さて、今回はセレッソ大阪戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、8月3日に延期されていた第5節ガンバ大阪戦を戦い、0-1の敗戦。ボールを保持する展開ながらもこの試合でも決め手に欠き、パトリックの一発に沈んだ試合だった。この低調な状況を抜け出すべくゴールと勝利が欲しい一戦となった。
今節は、3人のメンバーを入れ替えてきたセンターバックにアピアタウィア、ボランチにフォギーニョ、左サイドハーフに加藤が起用された。
一方のセレッソ大阪も、リーグ戦に限って言えば9試合勝利から遠ざかっている。ミッドウィークに天皇杯3回戦でアルビレックス新潟には勝利したものの、セレッソにとっても9試合ぶりに、そしてリニューアルオープンしたヨドコウ桜スタジアムで勝利したい試合だ。
セレッソ大阪は、出場停止の松田陸に代わり右サイドバックに西尾、センターバックには東京オリンピックから帰ってきた瀬古、右サイドハーフに坂元が、それぞれ新潟戦から代わって起用された。ベンチにはケガから復帰した豊川が入っている。
前半
(1)徹底したアウェイの戦い方を実行した仙台
この試合の仙台のゲームプランとしては、まずはしっかりとした守備ブロックを築き、そこから攻撃的なカードを切りながら後半に仕掛けていくというプランだった。
スタメンのダブルボランチが富田とフォギーニョというところにも、その意思が伝わる。
なので、前半は徹底したアウェイの戦い方を実行した仙台だった。ガンバ戦のように前からボールに奪いに行くシーンも少なく、自陣ないしはミドルゾーンで守備ブロックを形成し、そこに入り込んだセレッソの攻撃に対抗していく。
前述の通り、仙台のダブルボランチが富田とフォギーニョというのは、ゲーム全体の守備意識もさることながら、トップ下に入った清武を監視する役割が最も大きなタスクだったと思う。
しかし、実際は清武が仙台の守備ブロックの外(左ハーフスペース)に降りてボールを受け、そこから攻撃がスタートすることが多かった。ブロックの外に降りたときにはダブルボランチは行かずにスペースを埋める。
清武を起点に攻撃が始まるセレッソは、左サイドを起点に攻めることが多かった。清武から同サイドを崩すというよりかは、逆サイドへのサイドチェンジ、またはタガートへの一発のフィードという攻撃が多かった。
よって仙台はスライドの意識、背後への意識を持ちながら、4-4-2の守備ブロックでセレッソの攻撃を対抗していった。
仙台にとって助かったのは、左から右へサイドチェンジしたときに受ける選手が右サイドバックの西尾が多かったことだろう。もともとセンターバックが本職が西尾なので、そこまで攻撃のアイデアがなく、崇兆も加藤も冷静に対応できていたと思う。ただ、サイドチェンジを受ける選手が坂元だったら、仙台にとっても脅威になっていた可能性はある。
セレッソも清武が降りてボールを受けるのはいいが、個々のアイデア頼みの面が多く、ハーフスペースへ侵入してくる高木も坂元も脅威ではなかった。もちろんタガートのシュートなど惜しいシーンはあったが、仙台は落ち着いて守備をすれば問題ないような状況だった。
(2)押し込んだ背後を使った前進
セレッソがボールを保持する時間が長いゲームだったが、そんななかでも仙台は相手陣内へと仕掛けられるシーンを作り出すことができていた。
セレッソは、ボールを保持して押し込んだときにサイドバックが高い位置を取る。また中盤も清武が落ちて、原川がアンカー、奥埜がインサイドハーフのような位置取りになり、「4-3-3」のような陣形になる。
よってボールを奪うとサイドのスペースが空くことが多く、そこから仙台はサイドハーフがボールを前進させてカウンターを発動させたり、ボールを相手陣内に押し込んで自分たちのターンへしていった。
しかし肝心のペナルティエリアでは、なかなかシュートまで持っていけない。それでもコーナーキックを獲得するなど、二次攻撃へ繋げられることはできていた。
