ヒグのサッカー分析ブログ

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勝負勘とチームマネジメント~J1第30節 ベガルタ仙台vs柏レイソル~

10月の三連戦のラストゲーム。ここ4試合負けなしの仙台は、この連戦で鹿島、ガンバを連破し、ネルシーニョラストイヤーをACL圏内で終わらせたい柏との対戦となった。近年同様に激しいタフなゲームは1-2で柏が勝利し、ACL圏内へと着実に歩を進めた。一方の仙台は最低でも1欲しいゲーム内容だったが、残念な結果となった。

 

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 仙台のスタメンは、前節ケガを負ったウイルソンに代わり武藤、ケガ持ちの菅井に代わり村上が右SBに入ることとなった。

 一方の柏は前節から5人の入れ替えがあった。出場停止明けの鈴木が復帰、逆に出場停止の大谷に代わり栗澤、そしてその相方の秋野を起用。両WBにはキムと橋本をチョイスしこの試合へ臨んだ。

 

 前半から互いに慎重な立ち上がりだった。柏は、ボランチから降りてくるレアンドロにボールを預けそこからの展開で攻撃を開始するのが基本の形なのだが、仙台はそのボランチに対し、ドイスボランチがしっかり見ることでまず縦を通させないことを意識していた。またレアンドロが下りてきた場合でも仙台のCBのどちらかがついていくやり方を徹底していたかのように思えた。また柏も、まずは赤嶺のポストに対してしっかり寄せてやらせないことや武藤に裏のスペースを与えないようにしっかりケアしていたのが見て取れた。

 それでもゲームを動かしたのは柏。真ん中がダメならサイドに攻撃を変更し、サイドから迎撃する。そして20分に左斜め45度でFKを獲得すると、秋野がキーパーとDFラインの間に入れたボールに渡部が決めて先制。いいボールが入ってきたのでなかなか対処は難しかったが、それでも仙台はファーの選手に対するマークが甘かったように思えた。

 その後も仙台は我慢の時間が強いられる。攻撃の糸口もなかなか見いだせず、チャンスが作れないでいた。それでも仙台は前半でゲームを振り戻す。39分に右サイドで武藤、赤嶺と2回ポストプレーがあり、相手のDFがサイドにずれてきたところで左へ展開、そしてリャンが右のアウトサイドで抜け出した武藤へパス。武藤はDFを1人抜き去りファーへと流し込み同点。柏の守備にできた一瞬のずれを見逃さなかった仙台がチャンスをものにすることが出来た。

 前半は1-1で折り返す。

 

 後半。押し込んだのは同点にした仙台だった。前半よりもシンプルにロングボールを使い、相手のサイドの裏のスペースに武藤や太田を走らせることで、柏敵陣へと押し込んだ。サイドで起点ができ、いくらか惜しい場面も作れるようになり、攻めあぐんでいた前半よりもゴール前へ持っていくシーンが増えた。しかし、柏も最後のところはやらせない。中央を固め、体を張った守りで仙台にゴールを割らせなかった。そしてスキあらばカウンターで攻め込む。

 こういう展開になると中央のスペースが空き間延びしてしまう。実際にこのゲームでも間延びが生じていた。そこで互いに2列目のところを代え勝負に出る。が、互いに決めることが出来ない。

 しかし、90+2分にゲームが動く。柏の遠目からのFKを渡部(もしくは増嶋)が折り返し、エアポケットになりフリーで受けたレアンドロが押し込み柏が勝ち越し、勝負アリ。柏は3連勝し、一方の仙台は5試合ぶりの敗戦となった。

 

 両者とも激しく、タフなゲームであったこの試合であるが、個人的にこの試合のどこにポイントがあったかと言えば、この試合へ臨む選手のチョイスであったと思う。仙台はここ4試合負けなかったこともあり、ケガ人のところは入れ替えたものの基本は同じメンバー。一方の柏は、前節勝利したにも関わらず、メンバーを5人も変えてきた。もちろんそこには前節良いパフォーマンスしたからスタメンに入ったということもあるだろうし、連戦も考慮したのもあるだろう。しかしそれ以上にネルシーニョは仙台戦はいつもタフになることをわかっていて最後まで走り切れる選手を起用したのだと思う。そしてロスタイムに決勝点を決め勝つことが出来た。一方の仙台は最後に足が止まる選手がたくさんいた。

 ネルシーニョは柏で過ごした6年間で誰が出ても遜色なくやれるチームを作り上げた。その成果がこういう厳しいゲームに出たんだと思う。やはりネルシーニョはそういったチームマネジメントに優れ、勝負勘のある男である。

 そんなJの名将と今シーズンから指揮を執る新米監督を単純比較するのはいささか酷である。これもまた経験である。渡邉監督にとってこの試合が1つの経験となり糧となればいいと思っている。

 

 さて、話は現実的に残留争いの話へ。今節柏に負けてしまったものの残留争いしているチームの中で今節勝ったのは甲府のみ。ほとんど順位に変動はなく相変わらず混沌としている。なので、とにかく今までやってきた形をまずは継続してやっていければいいと思う。そうすれば勝ち点もおのずとついてくるはずだ。まずは柏戦の悔しさをエネルギーにし、次のガンバ戦へとつなげてもらいたい。次のガンバは浦和の背中も見え、今まで以上にモチベーションを高く持って挑んでくるはずだ。とにかくアウェイの雰囲気飲み込まれず、しぶとい闘いを万博でもやってもらいたい!!