ヒグのサッカー分析ブログ

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こんな日もあるさJ1 1stステージ最終節 ジュビロ磐田vsベガルタ仙台

 目下4連勝中の仙台。この調子を持続して2ndステージへと向かいたい1stステージ最終節の相手は磐田。アウェイ・ヤマハスタジアムでの対戦。f:id:khigu:20191230144301p:plain

 磐田はここ最近3戦勝ちなしが続いている。それに加えカミンスキーや八田といったキーパー陣やそれ以外のポジションでもケガ人が出ていて台所事情が厳しい様子。それに加え、今週の練習で名波がジェイに怒ったらしい。ということでジェイはメンバー外。

 櫻内と松浦が今節ではスタメンに名を連ねている。松浦ってもう27歳なんだね。

 一方の仙台も、野沢と晋伍が欠場。ウイルソン、金久保に続き、ここに来てケガ人が増えている。そんな今節は水野と藤村がスタメン。ベンチには菅井が帰ってきている。渡邉監督の手腕の見せ所となった今節である。

 なお、石川直樹が今節でJ1通算200試合達成。今節はキャプテンマークを巻く。

 

■前半~浴びるカウンター~

 前半は、仙台のボール保持。磐田のブロック&カウンターが目立った前半。

 仙台は今節、野沢と晋伍が欠場している。代わりにサイドハーフに入るのはサイドからのクロスを得意とする水野。そしてフォワードには奥埜が入った。またボランチには藤村がいる。よって選手のタイプ、性格が変わることで多少の変化があるはずである。しかし、渡邉監督はあくまでもいつも通りのサッカーを展開しようとしていた。

 右サイドの攻撃のときは、ハモンがサイドに流れた際に水野はフォワードの位置にポジションチェンジを繰り返し行っていたし、奥埜は下がってボールを捌く役割をこなしていた。

 前半から仙台がボールを持つ中で狙いとしていたのが、相手の背後。特にセンターバックの裏のスペースである。磐田のセンターバックは2人とも人への意識が強く、2人の間でズレが生じることが多かった。よって奥埜が大井を釣りだし、裏にハモンがダイヤゴナルで抜ける形はしっかり準備されていた。

 しかしやはり野沢がいないこともあって、質的にうまくいかないシーンのほうが多かった。いつもであれば野沢がいることでピッチを幅広く使い、横からのクロスが流れても逆から2次攻撃を開始できるような状況に持っていけるのだが、それが少なかった。余はやり切る場面(シュートやクロス)が極端に少ない、またシンプルな攻撃が出来ていなかった。これがのちの失点に繋がるのだが・・・。

 仙台の誤算は、自らの質的な低下だけではなかった。今の仙台であれば野沢がいなくても、ハモンがなんとか前線でキープして起点を作れるからである。しかし、この日のマーカーであるパパドプーロスが出色の出来で、ハモンを抑え続けた。空中戦、地上戦、とにかくハモンにファイトする元ギリシャ代表の前にハモンは自分の思うようなプレーが出来ていなかった。

 

 磐田は虎視眈々とカウンターを狙っていた。もちろん磐田がボールを保持するシーンもあったのだが、効果的にボールを回すことが出来なかった。それはおそらくジェイがいなかったから。ジェイがいればサイドからのシンプルなクロスといった攻撃が出来るのだが、如何せん的がいないので苦労していた。 

 磐田のカウンターは、うちを良くスカウティングしていたものだと思う。というか選手の特性がマッチしたとも言えるが。。f:id:khigu:20191230144409p:plain

 磐田は、まずは4-4-2のブロックを作る。仙台の攻撃の特徴上サイドバックが高い位置を取るので、左サイドにはアダイウトンをポジショニングさせる。そしてボールを引っかけたら素早くアダイウトンまでボールを運び、あとはカウンター発動。この時に松浦がアイソレーションで中央にランニングしてくることは準備されていた形だった。24分の先制点はまさにこの形だった。アダイウトンが左サイドを独走してゴールまで持っていった。

 右サイドは太田がランニングする。機会としては左サイドより少なかった。もちろんスタートのポジションが低いこともあるが。38分も磐田の理想的なカウンターだった。最後は太田。古巣への恩返し。

 両方とも仙台は人を掛けている状態だった。両サイドバックも高い位置を取り、センターバック以外は自陣にいた。2失点とも取られた形が最悪だった。特に2失点目は奥埜の落としが流れて奥埜を含めて6人も置き去りになってしまっていた。ボールを持つことが出来ていてもやり切れないとこういうことになるという悪いパターンの失点だった。

