さて、今回はセレッソ大阪戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、水曜日に開催予定だったサガン鳥栖戦が、サガン鳥栖に新型コロナ陽性者が出たために開催中止に。よって、1週間空いてのゲームとなった。
スタメンは第10節・清水エスパルス戦と同じ。これで3試合連続で同じメンバーが名を連ねたことになった。またベンチにはケガ明けのゲデスが戻ってきている。
一方のセレッソ大阪。堅い守備でここまで好調を維持していたが、水曜日の川崎フロンターレ戦では大量5失点でのらしくない敗戦。今節はホームで仕切り直しの一戦となる。
スタメンは、高木に代わってデサバト。前節ボランチで起用された奥埜が、今節は2トップの一角で起用されている。
前半
(1)前からのプレッシングではめ込もうとする仙台
試合開始から仙台はセレッソのボール保持に対して前からのプレッシングに行く姿勢を見せた。
前節の清水戦では、相手ボランチの位置取りが上手く前線からプレッシングを掛けるシーンが少なかったが、この試合では開始から積極的な姿勢を見せていた。
特にセンターバックがボールを持ったときには、両サイドハーフ(真瀬と西村)が外を切りながらプレッシングする木山ベガルタではお馴染な光景が見られた。
また、この試合では、関口は前に出ることは少なく、プレッシングの際は相手ボランチをケアする位置取りをすることが多かった。
仙台はセレッソのボール保持を窮屈にさせ、最終的にはセレッソにロングボールを蹴らせて、セカンドボールを回収するというのを狙いとして持っていたし、ある程度できていたのではないか。
また、前からのプレッシングに行くことができなそうなときには、サイドハーフは相手サイドハーフへのパスコースを切りながら、相手サイドバックへもプレッシングに行ける中間ポジションを取っていた。この辺りも準備してきたことだろう。
ある程度高い位置でボールを取ることもできていた前半序盤だった。しかし、ショートカウンターからシュートで終わるシーンをなかなか作れなかった。奪ってからシュートで完結させることができたら、もっとセレッソにとって脅威だったと思うし、今の仙台の課題だろう。
(2)セレッソの精密なブロックをどう崩していくか
続いては仙台のボール保持について見ていく。
セレッソはお馴染の堅い4-4-2のブロックを敷く。前から行くというよりかは、しっかり4-4-2のブロックを敷くことを優先しているために、セレッソの1列目の守備は越えることが多かった。
仙台のボール保持は基本的に、同サイドでの攻略を図っていた。前半は左サイドから組み立てていくことが多く、西村をハーフスペースへ、蜂須賀が外レーンという役割が決まっていた。これは右サイドも同様だった。
また関口がサイドでフォローすることで、4人の関係(蜂須賀、椎橋、西村、関口)で崩していこうとする意思が見られた。
しかし、堅いセレッソの守備を前に、なかなか中央へ潜り込むことができない。サイドに人数を掛けてしまっていることもあって、中のターゲットも長沢だけとなり、得点を奪うには、迫力も人数も欠けてしまったのが実情だった。
(3)炙り出された左サイド
19分の失点は、清水戦で浮き彫りになった問題点をそのまま突かれた格好となった。
清水戦で浮き彫りなったのが仙台の左サイドでの守備だ。相手サイドバックへボールが渡ると蜂須賀が寄せるのだが、その背後を相手サイドハーフに狙われ、ペナルティエリアへの侵入を許してしまう。
セレッソ戦でも、同様の形が多くあった。松田がボールを受けたときに蜂須賀が寄り、その背後を坂元がランニングし、ボールを受ける。
この試合では、その坂元に対して椎橋が付いていくのだが、そうすると中央のエリアが手薄となる。ここをセレッソは清武で突いたわけだ。
