ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

いかに整った状態でプレーできるか~明治安田生命J2第39節 ベガルタ仙台vs東京ヴェルディ~

 さて、今回は東京ヴェルディ戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ファジアーノ岡山に0-3の完敗。好調のチーム相手にミス絡みの失点から流れを失った。

 なんとしてもプレーオフ圏内を死守したい仙台だが、後方から山形や徳島らが迫ってきていることも確か。残り4試合でしっかりと勝点を積み重ねて6位以上でレギュラーシーズンをフィニッシュしたい。

 今節は5人のメンバーを入れ替えた。3バックには平岡と福森、両ウイングバックに内田と石原。出場停止明けの遠藤が復帰し中島がボランチでスタメンとなった。

 一方の東京ヴェルディは、前節・モンテディオ山形に勝利し連勝中。数字上プレーオフ圏内を狙えるものの、1試合でも落としたら脱落となる厳しい状況。少しでも可能性を残すために、今節は仙台を倒して少しでも上へと登り詰めたい一戦だ。

 今節は、ボランチに稲見、左サイドハーフに井出がスタメンとなった。ベンチには小池、阪野、佐藤凌我らゴールを奪える選手が揃っている。

 

前半

(1)前から捕まえに行く仙台と広いエリアを利用するヴェルディ

 この試合は序盤の無秩序な時間が過ぎていくとヴェルディがボールを保持して、仙台が前からヴェルディのボール保持へプレッシングを仕掛けるシーンが多くなっていく。

 ヴェルディボランチ加藤弘堅がアンカーの位置になり、稲見がインサイドハーフのような振る舞いを見せる。右サイドハーフバスケスバイロンが右サイドに張り付き、左サイドハーフの井出は中に絞ってビルドアップ隊を手助けするような役割だった。

 対して仙台は、センターバックと加藤弘を捕まえに行き、それに呼応して後方も人を捕まえてマンツーマンのような形でプレッシングを行う。

 センターバックへは中山と遠藤が、加藤弘へはボランチのどちらかが捕まえに行く。状況に応じてボランチがそのままセンターバックへとプレッシングに行くシーンも見られた。

 また遠藤が一列前に出たぶん、石原と若狭も前に出てそれぞれ人を捕まえる。反対に左サイドはバスケスバイロンを警戒してか、やや低めのポジションを取っていた。

 序盤はこのプレッシングからヴェルディパスミスを誘発し、ショートカウンターからチャンスを作るシーンもあった。

 

 しかし、時間の経過とともにヴェルディも仙台のやり方に順応していくようになる。

 仙台のボランチが1人前に出てくるため、中盤にはスペースが生まれていた。そのエリアに2トップが降りてボールを受けたり、また3バックの背後へランニングする河村を目掛けてロングボールを送ることで徐々に仙台を押し下げていくことに成功する。

 また押し込んだ際には、ヴェルディの質的優位でもあるバスケスバイロンから仕掛けていくことが多かった。

 

 ヴェルディの長いボールが徐々にジャブのように効き始めて、仙台はなかなか前からプレッシングに行けずに自陣に撤退して守備をする時間が長くなっていった。

 背後へのロングボールへは小畑も飛び出して対応したり、下がったときには5-4-1でしっかり中央を締めながら我慢強く守備を行えていた。また、前述したバスケスバイロンへは内田が集中した守備対応で危険なシーンを作らせることはなかった。

 そういう意味では理想的な展開ではなかったが、以前とは違ってしっかり守備することができるようにはなってきたかなと感じる。

 

(2)定まらない立ち位置

 時間の経過とともにヴェルディに押し込まれる展開となったのは、守備がハマらなくなったことだけが原因ではなく、ボール保持面でも問題があったからだ。

 この日の仙台はボール保持時はオリジナルポジションそのままの3-4-2-1を基本としていた。そのなかでシャドーとウイングバックの立ち位置が入れ替わったり、ダブルボランチが縦関係になったりという変化があった。

 しかし、いつも以上に立ち位置が定まらないので、落ち着いてボールを保持する回数が少なかった。

 またダブルボランチや遠藤から背後へ一発の浮き球のラストパスを送ることが多く、攻撃が単発で終わってしまうために、厚みのある攻撃ができていなかった。

 徐々に中山も孤立し始めてゴールどころかシュートまで持ち込むことが難しい状況だった。

 

 それでも前述した集中した前進守備でヴェルディの攻撃を抑え、スコアレスで後半へと折り返すことができた仙台だった。

 

後半

(1)立ち位置の整理

 後半開始に向けてヴェルディは井出に代えて梶川を投入する。

 前半の仙台は、守備では前から人を捕まえる積極的な守備を見せたものの、徐々にヴェルディに押し込まれる展開になる。またボール保持では立ち位置が定まらないことで整った状態で攻め込むことができなかった。

