 今年は過密日程となり、総力戦となる。この湘南戦に出たメンバー以外にも道渕や匠をはじめ、多くの選手がいる。今年は全員で戦い抜くこと。そこが求められるはずだ。

 降格がなく、正直言ってさまざまなチャレンジができるシーズンでもある。まずはトライ&エラーをしながらも、チームが成長することを期待したい一年だ。

 

 次節はホームでの浦和レッズ戦。2月にルヴァンカップのリベンジのさっそくできるチャンスだ。久々のホーム・ユアスタで暴れ回って欲しい!!

サッカーの用語・言葉を整理するコーナー

 お久しぶりです。ヒグチです。皆さま、このコロナ禍をいかがお過ごしでしょうか。

 このブログもコロナの影響によるリーグ中断によって、しばらくお休みをしていました。

 過去の試合を書こうかとも思いましたが、やっぱりモチベーションも上がらずに今日まで至りました。

 ただ、リーグ再開の目途も立ち、そろそろ動き出したいなと思い、今回の記事となります。

 

 今回は、試合レビューではなく、このブログで頻出する用語や言葉を改めて整理しようという記事です。

 自分自身、記事を書くときに心掛けていることとして、難しい言葉(ポジショナルプレーとかディアゴナ―レとか)や曖昧な言葉(ポゼッションとかリトリートとか)をなるべく使わないようにしています。

 ただどうしても説明上、使用したい言葉もあって、それは括弧書きなどで補足をしながら書いてました。今回はその辺も含めて整理できればなと考えています。

 もし意味合いが間違っていたり、解説してほしい言葉があればコメントなどに書いてください!

  では、さっそく行ってみましょう!!

 

サッカーにおける4つの局面

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 サッカーの4局面のお話から。

ボール保持・ボール非保持

 要約するとどちらかがボールを持っていて、どちらかがボールを持っていないというよくサッカーに見られる光景のことである。

 ボール保持は、自分たちがボールを持ち、後方から組み立ててゴールを目指すことである。いわゆるビルドアップからの攻撃のこと。

 反対にボール非保持は、相手がボールを持っているときに、それに対応することを指す。これも前線からプレスを掛けて高い位置でボールを取ることを目指すチームや、11人が自陣に撤退し後方で堅い守備組織を築くチームもある。

 各チームによってその特徴が出やすいのが、ボール保持とボール非保持の局面である。

ポジティブトランジション・ネガティブトランジション

 トランジションとは英語で直訳すると「切り替え」を意味する言葉。

 ポジティブトランジションとは、「守備から攻撃への切り替え」のことを指す。いわゆるボールを奪った瞬間。ポジティブトランジションが早ければ、相手の守備は整っていないので、カウンターを打つことができる。反対に相手がすぐに対応してきたら局面はボール保持へと変わっていく(速攻から遅攻へ)。

 ネガティブトランジションはその反対で、「攻撃から守備への切り替え」のこと。いわゆるボールを奪われた瞬間。ネガティブトランジションが遅ければ、相手にカウンターを許すことになるし、反対に早ければすぐにボールを奪い返し、再び攻撃することが可能だ。

ピッチの分割

横に3分割する

 続いてはピッチに線を引いて分割していきたい。まずは横に分割。

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 横に分割するときは、3分割することが一般的である。自陣からデフェンシブサード、ミドルサードアタッキングサード

 この各エリアを攻撃または守備のときに、どう攻略ないしは利用していくかは考えていく。

縦に5分割する

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 ピッチを5分割する。いわゆる「5レーン」というやつ。ピッチを縦に5分割することで、どこの立ち位置(ポジション)を取ればボールがうまく回せるか、というのを分かり易くするもの。

 また守備のときもレーンを意識する(レーンを埋める)ことで、相手の攻撃に対応することが求めらている。

 そして5レーンの中で肝となるのが、「ハーフスペース」と言われる2番目と4番目のレーン。ここをどう攻略するか、またどう防ぐかという駆け引きが重要になってきている。

   

列・列移動・レーン移動・ライン間

列・列移動

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  このブログでも頻出するワードの「」。FWを1列目とし、中盤以降を2,3,4列目と定義する。なので、いわゆるセカンドトップのことを1.5列目というのは、1列目と2列目の間だから。アンカーが3.5列目って言われないなとふと思ってみたりする。

