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【悔やまれる試合の入り方】明治安田J2第28節 愛媛FCvsベガルタ仙台

 さて、今回は愛媛FC戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ジェフユナイテッド千葉を1-0で下し、6試合ぶりの勝利を挙げた。本来の強みであるコンパクトな守備陣形と高強度のプレーで千葉の攻撃を抑えて、カウンターから武田のヘディングシュートで勝利することが出来た。

 上位直接対決で勝ち、自動昇格圏とは勝点2差に縮まったことで、ここから一気に上昇気流へ乗っていきたいところ。そのために千葉戦のいい流れを今節の愛媛戦でも継続し、連勝を目指したい一戦となった。

 仙台は前節からスタメンの変更はなし。ベンチはエロンに代わってグスタボがメンバー入りしている。

 

 一方の愛媛FCは、前節・藤枝MYFCに1-4で敗れて6連敗中。藤枝戦では先制点を奪えたものの、追いつかれると一気にトーンダウンし4失点を浴びてしまった。

 残留に向けて厳しい戦いが続くなかで、この夏には藤本佳希や堀米勇輝といった帰還組や前田椋介、杉森孝紀といった他クラブで出場機会が限られていた実力者を補強。守備的な選手よりも攻撃的な選手を補強し、より浪漫派を加速する愛媛であった。

 愛媛にとっては、なんとかこの苦境を脱して、残留に向けて希望を見出したい今節の戦いとなった。

 愛媛は、センターバックの一角に吉田が起用され、ボランチに谷本が久々のスタメンとなっている。ベンチには曽根田、ベン・ダンカン、村上らが前節から代わって名を連ねている。

 

前半

(1)仙台のチグハグな守備ブロックと愛媛の狙い

 愛媛キックオフでスタートした試合は、キックオフとともに愛媛が押し込む展開を作ると、2分にはコーナーキックから武田のクリアを杉森が拾ってクロスを送り、藤本が合わせる決定機を作り出す。

 

 開始早々に決定機を作り出した愛媛は、試合序盤から主導権を握っていく。

 愛媛のボール保持は3-4-2-1の形から3バックがゆっくりボールを動かしながら仙台の守備の様子を伺っていくところからスタートする。

 仙台の2トップがダブルボランチを背中で消しながら、ミドルブロックを形成すると見るや、3バックは横にボールを動かしながら、プレッシングのスイッチを入れるであろうサイドハーフを釣り出し、その背中でポジショニングするウイングバックやシャドーへ縦パスを差し込み、仙台のプレッシングを越えていく。

 愛媛のパスルートを見ていくと、右サイドではサイドバックサイドハーフの間でポジショニングする黒石がビルドアップの出口となり、一方の左サイドでは左シャドーへ流れる堀米が縦パスを受けることが多かった。

 愛媛はそこからダブルボランチも加わりながら、ボールサイドに人を集めてオーバーロード気味に崩していく。

 愛媛は、仙台がミドルブロックからプレッシングへと移行するときに、2トップではなくサイドハーフがプレッシングのスイッチを入れることをスカウティングしていたのだろう。序盤の時間帯は、高確率で仙台のサイドハーフが出てきたときに縦パスを差し込むことに成功している。

 

 一方の仙台としては、前節同様にミドルブロックからコンパクトな守備陣形を保ち、前線からのプレッシングでボールを奪いに行くイメージだったのだろうが、試合序盤からプレッシングを越されたことや最前線の藤本の駆け引きによって、ディフェンスラインが千葉戦よりも低い状態となり、前後が間延びした状態になっていた。

 よって前から行きたい前線と、構えたい後方で守備がチグハグとなり、愛媛の思う壺になってしまった。

 

 そして、この流れから先制したのは愛媛。

 左サイドをきっかけに吉田の縦パスを前田がフリックし、中間ポジションで堀米がフリーで受ける。堀米のアーリークロスはファーへと流れたが、頑張って間に合った黒石が折り返すと後方から走り込んできた前田が頭で合わせて先制点を奪う。