 ということで、後半の仙台はまずボール保持時の立ち位置を整理する。

 仙台はダブルボランチが縦関係になり、3-1-5-1の立ち位置を取る。このことで中盤の5人が5レーンを埋めてヴェルディの中盤を押し下げ、ビルドアップ隊が相手2トップに対して数的優位な状態を作り出すことで、ボールを前進していくことを容易くする。

 加えてヴェルディの1列目と2列目の間で松下が前を向いてプレーする回数を増やすことで攻撃にリズムをもたらす。

 また、氣田、中島、遠藤の3人が中山により近い位置に立ち位置を取ることで中央から厚みのある攻撃を目指す。

 基本的にバイタルエリアへ侵入できたときには中央の4人(氣田、中島、遠藤、中山)はポジションを崩して中央から切り込んでいく。49分の右サイドから中央へ侵入していき、最後は氣田がシュートを放った場面は狙いのシーンだったと思う。

 仙台は配置的な優位性を確保し、またアンカーの松下が前を向いてプレーする機会を増やすことで、徐々にヴェルディを押し返すようになっていく。ボールを奪われても素早い切り替えですぐに奪い返し、また自分たちのターンへと持ち込むこともできるようになった。

 しかし、肝心のゴール前では個々人のアイデアと連携に頼る形で、最後のラストパスが合わなかったり、同じ絵を描けないためにパスミスが発生し、いい形でシュートまで持ち込むことは少なかった。

 

(2)選手交代から次第にゲームの流れを変えていくヴェルディ

 前半とは打って変わって押し込まれる展開となったヴェルディは早いタイミングで交代カードを切ることで対応していく。

 57分には稲見とバスケスバイロンに代わって馬場と佐藤凌我が投入され、右サイドハーフに河村が入り、2トップに佐藤と染野という配置になる。

 この交代で特に効果的だったのはボランチに入った馬場だった。馬場は中盤の守備を締めて、特に中島へは厳しいチェックで自由にさせなかった。

 

 選手交代により、徐々に仙台の攻撃へ対応できるようになったヴェルディは右サイドからチャンスメイクをする。シュートまで持ち込むシーンは少なかったものの、セットプレーを獲得していく。

 そして粘り強く守った結果、75分に先制点を奪う。

 右コーナーキックからクイックスタートして馬場のクロスにフリーで染野が合わせる。後半開始直後も同様のシーンがあったことから、ゾーンで守る仙台に対して準備してきた形で先制点を奪うことができたヴェルディだった。

 仙台としては後半は盛り返せていただけに、精神的に重くのしかかる失点となった。

 

(3)選手交代でバランスを崩す仙台

 残り時間は15分以上残っているなかで、仙台は79分に3前掛けを敢行する。松下、石原、氣田に代えてリャン、真瀬、富樫を投入する。

 同点にするには、まだまだ時間が残っている状態だったが、ゴールを奪わないといけないという精神状態からか、守備では単独でボールを奪いに行くことが増え、一気にバランスを崩してしまった。

 結果的になかなかボールを奪うことができなくなり、反対にヴェルディが仙台のプレスを剥がしてチャンスを作るようになる。

 84分には右サイドから加藤弘が侵入し、マイナスクロスを梶川に合わせられるも小畑のビッグセーブで難を逃れる。

 しかし直後の87分に同様の形から追加点を許すこととなった。

 

 1点を追う仙台としては万事休すな失点となった。

 結果的にこのゴールが決勝点となり、仙台は0-2で敗戦。岡山戦に続いて連敗となった。

 

最後に・・・

 苦しいながらもしのいだ前半から後半はボール保持時の立ち位置を修正したことで、盛り返すことができた。しかしながら最後のフィニッシュまでの絵が描けずにもがいていたところでワンチャンスを生かされた格好となった。

 ここまでの試合を見ていると伊藤監督のサッカーは、「整った状態」だと力が発揮できるという印象だ。守備でも攻撃でもハッキリした形から自分たちが仕掛けることができれば、チャンスを作り出せている。

 しかし反対に、立ち位置が整理されていなかったり、バランスを崩した状態だと簡単に相手にチャンスを明け渡している。

 なので、いかに守備でも攻撃でも「整った状態」でプレーできるかは残りのリーグ3試合で大事になってくるかなと思う。

 

 一方で整った状態でプレーしているということは、相手も整った状態でプレーしているということにも繋がるので、相手がブロックを組んで守っているなかでゴールを奪わなければならない。そうなった状況のときに個々人のアイデアだけではなく、チームとしての決まり事(クロスへの入り方など)は整理していく必要があるだろう。

 

 次節はアウェイでアルビレックス新潟との対戦。新潟は引き分け以上で昇格が決まる重要な一戦。チケットもソールドアウトで久々な完全アウェイのなかでのプレーとなる。そんな中でも仙台は反骨心を持って、新潟へ立ち向かっていけるかが大事な試合だ。仙台にとってもプレーオフに向けて負けられないし、意地を見せたい。ここで新潟に一泡吹かせて勢いに乗って欲しい!

 

ハイライト


www.youtube.com