さて、今回は鹿島アントラーズ戦を振り返ります。いよいよ最終節!
↓前節のレビューはこちら
↓前回対戦のレビューはこちら
スタメン
ベガルタ仙台は前節・アビスパ福岡と2-2のドロー。先制を許すものの氣田の2ゴールで逆転に成功。しかし終盤に追いつかれ今シーズン初の逆転勝利とはならなかった。
12月3日に原崎監督の来シーズンの続投が発表され、早速来季に向けての動きも見え始めている。今シーズンラストゲームだが、来季に向けて希望を見出せられる形でシーズンを終えたいところだ。
前節から2トップの一角に赤﨑が起用されている。それ以外は変更点なし。ベンチには皆川が入り、出場停止明けの西村はベンチ外となった。
鹿島アントラーズは、前節・サガン鳥栖に1-0で勝利。シーズン途中で監督交代を敢行するなど思うようにいかなかったが、今節勝利すれば4位となり、川崎フロンターレの天皇杯での結果次第ではACLプレーオフへ回れる可能性がある。そういう意味ではしっかり4位を死守したい一戦だ。
今節は三竿がスタメンに復帰。それ以外はベンチともに変更点なしとなった。
前半
(1)サイドハーフが下がることを受け入れる・カウンターの起点を共有する
前半の仙台は、鹿島のボール保持に対して自陣で守備ブロックを形成しながらカウンターの機会を窺う機会が多かった。まずはその辺りを見ていきたい。
仙台は基本的に4-4-2の守備ブロックを形成。それに対して鹿島は4-2-3-1の形が多かった。
鹿島は荒木がフリーマン。和泉とアラーノも内に絞り、サイドバックを高い位置に押し上げる。ボールサイドでは逆サイドのサイドハーフが参加し数的優位を形成し、ペナルティエリアに待ち構える上田へとボールを供給するのがざっくりとした狙いだ。メインは左サイドでの攻撃が多かった。
仙台の守備としては、まず4バックとボランチ(加えて逆サイドのサイドハーフ)が絞って中央を締める。高い位置を取る鹿島のサイドバックに対してはサイドハーフがそのまま付いていくことを受け入れて、同数を保つようにする。
よって仙台は、高い位置で守備ブロックを形成するというよりも、低い位置で構えて対応する時間が長かった。
6分には中央の門が閉じきっておらず、関川→荒木→上田で決定機を与えてしまう。しかし、それ以降は30分に安西のクロスを上田に合わせられた(クバの正面)以外は概ね危ないシーンも少なく対応できていた。
また、仙台はこの試合でもしっかりカウンターの起点となるエリアを共有することで、カウンターを発動することができた。
アビスパ福岡戦同様に高い位置を取るサイドバックの背後を2トップがランニングし、奪ったボールを引き出すことでカウンターを発動するシーンを作っていった。
30分には左サイドで赤﨑がボールを受けてカウンターを発動させると、長いランニングをした上原にパスが通りチャンスを迎えるもシュートまで持ち込めなかった。
手倉森体制の終盤は防戦一方になる展開が多かったが、原崎体制になって使うエリアを共有することで、カウンターを発動できるようなったのは修正できたポイントだ。
(2)右循環のビルドアップから前進していく
仙台がボール保持の局面になると、鹿島も前からプレッシングを掛けることが少なかったので、ビルドアップから前進を試みていくシーンがそれなりにあった。
仙台の前進は、右循環が多かった。恐らくビルドアップ隊の4人が全員右利きだったからというのもあると思う。特に吉野やアピアタウィアから真瀬にパスするところから前進していくシーンは目立った。
ミドルサードでボールを受けた真瀬は2つの選択肢があった。1つはハーフスペースをランニングする関口へスルーパスを送ること。
もう1つは富樫が裏へランニングしたことで生まれた手前(センターバックとボランチの間)のスペースでポジショニングする赤﨑へ楔のパスを送ることだった。
この2つの選択肢を使い分けながら仙台はアタッキングサードへの侵入を試みていく。
12分には、富樫のランニングで生まれたスペースで赤﨑が受け、逆サイドの氣田へ展開し、そのままシュートを放ったシーンは理想的な展開だった。
ただ、堅守を誇る鹿島の守備の前に、なかなかチャンスを作れなかったことは事実だった。
それでも前半は、低い位置で守備ブロックを形成し、我慢しながらゲームを進めることでスコアレスで後半へと折り返すことができた。
後半
(1)ベクトルを前へ
仙台は後半開始から氣田、赤﨑に代わって加藤とカルドーゾを投入する。
前半は、鹿島のボール保持攻撃に対して自陣で引いて構えて対応し、機を見てロングカウンターを仕掛ける展開となっていた。
