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【迷わず行けよ、行けばわかるさ】明治安田生命J2第37節 ベガルタ仙台vsロアッソ熊本

 さて、今回はロアッソ熊本戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ジェフユナイテッド千葉戦で1-3の敗戦。現在、3連敗中。千葉戦では、多くのメンバーを入れ替え、後方からビルドアップしていくスタイルで挑んだが、うまくハマらずに好調・千葉の勢いに飲まれてしまった。

 まだまだ残留に向けて安堵できる立ち位置ではないので、勝点の近いロアッソ熊本に勝利して残留に向けて前進したいところだ。

 今節は千葉戦でお休みだった蜂須賀、長澤、松崎らが戻ってきた。また千葉戦でゴールを決めた中島とアシストした山田がともにスタメン。氣田も左サイドハーフで名を連ねた。ベンチにもエヴェルトンが帰ってきている。

 一方のロアッソ熊本は、天皇杯準決勝進出の勢いそのままに現在3連勝中。ミッドウィークには前倒して行われた第38節・徳島ヴォルティス戦で勝利している。中2日でしかもアウェイ連戦と厳しいスケジュールでの戦いだが、連勝中の勢いを持ってユアスタに乗り込む。

 徳島戦からは2人のメンバー変更。トップ下に平川が復帰し、粟飯原を頂点に東山が右ウイングに起用された。

 

前半

(1)熊本から時間とスペースを奪う仙台

 この試合における仙台の振る舞いは、前節と異なるものだった。

 前節までであれば、前半はミドルゾーンで守備ブロックを組んで構える形から守備をスタートさせたが、この試合は中島と山田のプレッシングを合図に、熊本のボール保持に対して時間とスペースを奪うように前線からプレッシングを仕掛けていく。

 熊本が密集地帯でボールを動かしていく特徴があるにしろ、仙台は全体が高い位置を取り、とにかく熊本の選手を捕まえて時間とスペースを奪っていく。

 多少距離が遠い相手でもダッシュで捕まえて、簡単に解放をさせない。右サイドでは鎌田が竹本に対して遠い距離ながらもマークしに行く姿は印象的だった。

 攻守の切り替えにおいても仙台は素早くファーストディフェンダーがボールホルダーに対して奪いに行くことで、自由を与えず後方支援も加わりながら即時奪回を目指す。

 

 運動量が非常に求められる戦い方を選んだが、この試合の仙台はそれをやり切る覚悟を試合開始から感じることができた。連敗中で調子が決していい状態ではないが、覚悟を決めて中途半端にならずに遂行しようという意思はこのチームに必要な部分だった。

 

 また前線のプレッシングもさることながら、福森、小出、長澤がしっかり後方のカバーリングを行って、熊本のカウンターの芽を摘んでいたことも、仙台が連続的に押し込めた要因だった。

 よって仙台は前半ほとんど熊本にチャンスを作らせることはなかった。

 

(2)高い位置で奪えるからこその攻撃

 攻撃に目を移していくと、前節は頑なにゴールキックからボールを繋いでいく意思を見せていたが、この試合では林をはじめ後方は無理せずロングボールを前線に送ることが多かった。

 後方で繋ぐよりも、早く前線に入れてそのセカンドボールを回収、または前線からのプレッシングから高い位置でボールを奪取し攻撃がスタートした。

 加えて背後へランニングする山田の存在も大きく、山田が背後へ抜けることで熊本のディフェンスラインが押し下がり、その手前のスペースを中島、氣田、松崎らが潜り込んでいくことができた。

 

 高い位置でボールを奪うということは、奪った時点で敵陣に多くの人数を配置することができる。ゆえに仙台は高い位置から複数人で崩しに掛かれた。特にサイドバックサイドハーフ、そこにボランチも加わりながら何度かサイドの奥深いところまで侵入できていた。

 またボールホルダーを追い越す選手がいることで、マーカーを引き連れて中央へのスペースを空けることができる。なのでカットインも有効な手立てとなり、氣田や松崎はカットインからのクロスやシュートの回数を増やすことができた。

 そして32分のPK獲得における松崎のクロスもカットインしてクロスを上げたところがきっかけとなる。

 そして獲得したPKを氣田自身が決めて、ペースを握っていた仙台が先制に成功する。

 

 前半は、前線からのプレッシングから熊本に時間とスペースを与えなかった仙台がペースを握り、氣田のPKで1点リードして折り返す。

 

