さて、今回はブラウブリッツ秋田戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・大分トリニータに1-0の勝利。3試合ぶりかつ久々のホームでの勝利となった。大分に退場者が出た影響もあったが、前からのプレッシングが効果的だった。
ホーム連戦となる今節の相手はブラウブリッツ秋田。吉田監督が丹念に作り上げた堅い守備とロングボールを活用した攻撃に対して仙台はコンパクトに高い位置でプレーできるかがカギとなる試合となった。
今節は連戦ながら前節と同じスタメン。ベンチは秋山に代わって蜂須賀がメンバー入りを果たした。
一方のブラウブリッツ秋田は、前節・ファジアーノ岡山に0-1で敗戦。開幕から好調を維持してきたものの、ここに来て連敗中と踏ん張りどき。基本的にベースが変わらないなかで、いかに自分たちのサッカーに磨きを掛けていけるかが今後のポイントになるだろう。
今節は2人のメンバーを入れ替え。センターバックに阿部、ボランチに諸岡を起用した。
前半
(1)陣取り合戦を制した秋田
試合開始序盤の両チームは、ボール保持することよりも早く前線にボールを送って敵陣でのプレー時間を増やしていくことを念頭にプレーしていた。
秋田のスタイルは、時間帯に関わらず相手ディフェンスラインの背後へボールを送り、押し込んでいくものだ。また守備では、前線から積極的にプレッシングを行っていく。
そんな秋田の戦い方に対して、仙台も前線へ早めにボールを付けることを狙っていたが、秋田のタイトな守備になかなか収められず、結果的に試合序盤の陣取り合戦は秋田が制した。
そして仙台がなかなかリズムを掴めないところで、秋田はスローインからの速攻で先制点を奪う。
🎥ゴールシーン速報
— ブラウブリッツ秋田(公式) (@blaublitz_akita) 2023年5月3日
⏱8分
⚽️#才藤龍治(@3ryu12S)#水谷拓磨(@tm_0424)のクロスを #青木翔大(@shota_aoki10)がワンタッチで繋ぎ、走り込んできた才藤が左足を振り抜く!
先制ゴールを奪いました👏#ブラウブリッツ秋田 #シン・秋田一体 pic.twitter.com/yho9Gg55Jr
仙台としては、ここ最近増えているサイドを抉られ、ファーサイドへのクロスで振られてしまう失点となった。
スローインの時点で小出と若狭が剥がされてしまったことも原因だが、それ以外の選手がペナルティエリアをカバーしきれておらず、その辺の意識の問題(どこへ戻って埋めるのか)があるのかもしれない。どのみち、今後も狙われるであろう形なので、早急に手直しをしたい部分だ。
(2)ボールを保持し、丁寧に押し込む仙台
秋田が先制点を奪ってからある程度守備にウェイトを置き始めたこともあるが、時間の経過とともに次第に仙台がボールを保持する時間が長くなっていく。
この試合の仙台は、郷家と氣田の位置が前節と変わっている。
仙台のボール保持は、秋田の4-4-2に対して仙台のダブルボランチと2トップ(山田と郷家)が秋田のダブルボランチを囲むようにポジショニングをする。
秋田のダブルボランチが仙台のダブルボランチへプレッシャーを掛ければ、1つ飛ばしてセンターバックから前線へ楔のパスを打ち(16分のようなプレー)、ダブルボランチが下がれば、今度はセンターバックからボランチへとボールを渡して秋田の2トップを越えて敵陣へ押し込んでいく。
ゆえに起点となれる郷家を最前線に、2列目から抜け出せる氣田をサイドハーフに起用したのではないかと思う。
しかし、秋田が早い時間帯で先制点を奪ったことで、秋田も無理に前から行く必要がなくなり、仙台のボール保持に対して後ろで守備ブロックを形成するようになる。
よって、秋田のボランチもあまり前傾姿勢にならないことから、仙台はボール保持を3-4-2-1へ可変し、まずは敵陣へ押し込んでいくことを選択した。
基本的に3バック+ダブルボランチでボールを動かしながら、サイドへ届けたり、前線3枚へボールを届けていく。
また仙台は敵陣へ押し込むと再び4-2-3-1の形に戻す。基本的にセンターバック2人を残して押し込んでいく形となった。
また30分以降は氣田がトップ下になり、ピッチ中央から広範囲にボールを受け、鎌田やエヴェルトンと連携しながら、秋田の守備ブロックを動かし、時には仕掛けて風穴を空けようと何度もチャレンジをした。
そして、そのチャレンジが実ったのが39分の同点ゴールだった。右スローインを起点にして、郷家から右ハーフスペースへ侵入した氣田がグラウンダーのクロスを上げ、これを相良が決めて同点に追いつく。相良は2試合連続のゴールとなった。
仙台は先制されるも、焦れずに相手を押し込み、何度もチャレンジすることで前半のうちに試合を振り出しに戻することができた。
前半は1-1で後半へと折り返す。
後半
(1)ボール保持のリズムを狂わせた秋田の立ち位置
後半開始に伴い、秋田は飯尾と水谷に代えて畑と三上を投入する。この交代で左サイドバックに才藤、両サイドハーフが畑と三上という配置になった。
