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価値あるものにするために~J1第31節ガンバ大阪vsベガルタ仙台~

 いよいよ残り3試合となり、最終盤を迎えたJ1。今節、仙台はアウェイでガンバ大阪との対戦となった。優勝争いと残留争いに絡む両者。互いに負けられない1戦は11の引き分け。ガンバにとっては勝ち点3をもぎ取り次節の浦和との直接対決を迎えたかったが痛い引き分け。一方の仙台は、2位相手にしかもアウェイでの勝ち点1の積み上げは上出来の結果であった。

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 ガンバは前節のF東京戦から出場停止明けの岩下が復帰、また倉田に代わり阿部がスタメン起用された。仙台は、右サイドバックに菅井が戻りこの試合に臨んだ。

 

 前半、狙い通りの展開にできたのは仙台だった。f:id:khigu:20190502123824p:plain

 このゲーム、ガンバは仙台が低い位置でブロックを組むために簡単に前に持ち運べることが出来た。特に仙台はブロックを組むときに赤嶺と武藤は遠藤、今野のポジションを見ることが多かった。そのためガンバは人をかけることができ、攻撃時に多くに選手が敵陣でプレーすることとなった。しかし、仙台は低い位置で守備をしながらうまく多くの人数で挟み込んだり、サイドに追いやることでガンバのポゼッションに対抗していた。そしてボールを奪うとガンバのサイドバックの空けたスペースに2トップがボールを受け、そこからのカウンターに持ち込んだ。ガンバは両サイドハーフが中に絞ったり、サイドハーフがボールを持つとそれに呼応しサイドバックがすぐさまオーバーラップし攻撃に絡んでいくシーンが多かった。そのためサイドにスペースが生まれ2トップやまたは太田がドリブルで運ぶシーンが出来るようになった。

 仙台は、ロングカウンターを基本とし、とにかくサイドを起点に攻撃を開始していた。ここ最近は野沢がサイドハーフに入り、リャンがボランチになったことで、ポゼッションでもある程度ボールを回すことが可能になり、また武藤がいることで間で受けれる選手もいるようになり、シュートまで持っていけなくともチャンスになりそうというところまで来ている。

 とにかく仙台の守備は素晴らしかった。高い位置でも行けると思ったらプレッシングをかけ、そのことによってセカンドボールも拾え、2次攻撃につなげることができたし、宇佐美、パトリックに対してほとんど仕事をさせていなかった。また遠藤に対しても武藤がプレスバックしボールを奪うなど、それなりの対応が出来ていた。とにかく前半の仙台には気迫と勢いを感じた前半の戦いぶりだった。

 一方のガンバはそんな仙台の守備に悪戦苦闘し、なかなか決定的な場面が作れず、歯がゆいゲーム内容となってしまった。

 そんな前半は0-0で折り返すこととなる。

 

 後半、いきなり試合が動く。決めたのはガンバ。まさに青天の霹靂だった。スローインの流れからロングボールを蹴るとそれに反応した遠藤。遠藤のポジションに気を取られた上本は処理をあやまり遠藤のもとへ、そのボールを大森につなぐと大森は菅井、そして足を滑らせた石川を冷静に交わし、ゴール左隅へ決めた。この試合初めてと言っていい遠藤の飛び出しからの先制点だった。立ち上がりに守備は集中したいところだったが、ガンバが一瞬のスキを逃さなかった。

 その後はガンバが前半から見違えるほどに猛攻を仕掛ける。前半仕事させてもらえなかった宇佐美もポスト、バー、キーパー正面の惜しいシュートを放ち、チャンスを作っていく。ガンバはうまく修正し、ボールを失った後もプレッシングをすることでセカンドボールを拾い、2次、3次攻撃へとつなげることに成功した。まさに前半と全く逆の展開となってしまった。

 一方の仙台は、前半から飛ばしすぎた影響からか簡単なミスが増え、自ら攻撃をつぶしてしまうシーンが散見された。ガンバが先制したことで逆にひかれてしまい、両サイドバックも上がってこないのでスペースがなく、また赤嶺にロングボールを入れても相手もポイントを絞ってしまえるため赤嶺に収められない状態でいた。そんな中で仙台は、後半スペースがなくなってしまい、手詰まり感が否めなかった太田に代え、柳沢を投入。武藤をサイドハーフに下げ、柳沢をFWに置くことで間でボールを受けれるし、もうひとつポイントを作ろうという狙いだった。実際、柳沢を投入したことでボールも前線に入るようになり、幾分よくなったがそれでもガンバの守りを崩すまでには至らない。

 その後はガンバが守り、そしてボールを動かしながらうまくゲームを進めていっていた。よって仙台は次の手として赤嶺に代えてハモンを投入。ハモンを起点に攻め込む狙いだった。ハモンも夏場よりコンディションが良くなったこともあり、頑張って競り勝ってくれるシーンが多かった。そしてラスト5分あたりからパワープレーで仕掛けだす仙台。それが実ったのは90+3分のことだった。上本がロングボールを放り込むとハモンが競り勝ち、スルスルッと抜け出した柳沢が左足でたたきつけて東口の手をはじきながらネットを揺らした。そして試合終了。最後の最後に同点ゴールをもぎ取った仙台がアウェイで貴重な勝ち点1を積み上げる結果となった。

 

 試合を振り返ると、後半優勢に試合を運んでいたガンバにそのまま逃げ切られてしまうのが今シーズンの仙台だったが、最後に意地を見せてくれたあたりはやはり選手の経験値であったり、最後まで諦めない姿勢が実った結果だったと思う。優勝争いしているチームにアウェイで勝ち点1をもぎ取ってきたことは非常に価値があるものだった。

 しかし、この勝ち点1を本当の意味で価値あるものにするためには、残りの3試合で結果を出す必要がある。特に次節、次々節とホーム連戦になるため、ここで連勝し残留へ大きく前進したいところである。次なる相手は17位・セレッソ大阪。残留争い直接対決となる。今節、同じく残留争いの渦中にある甲府に逆転負けを喫し、いよいよ危なくなってきたセレッソ、次は死に物狂いで仙台に勝ちにくるだろう。次のゲームのポイントは攻めにくるであろうセレッソに対し、いつもの粘り強い守備をしながらゲームのイニシアチブを握れるかである。セレッソの勢いに飲まれることが一番の禁物、いかに冷静にゲームを進め、ここぞというところでカウンターなどで決めきれるかがカギとなってくるだろう。常に頭をクリアにすることが大切になってくる。

 次節はリーグ中断を経ての11月22日。ホームという地の利を活かし、いつもの通りの我慢強い闘いで、勝利をもぎ取ってもらいたい!!