さて、今回は横浜FC戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・レノファ山口FC相手に1人退場者を出してしまったものの、2-1で勝利し、今シーズン2勝目をゲット。今節の相手は無敗の首位・横浜FC。ここまで積み上げてきたサッカーで初黒星を付けたいところだ。
前節退場したキム・テヒョンに代わって若狭がセンターバックに入った以外は変更なし。ベンチにはケガから復帰したフェリペ・カルドーゾがメンバー入りした。
横浜FCは前節・ジェフ千葉戦で先制するものの、アディショナルタイムにセットプレーで失点を喫し勝点2を失う格好となった。仕切り直しとなる今節、ホーム三ッ沢で勝点3を積み重ねたいところ。
前節から5人のメンバーを入れ替えた。3バックの一角に中村拓海、ボランチの安永は今シーズン初スタメン。両翼に高木とイサカ・ゼインを起用し、頂点にフェリペ・ヴィゼウ、シャドーの位置に小川を配置した。
前半
(1)サイドチェンジを許容した仙台の守備
序盤は、4-1-5でボール保持の形を取る横浜FCがゆっくりしたペースで試合を進めていく。
まずはそれに対する仙台の準備したことを見ていきたい。
4-1-5の横浜FCに対して4-4-2でSHが高い位置を取る形で守る仙台。2トップは安永を守備基準点とし、どちらかがボールホルダーにプレッシングを掛けるシーンもあった。
横浜FCの前進の特徴は、大きなサイドチェンジからのサイド攻撃だった。それに対して仙台はサイドチェンジは許容し、スライドすることとサイドハーフが戻ってくることで相手ウイングバックに対応した。1対1ではほとんど突破を許さなかったことで、サイドから危ないシーンはほとんど生まれなかった。しかし、サイドチェンジからハーフスペースに位置取るシャドーやボランチに横パスを通され、中央を突破されかけるシーンはあった。
またワントップのヴィゼウに対しては若狭が好きにやらせない。ヴィゼウにボールが入らないのでシャドーの小川も輝くシーンが限られていた。
横に対してはスライドで、縦に対しては厳しいアプローチで横浜FCのボール保持に対してうまく対応できた仙台だった。
(2)マンツーマンプレスの相手を引き出す
一方で仙台がどのようにしてボールを前線へ運ぼうとしていたのかを見ていきたい。
横浜FCの守備の特徴は相手に対してマンツーマンでボールを奪いに行くことだ。
この試合では前線からプレッシングを掛ける際に仙台と同じ4-4-2の形にしてプレッシングを行っていた。
それに対して仙台は、あえて4-4-2の形を維持し、横浜FCのプレッシング部隊を前から来させることで、後方のスペースを作り出して、そこへボールを送ることで前進を図っていた。
横浜FCはボランチを含めて敵陣で積極的にプレッシングに行くものの、センターバックは前に出てこないため、ボランチとセンターバックの間にスペースが生まれる。そこに2トップや氣田などが侵入することで前を向いて仕掛けるシーンを作り出していた。
そして18分に仙台が先制点を決める。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月17日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第10節
🆚 横浜FCvs仙台
🔢 0-1
⌚️ 18分
⚽️ #氣田亮真(仙台)#Jリーグ#横浜FC仙台
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ゴール自体は氣田と中島でボールを奪ってからのカウンターだったが、その前段ではやはり横浜FCの前プレに対してロングボールを2トップへ送ったシーンがスタートとなった。
そこから前向きに守備を行えたことで仙台はボールを奪いきってゴールを決めることができた。
前半は、攻守ともに仙台の方が準備してきたこと、狙いとしてきたことが表現できた内容だった。36分の名倉の決定機などを決めて追加点を奪えればパーフェクトな内容だったと思うが、ひとまず1点リードで折り返す。
後半
(1)ボール保持の変化と選手交代で逆転に成功した横浜FC
後半に向けて横浜FCは3枚替えを実施する。これで3バックの一角に武田(ガブリエウが皆川との接触で鼻を負傷したため)、右ウイングバックに山下、頂点に小川を配置し、シャドーに伊藤翔と長谷川という布陣へ変更した。
