ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

攻撃の多彩さを見せたセレッソ大阪J2 第32節 大宮アルディージャvsセレッソ大阪

 たまには他のゲームを。ということで今回は日曜日に現地で観戦した大宮vsC大阪を取り上げる。

 1位と3位の対戦。会場はいつものNACK5ではなく、年1回開催の熊谷。NACK5で見たかったなんて口が裂けても言えないが、熊谷もなかなか見やすいスタジアムだった。f:id:khigu:20191218202920p:plain

 愛媛、群馬、水戸相手にここ3戦勝てていない大宮。この試合では家長が看板破損による2試合の出場停止から帰還。このチームの中心である家長が帰ってきたことで、ベストメンバーでこの重要な1戦を迎えることができた。

 ここから4試合はC大阪ヴェルディ、千葉、磐田と続くので本当に重要な4試合のスタートである。

 

 フォルランカカウがいたのは遠い昔のように思えるセレッソ。序盤ではチームがまとまらず結果が出ず、昇格レースから出遅れたが、彼ら2人が去った後からチームにまとまりが生まれ、勝ち星を重ね現在3位。1年で復帰するためにもなんとしても自動昇格圏内に入りたいもの。2位磐田との勝ち点差も減ってきたので、自動昇格圏内に入ることも現実を帯びてきた。

 スタメンに目をやると懐かしのエジミウソン。玉田はケガでエジミウソンの相棒は楠神。ベンチには田代がいるなど、やっぱり戦力がずば抜けているセレッソである。

 

■前半~セレッソの攻撃~

 前半、より自分たちの思い通りにゲームを進められたのはセレッソの方だった。

f:id:khigu:20191218202959p:plain

 セレッソの攻撃のデザインはとても整備されていた。基本的にビルドアップはボランチセンターバックの4人で行う。状況に応じて、横幅を取っているサイドバックが下がってフォローに入ることはあるが、相手の2トップに対して、ボランチが様々な顔の出し方をしながらボールを前進させていた。

 また両サイドハーフは、相手のボランチサイドハーフサイドバックセンターバックで作られる四角形の中心にポジショニングし、そこから受けて起点を作る。

 セレッソはこのようなデザインとプランのもとでボールを握るための陣形を取っていた。

 

 先制点もその特徴が出ている。f:id:khigu:20191218203017p:plain

 このシーンにおけるポイントは2つ。1つは楠神が関口からボールを受けたときに縦に仕掛けるのではなく、横にドリブルしたこと。縦にコースがなかったので、横にドリブルしたわけだが、このことにより時間とスペースを作ることにつながる。

 そして2つ目は、パブロのフリーラン。パブロは楠神がボールを受けると同時に中へフリーランしている。この時にマークについていた横谷がそのまま付いていったので、セレッソから見て左サイドのスペースが空くことになった。

 そしてそのスペースに丸橋が顔を出し、フリーでクロスを上げて、最後はエジミウソンがヘッドで決めて先制する。楠神とパブロの動きによってスペースを作り、精度の高いキックを持つ丸橋が楽にクロスを上げることができた。連動したセレッソの攻撃だった。

 

 一方の大宮の攻撃は、家長のアイデアと左の泉澤の単騎特攻が基本であった。しかし、セレッソも大宮がある程度このパターンでしか攻めてこないので、落ち着いて対応していた。大宮はだいぶ攻めには苦しんでいた。家長と泉澤にとりあえずボールを預けるシーンが多く、この2人に頼っている印象だった。

 それでも追いつく大宮。45分に右サイドから家長がカルリーニョスのスルーパスに3人目の動きでディフェンスラインを抜けると最後はムルジャにパスして、流し込み同点。かなりセレッソの守備に苦しんでいたが、やはり家長のアイデアで点を取ることができた。

 前半は1-1で折り返す。

 

■後半~攻撃の多彩さ~

 前半は決定機の数こそ両チームとも変わりはなかったが、攻撃のアイデアやよりチームとして整備されているのはセレッソの方だった。

 大宮は同点に追いつき、その勢いで逆転したいもの。大宮は後半に入って横谷のポジションがより中でのプレーに変化している。前半は家長が低い位置で受けたがるので、ムルジャまでの距離が遠くなり、縦への攻撃より横からの攻撃が多くなっていた。それを修正するために家長が下がったら横谷が中央で顔を出し、中で受けることで中央からの攻撃も増やそうという狙いが見て取れた。

 実際に後半のスタートはセレッソがマークを付き切れていないこともあって、セレッソ陣内に押し込む時間がより長くなった。大宮も攻撃が整理され、全員が共通のイメージを持つことが徐々にでき始めた。

 

 セレッソは、反対に押し込まれてしまい、前に出ることが難しくなった。そこで楠神からマグノ・クルスへスイッチ。マグノ・クルスをトップ下のポジションに置くことで、まずはそこを起点にボールを握りなおすことから始める。

 この交代により、大宮のボランチがマグノ・クルスがいることで蛍や扇原へプレスを掛けにくくしていた。次第に蛍が前へポジショニングし、自由にボールを散らすことで、またセレッソが押し込む時間を作った。

 勝ち越しゴールが決まったのは、75分。蛍の右からのサイドチェンジを受けた丸橋が、パブロとワンツーで抜け出しクロス。これをエジミウソンが合わせ勝ちこし。公式ではオウンゴールだが、エジミウソンの得点と言っていいだろう。

 

 その後セレッソ中澤聡太田中裕介を投入し、5バックで大宮の攻撃をシャットアウト。1位、3位の直接対決は攻撃の多彩さが上回ったセレッソに軍配が上がった。

 

■最後に・・・

 大宮は今回も勝てなった。たぶん、1年通してこれをやっているので、そろそろ研究されているのだと思う。大宮はもともとボールを持つのが好きなタイプではないので、ボールを持った時にアイデアはどうしても家長次第になってくる。

 ただ、守備は大きな破たんはしなさそうなので、あとはどれくらい攻撃にバリエーションを持たせられるかが、残りの試合のポイントだろう。家長、カルリーニョスがいないヴェルディ戦はポイントになりそう。勝ち点的にはまだまだ余裕なので、残るは己との戦いになってきそうな大宮。自動昇格は問題ないと思う。

 

 C大阪は、反対に個の能力が高いので攻撃が多彩でバリエーションが多い。守備も一定の自信が掴めていそうなので、あとはそれを上手に結果に結びつけるのみ。2位と3位では雲泥の差なので是が非でも2位になりたいところ。この試合でエジミウソンが点を取ったことは今後に向けてかなりの収穫だったと思う。プレーオフは間違いないので、あとは磐田との勝負になってきそう。