さて、今回はサガン鳥栖戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は前節・鹿島アントラーズ戦で1-3の敗戦。鹿島に対策が講じらたこと、鹿島に隙を与えてしまったことで失点を重ねてしまった。4連戦の最後となる今節は連敗を避けたい一戦だ。
仙台は、勝利したガンバ大阪戦とその次のFC東京戦と同じ11人がスタメンとなった。木山監督のなかではある程度、この11人に手ごたえを感じているようだ。またベンチには戦線を離脱していたゲデスが復帰。また小畑も久々のベンチ入りとなった。
一方のサガン鳥栖は、前節・柏レイソル戦に2-1で勝利。7試合負けなしと好調を維持している。また11月3日に仙台と対戦し、そのときは3-0での快勝。いいイメージを持っているはずだ。ホームでの久々の勝利を目指す一戦となった。
柏戦で負傷交代したチアゴ・アウヴェスに代わり本田が起用された以外は変更なし。この試合でもリャンはベンチからのスタートとなった。
前半
(1)仙台の骨格を殴る鳥栖のボール保持攻撃
仙台が4-3-3のシステムへ変更して3試合を戦ったが、最初のゲームであるガンバ大阪戦は、虚をつくことができ、ガンバに対策を練られなかったことで、自分たちのやりたいサッカーで完勝することができた。しかし。続くFC東京戦、鹿島戦は、相手に対策を講じられてしまったことで、苦しいゲームを戦うことになった。
そして、この鳥栖戦も例外なく鳥栖が仙台の4-3-3に対して対策を練ってきたゲームとなった。
開始5分の仙台を見ていくと、浜崎がセンターバックにプレッシングを掛け、前線からボールを奪いに行く姿勢が見て取れた。
しかし、そんな仙台に対して、鳥栖はしっかりとボール保持の準備をしてきていた。
鳥栖のボール保持のポイントはサイドハーフとサイドバックにあった。サイドハーフは、ハーフスペースに立ち位置を取る。このことで、椎橋の脇のエリアを取り、ビルドアップ隊やサイドバックからのボールを引き出していった。またサイドハーフが椎橋の脇にいることは、仙台のインサイドハーフが前プレを掛けられないようにする効果もあり、結果的に仙台はほとんど前からプレッシングに行くことができなくなる。
また、サイドハーフがハーフスペースに立ち位置を取ることで、大外のレーンが空く。そこにはサイドバックが高い位置を取るようになっていた。このことで、仙台のウイングが押し下げることに成功し、結果として仙台を自陣へと押し込むことに成功している。鳥栖としては仙台が整理を付ける前にゴールを決めたかったところだろう。8分の林のゴールはオフサイドで取り消しなったが、これがゴールであれば、100点満点の前半を過ごすことができたはずだ。
一方の仙台としては、前から嵌めに行きたいところだが、鳥栖のサイドハーフの立ち位置が邪魔で、インサイドハーフがなかなか出てけない。また守備の基準点をズラされてしまっているので、プレスに行くにしても、距離が遠くかなりの距離を走らされることになった。
結果、パラのようにアフター気味でのタックルが増え、仙台はファウルで止める回数が増えることとなった。
(2)飲水タイム後の仙台の修正
なんとか無失点で飲水タイムを迎えることができた仙台は、まず守備の修正に取り掛かった。
飲水タイム後は、ウイングが外から中へのプレッシングで、サイドバックを消しながらセンターバックへプレスを掛ける。中央の長沢は松岡をマークする。またハーフスペースにいるサイドハーフにはインサイドハーフが見る形を取り、余る原川へはボールが渡った際に椎橋が行くように変化していた。
飲水タイム前のような広く守ってしまう状況からは、いくらか改善されたが、原川のところにボールが渡った際に、どうしても椎橋が行けなかったり、匠が行けなかったりして、そこから押し込まれてしまうような展開は生まれてしまった。
仙台は、飲水タイム後もこのように前からプレスに行ったということは、前からプレッシングを掛けてボールを奪いたいという意思があったということだと考えられる。しかし、飲水タイムの時間だけではここまでの修正に留まってしまったということだ。
やはり、シュートを打たせてしまうシーンや決定的なシーンを鳥栖に与えてしまった。それでも鳥栖の精度に助けられたり、クバや平岡が救ったシーンもありで、なんとか前半は無失点で折り返すことができたという内容だった。
