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【残念そこは林彰洋】明治安田生命J2第39節 ブラウブリッツ秋田vsベガルタ仙台

 さて、今回はブラウブリッツ秋田戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

 

スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・いわきFCと2-2の引き分け。先行されながらも後半に逆転。しかしサイドを崩され追いつかれた試合となった。前節の結果で今シーズンのJ1昇格の可能性がなくなり、ここからは1つでも上の順位でフィニッシュすることが目標となる。

 2週間の中断期間を経た今節は、勝点3差のブラウブリッツ秋田が相手。昨年は最終節にこのソユースタジアムで昇格プレーオフを逃した悔しい場所だ。その悔しさを晴らすためにも勝点3を持って帰りたい一戦。

 今節は右サイドハーフに郷家がスタメンとなった。それ以外は変更なし。ベンチにはケガで離脱していた加藤がメンバー入りとなった。

 一方のブラウブリッツ秋田は、延期となっていたFC町田ゼルビア戦で1-2の敗戦。ホームでは5月以来勝利がない状況が続いている。吉田監督のブレないチーム作りで、今シーズンも残留が目前なだけに、ホームで久々の勝利と残留を確定させたいところだ。

 秋田は諸岡が出場停止。代わりに井上がボランチで起用された。それ以外はスタメン、ベンチともに変更なしとなっている。

 

前半

(1)風下を利用したロングボールとセカンドボール回収に心血を注ぐ秋田

 開始直後の1分と4分に仙台がチャンスを作ったものの、試合序盤のペースは秋田が握ってチャンスを作る時間帯が続いた。

 

 試合開始から強い風が吹く気候条件で、仙台が風上、秋田が風下を取る形でゲームがスタートした。

 秋田はロングボールを主体とするサッカーをし、この試合も例外なく間髪入れず仙台陣内へとロングボールを送っていく。

 秋田は風下に立つために、送るロングボールが仙台ディフェンスラインの背後よりも手前もしくは頭上に落ちることが多かった。

 よって、秋田としてはこぼれてくるセカンドボールへ心血を注いでいく。

 コンパクトな陣形を保ち、セカンドボールの反応を仙台よりも早くすることで、回収したところを起点にカウンターを仕掛けていく。

 秋田はセットプレーからと、セカンドボールの回収からの素早い攻撃で仙台ゴールへと迫っていく。しかし、仙台守備陣も林のセーブやセンターバックを中心としてしっかり体を張って防いでいった。

 

(2)役割整理がされた仙台のボール保持攻撃

 試合序盤から秋田に押し込まれる展開となった仙台だったが、集中した守備で切り抜けると時間の経過とともにボールを保持していくようになる。

 

 25分すぎになると仙台はボール保持からの前進を試みていく。

 中断期間を経たことで前線ユニットの役割整理がなされているようだった。

 ビルドアップ時には4バックにダブルボランチが加わり、相手2トップを越えていこうとする。ただ状況に応じて、センターバックがボールを持ち出せそうだったり、ロングボールを送った方が効果的と判断したときは長澤が残って、鎌田は前線のユニットへと加わっていく。この鎌田の列移動が中断期間を経てより整理されていた印象だ。

 前線では中島が左ハーフスペースにいて、氣田はウインガーとして幅を取る。山田は背後へのランニングと落ちてボール保持に加わる役割を担う。山田が落ちてボール保持に加わる代わりに郷家が右ハーフスペースの位置にいてシャドー的な役割となっていた。空いた右サイドのスペースは真瀬の上下動でカバーする。

 そんな役割整理のできた仙台は、左サイドから攻撃を作っていく。大外の氣田を仕掛けのキーマンとして、そこに中島や秋山、時には山田が加わって崩しに掛かる。

 そうやって奪えたのが29分の先制ゴールだった。

 左サイドで押し込むと中島の対角のクロスに飛び込んだ真瀬が折り返して、最後は郷家が押し込む。

 ボール保持から秋田を押し込み、両サイドバックが高い位置を取れたことで生まれたゴールだった。まさに狙い通りの形で先制点を奪うことに成功した。

 

 その後は秋田にチャンスを巡ってくるシーンもあったが、林のビッグセーブや郷家のゴールカバーで逃げ切り前半を1点リードで折り返す。

 