 愛媛としては、自分たちの時間帯でしっかりゴールを奪うことができた。

 一方の仙台は、悪い流れを断ち切ることができず、簡単に中間ポジションで前を向かれクロスを送られてしまった。

 ファーサイドで詰めた黒石に対しても、相良がアラートさを持っていれば戻って対応できていたと思うが、完全に黒石を見失っていた。こういう細かな部分にも、仙台がこの試合うまくゲームに入れなかったことが現れている。

 

 愛媛は前節同様に先制に成功し、仙台は前節良かった部分が何1つ出せなかった序盤の時間帯だった。

 

(2)愛媛の高いミドルブロック。荒木と郷家のポジションチェンジ。

 愛媛が先制した後から次第に仙台が後方からボールを保持する時間が増えていく。

 仙台の3-4-2-1のボール保持に対して、愛媛は高いディフェンスラインでコンパクトなミドルブロックを形成し、仙台のビルドアップ隊に圧力を掛けながら守備をしていく。

 また、愛媛は仙台の潤滑油である荒木を試合から消すために福島がマンツーマン気味に付くことや、仙台のパスを右サイドへと展開させることでリズムを作らせなかった。

 まさに前節の仙台をモデルにしたかのようなコンパクトな守備で、仙台の攻撃の形を作らせない。

 

 ボールは持てども、なかなか攻撃の糸口を見出せない仙台は、30分ごろに変化を加える。

 荒木と郷家のポジションを入れ替えて、右サイドハーフに荒木、2トップの一角に郷家をそれぞれ配置した。またそれに伴って、ダブルボランチのポジションも入れ替わっている。

 なかなか試合に参加できない荒木を右サイドに移して、降りてビルドアップ隊からボールをピックアップすることで保持を安定させながら、鎌田、武田とも協力してジリジリと敵陣でのプレー時間を増やしていく。

 この辺りから愛媛の守備ブロックは下がり始めて、仙台が押し込むようになっていった。

 30分以降からはシュートシーンも増えはじめ、38分には武田のフィードを収めた相良がミドルシュートを放つも徳重のセーブで阻まれる。続くコーナーキックでは、武田のボールにニアで郷家が合わせるも枠を捉えられなかった。

 

 それでもポジションチェンジにより少しずつ押し返すことができた仙台が、攻撃のリズムを作り出したところでハーフタイムを迎える。

 前半は試合序盤から主導権を握った愛媛が先制し、仙台は1点ビハインドで後半へと折り返す。

 

後半

(1)死なばもろとものプレッシング

 愛媛は、前半途中に腰をひねった谷本に代わって深澤が投入されており、仙台は後半開始から奥山に代わって石井が投入された。

 

 是が非でも勝点3を持って帰りたい仙台は、ネジを巻き返して積極的に前からプレーしていく。

 後半開始の仙台は、後方からシンプルに愛媛ディフェンスラインへとロングボールを送り込んで、そのセカンドボールを回収することで押し込んでいく。

 また前半は前後で分断していた守備も、ゴールを奪いにいかなければいけない展開で高いディフェンスラインを設定し、ボールホルダーに対しても積極的なプレッシングで時間とスペースを奪うことで、高い位置でボールを奪取し愛媛を押し込んでいく。

 そうすると後半序盤からチャンスを作り出す仙台。52分には武田のフリーキックに小林が頭で合わせるも枠の上を越えていく。続く54分には右サイドのコンビネーションから中央へ侵入し、最後は相良が右足を振るもシュートブロックに阻まれる。

 59分には愛媛の不用意なバックパスをカットした荒木が徳重との1対1を迎えるもセーブされる。

 再三チャンスを作りながらも、この時間帯で追いつけなかったことで、次第に愛媛の守備の集中度が高まっていくこととなった。

 

(2)早いタイミングで5バックへ舵を切る愛媛

 なかなか決めきれない仙台に対して、押し込まれる愛媛は次第に疲弊する選手が出てくる。

 仙台は64分に小林に代わって中田が投入され、愛媛は66分に森山、杉森、藤本に代わってマルセル・スカレゼ、今野、村上を投入。このタイミングで5-4-1にシステムを変更した。

