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【変わらぬ課題】明治安田生命J2第22節 ベガルタ仙台vs徳島ヴォルティス

 さて、今回は徳島ヴォルティス戦を振り返ります。後半戦のスタート。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・レノファ山口FCに0-2で敗れ、連敗中。前半戦は勝点30の9位で折り返しとなった。J2優勝とJ1昇格を目標に掲げているクラブとして、当たり前だが勝点が足りていない状況。ここからの巻き返しを図りたい後半戦一発目の試合だ。

 スタメンは2人の変更。左サイドバックにU-24韓国代表から帰ってきたキム・テヒョンが起用され、2トップの一角にはホ・ヨンジュンが久々に名を連ねた。ベンチにはルーキーの梅田が初ベンチ入りをしている。

 一方の徳島ヴォルティスは、前節・モンテディオ山形と1-1のドロー。こちらも昇格候補に名前が挙がっていたものの序盤はなかなか勝てずに苦しいスタートを切った。その後、持ち直したが勝ち切れない試合もあり現在は16位。徳島の仙台同様に昇格戦線に食い込むためにも、ここからの巻き返しが必至となっている状況だ。

 スタメンは前節と変更なし。ベンチには児玉が前節と代わってメンバー入りをしている。

 

前半

(1)ゆっくり確実に前進していく徳島

 試合序盤は徳島のボール保持に対して、前線からプレッシングを掛けていく仙台という構図から始まった。

 仙台はアンカーの白井へ中島が監視をして、3バックへはホ・ヨンジュン、氣田、郷家がプレスを仕掛けてサイドへと誘導していった。

 

 ただ、仙台のプレッシングに対して徳島も慌てない。両ウイングバックが3バックをサポートするように低い位置まで下がってくる。加えて杉本も白井の列まで降りてビルドアップをサポートするような形となっていた。

 ある程度人数を掛けながら確実にボールを保持していく徳島。ボール保持が安定すれば、仙台もプレッシングを掛けづらくなっていくので、次第に仙台も4-4-2で構えるようになっていった。

 ボールを保持してゆっくりと前進していく徳島だが、それだけではなく大きなサイドチェンジによる展開や、仙台のセンターバックサイドバック間のスペースを突くランニングで横にも縦にも広く攻撃していく。

 特に左サイドの西谷から右サイドの西野へのサイドチェンジは数多く行われ、加えて小出と若狭の間を突破していく西谷や森海渡の動き出しは非常に厄介だった。

 徳島は、インサイドハーフと2トップの関係性が良く、2トップの降りる動きに対してインサイドハーフがサイドへ広がりパスコースを作るなど、常に繋がっていた状態でプレーしていたことも印象的だった。

 

 そんな徳島に対して仙台は、前述した通りに構える時間が長くなっていくなかで、シュートまで持ち込まれることもあったが、なんとか耐え凌いだ格好となった。

 

(2)中島、郷家のタスク整理と中盤のスペースの活用

 徳島にボールを握られる展開が続くなかでも、反対に仙台がボールを保持する局面では、中盤のスペースを活用しながら前進していくことができていた。

 仙台の3-4-3のボール保持に対して徳島は2トップに加えて玄理吾が前線からのプレッシング部隊に加わり5-2-3の形となることが多かった。

 一方で徳島の守備は両ウイングバックが5バックとなるので、中盤の2人のスペースが広がる。そのスペースで中島や郷家がボールを受けることで、徳島のプレッシングを回避させながら前進することができていた。

 特に中島は3バックやボランチから上手くボールを引き出して展開することで全体を押し上げながら攻撃できた。

 

 またボール保持時はシャドーとなる中島と郷家のタスクも整理され、郷家は右ハーフスペースと右サイドを主戦場として、小出のフォローを行いながら右サイドの攻撃を有効的なものにしていた。

 中島は中央と左ハーフスペースを主戦場とし、郷家に比べてフリーなポジションでボールを引き出す。よりトップ下的な立ち回りとなっていた。

 このタスク整理は、真瀬の離脱によって右サイドの攻撃が上手くいかなくなったことが原因だと思う。うまく全体のバランスを生み出すための微調整となった。

 

 そして、仙台はうまく徳島が空けた中盤のスペースを活用し押し込むと先制点へと繋げられた。

 右サイドを起点に松下へ。松下のスルーパスにホ・ヨンジュンが反応し、2つの切り返しでシュートコースを作るとファーサイドに決めた。山口戦でも決定機がありながらチャンスを逸したホ・ヨンジュンだったが、これが待望の来日初ゴールとなった。

 ゴールまでの流れも非常によく、狙い通りのゴールを奪うことができた。

 