押し込まれすぎずに、時には前に出て行くということにおいてはアウェイでの戦い方を実行するなかで悪くなかったと思う。
前半はセレッソがボールを保持し、仙台がそれに対して守備ブロックを組んで対抗。時にはカウンターに出て行くというような内容だった。お互いに攻め手に欠き、後半へと折り返す。
後半
(1)大きく流れを変えない両者
セレッソは、高木から新井晴樹を投入。この夏にJFLのFCティアモ枚方から加入したサイドアタッカーだ。
セレッソは左サイドに新井を投入したことで、配置を整理する。大外レーンに新井、インサイドに丸橋という形に整理されていた。
また、前半よりも最前線のタガートが背後を取る動きを増やし、仙台の守備ブロックを押し下げる役目を担った。
セレッソのボール保持時の配置整理や役割の変化は多少なりともあったが、大きく試合の展開や流れが変わることはなかった。
仙台も前半同様に、守備を念頭に置き、セレッソの攻撃へ対抗しながら機を見てカウンターを仕掛けるような試合展開を狙って行っていた。
よって、両者ともに立ち上がりから中盤にかけて大きな変化のない試合内容だった。
(2)ラスト15分から仕掛け
試合の潮目が大きく変わったのは、ラスト15分になったところ。
ここで仙台は攻撃的なカードを一気に切る。カルドーゾ、氣田、上原の3枚を投入する。
この交代によって、ラスト15分でギアチェンジを図った仙台は、ボールを握ってセレッソ陣内へと押し込む時間を増やすことに成功する。
しかし、大外からのクロスやアーリークロスなど淡白な攻撃に終始し、チアゴと瀬古のセンターバックコンビに跳ね返され、なかなかチャンスシーンを作ることができなかった。
ラスト15分で確かに攻撃的なカードを切って押し込むことに成功はできたが、なかなか再現性のある攻撃ができなかった。
個人的には、オッティと氣田を各サイドに対して順足の選手を置いていたので、もっと彼らを縦にランニングさせて、サイドの奥を取ることでそこからペナルティエリアへと侵入する回数を増やしたかった。
実際に90分の西村の決定機は、オッティが左サイドの奥を取ることで相手ディフェンスラインを下げさせ、そのことでペナルティエリア手前にスペースが生まれ、上原がシュートできる状況が生まれた。
確かに攻撃的なカードを切ったということは有効的だったが、そこから先どのようににペナルティエリアに侵入し、チャンスを作るかというのがこの試合では見えなかった。チーム内の共通認識をもっと高めなければならないポイントだろう。
加えて、カルドーゾをペナルティエリア内で全く活かすことができなかった。右サイドでは、真瀬がフリーでもボールを受けられることも多かったので、ラスト1枚を蜂須賀にスイッチして、精度の高いボールを蜂須賀から送るなどの仕掛けも必要だったと感じる。個人的には、ラスト15分の仕掛けの部分で少し不満に感じることが多かった内容だった。
両者ともに、なかなか決定打を打てずに試合は終了。スコアレスドローに終わった。
最後に・・・
またしても勝ち切れない試合だった。前述した通りでゲームプランのなかでラスト15分でギアチェンジするというプランがあったなかで、どこか消化不良に終わった部分もあった内容だ。
なかなか決めきれない試合が7月から続いている。前節では質と量を上げたいということを書いたが、今節も同様の課題が残った形だ。
またどうしても守備にウェイトを置く戦い方をしているので、チャンス回数は限られている。そんな中で、いかに有効打を打てるか、またチャンス回数と時間を長くするか(セカンドボールの回収による二次攻撃など)はポイントになってくるところだろう。
守備が安定しているだけに、なんとか攻撃でゴールを奪って勝ちたい。1つ勝てれば自信は間違いなく付いてくるはずだ。
次節はホームに横浜FCを迎える。順位の近い相手であり負けられない試合だ。受けに回りすぎず、自分たちから仕掛けていく。そういう戦い方を期待したい!!