ヒグのサッカー分析ブログ

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【強かに勝ち切る】明治安田J2第8節 いわきFCvsベガルタ仙台

 さて、今回はいわきFC戦を振り返ります。

☆前節のレビュー

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・栃木シティに3-1で勝利し、負けなしを6に伸ばした。前半から前傾姿勢の栃木シティに対してボールを奪ってカウンターを仕掛けるシーンを数多く増やし、ディフェンスライン背後への抜け出しやバイタルエリアへの侵入から足を振ることでゴールを重ねられた。アディショナルタイムの失点は悔しいが、しっかりと複数得点を取れたことは収穫となった。

 今節の相手はいわきFC。いわきFCと言えば、高強度とハードワークが売りのチームで、過去の対戦でも幾度となく苦しめられた。2025年最終節に敗れたことでプレーオフ進出を逃した記憶は新しい。

 監督交代後に連勝している相手だが、しっかりと球際のバトルやハードワークでいわきを上回ることで勝利をもぎ取りたい一戦となった。

 今節は2人のメンバーを入れ替え。松井の欠場に伴ってアンカーに鎌田が起用され、右ウイングバックには復調の兆しが見えてきた五十嵐が起用された。岩渕と五十嵐にとっては古巣対戦となる。また、ベンチには怪我明けの相良や工藤らが名を連ねた。

 

 一方のいわきFCは、前節・サガン鳥栖に3-1で勝利し、田坂体制になって連勝を記録している。いわきらしい高強度のプレッシングとハードワークが復活し、またセットプレーも活かした得点で鳥栖に勝利した。

 田坂和昭監督が就任し、原点回帰によって結果を残している印象で、まずは下位からの脱出を目指したいところだ。

 3連勝を目指す今節は仙台との対戦になるが、自分たちのやるべきことを徹底することでゴールを奪い取りたい。仙台に勝利することで、この勢いが解任ブーストではなく本物であることを証明したい一戦となった。

 前節からは1人を入れ替え。2トップの一角に怪我から熊田が復帰し、早速スタメンに起用された。ベンチには長身2m超の木吹やベテランの永木、前節スタメンだった加藤大晟らが控えている。

 

前半

(1)マンツーマンと中盤圧縮で仙台を窒息させるいわき

 試合開始から両チームのロングボール合戦による陣地の取り合いが繰り広げられ、どちらがセカンドボールを拾うかということに焦点が向けられた展開が続く。

 そんな中で、先にセカンドボールの奪取からチャンスを作ったのはいわきで、熊田が中盤エリアで体の強さを活かしてボールを収めると、そこからサイドへ展開してチャンスシーンを作り出す。

 7分には左サイドから深港のアーリークロスに熊田がファーサイドで折り返して、高橋がバイシクルシュートで狙う。続く14分には右サイドのスローインから熊田が突破し中央へ侵入。藤井のスルーパスに抜け出した山口がシュートを放ち、こぼれを高橋が押し込むが仙台がライン際でなんとかクリアする。

 このように前半序盤だけもいわきがセットプレーも合わせて5つほどチャンスを作り出し、主導権を握る展開に持っていく。

 

 そして、いわきの真骨頂である高強度のプレッシングがこの試合でも発揮される。

 いわきは仙台のボール保持に対してオールコートマンツーマンで守備基準点をはっきりさせる。

 右インサイドハーフの高橋が前に出てマテウス・モラエスを担当し、藤井と遠藤が武田と鎌田を、右バックの牛澤が中島を担当する形となっていた。

 仙台はボールの出しどころがなく、サイドにボールを渡せばいわきの両ウイングバックが縦スライドでプレッシングを掛け、梅木や岩渕を目掛けてロングボールを送っても中野と深港に阻まれることが多く、ボールの収めどころがなかった。

 また、中島や武田らが中盤でボールをキープし押し上げを図ろうとすれば、今度はいわきの中盤3枚が一気にボールサイドへ圧縮しダブルチーム、トリプルチームでボールホルダーへ襲い掛かる。

 

 これだけ激しいプレッシングを受けると、仙台もなかなかボールを解放し、安定して前進ができない。いわきのプレッシングが強いことで相手が寄せる前にパスをしなければと焦りがでて、パスが雑になってしまったことでミスが増えて、いわきの攻撃機会が増えていった。

 

