ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

同じ過ちを繰り返せないために~明治安田生命J1第8節 徳島ヴォルティスvsベガルタ仙台~

 さて、今回は徳島ヴォルティス戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

 

スタメン

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 ベガルタ仙台は、前節・ヴィッセル神戸戦で敗戦し5連敗中。ここまでは立ち上がりでの失点、もしくはセットプレーの失点が相次ぎ、先手を取られ苦しい試合展開になっている。神戸戦から中3日のアウェイと修正できる時間が限られている中で、いかに我慢強く戦えるかがカギとなる。

 仙台は、3人のメンバーを変更。センターバックに平岡、ボランチに上原。そして右サイドハーフにはリーグ戦初先発の加藤が名を連ねた。

 一方、昇格組の徳島ヴォルティスは、横浜FC清水エスパルスに勝利し、連勝中と調子を上げてきている。ポヤトス新監督の合流が遅れる中で甲本ヘッドコーチのもと、着実に戦える集団へと成長している印象だ。

 今節は、前節と同様のスタメンの予定だったが試合前に石井にアクシデントが発生し、ジエゴがスタメンとなった。

 

前半

(1)徹底した撤退守備と狙われた左サイド

  徳島のキックオフで始まった試合。徳島がキックオフと同時にビルドアップに移行したところからこの日の仙台の意思が見て取れた。

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 仙台は徹底して4-4-2でのブロックからの中央閉鎖。2トップが徳島のボランチを基準点として、ビルドアップ隊へはプレッシングへ行かない。

 徳島の特徴は、相手がプレスに来たところを剥がすことで、前線にスペースを作り、ゴールを目指していく。特にボランチや渡井を経由したときは厄介だ。

 仙台としては、前線からのプレッシングに自信がないので、まずは撤退し、徳島のスペースを与えない守備を優先的に行った形だ。

 

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 そんな仙台に対して徳島は右サイドから糸口を見出そうとしていた。前半では、岸本へボールを届け、そこから仕掛けるシーンが目立っていた。

 崇兆は本職ではないため、守備の対応にやや難点がある。神戸戦でも奪いに行ったところで抜かれたり、櫻内の力強いドリブルに突破を許すシーンが見られた。

 おそらく徳島もそこをスカウティングしてのことだと思う。岸本を高い位置に上げて、かつ宮代をハーフスペースにランニングさせることで崇兆のエリアを狙う。

 先制点でコーナーを奪ったシーンもサイドチェンジから岸本が仕掛けたところで奪ったものだった。

 

 それでも仙台は我慢して耐えていたと思う。左サイドを破られて危ないシーンを作られたことはあったものの、中央を割らせないというノルマは達成できていた。

 

(2)同じ過ちを繰り返す

 だからこそ、セットプレーでの失点は非常に痛かった。失点シーンは3連続でコーナーキックになり、かつすべて岸本に合わせられたもの。もちろんキッカーの岩尾の高いキック精度もあったが、今回もセットプレーでの失点という同じ過ちを繰り返してしまった。

 

 それまでの時間は、全員が集中して守備ブロックを組んで守れていただけに、セットプレーでの失点はいただけなかった。

 

(3)ペナ角攻略と西村の決定機

 時間の経過とともに、徐々に仙台もボールを持てるようになり出す。

 徳島も、ボール非保持のときには、そこまでプレッシングを掛けて制限を掛けてこない。なので、前節・神戸戦と比べれば後方からボールを運んでいけるシチュエーションが増えた。

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 仙台は、サイドからボールを運んでいくことが多かった。特にルーキーコンビとなった右サイドでは、フレッシュさと勢いを持って、果敢にチャレンジしていく姿勢が見られた。

 飲水タイム以降からは、高い位置を取った真瀬へロングフィードを送り、そこからチャンスを創出していこうとした。

 仙台としては、ペナルティエリアの角からの侵入を試みていた。ここは仙台が攻撃のときにポイントとしているところ。

 サイドハーフボランチ、そして2トップなど多くの人数が関わり、ペナルティエリアの角からゴール前へ侵入をしていく。

 42分の西村の決定機も、複数人が関わって攻略できたところからの決定機だった。惜しくも上福元に弾かれてしまったが、1つ形が見えたシーンだった。

 

 ということで、前半は0-1で折り返す。

 

後半

(1)蜂須賀の投入で蓋をする手倉森監督

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 後半開始と同時に氣田→蜂須賀。崇兆を1列前へ上げて、蜂須賀が左サイドバックになった。

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 左サイドバックを蜂須賀にしたことで、まずは前半狙われていた左サイドのエリアに蓋をすることからスタートした手倉森監督。

 後半に入っても、徳島のボール保持に対して前プレを掛けずに、我慢して撤退守備をすることから始め、とにかく負け筋を削っていく作業を進めていった。

 

 徳島は、後半になると鈴木徳真が右斜めに落ちてビルドアップ隊に加わる。もしかすると右サイドの攻撃をより強化したい狙いだったのかもしれないが、蜂須賀によって蓋をした仙台に阻まれた格好となった。

 

(2)ジワジワと流れを引き寄せる仙台・推進力を増す右サイド

  後半開始からもしっかり守備をするからスタートし、まずは穴をふさいだ仙台。

 また後半になると、ボランチの松下、上原のエリアでボールを奪えるようになり、そこから横へ展開することで、ボールを前進させる回数を増やせるようになった。

 そうしているうちにジワジワと流れを引き寄せることに成功する。一度攻撃が切れても、再びプレッシャーを掛けて、クリアさせることでそのセカンドボールを回収。その流れを作れたことで、徐々に徳島人内でのプレー時間を増やすことができた。

 そして、もう一段階ギアを上げたのが右サイドだった。前半から果敢な仕掛けとボールへの執着を見せた真瀬と加藤だが、流れが来るとさらに勢いを増していく。

 特に76分に蜂須賀のクロスに飛び込んだ加藤のヘディングシュートは惜しかった。

 

 流れを引き寄せられた仙台だったが、なかなかシュートを枠に飛ばせない。クロスボールを送るも、クロス精度が悪かったり、ペナルティエリアへの入り方で相手の前に入れなかったりと、合わないシーンが多かった。

 徐々に守り切る態勢へ入る徳島に対して、途中投入の皆川と平岡を上げてのパワープレーを今節も敢行するもなかなかボールが目指すところへ合わず試合終了。

 虎の子の1点を守り切った徳島が勝利。仙台はこれで6連敗となった。

 

最後に・・・

 徳島相手にまずは守備から入る姿勢だったり、リードを追いかける展開でも負け筋を消しながら、ジワジワと流れを引き寄せるあたりは非常に手倉森監督らしい采配だったと思う。監督コメントにもあったようにあのセットプレーでの失点だけという内容だった。

 ただ、そんなセットプレーでの失点が続いている。また前半での失点が続いている以上、なかなか考えていたゲームプラン通りには進められないだろう。

 同じ過ちをこれ以上繰り返さないために、やはりもっともっと意識を高めていく必要があるだろう。

 

 そして、なかなかゴールも奪えない状況でもある。この試合では、いいところまでボールが運べてもクロスの精度やペナルティエリアにいる人数、走り込み方やタイミングが遅かったりと、なかなか合わせられなかった。ゴール前での判断力、精度も高めていかなければならない。

 

 とにかくやることが多い。それでも試合は続く。限られた時間のなかで少しずつやるしかないのだ。次節はホームで横浜Fマリノスとの対戦。次節も高い守備強度が求められる試合となるだろう。タフにハードワークし、泥臭く束で立ち向かっていくところを期待したい!!