ラスト5試合となったJ1。9月は1勝2分けと無敗で9月を乗り切り、早めに残留を決めたい仙台。今節はホームで横浜Fマリノスとの対戦となった。
スタメン
仙台は前節のみちのくダービーから、負傷の金園に代え野沢を起用し奥埜とハモンの2トップ。それ以外は変更なし。
一方、ここ最近7試合負けなしで、安定感が出てきたマリノス。齋藤学がケガで、右に天野純が起用された。
前半~変幻自在のマリノス~
試合開始直後から仙台は、この試合の守備のスタンスがハッキリしていた。マリノスのセンターバックを放置し、2トップはボランチにつく形を取っていた。この試合、仙台がまず第一に気にしていたのは、俊輔やアデミウソンにスペースを与えないこと。またはブロックの中で前を向かせないことだったと思う。その象徴がセンターバック放置で、守備の基準を前ではなく後ろに敷いたということである。けど、あくまでこれは第一段階。
この陣形にしてきた仙台に対して、マリノスは俊輔がブロックの外へ落ちてくる。俊輔が落ちてくるのはマリノスのテンプレで、前からよくあるシーンではある。なので仙台も織り込み済みだったはず。けど今回はそれに加え、喜田が俊輔のポジションに入ることがあった。仙台は俊輔に対してリャンが基本的には見る形ではあったが、喜田がポジションチェンジすることで、リャンをピン止めし、俊輔に時間とスペースを与える。
マリノスはもう一つポジションチェンジするところがある。それはアデミウソンと伊藤。この試合は本来左サイドハーフの齋藤学がいなかったので、アデミウソンが起用されていたが、伊藤とポジションチェンジを繰り返すことで、菅井に的を絞らせずに攻め込んでいた。
マリノスは全体的にポジションチェンジが多用することで、相手に守備の的(マーク)をハッキリさせない狙いがあった。攻撃は人が流動的に動くので、とても守備としては掴みづらい形になっていた。
一方の仙台は攻撃ではトップに入った奥埜が下りてきて起点を作ることで攻撃の糸口を探っていた。またアデミウソンサイド(マリノスの左サイド)を狙う場面が開始から多かった。おそらくアデミウソンは守備をそんなにしないというのが根底にあったのだろう。なんだけどフィニッシュまでの少なく、ハモンもファビオに抑えられるシーンが多々あり、攻撃はマリノスの堅い守備を前に前半は機能していなかった。
そうこうしているうちに、マリノスは中盤の形を次第に変化させていった。
次は俊輔が下りて中盤が3センターにすることだった。攻撃の起点・基準点を2トップの両脇にすることで、今度はポジションチェンジによる守備の基準点ずらしではなく、相手のシステムとかみ合わせを悪くすることで、基準点をずらす狙いがあった。
この変化によって、仙台のブロックは明らかに迷いはじめ、マリノスにいいようにボールを回される展開が長くなっていった。33分の三門の先制点も仙台の守備が全体的にずれてしまい、最終的には三門にブロックの中で時間とスペースを与えことになってしまった。
このシーンでは仙台の守備が完全に付いていけてないのを象徴するシーンであったとともに、マリノスの柔軟な攻めが実を結んだ形となった。
前半は変幻自在のマリノスの前に、タジタジな展開の仙台であった。
後半~中村俊輔~
後半、点を奪わなければならない仙台は、前プレを決行。放置していたセンターバックに対してガンガン前からかけることで、セカンドボールを奪うことで、敵陣へと押し込む時間を増やしていった。
また仙台は前半は右サイドからの攻めが多かったが、後半に入って、得意の左からの攻めに戻す形となった。前半は右でファビオに抑えられていたハモンも左に移し、中澤と対峙することで、チャンスは前半よりも多かった。
そして52分。そのハモンが左サイドで中澤を振り切ってクロスを上げて、奥埜のダイビングヘッドで同点。後ろなんか気にせず、死なばもろともの前プレで同点に持ち込むことに成功した。
また仙台は、マリノスの3センター対策として、3センターの脇は両サイドハーフがかけることでとりあえずは整理されていた。機能していたかは別として・・・。
そしてあっさり崩される。63分に右の天野から俊輔へ一瞬、野沢のプレスが緩くなったのを見て、無回転のミドル。六反が処理を誤り、走り込んできた小林にプッシュされ勝ち越しを許す。
そして73分にアデミウソンをペナルティエリア手前で倒しフリーキックを与えると俊輔がもちろん決めて3-1。
仙台はウイルソンや山本を投入し、反撃を試みるも、交代選手を入れながら、守備の強度を保ったマリノスの守備を崩せず、敗戦。4試合ぶりの敗戦となった。
最後に・・・
結果だけを見れば俊輔にやられた試合だが、全体を通してみるとマリノスの柔軟な戦い方を前に、仙台は柔軟な対応が出来ていなかった印象だった。ここ最近マリノスが調子がいいのが良く分かるゲームだった。マリノスはとてもチームとして整理されており、戦い方を見てもちょっとだけ欧州の匂いを感じた。
仙台はここに来て、ちょっと大丈夫か?と思わせる内容だった。金園がいないとこれだけ守備の強度が下がるのは心配の面である。それに後ろの押上げが足りないので、後半のように間延びした展開になってしまう。この中断期間に再度修正しなおしてラスト4試合へ備えたいところである。
次は清水。次負けたら終わりの清水なので、前から着てくるであろう。そんな相手に受け身にならず、自分たちが主導権を持って闘えるかがポイントになってきそう。とりあえず切り替えて、この清水戦に勝利できるように、いい準備をして挑んでもらいたい!