(2)狙った形で生んだ得点シーン

 序盤からいわきの攻撃的な守備の前に、仙台は圧倒される展開になった。

 ただ見方を変えれば、これだけ押し込まれたのなら、まずは全員で体を張って守ろうという方向へと意思統一がしやすかったとも言える。仙台の面々からは慌てずにしっかりピンチを防いでいくことに集中していたように感じた。

 

 試合は30分すぎ、仙台はいまだにシュートを打ててなかった。それでも林や3バックを中心に粘り強く守ると、34分にようやく好機が訪れる。

 プレーの始まりはいわきのオフサイドによる仙台のフリーキックからだった。右サイドから自陣でU字に迂回し、井上へボールが渡ると、井上は中島へ楔パスを差し込む。中島はフリックして岩渕へ繋ぐと、岩渕は左サイドを駆け上がっていた石井へスルーパスを送る。抜け出した石井はダイレクトでクロスを上げて、中に走り込んでいた梅木が頭で合わせて先制に成功した。

 

 ファーストシュートがゴールに繋がったが、森山監督のコメントを借りれば「唯一、狙い通りの攻撃」ができたシーンだった。

 仙台の狙いはマンツーマンで来るいわきに対して、後方から縦パスを差し込み、相手を引き出すことでディフェンスラインにギャップを作り出し、そこへ2列目、3列目から飛び出していくことで、相手ディフェンスラインを破っていくというものだった。

 ゴールシーンを振り返ると、井上が中島に縦パスを差し込んだときに中島には右バックの牛澤が付いていた。牛澤を引き出したことで、センターバックの中野と右ウイングバックの西谷の間にパスコースを生み出すことに成功している。

 また、岩渕が1.5列目で中島に近寄っていたことで、マーカーの中野や深港は付いてきておらずフリーで前を向き、石井へのスルーパスを送ることができた。

 もちろん、ペナルティエリアが手薄にも関わらず梅木に合わせた石井の高速ピンポイントクロスの質の高さはお見事だし、梅木も石井のクロスを信じて飛び込んでいた。最後の質の高さを発揮できたが、それを作ったシチュエーションがまさに狙い通りのプレーだった。

 また余談ではあるが、この攻撃は右サイドから始まっている。前述の通り、いわきの中盤はボールサイドに圧縮を掛けるため、U字で迂回をすると逆サイドにはスペースが生まれる。そこに井上がしっかり縦パスを差し込んだ判断も良かったし、中島と岩渕のコンビネーションと技術も見事なゴールとなった。

 

 押されていた仙台だったが、先制できたことで少しずつ落ち着きを取り戻すようになる。いわきのプレッシングも45分間も掛けられず、仙台が中盤でボールを動かしながら、右サイドの五十嵐が仕掛けてフリーキックを獲得するなど少しずつ状況が好転していった。

 その後も同点を許さなかった仙台が、1点リードで後半へと折り返す。

 

後半

(1)まずは相手陣地でプレーする

 後半からいわきは牛澤に代わって桒田を投入する。

 

 前半は先制したものの、内容としてはいわきに押し込まれ苦しい時間帯が長かった。

 後半の仙台は、まず相手陣地でプレーすることを優先に戦っていった。

 前半は、相手を引き出すためにどうしても足元へのパスが多かったが、後半はまず相手陣地でプレーをスタートするためにロングボールを使い始める。

 特に右サイドのディフェンスライン背後や岩渕、五十嵐を目掛けたボールが増えていった。

 仙台にとっては、右サイドで起点が作れれば右バックの髙田も攻撃参加し、厚みを加えられる。それと同時に髙田のマーカーである山口の立ち位置も押し下げることが出来るため、後半は右サイドからの前進が多かった。

 相手陣地で前向きにプレーすることが多くなり、仙台はいわきのプレッシングを受けることなくプレー出来るようになっていった。

 

 いわきも攻められている左サイドを押し返そうと、55分には山中から中島に交代し、64分には藤井に代わって加藤を投入。左インサイドハーフに山口を配置してボールを保持し、左サイドを攻撃によって改善しようという意思を見せた。

 

(2)スタメン組のバトンをしっかり受け取った途中出場組

 仙台は1点リードしていることもあり、相手陣地のときにはしっかりプレッシングを掛けて、自陣では全員が帰陣して5-3-2ないしは5-4-1の守備ブロックを形成し、いわきの攻撃を跳ね返していく。

 最初の交代は66分。イエローカードを受けていた鎌田と岩渕に代わって奥山と浅倉を投入する。この交代で仙台は3-4-2-1へとシステムを変更する。

 