 その後も勢いに乗って立て続けにチャンスを作るも決めきれなかった仙台。

 そのままスコアは動かず、仙台が1点リードで後半へと折り返す。

 

後半

(1)勿体なかった後半序盤の過ごし方

 両チーム交代なしで始まった後半。

 お互いの修正点を見ていくと、まず仙台は徳島のボール保持、特にビルドアップに対して白井の列まで降りていく杉本にエヴェルトンが付いていくシーンが見られた。よって仙台の敵陣での守備は4-1-4-1のような形にも見えなくなかった。ただ、エヴェルトンが杉本に付いていっただけになので、形ありきというより役割ありきなところはある。

 一方の徳島は2トップを入れ替え、左に柿谷が登場することが多くなる。よって前半から狙い目となっていた小出-若狭間に柿谷がランニングすることが多くなり、また西谷との連携から崩していく狙いが色濃くなった。

 

 仙台は、後半開始からボールを奪取し、中盤のスペースで待つ中島やホ・ヨンジュンにボールを届けることに成功し、カウンターを発動していく。

 しかし奪ったボールを速攻で仕留めようとするあまり攻撃が単発で終わってしまった。その結果、全体が押し上げられずに徳島にもチャンスが巡ってくるようになる。

そして54分に徳島が同点に追いつく。

 ホ・ヨンジュンからボールを奪取し左サイドを崩してクロス。西野の折り返しに杉本が押し込んで同点に追いつく。

 仙台としては速攻で行ける中で、1つでも速攻ではなく遅攻に切り替えることができれば、もう少し徳島陣内に押し込んでプレーできたと思う。

 また失点シーンだけを取り上げれば、エヴェルトンがペナルティエリアに戻り切っておらず、結果的にその隙から杉本に決められてしまった。

 ゲームコントロールにおいても、細部のところにおいても詰めの甘さをこの10分間で露呈する形となってしまった。非常に悔しい失点だった。

 

(2)交代カードを切りながら

 その後はお互いに交代カードを切りながら、次の1点を目指す。

 仙台は60分にホ・ヨンジュンから山田にスイッチ。70分には小出とエヴェルトンに代わって蜂須賀とフォギーニョを投入する。

 徳島は70分には玄理吾と森海渡に代わって坪井と棚橋を投入する。

 4分後には西谷のスルーパスに抜け出した柿谷のクロスに棚橋が合わせるもバー直撃。そのこぼれを杉本が打つも今度はポストを直撃し、仙台は九死に一生を得た。

 

 仙台の交代で投入された選手が活気を与えようとする。特に久々のボランチで起用されたフォギーニョは活動量の多いプレーでフォアチェックから中島のチャンスを演出するが決めきれなかった。

 

 その後85分には仙台は松下と郷家に代わって遠藤と中山を投入する。同時に徳島は西野と杉本に代わって児玉と長谷川を投入する。

 中島とフォギーニョのダブルボランチに遠藤と氣田のサイドハーフ、中山が前線にいるという原崎監督時代を彷彿とさせる配置は、その記憶から中島とフォギーニョが中盤の底でボールを散らして、遠藤が逆サイドへ出張するなどして徳島を押し込むことに成功するものの、最後のクオリティが足りずスアレスを脅かすことができなかった。

 

 タフなゲームとなった後半戦スタートとなるゲームは1-1のドロー。お互いに痛み分けとなる結果だった。

 

最後に・・・

 前半は徳島のボール保持に対して我慢する時間もありながら、自分たちがボールを持ったときには空いているスペースを活用し、先制に成功した。

 しかし後半の開始10分間は非常に勿体ないゲーム運びとなった。押し込めるチャンスはあったし、守備ではもっとアラートにするべきだった。そういう部分が勝点を落としている原因の1つなのかもしれないと感じた。ある意味ではここまでの成績を表しているかのような10分間だった。

 

 ポジティブな要素を挙げるとすれば、ホ・ヨンジュンがようやくゴールを決めて復調傾向にあることだろう。徐々に日本のサッカーに慣れ、次第にゴール前での落ち着きも見えてきた。この調子で夏場の連戦を引っ張っていく存在となって欲しい。

 

 さて、次節はアウェイでモンテディオ山形とのみちのくダービー第2ラウンド。前回対戦は中島の劇的決勝ゴールで勝利した記憶は新しい。そこから両チームともに調子が上がってきたが、ここ最近は足踏み状態。ここで勝利して夏場に向けて勢いづけることができるかどうかの試合。みちのくダービー第2ラウンドも勝利して、ここから一気に追い上げて行って欲しい!!

 

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