 

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 なので、列移動は自分がいる列から移動することを言う。上図で言えば、富田がセンターバックの間に移動している。これに伴って、他の選手も列移動を行い、可変をして、ボール前進させて、相手を押し込んでいく。

 

レーン移動

 縦の移動を列移動とするのならば、横の移動がレーン移動となる。

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 上図で言えば、サイドハーフである崇兆と海夏がサイドからハーフスペースに移動している。このことで、外レーンを空けて、サイドバックを高い位置へと促す(もちろん松下の列移動も関係しているけど)。

 レーンの移動は、プレーエリアを被らせないため、的確な距離と位置関係を保つことでボール保持を確実するなどの狙いがある。もちろんレーン移動の複雑系はさまざまあるが、ここでは割愛することとする。

 

ライン間

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 ここ最近では、あまり耳にすることも少なくなったライン間という言葉。どこを指しているかというと、3つライン(DF-MF-FW)の間のエリアを指す。ここ使うのが得意なのが香川真司

 守備面から言えば、このライン間が広ければ間延びしていることとなるし、逆に狭ければそれだけコンパクトだという証拠にもなる。

 攻撃面から言えば、このエリアでボールを受けられれば、相手を引き出し、その背後のスペースを空けることができるなど、相手に先手を取れるエリアでもある。

 

攻撃(ボール保持)にまつわる言葉たち

ピン止め

 ここからは攻撃(ボール保持)の解説をしているときに使用している言葉を見ていきたい。

 まずは、当ブログ頻出ワードであるピン止めから。

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  ピン止めは、ボール保持側の選手が、ボール非保持側の選手の前に立ったり、選手と選手の間に立つすることで、ボール非保持側の選手の動きを制限させるポジショニングを取ることである。

 このポジショニングで、ボール非保持側の選手は、ピン止めしている選手を見るのか、マークせずにプレスに行くのか選択に迷うことになる(マークを外せば、ピン止めを役割としている選手がフリーになる。)。

 このようにボール非保持側の選手を制限させることで、相手よりも有利な状況を作り出し、押し込んでいく。

  これも配置論的、いわゆるポジショナルプレー的な要素の1つなのかもしれない。

 

サイドバック・アラバロール

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 ペップ・グアルディオラが発明したサイドバック。時にはアラバロールなんて言われることがある。

 偽サイドバックは、上図のようにサイドバックが中に絞り、ハーフスペースを軸にプレーすることである。サイドバックは外に張ってろ!という従来のイメージをぶち壊したのは記憶に新しい。

 この偽サイドバックのメリットは大きく分けて2つ。1つは、サイドバックが中に絞ることで、ビルドアップ時に多くの人数を掛けることができ、安定したボールを保持を行えるようになる。また、ネガティブトランジション時にも、真ん中にいることで相手のカウンターへの対策になることがメリットである。

 国内のチームではマリノスがこの筆頭チームだが、ここ最近ではさまざまなチームがトライし始めて、徐々にどこのチームでもやるようになっているのが現状である。

 

守備(ボール非保持)にまつわる言葉たち

カバーシャドウ

 続いて、守備(ボール非保持)のとき。~たちとは言っても1つだけ。

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 カバーシャドウは、あまり出てきてないワードであるが、解説しておきたい。

 カバーシャドウとは、自分の背後にいる相手選手へのパスコースを切りながら、プレッシングに行くこと。上図で言えば、ハモンのプレッシングに当たる。

 これができるとパスコースを消しながら相手へプレスができているので、パスコースが制限され、後方の選手も次にどこへプレスに行けばいいのか明確になる。

 よって、プレスの強度が高まり、より強烈なプレッシングを行い、ボールを奪うことができる。

 余談だが、昨年の仙台が9月以降に成績が良くなったのは、これができるようになったから。カバーシャドウができるようになり、前からボールを奪いに行くことが増え、高い位置でのプレーが多くなった。それに加えてショートカウンターからの得点も上げられるようになった。

 そういうところもあり、この言葉は紹介したかった。

 

最後に・・・

 ひとまずは、こんな感じで。また言葉が増えたら都度都度増やしていければなと思います。ということで、また再開後に!!