 

 愛媛が5バックにしたことで、当然仙台が押し込む展開が続いていく訳だが、中央を固める愛媛に対して再三再四サイドからのクロスやポケットへの侵入でゴールへ迫るものの、最後のところで愛媛守備陣に跳ね返される。

 69分には石井のコーナーキックに井上がドンピシャのタイミングで合わせるも、ここも徳重にセーブされる。

 仙台は74分に武田に代わって山内が投入され、鎌田とダブルボランチを組む。

 

 一方の愛媛は足を攣った黒石に代わってベン・ダンカンを投入し、最後のカードを切る。しかし、守備に追われる愛媛にもまだまだ疲労の色を見え、特に堀米と佐藤はかなり体が重くなっており、仙台はさらにサイドから攻勢を仕掛けていく。

 

 仙台は最後の交代で、相良と郷家に代えて松井とグスタボを投入。山内を左サイドハーフに移動させた。

 仙台のクロス爆撃が実ったのは88分のこと。荒木の右からのクロスは一度クリアされるも、ペナルティエリアで拾った山内が前田を抜こうとしたところで倒されてPKを獲得。

 このPKを山内自ら決めて、仙台は土壇場で同点に追いつく。

 アディショナルタイムは7分と長めの時間が取られ、仙台は逆転を目指しさらに攻勢を強め、コーナーキックを獲得するも、逆転には至らずに試合終了のホイッスルを聞くこととなった。

 連勝を目指した仙台は、勝点1に留まり中断期間へと突入する。

 

最後に・・・

 まだまだ残暑残る愛媛でのゲーム。試合終了後の静けさがすべてを物語っていた。両チームにとって手痛いドローとなった。

 仙台は、とにかく試合の入り方が悔やまれる。前節は集中力の高い入り方ができ、コンパクトな守備陣形で千葉の攻撃を封じることができた。その一方で今節は、アラートさに欠け、ディフェンスラインも低くなってしまい前後が分断。まさに反省しかない試合の入り方だった。

 昨シーズンは特に試合の入り方に注意していた印象だが、今シーズンはこういう浮ついた入り方が多く、それが自らの首を絞める原因になっている。

 いい守備から試合には入れれば、しっかりと戦えている実績があるだけに、残りの10試合ではこのような試合の入り方があってはならないだろう。

 

 さらになかなか逆転勝利を手にすることが出来ていない。この試合のポイントは、攻勢を強めて決定機を多く作った後半序盤の時間帯だろう。あの時間帯に追いつくことが出来れば、愛媛も攻めに出て行かざるを得なくなり、より守備に隙が生まれ、逆転する可能性を高められたはずだ。そういう意味でも、ああいうチャンスを決め切る存在がチームに今いない。エース不在であることは確かだ。得点を期待されているエロン、小林、宮崎、それ以外にも相良や郷家、荒木といったアタッカー陣には残り10試合で発奮して欲しいところ。彼らの活躍無くして昇格は見えてこないはずだ。

 

 ここから中断期間へ突入し、いよいよリーグもラスト10試合となる。混戦を極める今シーズンだけあって、まだまだチャンスは残されているので、ここから本気で巻き返すパッションと一体感をチームには期待したい。

 次節はホームに首位・水戸ホーリーホックを迎え撃つ。ここまで首位を快走してきた水戸だが、ここ最近は終盤に追いつかれるゲームを繰り返しており、少しずつ勢いも落ちている印象である。ただ中断期間が挟むだけに、しっかりと立て直しを図ってくるだろう。

 そんな水戸が対戦相手だが、仙台はチャレンジャーらしく千葉戦のような戦いをホームでもう一度したいところだ。ここで勝つことが出来れば、また大きく流れが変わるはずだ。

 泣いても笑っても残り10試合。とにかく悔いのないように全力で最後まで戦い切って欲しい!!

 

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