スコアレスで折り返す。
後半
(1)4-4-2⇔4-3-3の可変
後半開始からパラに代わって蜂須賀。パラは1枚イエローカードを貰っていることからいつもより早めの交代となった。
前半は、鳥栖のボール保持に対して自分たちの守備がズラされてしまい、苦しい時間を過ごすこととなった仙台。まずは守備の修正が急務となったハーフタイムだった。
そして、そのハーフタイムに木山監督はきっちり守備を立て直すことができた。
後半の仙台は、守備時の立ち位置を「4-4-2」へと変更する。このことで、前プレ時には鳥栖のビルドアップ隊に対して基準がハッキリし、前半のような簡単に前進を許すようなシーンが減った。
また懸念されていたアンカー脇をダブルボランチにすることで消し、そのことで中央から攻撃回数を減らすことができた。
サイドの守備に関しても、蜂須賀が入ったことで落ち着きを取り戻し、ボールを奪える回数も増やすことができた。
仙台は、守備時の立ち位置を変えることで、気になっていたスペースを消すことで、守備に落ち着きを取り戻すことができたと思う。
ただ、ボールを持ったときの立ち位置は「4-3-3」で変わりがなかった。
前半は奪ったボールをカウンターへ繋げるために、縦へ急ぐパスが多かった仙台。縦へ急ぐことで、ボールをロストするシーンが目立ったが、後半になるとまずは自分たちのボールにすることで意識し、奪ったボールを繋ぎながらプレスを回避することで、ボール保持へと移行することができた。ここもハーフタイムで修正できた点だ。
(2)松下、ゲデスの投入で勝負に出た仙台
ハーフタイムの修正で、ある程度守備に安定をもたらすことができた仙台。次に目指すところゴールとなる。
ということで、後半の飲水タイムを挟み、勝負に出る木山監督。
匠と山田に代わって松下とゲデスを投入する。この交代で4-4-1-1となった。
仙台は、疲れてきた鳥栖に対して個人で打開できる選手を投入することで、勝負に出た。
そしてこの交代が見事に的中し、先制点を生む。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) 2020年11月25日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第29節
🆚 鳥栖vs仙台
🔢 0-1
⌚️ 78分
⚽️ 長沢 駿(仙台)#Jリーグ#サガン鳥栖vsベガルタ仙台
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXLYeZ pic.twitter.com/EPQzHhuzto
78分に浜崎のクロスに長沢が合わせて、先制点を奪ったが、このシーンではクバのフィードをゲデスが競り勝ったこと、松下がしっかりキープして時間を作ったことで生まれた。交代が見事にはまったゴールとなった。
そして逃げ切りを図る仙台は、88分にシマオ・マテを投入し5バックにして、自陣をしっかり固める。
アディショナルタイムには、途中投入された相良に決定的なシーンを与えてしまうが、クバがセーブして事なき終える。
その後は冷静に跳ね返し続けた仙台。1-0で勝利し、今シーズン4勝目を挙げた。
最後に・・・
決して満足できる内容ではなかったが、粘り強くワンチャンスを活かして勝利することができた。まずは素直に喜ばしい。
守備では、前半から鳥栖の立ち位置に苦労する時間が長かったが、後半にダブルボランチにすることで、うまく立て直したことは評価できると思う。
しかし、先々を考えると、鳥栖同様にアンカー脇を狙うチームは出てくるはずだ。今回の試合を糧にしてほしいところだ。
また仙台は守備でハマらないシーンが続くと、どうしても広く守ってしまう。鳥栖戦では相手の精度に助けられたが、上位クラスになってくると確実に仕留めてくる。なのでハマっていなくても、狭く、コンパクトに守れるようにならないといけない。そこは改善していく必要があるだろう。
まずは、4連戦を勝ち越しで終えたことは良かった。次節はホームでの柏レイソル戦だ。前回対戦ではオルンガのハットトリックを含む5失点を食らっている。あの日の自分たちとは違うことを見せつけて、リベンジを果たしてほしい!!