ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

もうワンステップ上がるために~明治安田生命J1第22節 ベガルタ仙台vs北海道コンサドーレ札幌~

 さて、今回は北海道コンサドーレ札幌戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 前節のベガルタ仙台は、ホームで浦和レッズスコアレスドロー。幾度となく決定機を与えていたが、残念そこはヤクブ・スウォビィクだった。守備ではクバやセンターバックを中心に粘り強く守れるようになり、チームにタフさが生まれている。あとは、決めるところを決めてタフなゲームを制したいところ。

 今節は、4月の対戦で悔しい敗戦を喫した札幌が相手だけにホームでリベンジを果たしたい一戦だ。

 前節、負傷交代した西村に代わってカルドーゾが移籍後初スタメン。西村は大事に至らずベンチからのスタートとなった。それ以外のメンバーは変更はなし。ベンチには、ジェイ対策としてシマオ・マテ、古巣対戦の中原らが控える。

 一方の北海道コンサドーレ札幌は、前節・徳島ヴォルティスに競り勝った。4年目を迎えるミシャ政権だが、最近の札幌は、縦横に長いボールを活用して、ピッチを広く利用してゴールを目指す印象だ。4バックで守る相手に対して大きな揺さぶりから勝機を見出したい試合だ。

 札幌は、前節からメンバー変更はなし。アンデルソン・ロペスが移籍し、前線は小柄な3人が並ぶ。一方でベンチにはジェイが復帰。前回対戦時に決勝ゴールを決めているだけに好印象な相手だろう。

 

前半

(1)無法地帯と化してしまった2トップ脇

 前半開始から札幌がボールを保持する展開で試合は始まる。

 札幌の攻撃の特徴は、後方から大きなサイドチェンジで相手の陣形を揺さぶり、そしてズレを作ったところを攻撃陣が侵入していくことだ。

 仙台としては4バックで守ることもあって、いかにボールの出所に規制を掛けて、札幌の攻撃を限定できるかがポイントだった。

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 しかし、この日の2トップは赤﨑とカルドーゾ。いつも守備の先鋒としてプレッシングを開始する西村がいないことも影響してか、開始から4-4-2のブロックは維持するものの、2トップは基本的に駒井の周辺にいることが多く、ビルドアップ隊にプレッシングに行くことは少なかった。

 結果的に、札幌に2トップ脇からの前進を許し、大きなサイドチェンジからのチャンスを作らるようになってしまう。

 仙台のディフェンスラインもフリーの状態でサイドチェンジを食らうので、気合いで対応するしかない。特に高嶺、福森からルーカスへのサイドチェンジは脅威で、崇兆はルーカスの対応にとても苦慮していた。

 4分の失点シーンも、左脇から前進を許し、コンビネーションから最後はルーカスに決められる。仙台としてはビルドアップ起点からゴールまで、全く手の付けられないシーンだった。

 

(2)カルドーゾの守備スイッチが入った25分すぎ

  手倉森監督は、試合後のコメントで前述の守備に関して以下のように述べている。

長いボールを使われたら自分たちのオーガナイズが広げられることに対して、自分たちはまず後ろにコンパクトにしたなかで、第1ディフェンダーが誰だというところで準備はしてきたのですが、フェリペ(カルドーゾ)のアクションがちょっと遅れて、ちょっと後手を踏んでしまいました。

2021明治安田生命J1 第22節 北海道コンサドーレ札幌 | ベガルタ仙台オフィシャルサイト

  おそらくこのコメントからも、後ろに構えることは前提にしながらも、カルドーゾ(赤﨑にもだけど)には、第1ディフェンダーになることを期待していたのだと思う。

 

 修正が入ったのは、25分すぎだった。札幌がコーナーキックから2点を奪ったあとにVARで西村主審がチェックしていたときだった。

 そのときに手倉森監督はカルドーゾを呼んで指示をしていたのだが、恐らく守備についてだったのだろう。

 

 札幌の2点目は青木のオブストラクションによるファウルの判定に変わり、プレーが再開されるだが、そこからカルドーゾはプレッシングを開始した。

 最初に福森へプレッシャーを掛けたが、ファウルを取られる。ただ気持ちの伝わるプレーで、ここから仙台が流れを取り戻すようになる。

 

(3)マンツーマン守備への対抗策と25番のゴール

  流れを取り戻し始めた仙台は、さらに飲水タイムを挟み修正を施す。

 カルドーゾのプレッシングにより守備でリズムをつかみ始めた仙台は、自分たちがボールを持つ時間も生まれるようになった。

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 マンツーマンで守備に来る札幌に対して、仙台は札幌を自陣に呼び込み、スペースが生まれた相手陣地にパスを通して、そこから擬似カウンターに持っていくような形だった。

