さて、今回はRB大宮アルディージャ戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・北海道コンサドーレ札幌に3-0の勝利。前半から積極的なプレッシングで主導権を握ると、2試合連続となる3ゴールで快勝した。内容と結果が伴う非常にいい状況でホームにRB大宮アルディージャを迎え撃つ。
直近の対戦相手と比べて、大宮は前線からの高強度なプレッシングと外国籍選手の能力を活かした縦に速い攻撃が持ち味のチーム。仙台としては前半戦で0-3の完敗を喫した相手だけにここでリベンジを果たしたいところ。
前回対戦ではコンパクトさを失い全体が間延びしたことで、大宮にセカンドボールを拾われ、ペースを失った。ホームでの再戦ではコンパクトさを保ちながら、局面での球際バトルで勝利することでゴール、そして勝利へと繋いでいきたい一戦となった。
仙台は、札幌戦と同様の11人をスタメンに起用した。ベンチには負傷明けのマテウス・モラエス、出場停止明けの武田、体調不良で前節欠場をした荒木がそれぞれ戻ってきている。
一方のRB大宮アルディージャは、前節・ジュビロ磐田との激戦を4-3で制し連敗を脱出した。磐田戦の前には長澤徹監督の解任と宮沢悠生氏の就任を発表。RBザルツブルグでコーチなどを歴任した宮沢氏の就任はレッドブルグループの色をより濃くする人事となった。
大宮のスタイルは前述したように、高強度のプレッシングと縦に速い攻撃。特にオリオラ・サンデーとカプリーニはそれぞれ前節ゴールを決めており、調子を上げている。
守備の要であるガブリエウと市原は怪我とU-20ワールドカップのため不在が続いているが、代わりに出場しているメンバーでこの6ポインターを制して、再び自動昇格圏争いへと加わっていきたい一戦となった。
大宮は中盤がダイヤモンドの形となる4-3-1-2を採用。スタメンは前節と同じ11人を起用した。ベンチも前節から富山が代わって入っている以外は変更なしとなった。
前半
(1)仙台を呼吸させなかった大宮のハイプレッシング
試合序盤は、両チームともにロングボールを駆使する展開。仙台は宮崎と郷家へのロングボールからセカンドボールを敵陣で拾う狙いを持ち、大宮は愚直にオリオラ・サンデーの背後へのランニングを促すボールを送り込む。
そんな序盤の時間が過ぎていくと、次第に守備からペースを握り始めたのは大宮だった。
大宮の配置は4-3-1-2。中盤をダイヤモンドにする形で、仙台の配置とぶつけると上図のような嚙み合わせになる。
大宮は2トップから仙台のセンターバックに対して、激しいプレッシングで時間とスペースを与えない。そして仙台のビルドアップをサイドへと誘導すると、サイドバックに対してインサイドハーフがスライドして出て行く。
それと同時にトップ下の豊川は、ボールサイドのボランチをマークにしに行き、それ以外のエリアでもマンツーマンで捕まえに行く。
こうすることで、仙台をスモールフィールドへと追い込み、仙台の前進を阻んでいく。
特にキーマンとなったのが豊川で、常にボールサイドのボランチを消し続けることで、仙台の特徴であるボランチを経由した攻撃を寸断させた。攻撃的な選手ではあるが、どちらかとえば守備のウェイトが非常に重いタスクとなっている。
直近で対戦してきた山形や札幌と比べると大宮のプレッシングは強烈で、しかも大宮の選手は仙台と同じように二度追い、三度追いを平気にやるので仙台としてはなかなか呼吸する場所を見つけることが出来なかった。
今までの試合と比べて、相手を押し込んで敵陣でボールを保持する展開に持ち込めなかったのも、この大宮のハイプレッシングに苦しんだことが理由である。
それでも、何回か大宮のプレッシングを掻い潜ったり、カウンターから大宮ゴールを目指すシーンを作り出す。前節同様に右サイドハーフである山内がファジーな位置取りから左サイドまで顔を出すことで、手薄な大宮のアンカー周辺を襲撃することは出来た。しかしながらシュートまでなかなか持ち込めなかった。
(2)変化を加えた大宮の配置とショートカウンターによる先制点
大宮の攻撃は自陣から地上戦で繋いでいくというよりも、前線へフィードを送りながら縦へ速い攻撃を見せていくことが特徴となっている。
前述したように、序盤の大宮はオリオラ・サンデーをディフェンスライン背後へ走らせるボールを使って仙台を押し下げようとしていた。
対する仙台も、オリオラ・サンデーには井上がアラートに対応。時にはボランチや真瀬のサポートを得ながらしっかり対応していた。
