ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

【愚直に】明治安田生命J2第7節 ベガルタ仙台vsV・ファーレン長崎

 さて、今回はV・ファーレン長崎戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

 ベガルタ仙台は前節・ツエーゲン金沢に対して前半だけで3失点を喫し、氣田の2ゴールで1点差に追いつくものの敗戦。ホームで2連敗となった。

 ホーム連戦となる今節は、V・ファーレン長崎との対戦。まずは守備をテコ入れして、手堅くゲームを進め、そこから攻勢を強めたいところだ。

 今節は、4人のメンバーが入れ替え。若狭、福森、秋山は今シーズン初出場初スタメン。ボランチにエヴェルトンが起用された。システムは4-4-2となる。狙いについては後述したい。

 V・ファーレン長崎は、モンテディオ山形との打ち合いを制して今シーズン初の連勝を達成。5年ぶりに復帰したフアンマ・デルガドハットトリックするなど好調を維持している。

 今節は波に乗り切れていない仙台が相手だけに、アウェイではあるが3連勝達成と行きたい試合だ。

 前節からの変更点は、安部に代わり大竹がトップ下の位置に起用されているのみとなった。

 

前半

(1)4-4-2で守備基準点を明確にする

 この試合の仙台は、3バックではなく4バックで守備をスタートした。

 金沢戦の3失点以降同様に、まずは相手の配置に対して自分たちが配置を合わせることで、誰が誰をマークするのかをハッキリさせ、前線から守備をスタートさせやすくするのが狙いだった。

 よって仙台は、前半から長崎のボール保持に対して積極的に前からプレッシングに行くシーンが多く見られた。

 また前線のプレスを掛けやすくするために、初先発となった若狭がディフェンスリーダーとしてラインを押し上げていたことで、全体がコンパクトな陣形を維持できていた。

 しかし、長崎に対して仙台がミラーゲームだったと言いきれないのは、トップ下の大竹の存在がある。大竹が仙台のダブルボランチ付近で泳いでいることで、松下やエヴェルトンが大竹を気にしてしまい、長崎のダブルボランチまでプレスに行けないシーンが見られたのも事実だった。

 特に松下は大竹を捨てきれず、プレスに行けないことで長崎のボランチに時間とスペースを与えてしまっていた。この辺りは後方からの指示や支援をしていかないといけない部分だったと思う。

 それでもしっかり前からプレッシングを仕掛けて、長崎のボール保持を引っ掛けたり、ミスを誘発することができていたので一定の成果はあったと思う。

 

(2)徐々に連動性が生まれてきたボール保持

 続いては仙台のボール保持について見ていきたい。

 前節の金沢戦ではマンツーマンのような形にされ、ビルドアップの出口を塞がれたことでボールを前進させることができなかった。

 仙台のボール保持は松下とエヴェルトンがダブルボランチのようになる3-4-3が基本の形だった。

 対する長崎は4-4-2から仙台の3バック間でのパスが行われたことを合図にプレッシングのスイッチが入る約束となっていた。

 仙台はそのプレスをきっかけに左サイドからボールを前進させていく。

 山田(もしくは氣田)がボランチサイドハーフ間に立ち位置を取り、大外には秋山がスタンバイする。山田がボランチサイドハーフの間に立つことでサイドハーフの立ち位置を中寄りにし、秋山へのパスコースを作っていた。

 福森から秋山というパスルートが多かったが、状況に応じて山田が受けて松下へ落とすことで、長崎の一列目を突破することもできていた。

 敵陣への侵入が成功した仙台は、サイドから崩しにかかる。氣田が背後へのランニング。氣田がランニングすることで空く中盤とディフェンスラインの間に松下や山田が登場することで並行サポートも作る。2つのパスコースを作れた仙台は外→外もしくは外→中央という選択肢を使いながら長崎ゴールを目指す。

 このように相手のプレッシングに対してビルドアップの出口を作ること、そして味方のランニングに呼応して他の選手が潜り込んでいくという連動したプレーが少しずつ垣間見れたかなと感じた。

 ちなみに左サイドで攻撃を作っていたのは、郷家と真瀬という2人のフィニッシャーが右サイドにいたからだろう。彼らがいるからこそ、山田や氣田が自由に動くことができていた。

 

 ただ、20分すぎになると長崎も守備のやり方を変化させていく。

 3バックへの前プレを止めて、フアンマと大竹がダブルボランチのパスコースを消すようになる。

 これで仙台のボール循環をサイドへと誘導し、ウイングバックへボールが渡ったところを奪いどころに設定した。

 よって、仙台は20分以降のボール保持でビルドアップの出口を見つけ出せずに3バックが迷うケースが増えていく。

 それでも松下とエヴェルトンがレーンを跨ぎながら、2トップのギャップに顔を出すことでビルドアップの出口になろうとした。

 小出がそのダブルボランチの動きに応えるように勇気ある縦パスを通していたのは印象的だった。

 