 そして、その形で同点ゴールを奪うことができた。

  改めてこのシーンを振り返るとポジションチェンジや選手の移動を行いながら、札幌の守備にズレを作っている。そして吉野からボールを受けたカルドーゾが大きな体でターンすると、一気に攻撃のスイッチが入った。

 最終的に決めたのが、関口とポジションチェンジして駆け上がっていた真瀬。背番号25がクロスから決める形は、かの菅井直樹が得意としてた形だ。まさに右サイドバックの系譜。今シーズンの成長株である真瀬がまた1つ結果を残せた。

 

 ということで、カルドーゾの守備から流れを取り戻せた仙台は、狙いとしていた攻撃からゴールを奪うことができた。決して内容が良いとは言い難い前半だったが、悪いなりに修正して追いつけた前半だった。

 

後半

(1)西村の登場と立ち位置の修正

 後半は開始からカルドーゾに代わって西村が登場する。

 これでいつものメンバーとなった仙台は、追いついた勢いを持続させながら逆転を狙う。

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 後半の仙台は、攻撃時に立ち位置を修正していた。前半はマンツーマンで守る札幌に対して、中盤に空洞を作るような配置をしていたが、後半はサイドハーフボランチ付近まで落ちてセンターバックからボールを引き出す。また赤﨑も降りてトップ下タスクを行う。

 その代わりサイドバックを高い位置へと押し出すことで、サイドから糸口を見出そうとする。

 実際に後半になると両サイドバックが高い位置を取って攻勢を強めることができた。

特に札幌は引いたときに5バックの手前のスペース(ボランチ付近)にスペースが生まれるので、そのスペースに赤﨑や松下が顔を出しながら逆サイドへ展開して仕掛けるようなシーンは増えていった。

 同点ゴールを奪った真瀬は、その後もチャンスを作り出し、カットインからのシュート。またこぼれ球に反応するもバー直撃という決定的なシーンを迎えた。

 しかし逆転ゴールまでには至らない仙台。次第に札幌ペースへと試合が移り変わっていく。

 

(2)ジェイの登場。高さとスピードに対応するディフェンスラインとクバ

 札幌は75分にジェイと荒野を投入。ここまでは小柄なアタッカー3人が、背後への飛び出しでチャンスメイクしていたが、そこに高さも加わる形となった。

 

 それまで仙台もチャンスが作れていたのだが、この交代を機に徐々に札幌が押し込む時間帯が長くなっていく。

 仙台はセンターバックを中心に集中した守備で、札幌の攻撃に対抗する。クバのセーブはもちろんだが、素早い3人に加えてジェイの高さが生まれた札幌の攻撃陣に、吉野と平岡はチャレンジ&カバーを徹底し対応することが出来ていた。またサイドバックの2人もしっかり絞って対応することで、センターバックのカバーを行っていた。

 

 その後仙台も、氣田、オッティ、中原を投入し、攻めに出る札幌の背後を突いたカウンターを仕掛けるも、最後のところは札幌守備陣に弾き返される。

 

 さいごまで決め手を欠いた試合はドローで終了。中断期間前ラストゲームを勝点1で分け合った。

 

最後に・・・

 前半の内容を考えれば、前半のうちに追いつくことが出来たことは良かったが、浦和戦同様にチャンスを決めきることが出来なかった。

 

 浦和戦もだが、相手に強力な選手(興梠やジェイ)がいるとどうしても個の力で押し込まれてしまう。それでもクバやセンターバックを中心に守り切れているので、勝点1を拾えているのだが、やはり彼らが出てくる前の時間帯で得点を奪いたい。

 浦和戦、札幌戦ともに後半開始から15分くらいまでにチャンスを作ることが出来ている。これはハーフタイムで攻撃の修正ができている証拠だろう。

 あとはこの時間帯に決めきることができれば、より勝利の確率は上がると思う。

 ここは監督というより選手次第なところが大きい。そして、そういうシーンを決めきって勝つことが出来れば、このチームはまた1つ上のステップへ上がれると思う。

 

 オリンピックの中断を挟んで、いよいよリーグは佳境へと迫っていく。残り試合が迫ってくるとどうしても他チームの動向が気になるし焦ってしまう。

 ただ、しぶとく勝点1を積み上げているのも事実だし、焦れずに戦いながら勝機を見出していくしかないと思う。

 

 中断明け初戦は、ホームでガンバ大阪との対戦。ガンバはそこまで連戦での戦いとなる。ホームの地の利と日程の優位性を生かして、ガンバに勝利し、チームが成長していくことを期待したい!!