 交代で入った奥山と浅倉は存在感を発揮。奥山は前節同様ボランチで投入されると中盤の底でしっかり相手を潰しながらセカンドボールを回収。守るだけではなく、奪ったボールをしっかり捌いて繋ぐことで攻撃に転じる役目も果たした。69分には自陣で奥山がボールを奪い、前線の梅木、浅倉と繋いで、そのまま最前線へと抜け出した奥山が反応するがシュートまでは打てず。しかしながら攻守で存在感を出して、後半の疲労が見え始める時間帯にチームを締める働きをした。

 浅倉も前節はチャンスシーンを活かせないことが多かったが、この試合では中盤でパスやドリブルで絡み、攻撃にアクセントを加えた。また守備でもしっかりプレスバックしてボールを奪うなど、前節の悔しい想いをこの試合で晴らそうと戦っていた印象だった。

 

 72分には梅木に代わって宮崎、75分にはピッチに倒れ込んだ井上とイエローカードを受けた武田に代わって菅田と工藤を投入。早い時間帯で5枚を切ることになったが、1点リードを守り切るというメッセージを森山監督は伝えた。

 

(3)チームに基準を示した中島元彦の守備

 1点リードを守り切る意識は持ちながらも、攻撃の機会を窺っていた仙台は79分に追加点のビッグチャンスを獲得する。

 浅倉と宮崎がワンツーで抜け出そうとしたが、いわきに阻まれる。しかしながら、中島が後方から深港にプレッシングを仕掛けてボールを奪うと、慌てた深港は中島を倒してPKを獲得する。

 このPKを中島自身がど真ん中に突き刺して、追加点を奪う。開幕戦ではPKを失敗したものの、その分もと中島らしく思いっきりど真ん中に蹴り込んだ。

 また、このPK獲得シーンでは、疲れが出ているであろう時間帯にも関わらず中島はプレッシングを掛けてボールを奪い、PKを誘った。

 チームのエースである選手がああいうプレーを見せられることは本当に大きい。中島自身も試合後のコメントでチームの基準を示すためのプレーだったと振り返っていたが、チームの基準を押し上げるビッグプレーだった。

 

 2点リードできた仙台は、残り時間をしっかりと締める。いわきは最後の交代で久永と長身の木吹を投入するも、仙台の牙城を崩すことは出来なかった。

 試合はこのまま2-0で勝利。仙台は連勝を達成し、首位に立った。

 

最後に・・・

 前半は本当に苦しいゲームだった。いわきのマンツーマンと強烈なプレッシングに苦しめられ、攻撃の糸口が見出せない時間が長かった。

 それでも狙っていた形を唯一出せたシーンでゴールを奪えたことで、試合の流れが一気に変わった。このチャンスを活かせたのも、百年構想リーグから積み上げてきたサイド攻撃の質が高まっている証左だし、それまでの苦しい時間帯を全員で体を張って防いでいたからだと思う。

 

 時代は違えど、前回昇格した2009年も、こういう苦しい試合展開で焦れずに守りながら、カウンターやセットプレーからゴールを奪って、試合の流れを変えて勝利できた試合は幾度となくあった。

 今の仙台には、徐々にそんな部分が芽生えてきているのかもしれない。押し込まれていても、ゴールを割らせなければ問題ないし、ワンチャンスを活かすクオリティも備わってきた。

 もちろん、まだまだ研鑽しなければいけない部分はあるし、謙虚に成長していかなければならない。しかし、こうやって強かに勝ちを積み上げていければ、自ずと目指す場所に届いてくるはずだ。

 

 次節は3試合ぶりのホームにジュビロ磐田を迎える。秋葉新体制になった磐田だが、ここまで調子が上がっていない。前節はアルビレックス新潟に敗れ、今節もヴァンラーレ八戸に連敗を喫している。

 こういうチーム状況の相手は非常に難しい。前々節の北海道コンサドーレ札幌戦もだが、調子が悪いチームは、一気にやり方を変える可能性があり、スカウティングが外れる可能性があるからだ。

 磐田の調子が悪いといっても、個人能力はリーグ屈指。ピースがはまれば破壊力があるため、しっかり警戒して挑まなければならない。

 もちろん、やるべきことは変わらないし、いかに球際、走力、ハードワークで上回れるかが重要になる。また押し込まれても、今節のように粘り強く守ることも大事だ。

 磐田がどういう出方をするのか注意をしながらも、襲い掛かるときには全員で襲い掛かり、ホームで久々の勝利を挙げて欲しい!!