どうしても重心が低くなってしまいサンドバック状態になりかねないところで、原崎監督はハーフタイムで修正する。
後半はカルドーゾを投入することで、シンプルにカルドーゾを狙ったロングボールを使い出す。
特に自陣深くでボールを持ち、鹿島が前プレを掛けたところでカルドーゾへロングボールを送り、彼のポストプレーから前進に成功する。
49分のシーンではクバからロングボールを受けたカルドーゾが関口に落とし、関口のスルーパスに真瀬が抜け出すもシュートまで持ち込めず(倒れてしまった)というシーンがあったが、まさに狙い通りのシーンだった。
鹿島の前へのベクトルをずらすことはもちろんのこと、自分たちがロングボールによって前へのベクトルを向くことで、たとえボールを収められなくても、セカンドボールを拾って前進することができた。
後半はサイドハーフのポジションもより2トップに近くなり、前半よりも高い位置になったし、それに呼応してサイドバックも高い位置へと出て行けるようになった。ハーフタイムでの修正はうまくハマったと思う。
またカルドーゾがいることで、彼の独力の突破でロングカウンターも継続して発動できた。
62分にはカルドーゾのドリブル突破から得たフリーキックの流れから吉野に決定機が訪れるが、シュートはゴール上へと飛んでいった。
(2)与えてしまった一瞬の隙。エアポケット。
後半は仙台がハーフタイムでの修正で、攻勢を強められた。
一方の鹿島は54分に土居と遠藤を投入する。鹿島は右サイドハーフになった遠藤が起点を作り、右サイドから押し上げ、左サイドでフィニッシュするようなイメージの攻撃が多くなっていく。
そしてゲームは73分に動く。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2021年12月4日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第38節
🆚 仙台vs鹿島
🔢 0-1
⌚️ 73分
⚽️ ディエゴ ピトゥカ(鹿島)#Jリーグ#ベガルタ仙台vs鹿島アントラーズ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXLYeZ pic.twitter.com/mBMBJYS12D
右サイドのスローインの流れからピトゥカがペナルティエリア角でボールを受けてシュートを放つと、ブラインドになったクバが取り切れずゴールへ吸い込まれ、鹿島が先制点を奪う。
ここまで集中して守れていた仙台だが、このシーンではピトゥカをフリーにさせてしまった。吉野の寄せがもう少し早ければ、対処できたかもしれないだけに悔しいシーンだった。
一瞬の隙を逃さなかった鹿島が先手を取ることに成功した。
(3)撤退して守備を固める鹿島
先制に成功した鹿島は無理に前から行かずに4-4-2のブロックを形成するようになった。
よって、前から来た鹿島のベクトルをずらしたい仙台としては、それができない状況になる。
仙台はサイドから押し上げてクロスを送る展開に持ち込もうとするが、なかなかクロスを上げきれなかった。
90分には右サイドで途中投入の蜂須賀がクロスを送り、こぼれを真瀬が反応するも鹿島守備陣のブロックに合う。
最後は犬飼を投入してゲームをクローズした鹿島。
仙台は、何度かチャンスを迎えたものの体を投げ出してブロックする鹿島守備陣の牙城を崩すことができず。0-1の敗戦で今季終了となった。
最後に・・・
アビスパ福岡戦、鹿島アントラーズ戦と短い時間のなかではあったが、原崎監督は狙いを持って試合に挑むことができていたと思う。
今節は先制するチャンスがあっただけに決めきれなかったことは非常に悔しかったし、ある意味で今季を象徴している部分かもしれない。
手倉森体制では、クローズドな戦いを志向した結果、終盤は慎重になってしまい、消極的なプレーが多くなってしまった。
ただ原崎体制になって、もちろん守備のところで我慢を強いられることはあったが、奪ったその先に狙いを持って取り組めていたことは好感と期待を持てる部分であった。
前述の通り、来シーズンも原崎体制継続ということで、今シーズンの2試合は結果は出なかったものの少しだけ希望が見えた内容だった。
まずは選手の出入りを含めて編成がどうなるかだが、原崎監督には自分たちから仕掛けていく志の高いサッカーを期待したい。
ということで、ひとまず1年間お疲れさまでした。今シーズンの振り返りはまたどこかで執筆したいと思います。それでは、また!