さて、今回は名古屋グランパス戦を振り返ります。残すところ4試合。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・ヴィッセル神戸と対戦し2-4で敗戦。前半で1人減ったものの一時は同点に追いつき気持ちを見せたゲームだったが、個人能力高い神戸に、自分たちのミスもありながら押し切られた形だ。残留に向けて負けられないことは変わらない。この試合も全力で勝利へ向かっていく。
今節は出場停止のアピアタウィアに代わり福森がセンターバックに。また左サイドハーフに西村、右に関口という布陣にした。ベンチには平岡、加藤らが入っている。
一方の名古屋グランパスは、ルヴァンカップを制し、リーグ戦ではACL圏内に向けて神戸を追っている状況。前節は柏レイソルに2-0で勝利するなど、連戦で厳しいコンディションであるが、確実に結果を出している。ACLを目指す名古屋にとっても勝利が必須条件の試合だ。
今節は柏戦から3人のメンバーを変更。ボランチに長澤、左サイドハーフに相馬、2トップの一角に柿谷が起用された。ベンチには山崎、シャビエル、齋藤学、シュヴィルツォクら攻撃陣が多く控えている。
前半
(1)サイドからの侵入で先手を取った名古屋
この試合はお互いに、積極的にボールを奪いに行くよりも、11人で構えて守備を行うことをベースに戦っているだけに、両者ともにボールを保持できた時間があったし、逆に構える時間もあった前半だった。
そんな展開のなかで先手を取った名古屋のボール保持から見ていく。
名古屋は4-4-2でブロックを組む仙台に対して、システムを可変させずにサイドから前進させていくシーンがメインだった。
開始15秒で中谷から相馬への対角フィードから決定機を作ったようにセンターバックからサイドハーフへの対角フィードや、サイドバックからサイドハーフへの外外循環でボールを前進させていく。
そのときに柿谷がフリーマンの役割でボールサイドに絡むことで、数的優位を作る。また、左サイドにボールがあるときは逆サイドのマテウスが中へ侵入して、バイタルエリアでボールを受けるシーンが見られた。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2021年11月7日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第35節
🆚 仙台vs名古屋
🔢 0-1
⌚️ 14分
⚽️ 柿谷 曜一朗(名古屋)#Jリーグ#ベガルタ仙台vs名古屋グランパス
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/YvolW2ieDU
先制点のシーンも左サイドからの崩しから。柿谷や長澤がいることで吉野と富田がサイドに引っ張られ、最終的に中央が空く形になった。
時間の経過とともに仙台が前からプレッシングを開始すると、今度はラインアップした仙台のディフェンスラインの背後を前田(ときどき柿谷)がランニングするようになる。チャンスに直結することはなかったが、押し上げたい仙台にとっては前田や柿谷のランニングは非常に厄介だった。
名古屋のボール保持に対して、4-4-2のブロックで構えていた仙台だが、先制点のシーンのように構えていた中で失点をしてしまった。
これは、どこからボールを奪いに行くスイッチを入れるのか、構えたときにどう相手の攻撃を限定してボールを奪うのかが曖昧だったことが原因だったと思う。だから失点もあっけなく取られた印象になった。
(2)ハーフスペースで居場所を見つける西村とバランスを取る関口
序盤で名古屋が先手を取ったこともあるが、この試合はほかの試合に比べて仙台がボールを保持できた時間が長かった。そんな展開で、仙台も効果的にボールを動かしてチャンスを作れたと思う。
仙台のボール保持のパターンは2つあった。
1つはボランチが相手2トップの脇に登場してボールを引き出し、そこから前進していくパターン。このときに西村と関口、赤﨑は中央3レーンにポジショニングし、ボールを受ける。
また、富樫が背後へのランニングを繰り返すことで、センターバックを引っ張り、できた手前のスペースを有効活用することができていた。
もう1つは富田がセンターバックの列に下がるパターン。このときにバランスを取るために関口がボランチの位置まで下がってビルドアップ隊に加わっていたことが印象的だった。そうすることでボール保持を安定させることに成功する。
加えて、名古屋が前からプレッシングに来たときもそれを剥がして擬似カウンターを発動することもできた。