 

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公式記録

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【やり切った攻撃と守備のアラートさ】明治安田J2第7節 栃木シティvsベガルタ仙台

 さて、今回は栃木シティ戦を振り返ります。

☆前節のレビュー

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・北海道コンサドーレ札幌に1-1の引き分け。勝てば首位浮上の試合だったが、札幌に先制されながらも、すぐさま同点に追いつき、後半は押し込む展開に持ち込んだが逆転には至らなかった。

 勝点1を3にする力はまだ不足しており、継続して研鑽を積んでいく必要がある。一方で開幕戦で敗れた以降は5戦負けなしと安定した戦いは出来るようになってきた。

 今節の相手は百年構想リーグでシーズンダブルを達成した栃木シティだが、先月の天皇杯では苦杯を味わっているだけに、ここで借りを返したいところだ。攻撃力のあるチームな一方で守備には課題があるチームだけに、相手よりも数多くゴール前へ侵入し、足を振っていきたい試合だ。

 仙台は、第5節・湘南ベルマーレ戦で脳震盪による交代を余儀なくされた梅木が復帰プログラムを終えてスタメンに復帰。それ以外は変更点なしとなった。ベンチには怪我から復帰した奥山や前節ベンチ外だった宮崎らが控えている。

 

 一方の栃木シティは、前節・カターレ富山とスコアレスドロー。攻撃力が持ち味のチーム同士の対戦で攻め合う展開だったが、両者決め手を欠き、また栃木シティはキム・ジンヒョンのビッグセーブもあり、勝点1を分け合った。

 しかしながら、ここまで総得点13はリーグトップの数字で、その攻撃力はJ2の舞台でもいかんなく発揮されている。特に3トップは強力でウイングにコンバートされた小池やブレイク中の吉田が攻撃をけん引している。

 ここまで5位に位置し、上位を目論むなかで、今節は仙台との対戦となる。百年構想リーグで洗礼を浴びた相手だけに、天皇杯での勝利が偶然ではないことを証明したいところ。栃木シティとしてもゴール前に侵入する回数をいかに増やしていけるかがポイントになる一戦となった。

 栃木シティは、出場停止明けの照山がスタメンに復帰。また、右ウイングにはバスケス・バイロンが起用され、この試合では小池が左ウイングに起用されいている。ベンチには升掛、山下、鈴木武蔵らが控えている。

 

前半

(1)右サイドからブロック内への侵入を試みる栃木シティ

 試合開始1分。栃木シティは小池の遠目からのアーリークロスに背後へ抜け出した吉田が反応するも、マテウス・モラエスがカバーに入ってコーナーキックへ逃れる。

 栃木シティは一貫して相手ディフェンスラインの背後を狙うプレーが多く、開始早々のチャンスシーンはその宣言とも言えるプレーだった。

 

 両チームの攻撃の狙いは似ていて、相手ディフェンスラインの「手前」と「背後」をいかに活用するかをテーマとしていた。

 まず栃木シティから見ていくと、主に右サイドで攻撃を構築することが多く、その狙いは中島の背後のエリアだった。前節もだが仙台の左サイド、つまり中島のいるサイドは守備に緩さがあって失点に繋がることも少なからずある。あとは、純粋に中島のポジションを下げさせたい狙いもあったのかもしれない。

 栃木シティは、右サイドに人を集めるオーバーロードで局面の数的優位を形成。シモンズ・エイデン、森、バスケスバイロンらがポジションを入れ替えながら、仙台のマークがズレたところにビルドアップ隊から楔パスが差し込み、受けた選手が前を向く。

 14分にはペドロ・アウグストの楔パスをシモンズ・エイデンが受けるとそのままドリブルで侵入し、バスケスバイロンへパス。シュートまで持ち込めなかったが狙い通りのシーンを作り出した。

 

(2)教科書通りのアンカー脇強襲と守備の修正

 一方の仙台も序盤から相手ディフェンスラインの背後へ2トップが積極的にランニングするシーンが目立った。

 梅木の復帰により前線で高さに生まれ、前節は岩渕が競り合う場面が多かったが、この試合では梅木が競って岩渕が抜け出すという本来やりたかった形に戻すことができた。

 栃木シティは攻撃に全振りするチームで、守備でも攻め残りするため、中盤にはスペースが生まれやすい。ボールを奪えばペドロ・アウグストの両脇にはスペースがあり、ボールを奪えば中島がカウンターの起点になって仕掛けることが出来た。