後半

(1)大木監督らしい修正

 ハーフタイムに両チームともに選手を入れ替え。仙台は前半終了間際に足を痛めた山田からホ・ヨンジュンへ。熊本は右ウイングの東山から伊東へ交代する。

 

 前半の熊本は、仙台のプレッシングに対してなかなか思ったようにボールを動かすことができずにペースを奪われてしまった。

 そんな熊本の後半に向けた修正は、非常に大木監督らしいものだった。

 後半の熊本は左サイドから前進を試みることが多かった。

 仙台の右サイドの守備を振り返ると、鎌田が竹本に対して右サイドまで付いていくことが多々あった。よって中央は長澤1人でカバーするようになっていた。

 熊本はそんな仙台に守備に対して、後半から起用された伊東が左サイドまで流れて局面で数的優位を形成しようとする。伊東が間に合わないときは豊田が、時には2人とも左サイドのボール保持に加わることもあった。

 局面での数的優位を形成し、仙台のプレッシングを鈍化させることで、時間の経過とともにボールを保持する時間を増やしていった。よって少しずつ仙台陣内へ進めるようになった熊本はシュートで完結したり、セットプレーを獲得してチャンスを作り出していった。

 

 また69分には3トップの頂点に長身の大崎を投入することで、地上だけではなく空からの前進も取り入れていったことは、仙台にとっては非常に厄介なものとなった。

 

(2)なかなかペースを取り戻せなかった仙台

 後半の入りも前半同様に前線からのプレッシングからゲームをスタートさせた仙台だったが、前述した通り熊本のボール保持の修正があって、前半のように過ごせない時間が増えていった。

 それでも根気強く続けたプレッシングでボールを奪えたり、相手のミスを誘えたりできたので一定の効果はあったように感じる。

 

 一方で背後へ抜け出す山田がいなくなり、ポストプレーで起点を作るホ・ヨンジュンが1トップになったことで攻撃の方針を変えざるを得なくなった。熊本の守備陣もホ・ヨンジュンに起点を作らせまいとマークが厳しく、なかなか攻撃の形が作れない時間が続いた。

 66分には氣田、松崎の両サイドハーフ齋藤学、オナイウへとスイッチする。この交代を機に仙台のボール保持はいつもの4-3-3へと可変する。

 交代直後にオナイウが右サイドの突破からクロスを送るも、ペナルティエリア内で待つ選手に合わない。ボールを保持しても思うように崩せず結果的にペースを取り戻すことはできなかった。

 

 熊本が押し込む展開のなかで、仙台は長澤に代えてエヴェルトンを投入して守備の強度を保つ。

 熊本は84分に平川の右コーナーキックから粟飯原が合わすも林がキャッチ。88分には左サイドの崩しから大崎のパスを受けた平川が決定機を迎えるもここも林がセーブし、仙台は難を逃れる。

 アディショナルタイム4分間は、仙台がコーナーフラッグ付近でキープするなどして勝ちに徹して時計の針を進めた。

 そしてタイムアップ。仙台は連敗を脱出するとともに残留に向けて大きな勝点3をゲットした。

 

最後に・・・

 今節は覚悟を持ったプレッシングが功を奏した。もちろん熊本のサッカーとの相性や日程的なアドバンテージはあれど、しっかり自分たちの時間帯でゴールを奪って、後半も粘り強く耐えて守り切った。

 内容面ではまだまだ足りない部分があるが、調子の悪いチームであるので贅沢を言うことはできない。そもそもこういう接戦で勝点を落としてきたチームなので、そういうシーズンを過ごしてきたなかで最後まで失点を許さなかったことは良かったポイントだと思う。

 

 このプレッシングの強度を残り5試合も求めていきながらも、対戦相手によって柔軟に対応できるようになればと思う。

 次節はアウェイでいわきFCとの対戦だが、熊本のようにボールを繋いでくるスタイルではないため、前線からのプレッシングへ行くときはロングボールへのケアが今節以上に必要だろう。

 今節で残留に向けてだいぶ兆しが見えてきたが、まだまだ予断を許さない。いわき戦でも今節のような集中した戦いとハードワークをすれば、自ずとチャンスは巡ってくるはずだ。次節もチーム全体が覚悟を持って立ち向かうことを期待したい!!

 

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