横浜FCは後半になるとボール保持の形を変更した。
横浜FCは手塚の列を落とさずに3-2-5の形にした。
仙台の2トップの守備基準点がボランチだったこともあり、結果的に3バックがフリーになり、彼らからボールを前進させることに成功する。また両ウイングバックも前半より高い位置を取ることで、仙台のサイドハーフも低い位置を取ることが多くなった。
また頂点の小川が背後に動いたり、落ちてきてポストワークするなどヴィゼウと違って動きがあるのでセンターバックも捕まえづらくなった。また小川の動きに呼応してシャドーも空いているスペースでボールを受けるシーンが増えた。特に伊藤はボランチ脇のスペースにポジショニングしボールを受けることで中央からの攻撃を可能とさせた。
そして横浜FCは立て続けにゴール決め、一気に逆転に成功する。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月17日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第10節
🆚 横浜FCvs仙台
🔢 1-1
⌚️ 52分
⚽️ #小川航基(横浜FC)#Jリーグ#横浜FC仙台
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🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2022年4月17日
🏆 明治安田生命J2リーグ 第10節
🆚 横浜FCvs仙台
🔢 2-1
⌚️ 56分
⚽️ #小川航基(横浜FC)#Jリーグ#横浜FC仙台
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流れとしてはやはりフリーになった3バックからがスタートとなった。横浜FCとしては後半の修正が効果的だったことを証明する逆転劇だった。
(2)死なばもろとものプレスと効果が生まれなかった選手交代
逆転された仙台は、63分に名倉に代えて加藤を投入する。この交代から2トップを縦関係にし、サイドハーフを前に出すことで横浜FCの3バックにプレッシングを掛けるようになる。また浮いていた伊藤に対しては平岡が前に出て対応するようになった。
しかし、死なばもろともなプレスを掛けるとその背後にスペースが生まれる。そこへスピードのある山下が仕掛ける回数が多くなり、非常に厄介だった。
続けて69分には中島と皆川に代えてデサバトとカルドーゾを投入する。しかし交代の効果は生まれなかった。デサバトはバランスを取ろうとするためスピードが遅くなり、横浜FCのマンツーマンプレスを打開する回数が減った。カルドーゾもまだチームのやり方に溶け込めず、ドリブルやペナルティエリア内での仕掛けなど、なかなか自分の得意としているプレーが発揮できなかった。
その後は高山主審のジャッジにもフラストレーションが溜まっていくようになり、逆に横浜FCがうまく主審のジャッジと付き合ったことで仙台のファウルを誘い、チャンスを作らせなかった。
88分にはフォギーニョと石原から福森と内田にスイッチし、3バックにするが焼け石に水だった。
後半は前半と打って変わって横浜FCのゲームとなった試合は1-2の敗戦となった。
最後に・・・
前半は狙い通りの試合ができていた一方で、修正された後半には横浜FCにしてやられた格好となった。
後半のボール保持の変更は仙台の2トップが3バックへプレスに行かないことを分かっての変更だっただろう。
普段であればそれでも守り切れるのだが、やはり大型補強を敢行し、選手の質が違う横浜FCにはそれでは敵わなかった。
首位相手に敗戦したのは悔しいが、下を向く必要はない。今はチームとしてレベルを上げている段階だし、まずは今のサッカーを突き詰めて欲しい。
あとはボールを奪いに行くところで、もっと自分たちからアクションを起こしてく必要はあるだろう。ボール保持率を上げるためには保持する能力だけではなく、相手からボールを奪い取ることも重要になってくると思う。なので、もっと前から仕掛けて相手に時間とスペースを与えないような戦いができればなと考えている。
次節からゴールデンウィーク5連戦が始まる。まずはホームにFC琉球を迎えての一戦だ。最下位ではあるものの攻撃力があり、決して侮れない相手。まずはホームで連敗を断ち切って、5連戦の初戦をいいスタートで切って欲しい!!