 もちろん、晋伍がいなかったこともデカかった。中盤のフィルター役として、セカンドボールを拾って自分たちのペースを持続できるのは晋伍がいてからこそ。藤村・三田のコンビもバランスを取ろうと努力はしていたし決して悪くはなかった。しかし2人で攻めあがってしまったり、セカンドボールを拾い切れなかったりと、やっぱり同じボランチでもフィルター役としての役割をこなすのは難しかった。おそらく晋伍のようなセカンドボールの読みみたいなものとかは中長期的に見て、この2人にも習得させたいのだろうけど。

 

 ということで前半は、やはり野沢と晋伍の欠場の痛さがもろに出て2失点。0-2で前半を折り返す。

 

■後半~修正を見せる仙台~f:id:khigu:20191230144522p:plain

 後半のスタートから水野→西村。奥埜を右サイドハーフで、西村とハモンの2トップ。前半の水野はパッとしなかったので妥当な交代だと思う。水野は周りとの連携がうまくいかなかったり、自分の持ち味が出せていなかった印象。少し悩める時期を過ごしている水野。

 

 後半、西村が入ったことでハモンは左のフォワードへ。パパドプーロスの激しいマークからの解放が目的であった。

 仙台は前半から繰り返していた裏へのパスを継続して行っていた。後半は奥埜が右サイドハーフに入ったことで、2トップの関係だけではなく、奥埜と2トップの関係から裏を取ろうとするシーンを作りだしていた結果的にはシュートには繋がらなかったが、ペースを掴むきっかけとなった。仙台は前半、ボールを保持してもピッチの幅をいっぱいに使えず、単発で攻撃が終わることや、やり切れないところからカウンターを食らうような場面が多かったが、後半に入ると三田、藤村を起点にサイドを広く使う攻撃が多くなった。

 特に前半はあまり目立ってなかった左からの攻撃も見せるようになる。しかし肝心のシュートまで届かない。もしくは遠い位置からのシュートで終わる場面が続いていった。

 

 こうやって自らチャンスを逸していると相手にチャンスが来るのがサッカー。69分、敵陣深くでボールを奪われる仙台。すかさずプレスに行くも掻い潜られ、小林が大きくクリア。中途半端になったボールを博文が処理をミス、アダイウトンがすかさず奪うと冷静に決めて3点目。

 70分にして勝負あった形となった。

 

 仙台は菅井を入れて攻勢に出る。磐田のブロックに何度も襲い掛かり、前半よりも惜しいシーンを作っていくが、やっぱり決めきることはできない。やっていることは間違ってないのに最後に決められない、そんな日だったように思える。

 1stステージ最終節は0-3の完敗となってしまった。

 

■最後に・・・

 やはりこれだけのケガ人が出てしまえば、戦力ダウンは否めない。金久保やウイルソンの穴は埋めれても野沢と晋伍の穴は埋めれなかった。まぁ、こんな日もあるさという感じだろうか。

 決して課題だけが浮き彫りになったワケではないと思う。まずは90分出た藤村や後半から出場の西村は、試合に出ることによって次第に良くなっている。若手は出場して経験を積ませることでしか成長できないと思っているので、この試合は2人にとっていいきっかけが掴めた試合だった思いたい。

 また、メンバーが変わってもブロックを組めば、しっかり守れることは証明できた。磐田のポゼッションのクオリティの問題もあるだろうが、しっかりオーガナイズした守りが出来ていたと感じた。

 なんで、03ではあったけど、悲観ばかりすることもないかなと。苦手な夏場は目の前だけど継続してやっていくしかないだろうし、特別なことをやるよりまずはこのサッカーをしっかりできることの方が大事だと個人的には考えている。

 もちろんそれでも、今回みたいにメンバーが変わればディテールの部分で変えることも出来たほうがいいと思う。今節であれば、水野にクロスを上げさせてハモンが中で合わせるような仕組みを作るとか。選手の特性を生かしたサッカーがこのサッカーの上に出来ていけば、仙台はもっと成長出来るかなとも思う。

 

 というわけで1stステージが終わった。10位で勝ち点が23。勝ち点自体は去年と同じだが、順位は少し下がった。けど、去年よりかは今年のほうがよりやりたいサッカーに近づいているし、ケガ人が多くて苦しい時期もあった中で、1stステージの終盤には4連勝も出来たし、ポジティブにとらえていいと思う。あとはベストメンバーで格上と戦った時にどれくらいできるかは楽しみ。1stステージはケガ人が多い時期に格上と当ることが多かったから。

 2ndステージは苦手な夏場からスタートなので、仙台としてはいつも通り厳しい闘いがやってくるだろうけど、継続してこのサッカーにトライしてもらいたい。

 ついでに1stステージのMVPはハモン、MIPは大岩です。

 ということで来週から2ndステージ。相手は川崎。優勝を逃した悔しさをぶつけにくるだろうけど、それにひるまずに勇敢に戦うことを期待したい!