後半

(1)風が与えた両チームへの影響

 後半になっても強い風が吹くソユースタジアム。後半開始早々には通り雨も降り、なかなかに厳しい気候条件での戦いとなった。

 エンドが変わって秋田が風上、仙台が風下に立つ。

 後半のお互いのスタンスは大きく変わらずに、秋田はロングボール主体に仙台陣内へと侵入を試み、仙台はボール保持からゲームをコントロールしようと試みる。

 

 しかし、風上・風下が変わったことで秋田のロングボールは仙台ディフェンスラインの背後へと流れることが増え、それを林が回収したりゴールキックになるシーンが増えていった。解説の柱谷氏も言っていたが、直線的なボールではなく角度を付けたボールを送ることを意識すべきだったのかもしれない。

 一方の仙台はボール保持からゲームをコントロールしようとするも、前半のようにペナルティエリア内へと侵入できる回数も減り、秋田に対応されるようになっていく。

 また困ったときのロングボール前進も、ボールが風で押し返されてしまいなかなか秋田陣内深くまでボールを運ぶことができなくなった。

 よって試合は拮抗した時間が続いていくこととなった。

 

(2)好機を演出する高田椋汰のキック/残念そこは林彰洋

 そんななかでもチャンスを作っていったのは秋田だった。秋田はセットプレーを獲得していくと右サイドバックの高田のキックが好機を演出していく。

 しかしそこに立ちはだかったのは林だった。前半にもビッグセーブがあったが、後半も幾度となく秋田の決定機を食い止める。そして、それに呼応するようにフィールドプレーヤーも体を張った守備で秋田のチャンスを防いでいった。

 

 仙台は、押し込まれる展開が続いていくなかで67分に長澤と山田に代えてエヴェルトンとホ・ヨンジュンを投入。76分には鎌田に代えて加藤を投入し、エヴェルトンと中島のダブルボランチを形成する。

 当たり負けのしない彼ら3人が投入されたことで、中盤での守備強度を保つことができた。早い段階で秋田の土俵に立ってプレーすることを受け入れて、守備強度を保つカードを切っていったのは堀監督の的確な采配だったように思う。

 

 その後も秋田がロングボールとセットプレーを駆使して風下に立つ仙台を押し込んでいく構図は変わりなかったが、仙台はセンターバックの2人がしっかりチャレンジ&カバーを徹底して危険なシーンを作らせない。

 アディショナルタイムには秋山と氣田に代えて菅田と齋藤学を投入してゲームをクローズさせにいく。

 秋田は最終盤にセンターバックの河野をパワープレーで前線に送り込むも、仙台の守備は最後まで集中力が途切れずに試合終了となった。

 悪条件のアウェイの地で仙台は勝点3をゲット。これで3試合負けなしとなった。

 

最後に・・・

 ロングボール主体の秋田のサッカーに加えて悪天候が重なり非常に苦しい試合となったが、わずかな決定機をものにし、交代カードを切りながら最後まで集中力を切らさずに守り切ることができたし、とにかく林に助けられた試合となった。

 クオリティが高い秋田のセットプレーに対しては先に触られることも多かったが、最後は体を張って守ることができた。最終盤の時期ではあるが、出ている選手がみんながハードワークして最後まで球際で戦うことができた結果と言えよう。

 

 また、ボール保持においても前線のユニットがこの中断期間を経て整理されたことで、連携が深まったことと前線のスペースを共有できるようになっている。後半以降に同じクオリティを保つことができないのは課題だが、9月のゴールを奪えない苦しい時期を脱して少しずつ良くなっていると感じている。

 

 シーズンも残り3試合となった。まず残り3試合をこの高い強度を保ち、ハードワークして戦うことを徹底し来シーズンへと繋げていきたい。

 次節はホームにレノファ山口FCを迎える。連勝街道を突き進む大宮が近づいてきたことで山口も安泰な状況ではないだけに、激しい試合になるだろう。そんななかで仙台は局面のバトルで負けずに攻撃ではコンビネーションからゴールを奪いたい。残り3試合を悔いなく終わるために、最後まで戦い抜いて欲しい!!

 

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