ヒグのサッカー分析ブログ

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こちらが立てば、あちらが立たない~J1 2ndステージ第12節 モンテディオ山形vsベガルタ仙台~

 J1ラスト6ゲームのところで「みちのくダービー」。もちろん互いに絶対に負けられないのだが、それに加え残留に向けても負けられない、山形にとっては引き分けすらも許されないゲームである。2つの意味で重要な1戦となった。

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 水曜日に天皇杯の延期分で、松本と対戦した山形は中2日でこのダービーを迎えることとなった。両ウイングバックは高木利弥と山田拓巳、シャドーのポジションに川西が入り、ワントップにディエゴとなった。

 一方の仙台は3試合連続でスタメンが同じ。たぶん今シーズン初めてのこと。いろいろやってきた中で、現時点でのベストメンバーなのかもしれない。

 

■前半~苦しむ仙台~

 前半の開始から15分くらいまでは、仙台が狙いとしていることが出ていた。仙台の狙いは前節の湘南戦同様に、相手のウイングバックの裏を突くことだった。前節同様にウイングバックを引き出し、ハモンや金園をサイドの裏に走らせることで、攻撃を行っていた。山形は湘南同様に前からプレスを掛けていくので、その相手の前へのプレスの矢印を反対にさせること、または前へと向きにくくすること(後ろを気にさせること)を重点的に行っていた。仙台はクロスから金園が惜しいシーンを作るなど、それなりに攻撃の形が出来ていた。

 

 しかし、山形もすぐに修正する。まずは狙われているウイングバックをケアするために、早めにウイングバックを下げさせ、サイドバックに対して、シャドーのひとりがプレスを掛けることで、仙台の攻撃の狙いを消していた。それが功を奏し、次第に山形が押し込む時間帯が続く。

 また山形は、敵陣での取られた後の切り替えが早かった。奪われてもすぐに切り替え、その場でボールを奪うか、そのセカンドボールを拾うことで、2次、3次攻撃へとつなぐことが出来ていた。そうすることで仙台からペースを奪うことに成功する。

 仙台はこの素早い切り替えに苦しむ時間帯が長かった。仙台も奪ったボールを丁寧につなぎ、素早くサイドに待っているハモンに預けたいところだったが、山形の素早い切り替えの前に、なかなかそれが出来なかった。仙台が相手のペースに付き合わせてたように見えたのは、山形の敵陣での素早い切り替えの中でも、仙台がセーフティにクリアせずに、あくまでボールを繋いでいこうとする意志によるものだったと思う。この中盤の構成から言ってもそうだし、山形がある程度人数をかけているので、その後ろには広いスペースがあると考えていたのだと思う。

 

 前半は序盤こそ仙台がチャンスを作ったが、次第に山形のプレッシングに苦しむ展開が続いていった流れの前半だった。0-0のまま折り返す。

 

■後半~状況が変わらない中で~

 後半に入っても、状況は変わらなかった。前からガンガンかけ、そして素早い切り替えで相手を自陣に停滞させる激しい守備で、ペースを握る山形。仙台も、前半よりは素早く2トップに当てようとしたが、それが反対に前線と中盤以下を間延びさせてしまい、攻撃が機能しないし、中盤でのセカンドボールを山形の小椋、アルセウに取られるシーンが目立った。

 そうして山形が先制点をもぎ取る58分にロングボールの競り合いが続いた中で、アルセウが仙台の裏へ蹴ると川西が飛び込み、そのこぼれをロメロ・フランクが押し込み先制する。球際の勝負で勝っていた山形が先制する形となった。

 いまいち攻撃の糸口がない仙台は、ウイルソンを投入する。ウイルソンを投入したことで、前線でボールを収める役ができたことで、徐々に仙台も落ち着く時間が増えていった。

 そして62分に後方からのボール回しから渡部が縦にいれたボールを、ウイルソンが胸でサイドの石川直樹へ落とし、石川は裏へ抜け出したハモンへパス。1対1になったハモンは冷静に流し込み、同点。

 この場面で注目したのが、山形は仙台のボール回しに対して、ウイングバックまでプレスを掛けてしまい、それが原因で石川のところ、いわゆる仙台が前半に狙い目としてきたサイドの裏を空けてしまうことになってしまった。山形は先制後も勢いそのままに前から来たが、それが裏目に出る格好となった。

 仙台は、この同点の場面が、後半に入ってようやく落ち着いてボールを回せた場面だった。全員がイメージを共有し、狙い通りに決めた点だった。

 

 残りの25分は、お互いに攻め合う展開が続く。仙台は野沢と山本を投入しさらに攻勢を強めた。特に野沢が入ったことで守備にほころびが出るものの、前線で的確なポジショニングで、山形の守備陣を崩しかけていた。

 山形は中島、高崎を投入し、勝ちに行った。実際に仙台よりも惜しいシーンもあったのだが、決めきれなかった。

 最後はダービーらしく激しい展開で、お互いに打ち合いになったものの決め手を欠いて1-1のドロー決着となった。

 

■最後に・・・

 前述したように2つの意味合いで重要な1戦だった。仙台にとっては残留のために山形に3を与えなかったことは、結果としては悪くなかっただろう。一方の山形は3を得られなかったことで、かなり状況は苦しくなってしまった。

 

 仙台は9月の戦いは1勝2分と負けなしで切り抜けた。この9月に変化があったとしたら、ミンテと野沢の代わりにリャンのボランチ復活と奥埜の中盤起用だろう。ウイルソンが戻ってきたことも大きいが、それよりもこの中盤の構成してから失点がかなり減っているので、渡邉監督が、明らかに勝ち点を稼ぐ戦い方へ9月からシフトチェンジしたと見ていい。実際に失点が減り、勝ち点も稼げたのでこのやり方は及第点といえる。

 しかし一方で、攻撃のほうはというと、やはり野沢が出ていないし、リャンが2列目で起用されていないので、どうしても攻撃の迫力は半減してしまう。こうやって見ると、奥埜や金久保とリャン、野沢のコンビには多少なりとも差があることは否めないだろう。ただ、ハモンがここ最近好調なのは朗報ではある。しかし攻撃はハモンの調子と、後半のウイルソン投入勝負になりがちになってしまっている。今回の山形戦では、中盤でいなすことが出来ずに相手に付き合ってしまった展開になってしまい、こうなるとやはり野沢のような選手が中盤に欲しくなる。現状、仙台はこちら(守備)が立てても、あちら(攻撃)が立たない状態であるように思える。

 残留するためというより、今後、この順位より上に行くためには、この辺の成長が必要だということになってきそう。次はマリノスである。ラスト5試合でもう一皮むけるため、そして成長が見られる試合を期待したい!