 また栃木シティは守備時も4-1-2-3で守るため、基本的にアンカー脇にはスペースが生まれる。よって仙台は3-4-2-1の形でビルドアップ隊からアンカー脇に立つ岩渕、中島へ楔パスを差し込み、前進していく。

 そして16分。髙田がアンカー脇に立つ岩渕にパスを送って杉山に落とし、杉山がダイレクトで背後へボールを送ったところからゴールが生まれる。

 杉山が背後に送ったボールはマテイヨニッチがクリアするも、その先で中島が回収。中島は正対するシモンズ・エイデンを交わして右足を強振し、キム・ジンヒョンの手をかすめてネットに吸い込まれた。

 

 この得点直後に中継では松井と中島が話し合う場面が映し出されていたが、恐らくブロック内に潜り込む相手選手のケアについて話し合っていたのだろう。

 仙台は先制したこともあり、4-4-2のコンパクトな守備ブロックを形成。相手にボールを持たせながら、左サイドでは中島と松井が背後を取られないように背中を気にしながら守備を行うことで、栃木シティの楔パスを牽制する。

 なかなかブロック内に潜り込めない栃木シティは背後を一発で狙うようなボールが増えていくが、ここは髙田、井上、マテウス・モラエスが中心となって弾き返す。この3人の集中力が最後まで保てたことが、この試合の大きなポイントとなった。

 

 栃木シティにボールを持たせながら、ボールを奪えばカウンターを仕掛けるという展開に持ち込めた仙台は、次のスコアも動かす。

 キム・ジンヒョンの縦パスを松井がカットし岩渕へ。ゴールキーパーと1対1となった岩渕はループシュートで追加点を奪う。待望の岩渕にゴールが生まれた。

 このシーンは岩渕が照山を切りながらキム・ジンヒョンへプレッシングを掛けるところから始まっている。右サイドに位置していたマテイヨニッチには中島が睨みを利かせ、アンカーのペドロ・アウグストには梅木が付いていた。パスコースがなくなったキム・ジンヒョンにシモンズ・エイデンが内側へ入ってパスコースを作り出したが、そこを松井が狙っていた。

 栃木シティのビルドアップに対して、しっかりマークをはめ込むことでほとんど詰みの状態を作らせていた見事な得点だった。

 

 追加点直後の36分にはキム・ジンヒョンのパスを中島が引っ掛けてカウンターを発動。杉山がシュートを狙い、こぼれを松井が押し込んだがオフサイドの判定となった。

 その後もカウンターやセットプレーからチャンスを作り出した仙台。アディショナルタイムには押し込まれる場面もあったが全員で対処してシュートを打たせなかった。

 前半は攻守で主導権を握り、2点リードで後半へと折り返した。

 

後半

(1)差し込み口を増やした栃木シティ

 後半開始から杉山に代わって五十嵐が投入される。

 

 2点を追う栃木シティは、前半できていた楔パスの差し込みをさらに増やしてこうと攻撃の立ち位置を変化させた。

 後半は仙台のボランチ周辺に西谷、森、バスケスバイロン(時々シモンズ・エイデン)が位置し、楔パスの差し込み口を増やして差し込んでいくことで、前半以上に仙台を押し込んでいこうという狙いを持っていた。

 また仙台を押し込めば、2列目の選手が積極的な飛び出しでディフェンスライン背後を狙う。48分には西谷のボールに抜け出した森が決定機を迎えるが、シュートがヒットせず林の正面に飛ぶ。

 

 仙台も栃木シティが攻撃の圧力を強めてきたことで少し押され気味にはなるが、オーバーアタック気味に来てくれるので、前半同様にカウンターのチャンスがあった。52分には梅木が照山からボールを奪うと岩渕がカウンターを発動。中島へ繋げるとそのままカットインして右足を振るが、キム・ジンヒョンにセーブされる。

 この流れから栃木シティを押し込むと、55分にスコアを動かす。

 コーナーキックの二次攻撃。右サイドで武田、岩渕がパス交換し、岩渕のスルーパスに抜け出した髙田がバスケスバイロンとの競り合いを制して角度のないところからゴールネットを揺らした。髙田にも今シーズン初ゴールが生まれて、仙台は3点のリードを奪った。