31分のプレーでは、名古屋がプレッシングに来たところをクバ→西村で剥がして一気に擬似カウンターを発動させた。
サイドハーフで起用された西村は、攻守において貢献度が高かった。特にボール保持の局面では上記のように攻撃の起点になったり、ハーフスペースでボールを受けて仕掛けたり、時には奪ったボールを受けてキープし、味方へ繋ぐことでボール保持の局面へと移行させたりと、非常に効果的なプレーを繰り返していた。また守備では切り替えが早く、プレスバックでボールを奪うシーンはとても多かった。
前半は序盤に失点したものの、ボール保持の局面では一定の手応えを掴んだという内容だった。
前半は名古屋が柿谷のゴールで先制し、後半へ折り返す。
後半
(1)ミラーゲームだと思い出す仙台
前半は守備時に構えて名古屋のボール保持に対応していたが、奪いどころが定まらず苦労した。
得点を奪いに行かなければならない状況で、後半の仙台は高い位置から仕掛け出す。
名古屋のボール保持は形を変えずに4-4-2になるので、基本的にミラーゲームになる。
なので仙台は、名古屋のサイドバックにボールが入った段階でサイドハーフがプレスを掛けるようになった。このことで前半よりも高い位置でボールを引っ掛けられるようになる。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2021年11月7日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第35節
🆚 仙台vs名古屋
🔢 1-1
⌚️ 47分
⚽️ 西村 拓真(仙台)#Jリーグ#ベガルタ仙台vs名古屋グランパス
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXLYeZ pic.twitter.com/yzCYec973h
そして後半開始早々に追いつく。これもきっかけは名古屋のサイドバックへ仙台のサイドハーフがプレスを行ったところからだった。
仙台としては、早い段階で結果が出て振り出しに戻せたことは大きかった。
(2)一進一退の攻防。選手交代によって変化をもたらそうとする両監督。
仙台が同点に追いついた後は一進一退の攻防が続いた。
仙台は富樫の背後へのランニングを軸に逆転を狙い、名古屋はシャビエルや森下、シュヴィルツォクを早い段階で投入し、攻撃をパワーアップさせる。
しかし両者ともに決め手を欠くような時間が続いていった。
流れが変わったのは68分の仙台の交代だった。仙台は富田と富樫に代えて中原とカルドーゾを投入する。
前線にパワーを加えたかったカルドーゾの投入だが、それが裏目に出た形となった。
カルドーゾになったことで、富樫ができていたプレスの部分で、うまく制限できなくなり、結果として仙台はボールを保持され、押し込まれる展開が長くなった。
またカルドーゾは懐にボールを収めたときの強さはあるが、スペースのランニングを得意としている訳ではないので、引いたチームをなかなか押し上げられることもできなかった。この辺りは監督もコメントしたが非常に悔しい形となった。
それでもクバや吉野、福森を中心として集中力の高い守備で、個人能力の高い名古屋の攻撃を阻む。
アディショナルタイムにはコーナーキックから赤﨑がネットを揺らすも、オフサイドでゲームは終了。
両者ともに勝ちたかった一戦は痛み分けに終わった。
最後に・・・
先制点を奪われたものの、後半直後に追いつけたことで逆転のチャンスもあった試合だったが、今シーズン初の逆転勝利とはならなかった。
ボール保持の局面では、堅守の名古屋に対して手応えのある内容だったと思う。一方で守備では構えたところからの失点で、そこは反省点だろう。後半序盤のように前からボールを奪いに行くシーンを前半から増やして、高い位置でボールを奪う回数を増やせれば、もっとチャンスができたかなとも思う。
サイドハーフに起用された西村は、前述した通りで攻守に存在感を見せた。元々シャドーの位置を得意とするだけに、ハーフスペースでのボールの受け方は上手いし、前を向いた時の迫力はさすがだった。残りの3試合でどのような起用をされるか分からないが、また同じポジションでの起用を見てみたい。
残りは3試合。次節はホームで湘南ベルマーレとの直接対決。ここで負ければ終戦に近い状態となるため、正真正銘のデスマッチとなる。
代表ウィークがあり、リーグは1週間のお休みとなるが、まずは最良の準備をして、またユアスタで全力で戦うチームに応援したいし、期待したい!!