秋田は後半になると守備時にもサイドハーフが高い位置を維持していることが多かった。両サイドハーフは仙台のビルドアップ隊からシャドーと大外で待機する相良、小出へ出る2つパスコースを切る。2トップはダブルボランチを監視することで、仙台のボール保持を阻害していった。
仙台も山田やシャドーが列を降りてビルドアップの出口になったり、前線3枚が降りる代わりに鎌田が飛び出していくなど、縦関係のポジションチェンジを繰り返しながら、ボールを引き出していた。
しかし前半のようにゆっくり押し込んでいくことが少なくなり、どうしても速い攻撃に終始してしまい、リズムは明らかに狂っていた。
また秋田は2トップと両サイドハーフが高い位置を取るので、奪った後のカウンターの起点にもなり、梶谷や青木がポイントを作って畑や三上が抜け出すシーンを作っていく。この辺りも後半に向けて修正した部分だろう。
仙台は秋田のクロス攻撃に対して、林とセンターバックを中心に凌いでいく。秋田の精度にも助けられた部分もあったが、後半序盤もうまくゲームに入ったのは秋田の方だった。
(2)ボランチの疲弊
仙台は65分に相良に代えて加藤が投入される。この交代で左サイドハーフに氣田が起用され、攻撃時には相良同様に左ウイングとして仕掛け役となった。
72分にはそんな氣田の仕掛けから上がったクロスを加藤が合わせるも圍のビッグセーブで防がれる。
仙台としては後半も前半同様に秋田を押し込み、敵陣でのプレー時間を増やしたかったはずだ。しかし、そのためにキーマンとなるダブルボランチが連戦の疲労からか上手くチームをコントロールできずに、すぐ仕掛けてしまうため単発で攻撃が終わることが多くなった。
それでもカウンター攻撃から得た78分のコーナーキックでは若狭がニアでフリックしたボールをエヴェルトンがフリーで押し込もうとするも無情にもゴール上へ外れた。加藤の決定機に続き、この試合最大の逆転のチャンスを逸してしまう。
仙台は79分に氣田、郷家、山田に代えてリャン、フォギーニョ、中山を投入し攻撃の火力を上げる。
しかし次に試合を動かしたのは秋田だった。
🎥ゴールシーン速報
— ブラウブリッツ秋田(公式) (@blaublitz_akita) 2023年5月3日
⏱82分
⚽️#才藤龍治(@3ryu12S)#三上陽輔 のクロスを #丹羽詩温(@shi0n10) がスルーし、才藤が押し込む!
本日2得点目とをあげました👏#ブラウブリッツ秋田 #シン・秋田一体 pic.twitter.com/FMMpM1btug
右サイドのフリーキックからファーサイドへの折り返しを三上が受けてニアへクロスを上げ、キーパー前で途中出場の丹羽がすらすと最後は才藤が押し込む。この前の75分にも同様の位置からのフリーキックを同じようにファーサイドへ送ったシーンがあったが、結果的にそれが伏線となった。
仙台はファーサイドへ折り返されたところでマークの受け渡しがうまくいかなかった。選手交代直後ということもあったが、もっとアラートに守りたかったシーンだった。
(3)パワープレーで追いつく仙台
仙台は84分に鎌田から松下へスイッチする。そして残り5分となった段階で菅田をパワープレーで前線へ上げた。
この時間帯から秋田は逃げ切り体制になり、仙台は菅田と中山をターゲットにし、ロングボールを放り込む。
そしてそれが実ったのはアディショナルタイムに入って3分後のことだった。
若狭のアーリークロスをフォギーニョが折り返して菅田が押し込み、土壇場で追いつく。菅田は敵陣でも空中戦の勝率が高く、近年でも非常に可能性のあるパワープレーから追いつくことができた。
その直後にも、ロングボールのこぼれから松下がシュートを放ったが、狙いすぎたシュートは枠を外れ、タイムアップとなった。
試合は仙台が土壇場で追いつき、2-2の引き分けとなった。
最後に・・・
第4節いわき戦でもそうだが、試合序盤からシンプルにロングボールを活用してくるチームに対して、どうしても受けに回ってしまう傾向があり、この試合では先制点も許してしまった。ここら辺は試合序盤の得点を奪われないためにも、チームとしてどう戦うかをもっと詳細に詰めていく必要があるのかもしれない。
一方で、失点後はしっかりボールを保持して同点に追いつくことができたのは良かった。秋田の戦い方に柔軟に対応できていたし、そういう部分はシーズン開幕当初よりはできることが増えたのかなと思う。
ただ、後半にも書いたようにもっと押し込む時間を増やしたかった。出来れば第5節群馬戦のような展開へと持ち込むことができれば逆転まで持っていけたかもしれない。そういう意味ではボール保持のキーマンとなるダブルボランチが疲弊している段階で早めに松下に交代するなどの決断があっても良かったと思うが、伊藤監督のなかではやはり鎌田とエヴェルトンの評価が高いということだろう。
まずは苦しい展開のなかでアディショナルタイムに追いつけたことをポジティブに考えたい。そしてこの勝点1を意味あるものにするためにも次節の水戸ホーリーホック戦は是が非でも勝ちたいところだ。
連戦の疲労もあるが、総力戦でこのゴールデンウィーク3連戦を乗り切ってい欲しい!!
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