拮抗した状況を打破しようと変化を加えたのは大宮だった。
30分すぎになると、攻撃時の配置を3-4-2-1へと変化させる。やることは変わりないが、井上サイドを狙っていたオリオラ・サンデーが今度は菅田も狙うようになる。
この辺から大宮はチャンスを作り始めると、30分には村上のフォードをオリオラ・サンデーが収めて最後は豊川がシュートを狙い、続く33分には堀田のキックを小島が回収すると、豊川が繋いで、最後はオリオラ・サンデーが強烈なミドルシュートを狙うも堀田がセーブする。
しかしながら徐々にチャンスを作り出した大宮がショートカウンターから先制点を奪う。
🎦 ゴール動画
— Ｊリーグ（日本プロサッカーリーグ） (@J_League) 2025年10月4日
🏆 明治安田Ｊ２リーグ 第32節
🆚 仙台vs大宮
🔢 0-1
⌚️ 38分
⚽️ カプリーニ（大宮）#Ｊリーグ pic.twitter.com/12kTlCVYeZ
仙台の右サイドからのスローインを奪うと、局面をひっくり返してショートカウンターを発動。左サイドで細かいパスワークで繋いで、最後は泉のスルーパスを受けたカプリーニがファーサイドに突き刺して先制点を奪う。
大宮としては守備から仙台をはめ込み、チャンスを作り出し始めた流れでゴールを奪った。
仙台としては、なんとか凌いでいただけに右サイドのスローインを奪われてひっくり返されてしまったのは痛恨だった。
1点を追う仙台は、直後の39分に井上のクリアボールを相良が見事なトラップから相手を交わしてゴールを狙うも笠原にセーブされる。
前半は、大宮がハイプレッシングで仙台を飲み込むと、配置を変えながらうまくチャンスを作って先制し、後半へと折り返す。
後半
(1)堀田のPKストップからの同点ゴール
1点を追う仙台は、後半開始から3枚替え。奥山、松井、山内に代わって石尾、武田、荒木を投入する。
攻撃的なカードを3枚切り、より火力を上げていきたい仙台は、強度をさらに上げて前線から食らい付いていく。
大宮が蹴ったロングボールも井上、菅田の両センターバックがアラートにオリオラ・サンデーを対処して起点を作らせない。おかげで後半は大宮にカウンターを許す機会も減らすことが出来た。
しかしながら、大宮もペースを握らせまいと後半序盤から仙台のディフェンスラインに圧力を掛けていく。
すると52分に菅田と井上のパス交換に寄せたカプリーニが菅田に倒されたとして、大宮が追加点のチャンスを獲得する。
しかしながら、このカプリーニのPKを堀田がセーブし、仙台は難を逃れる。このPKはカプリーニに対してあらゆる駆け引きをした堀田の勝ちだった。
そして仙台は直後のプレーで追いつくことに成功した。
🎦 ゴール動画
— Ｊリーグ（日本プロサッカーリーグ） (@J_League) 2025年10月4日
🏆 明治安田Ｊ２リーグ 第32節
🆚 仙台vs大宮
🔢 1-1
⌚️ 55分
⚽️ 郷家 友太（仙台）#Ｊリーグ pic.twitter.com/1Ildtwb1Rq
堀田のキックから中盤で仙台がセカンドボールを拾うと、ダイレクトで武田が背後へ抜け出した相良へ浮き玉のパス。相良のシュートは笠原にセーブされたものの、そのこぼれ球を郷家が左足で蹴り込んで同点に追いつく。
武田が1つのパスで局面を変えて、相良のシュートは正面だったものの、狙っていた郷家はしっかり左足でボールを叩くことで笠原の左手を越えた技ありのシュートだった。
PKストップ直後の同点だけあって、ユアスタの雰囲気は最高潮に達し、逆転への機運は高まっていった。
またハーフタイムを挟み、仙台は特に右サイドの攻撃が改善される。武田と荒木が加わったことで、ボールを配給できる武田とアンカー脇でプレーする荒木の存在で真瀬は高い位置を取ることが出来るようになり活性化していった。
ファジーな位置取りで相手にとってバグを起こすことが出来る山内に対して、自らの立ち位置で相手に影響を与え、味方のプレーエリアを確保するのが得意な荒木は、山内とは違った持ち味で攻撃に変化を加えた。
さらに左サイドでは宮崎が流れてポイントを作りながら、より攻撃的な石尾が登場したことで相良とのコンビネーションから厚みのある攻撃を実現させた。
実質、この後半のメンバーが一番攻撃で機能する布陣と言えよう。
(2)流れが変わってしまった井上の退場
同点に追いつき、流れが仙台に傾き始めていたが、67分に状況が一変する。