先制点は、まさに狙い通りの形だった。清武の技術もさることながら、セレッソは狙い通りのパターンで先制することに成功する。
仙台としては、西村を下げたくないのは理解できるが、そのぶん、蜂須賀を中心にどう守備をしていくかは詰めていく必要があるだろう。
先制点を許した仙台だったが、前半終了間際の45+2分に浜崎の左コーナーキックから蜂須賀が打点の高いヘディングで、試合を振り出しに戻した。
1-1で後半へ折り返す。
後半
(1)清武の背後から前進する仙台
前半は、堅い守備を崩せずに逆に狙われた形で失点した仙台。それでも終了間際にコーナーキックからゴールを奪い、イーブンで折り返すことができた。
前半は、左サイドからの前進が多かった仙台だが、後半は逆に右サイドからの前進が多くなった。
狙いは清武の背後だった。清武はボールを保持するときに中央へとポジションを変化させるので、仙台が奪うと一時的に清武がいるべきスペースが空く。そこへ真瀬が登場し、ボールを受けることで、局面を変えることができた。
後半序盤は、オープンになる展開が多かったが、それは仙台が清武の背後でボールを前進させることを意識した結果ではないだろうか。
また一旦守備をセットされると、崩すのは簡単ではないセレッソに対して、セレッソの守備が整っていない状態で、前進するというのは理にかなっていたと思う。
しかし、クロスが合わないどころか、クリアが相手に渡りカウンターになったり、シュートまで持ち込めなかったりと、セレッソの中央の牙城を崩すことはできなかった。
反対に60分。仙台の前プレが連動しておらず、セレッソに前進を許すと疑似カウンターから清武のパスに反応した坂元が冷静に流し込んで、勝ち越しに成功する。
仙台が狙いとしていた清武だったが、そんな清武にスペースを与え、仕事をさせてしまったこととなった。非常に皮肉で残念な失点だった。
(2)修正するセレッソ、攻め手がなくなる仙台
セレッソは得点直後に3枚を代える。左サイドの清武と丸橋に代わって、柿谷と片山。それから奥埜に代わって鈴木を投入する。
この交代で仙台に狙わていた左サイドの守備を修正する。勝ち越ししたことで無理に前に出る必要もなくなったために、柿谷もスペースの管理をしながら仙台に容易く前進を許さない。
一方の仙台は、ゲデス、崇兆、赤﨑と前線を次々と入れ替えていく。しかし、連携不足なのか、タスクの理解不足なのか。交代すればするほど、どんどん攻撃に迫力がなくなっていく。おそらく後半は給水タイム以降ほとんどシュートを打ててないはずだ。
交代で入った選手が何もできないとなると非常に厳しい。前節もそうだが、交代で入った選手が流れを呼び込まないとなかなか勝ちには繋がらない。戦術理解も含めてだが、やはりもっともっと戦う姿勢を見せて欲しいところだ。
ということで、勝ち越された後は為す術がなかった仙台。1-2で敗戦となった。
最後に・・・
清水戦同様に停滞感が漂うゲームとなった。
柏戦で大敗して以降は、守備の安定を図るために「4-3-3」からダブルボランチの「4-2-3-1」を採用しているわけだが、守備に重きを置いているゆえに攻撃の迫力、縦への推進力を失ってしまっているのが現状である。
よって、ここ数試合では攻撃に停滞感が否めず、また攻撃では長沢が孤立するようなシーンも多々ある。サッカーはバランスを取るのが難しいというのを、つくづく感じるシーズンとなっている。
このままでは守備はある程度計算できるかもしれないが、得点の匂いがしてこない。やはりリスクを冒すときは冒さないと得点は奪えないし、勝ち筋は見えてこない。
もう一度仙台には、思い切ってサッカーをして欲しいというのが個人的な願望である。リーグ再開初戦の湘南戦はとてもワクワクしたし、そういう試合をまた僕らに見せて欲しい。
次節は、アウェイでのサンフレッチェ広島戦。もう一度、チャレンジする姿勢、ゴールに向かっていく姿勢を期待したい!!