ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

失った自信を取り戻すために~J1 1stステージ第10節 川崎フロンターレvsベガルタ仙台~

 前節、ホームで不運なジャッチもあり敗れてしまった仙台。GW3連戦の2戦目、アウェイ・等々力に乗り込み対戦するは、現在2位につけている川崎フロンターレf:id:khigu:20191218213644p:plain

 川崎は前節、アウェイでガンバを下している。エウシーニョが出場停止明けで右サイドバック。左サイドバックには登里。憲剛をトップ下に置く、4-2-3-1。

 仙台は、平岡が体調不良で欠場。代わりに大岩がセンターバックで蜂須賀が右サイドバック。出場停止の石川直樹の穴は二見が埋める。リャンがスタメンに復帰し、2トップの一角はウイルソンではなく、ハモン・ロペス。

 

■前半~お互いのビルドアップのイメージ~

 川崎のビルドアップは、センターバックボランチが行う。その時の状況、相手のプレスの掛け方によって、ボランチの位置が変わることで、ビルドアップの出口を作るのが特徴的だった。

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 開始早々から、仙台が川崎のビルドアップ隊に対して、2トップとボランチで数的同数でのプレッシングを行ってきたので、川崎は、谷口をセンターバックの間に落とし、森谷と憲剛が仙台のボランチをピン止めすることで、自分たちがボールを保持する形を作った。

 川崎は基本的に、ビルドアップ時は3-1-4-2のようなイメージでビルドアップを行うことが多かった。憲剛と森谷が基本的にフリーで動いて、それに加えて大島や谷口が加わり、ボールを出し入れすることで、相手を動かして隙を作ろうとしていた。

 それに対して仙台は、4-4-2のブロックを形成して対抗する。川崎が細かいパスを多用することは、織り込み済みだったので、まずは人を捕まえて、自分のマークをハッキリしようというのが見て取れた。相手が流動的に動く中で、うまくマークを受け渡しながらしっかりとした対応を見せていた。

 

 一方、仙台がボールを保持したとき、仙台もボランチの一枚が下がって3-1-4-2に近い布陣でビルドアップを行うことになっていた。f:id:khigu:20191218213826p:plain

 仙台は、三田が主にセンターバックの間に下りてビルドアップを行っていた。ビルドアップの出口は主に、サイドバックにつけることとし、厳しければ、サイドの裏に野沢やハモンを走らせることもあった。

 川崎は基本的に4-4-2のブロックを組む。状況に応じて前からプレッシングを仕掛けていたが、仙台は六反を使うことでうまく回避していた。また、川崎は左サイドの森谷が大岩に対してプレッシングに行くシーンが目立っていた。よって時には蜂須賀がフリーの状態になることもあった。

理由はよくわからないが、右サイドの小林を前に出すと、エウシーニョだけになり、それだと守備に不安があるのかもしれない。もしくは単純に森谷のほうが運動量があり、2人分カバーできると考えたか。いまいちわからないかった。

 仙台は、川崎が前節の鳥栖のように前から激しくプレスを掛けてこないので、落ち着いてボールを握れることが出来ていた。特に川崎は中盤での守備が軽いので、簡単に仙台は前へと運ぶことに成功する。また今までであれば、サイドで起点を作って複数人で崩していくことを狙いとして行っていたが、この試合では二見と蜂須賀がサイドバックだったこともあり、サイドからシンプルにクロスを上げるシーンが多かった。

 それに加えて、奪われた後の切り替えが素早く。ネガトラが発生したときには2人でボールを奪って、また自分たちのボールにするようなシーンが多々あり、前節からの反省がうかがえた。

 

 前半は、川崎がゴールネットを二回揺らすシーンがあったものの、残念オフサイド。ということで0-0で折り返す。

 

■後半~人の配置を変えて効果はあったか~f:id:khigu:20191218213859p:plain

 後半、川崎は4-4-2にし、人の配置を変えてスタートする。

 大島と憲剛をダブルボランチにすることで、川崎はさらに自分たちのボールを保持する時間を長くし、仙台を苦しめたかったのだろう。

 

 後半は、お互いに前半のような後ろからつないでいくシーンは見られなかった。

 仙台は、左サイドを中心にボールを前進させる場面を増やしていく。ハモン、野沢が流れることで起点を作り出すことに成功する。また前半同様に素早い切り替えからボールを奪取し、2次3次攻撃へと繋げる場面が増えていく。

 川崎は、憲剛と大島のボランチコンビにしたものの、前半のようなビルドアップの仕組みではなく、憲剛と大島の質的優位で展開の打開を図った。しかし仙台にとっては、自分たちが誰につくかがハッキリしたことで、より前からプレッシングを掛けやすくなった。よって徐々に仙台は奪ったボールをシンプルにサイドから崩して決定機を作りだしていく。

 川崎は車屋、三好を入れて、登里を左サイドハーフ、右サイドは小林とエウシーニョのコンビに戻した。川崎はボールを保持する、そしてより攻勢を仕掛けるために人の配置をかなりいじっていた。けど、それが本当に効果があったかといえば微妙なところ。肝心の出し手である憲剛がうまく舵を取れずに川崎のパスを回しはことごとく仙台に引っかかることが非常に多かった。人の流動性は前半の時のほうがあったように思える。悩める川崎。

 

 70分に仙台に先制点。富田が野沢につなぎ、リャンへ。リャンは左サイドを抜け出したハモンへスルーパス。ハモンは後ろでフォローしていた野沢へパス。野沢のクロスは金久保に当たるが、その跳ね返ったボールをもう一回野沢がクロスし、最後は走り込んできた晋伍が決めて仙台先制。奪ったボールを素早くサイドに展開し崩した流れは、この試合の狙いが出来た場面であった。

 

 しかし先制したのもつかの間、73分にスローインの流れから大島が個人技でサイドを突破し、そのままニア上に決めて同点。せっかく先制したものの、すぐに追いつかれるという勿体ない展開に仙台はしてしまった。

 

 仙台は奥埜、ウイルソンを投入し、もう一回攻める姿勢を取り戻そうとするも、ゲームには大きな変化をもたらさなかった。

 最後はお互いにオープンな展開になるものの試合は動かず、1-1のドローとなった。

 

■最後に・・・

 前節の内容から比べれば、かなり改善された仙台。ボールに対して、しっかり戦えていたし、なにより奪った後の切り替えの早さが素晴らしかった。

 ここまでの試合では、サイドで数的優位を作ることを意識し過ぎで、攻撃に迫力を持たせることが出来ていなかったが、サイドバックが二見と蜂須賀であったこともあり、サイドからシンプルな攻撃が見られたことは良かったのではないだろうか。

 

 しかし、前述したように川崎が鳥栖のように前からプレスを激しくいくチームではなかったので、比較的後ろから落ち着いてボールを回せたことは加味しないといけない点である。なので、また鳥栖のようなチームと出会った時に同じ過ちを繰り返さないことが大事になってくると思う。

 まずは勝ち点1であるが、川崎相手に積み上げれたこと。そして何より自信を持ってプレーできたことは間違えなく収穫だと感じている。GW3連戦の3戦目は福岡。おそらく今節よりもやりづらい相手だと思うが、今節同様にアグレッシブな戦いで勝利を目指してもらいたい!!