押し込んだ流れからカットされ、泉がドリブルで井上を交わそうとしたところで、井上が倒してしまい、この日2枚目となるイエローカードで退場となる。
この試合、序盤からオリオラ・サンデーへのしぶとい対応を見せ、攻撃に出るために即時奪回を狙ったシーンだったが、スピードのある泉が上手だった。
イエローカードを受けている状況だったので、あそこで無理に行ってしまったのは軽率とも言えるが、あそこで行けるのが井上の良さでもあり、ここは裏目に出た形となった。
10人になった仙台は、宮崎に代えて髙田を投入。
仙台は石尾をセンターバックにする4-4-1にし、10人での戦いをスタートする。
10人になった仙台だが、決して引くことはせずに行けるときは前から奪いに行き、攻撃へ出て行く。実際にコーナーキックを獲得したり、惜しいシーンまで繋げることができ、決して1人減ったからと言って沈むことなく、井上のためにもという強い気持ちでプレーしていた。
ただ、大宮も攻勢を強めるために、75分には泉とオリオラ・サンデーに代わって津久井と杉本を投入する。大宮が勝ち越したのは、その6分後だった。
🎦 ゴール動画
— Ｊリーグ（日本プロサッカーリーグ） (@J_League) 2025年10月4日
🏆 明治安田Ｊ２リーグ 第32節
🆚 仙台vs大宮
🔢 1-2
⌚️ 81分
⚽️ 福井 啓太（大宮）#Ｊリーグ pic.twitter.com/CRrWZgpUth
コーナーキックのこぼれを小島がミドルシュートで狙うもヒットせず、しかしそのこぼれを杉本が回収し和田へ繋いでアーリークロスを上げるとニアで福井が逸らして、ゴール右隅へと吸い込まれ、大宮が勝ち越しに成功する。
仙台としては果敢に攻めながら、守りどころを守っていただけにこのシーンでは一瞬エアポケットとなり、和田への寄せが甘くなった。
ホームで追いつきたい仙台は、失点後に配置を4-3-2に変更。郷家と相良の2トップとし、リスク承知で攻めに出る。
88分には相良のドリブルから真瀬が繋いで、最後は郷家が狙うもゴール右へと逸れる。
大宮は86分にアルトゥール・シルバとカプリーニに代えて藤井と富山を投入。守備強度を維持し逃げ切りを狙う。
仙台は相良に代えて中田を投入し、前線に高さのある選手を投入する。
退場があったことで、アディショナルタイムは8分と長めに取られた。そんな中で仙台は菅田を前線に上げてパワープレーに出る。アディショナルタイムにもいくつかチャンスを作り出したが、最後まで笠原の壁を越えることが出来なかった。
ラストプレーでは荒木が抜け出すシーンを作り出すも、ここも笠原が立ちはだかりタイムアップとなった。
仙台は退場者を出しながらも最後まで勇敢に戦ったが、一瞬の隙を突かれ勝ち越されてしまい、3連勝とはならなかった。
最後に・・・
非常に悔しい敗戦となった。リーグでも随一の強度を誇る大宮に対して前半は苦労しながらも後半は巻き返して追いつくことが出来た。
残念ながら退場者を出してしまったことで、苦しい試合運びとなったが、それでも誰1人たりとも勝利を諦めずに最後までハードワークし、勇敢に戦ったこのチームを誇りに思う。
井上の退場時には逆サイドから梅田と髙田が抱きかかえに来るなど、このチームの結束力・団結力を感じるシーンが試合中には多くあり、きっとこの大混戦の昇格争いに最後まで生き残り、戦い続けてくれることを確信する試合でもあった。
決して個人能力が高いチームではないからこそ、組織としてまとまってやっていくことが重要で、そういうまとまりでは他のチームに引けを取らないと思っている。
残りは6試合。今節で自動昇格圏と少し離れてしまったが、まだ巻き返しは出来ると思っている。最後まで諦めずに勝点を積み重ねていければ、最後の最後に何かが起きる可能性は残されている。
とにかく目の前の1試合1試合をどれだけの集中力で挑めるかが重要になってくる。高い強度の戦いを残り6試合出来れば、自ずと結果も伴ってくるはずだ。
中断期間を経て、次節はアウェイで大分トリニータとの対戦。前回対戦ではホーム開幕戦で勝利している相手。監督交代を敢行したものの、調子を上向いておらず、しっかり勝点を上積みしたい相手ではある。
しかしながら、大分もこの中断期間に修正して来るだろうし、出方が変わるかもしれない。そういう意味でもまた序盤の15分間は集中して臨みたいところだ。まずは相手陣地で長い時間サッカーをして、チャンスを作り出していきたい。
次節は悔しい想いをした井上の分も含めて戦い、勝点3をもぎ取り、ホームへと戻ってきて欲しい！！
ハイライト