 

(2)5-2-3による守備ブロック

 55分で3点リードを奪った仙台は、かなり余裕を持ってゲームを進めることができた。

 栃木シティは62分に吉田に代えて山下を投入。仙台も65分に岩渕、梅木の2トップに代えて浅倉と鎌田を投入した。

 仙台はこの交代で5-2-3の守備ブロック形成にシフトチェンジする。前線に枚数を掛ける栃木シティに対して5バックで構えながら、前線3枚は浅倉、鎌田の両シャドーが栃木シティの両センターバックの前に立ち、1トップになった中島がペドロ・アウグストを監視する役目となった。

 この守備変更によって中央を締めて、またパスの出所を抑えたことで楔パスを差し込まれる回数は減った。その分、栃木シティはサイドからの攻撃に変化していき、両サイドから角度をつけたアーリークロスを送るようになっていく。

 

(3)求められる途中出場組の頑張り

 仙台ゴールをこじ開けたい栃木シティは、70分にバスケスバイロンと佐藤に代わって鈴木武蔵と升掛を投入。82分には森とペドロ・アウグストに変わって岡庭と加藤丈がピッチに送り込まれる。

 一方の仙台は、足を攣った武田と松井に代わって宮崎と奥山を投入。継続して5-2-3で守りながらカウンターの機会を窺う。

 実際にカウンターからいくつかチャンスを作り出せた。83分には髙田のクリアが宮崎に繋がり3対2の局面でカウンターを発動。最後は浅倉がシュートを狙うもディフェンスにブロックされた。

 途中出場した浅倉は、限られた時間ながらも3つほどチャンスがあったなかで、シュートまで持ち込めなかったり、打ち切れなかったりと攻撃をやり切れない場面が目立った。

 この試合は3点リードあり、カウンターを仕掛けやすいシチュエーションだっただけに浅倉もだが、鎌田や宮崎にはチャンスに絡むシーンを作り自身のアピールに繋げて欲しかった。チームの底上げには途中出場組のアピールが欠かせない。この試合だけ見れば、まだまだスタメン組を脅かせるほどの活躍ではなかったので、今後の奮起に期待したいところだ。

 

 試合はアディショナルタイムに入り、仙台が久々にクリーンシートを達成できそうな雰囲気が漂っていたが、最終盤にコーナーキックから失点を喫する。

 岡庭のキックに林が飛び出してパンチングで弾こうとしたが、頭上を越え、鈴木武蔵に押し込まれて1点を返される。林にとってはクリーンシート目前だっただけに悔しいシーンとなった。

 

 試合はそのまま終了。仙台が3-1で勝利し、2位に浮上した。

 

最後に・・・

 攻撃に全振りする栃木シティ相手だと、仙台が得意としているカウンターを発動しやすく、サッカーの相性がかなりいいことが今回も立証された。

 前半にも書いたが、仙台と栃木シティは攻撃の狙いが比較的に似ているところがあって、そのなかで仙台の方がディフェンスラインの背後をアラートに対応できたことが栃木シティの攻撃を抑えられた最大の要因だったかなと思う。

 

 また、試合前に森山監督が話していたように攻撃をやり切ることが重要だった試合で、それを選手たちがしっかり遂行し、3ゴールを奪えたことも良かった。

 一方で前半からかなりシュート本数も増やせて、さらにもう1、2点奪えるチャンスもあり、後半もカウンターからゴールを奪うチャンスがあっただけに、こういう試合でさらにゴール数を増やして得失点を稼げるようになれば、今後の昇格レースにも効いてくるかなと思う。そういう意味ではさらに決定力を上げていければ、もっと強くなるのではないだろうか。

 

 次節はアウェイでいわきFCとの対戦。いわきは田村雄三監督の辞任に伴って田坂和昭氏が就任。就任以降は横浜FC、サガン鳥栖に連勝し、息を吹き返している。

 毎度、いわきとの対戦は高い強度のなかで激しい試合となるし、なによりも2025年シーズン最終節の悔しい敗戦が記憶に新しい。2位に浮上したものの、まだまだ混戦模様なJ2だけに、いわきのハードワークを上回って、勝利を目指したい一戦だ。

 次節も激しいゲーム展開が予想されるが、チーム全員が粘り強く戦い、そして全員でゴールに襲い掛かって、勝点3をもぎ取って欲しい!!

 

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