 その後、36分にカイオ・セザールとの接触で足を痛めた郷家が負傷交代。中山との交代を余儀なくされる。右サイドハーフには山田が入り、中山と氣田の2トップに変わったところで前半は終了する。

 スコアレスで後半へと折り返す。

 

後半

(1)勿体なさすぎた失点

 後半は、開始早々から仙台がセカンドボールの奪い合いから押し込み、チャンスを作る。

 しかし先に試合を動かしたのは長崎だった。

 セカンドボールを回収した長崎は右サイドから押し込むと、左サイドから流れてきた宮城からフアンマへと渡り、フアンマがゴール右隅へと流し込み先制に成功する。

 仙台としては、セカンドボールを回収できるところで簡単にクリアしたり、ファウルで止めきれなかったりと、長崎のカウンターを止める阻止する機会がいくつかあっただけに非常に勿体ない失点となった。

 

(2)ボール保持時4-4-2への変更

 前半はボランチへのパスコースを塞がれ、ボールの前進が滞った仙台。

 長崎が先手を奪ったことで、前から来ることが少なくなりボールを持てるようにはなった。

 後半は真瀬が高い位置に張り出し、山田が前半左サイドで行っていたタスクを右サイドで行う。山田の奥には中山がポストプレーできるよう待機し、左シャドーの氣田も右サイドへと加勢する。

 同サイドでの人数を増やすことで、より近い距離感に選手が密集して崩していけるにした。

 62分には福森から遠藤に代え、ボール保持時でも4-4-2のシステムを維持するようになる。

 4バックに変更した仙台は、エヴェルトンが斜めに落ちて、氣田が大外に張り出し、秋山がハーフスペースにいるようになる。大外で受けた氣田が斜めへ楔のパスを刺して、中央から打開を図ろうとした。

 また右サイドでは高い位置を保っている真瀬がゴール前へ顔を出すシーンを増やしていく。そんな真瀬は72分にエヴェルトンのロングボールに反応して競り合い、中山のシュートへ繋げたり、直後の74分には松下の対角フィードを受けてシュートを放つなどチャンスを作っていた。

 しかし、その後途中出場の遠藤がもも裏を負傷して郷家同様に交代を余儀なくされる。交代回数が残り1回だった仙台は、ホ・ヨンジュン、中島、蜂須賀を一気に投入することになった。

 

(3)ボールを保持して丁寧にゲームを進めた長崎

 仙台の攻撃に対して前半よりも低いブロックで対抗した長崎。しかし、守備をするだけではなく、奪ったら推進力のあるサイドバックがドリブルで運んだり、カイオ・セザールと鍬先のダブルボランチを経由しながら、ボールを保持してゆっくりゲームを進めていくことができていた。

 よって、仙台はなかなか長崎からボールを取り上げることができず、攻撃の機会を削られてしまう。

 長崎は強度を保つために、順々に交代カードを切っていく。72分に安部、85分に高橋と笠柳、アディショナルタイムには五月田と都倉を投入する。

 長崎は引き続き仙台の攻撃を凌ぎながら、バランスが崩れた隙を突いてカウンターからゴールへ迫る。鍬先、カイオ・セザールの両ボランチに決定機が訪れるも決めきることはできなかった。

 

 それでも最後まで落ち着いてゲームを進めた長崎は1点を守り切り3連勝を達成する。一方の仙台は、攻撃の形は見えたものの波多野を脅かすまでには至らず、ホームで連敗を喫することとなった。

 

最後に・・・

 結果的に自分たちでバランスを崩したところを突かれた得点が決勝点となった。

 なかなかゴールが奪えていない状況なので、できる限りスコアを動かさずに試合を運びたいだけに勿体ない失点だった。

 

 それでも、非常に甘い評価になってしまうが、課題に対して真摯に取り組んでいる姿勢は攻守に見て取れた試合だったと思う。

 前節は守備がハマらずに前半だけで3失点を食らったが、今節はしっかり守備基準点を明確にして、前からプレッシングに行くことができたし、若狭を中心にラインコントロールも良く、無失点で前半を折り返すことができた。

 攻撃では、前から来る相手にビルドアップの出口を作りながら前進できたシーンも作れていたし、敵陣に侵入した際は味方同士が連動した動きを見せ、距離感良くプレーできていた。

 一方で失点したことは事実だし、ゴールどころかビッグチャンスを作れていないことは現実としてある。そこは再び課題として日々のトレーニングで集中力を上げて取り組んでいく必要があるだろうし、ゴールというものに拘ってやっていくべきだろう。

 

 7試合を戦って、理想通りに勝点を上積みできていない状況だが、まずは課題に対して1つ1つ愚直に取り組んでいくしかない。

 次節はアウェイでヴァンフォーレ甲府との対戦。甲府は目下4連勝中と好調だ。伊藤監督にとっては古巣であるし、負けられない。まずは課題に対してしっかり向き合い、それが試合に結果として結びつくことを期待したい。次節こそ勝って連敗を脱出したい!!

 

ハイライト


www.youtube.com