さて、今回はFC今治戦を振り返ります。
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スタメン

ベガルタ仙台は、前節・サガン鳥栖との6ポインターに3-2で勝利。鳥栖に2点先行され、かつ石尾が退場になる絶体絶命な状況だったものの宮崎の2ゴールで追いつき、アディショナルタイムの小林のゴールで逆転した。まさにクラブ史に残る激闘だった。
この勝利で仙台はプレーオフ圏内に再浮上。残り4試合となったリーグ戦で、まだまだ混戦模様は続いていくが、悲願達成のためにも負けられない戦いは続く。
今節のFC今治は堅実なサッカーに加えて、マルクス・ヴィニシウスや横山など個人で打開できるフォワードがいるだけに難しい試合になると予想される。仙台は今治の5バック攻略を図りながら、個人能力が高い前線を抑えることが出来るかがポイントとなる試合となった。
仙台は前節から2人のメンバーを入れ替え。体調不良だった荒木がベンチスタートとなり、代わりに山内が右サイドハーフでスタメン。また、郷家も2トップの一角としてスタメンに戻ってきた。ベンチには髙田、グスタボ、前節ヒーローとなった小林らが控えている。
一方のFC今治は、前節・V・ファーレン長崎に1-1の引き分け。アウェイでの長崎戦ではあったが、内容も悪くなく後半に追いつくことが出来た。
J3からの昇格組でありながらここまでプレーオフ争いに加わるなどインパクトを残している今治だが、夏場から少しずつ勝点を落としておりプレーオフ進出に向けて引き分けすら許されない状況だ。
ここで上位の仙台を倒すことで、プレーオフ進出に向けて一縷の望みを繋ぎたい一戦となった。
今治は前節と同様の11人をスタメンで起用した。ベンチにはパトリッキ・ヴェロンと怪我明けの加藤潤也が前節から代わってメンバー入りとなっている。
前半
(1)「想定内」の今治と「想定外」だった仙台
試合開始序盤は、仙台が今治ディフェンスラインの背後へシンプルにボールを送って前線を走らせることを狙った。もしボールを取れなくても、そこからのプレッシングでセカンドボールを回収し、押し込むことを目指す。
実際に試合開始早々に右サイドの背後を取るとコーナーキックを2回獲得している。
試合序盤にいい入り方が出来た仙台が、7分にゲームを動かすことに成功した。
宮崎鴻が2試合連発!⚽️⚽️
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2025年11月2日
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🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 今治vs仙台
🔢 0-1
⌚️ 7分
⚽️ 宮崎 鴻(仙台)#Jリーグ pic.twitter.com/hYGlAXTSo6
自陣からの井上のフリーキックから逆サイドの相良へ展開。相良は縦に仕掛けて左足でクロスを上げると、ファーで宮崎が合わせて幸先よく先制点を奪う。
仙台としては序盤から相手陣地でプレー出来ていたことや、ファーサイドへのクロスボールを狙ったことで宮崎と弓場のミスマッチを作り出しゴールを奪えた。
しかしながら、仙台の流れだったのは序盤の時間帯だけで、そこからは今治が徐々にリズムを作っていくようになる。
仙台がスコアを動かした4分後の11分に今治は同点に追いつく。
今治がすぐさま追いつく!
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2025年11月2日
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 今治vs仙台
🔢 1-1
⌚️ 11分
⚽️ 安井 拓也(今治)#Jリーグ pic.twitter.com/t1cT5hxDP7
きっかけは今治のビルドアップから。ダニーロからアンカーの梶浦へ楔パスが入ると、そこから新井を経由して右サイドの梅木へ展開。梅木のアーリークロスをマルクス・ヴィニシウスが収めて、最後は安井が押し込む。
仙台としては、マルクス・ヴィニシウスのポジションがオフサイドとセルフジャッジしてしまい足が止まってしまった。ここは残念なプレーだった。
一方でこの得点が象徴しているように、今治はボール保持においてしっかり仙台をスカウティングし、ゲームを進めていた。
以下、両監督の試合後のコメントを引用する。
今治・倉石監督
- 今日は前線と2列目のところで崩す形が多かったと思います。その中でも、前線で持井選手が流動的に動きながら、2列目からどんどん飛び出していくシチュエーション。守備が堅い仙台が相手ということで、ある程度イメージを持って入ったのではと思います。このあたりの狙いはどんなところだったのでしょうか。アナリストの野本が分析した通りの立ち位置だったり、守備のかけ方と守り方をしていたので、そこはトレーニングしたまんまが出たというところです。そこが得点の際のスピーディーさに繋がったと思います。
11/2 ベガルタ仙台戦 |試合結果|トップチーム|FC今治公式サイト / FC IMABARI Official Site
仙台・森山監督
- 今治の左右のセンターバックに少し持ち運ばれて、ウイングバックに預けられたりとか、スルーパスを通されたりというシーンもあったと思うのですけど、そういうセンターバックの攻撃参加をどう想定していたのでしょうか。プレッシャーをかけたら意外と早めに長いボールも入れてくるのかと。我々の試合も分析したら前から(プレッシャーをかけに)くるから、ちょっと長いボールを入れてという感じもありましたけど、意外とその3バックからサイドを起点にしてというところでやられてしまったので、そこはちょっと予想以上にやられたなというのはあります。

森山監督のコメントを読むに、今治の3バックがボールを持ったときにプレッシャーを掛ければ早めにロングボールを選択するというスカウティングをしていたのだと思われる。
ただ、倉石監督のコメントにもあったように仙台の4-2-4で構えるミドルブロックに対してしっかり立ち位置を取りながら3バックを起点にサイドから中央から地上戦での前進を準備していた。
梶浦のアンカーに、安井と新井がボランチ脇にポジションを取りながら、持井が1.5列目から流動的に顔を出してくる。配置的には前節の鳥栖と似たような配置だが、鳥栖よりも距離感は標準的で仙台との嚙み合わせのミスマッチを上手く利用した形だった。
そして、同点にしてから流れを掴んだ今治は21分に逆転ゴールを決める。
マルクス ヴィニシウスのヘディング弾で今治が逆転💥
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2025年11月2日
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🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 今治vs仙台
🔢 2-1
⌚️ 21分
⚽️ マルクス ヴィニシウス(今治)#Jリーグ pic.twitter.com/RIEjZD0jlk
大森がドリブルで持ち運び、相良を引き付けると梅木へパス。梅木のアーリークロスをマルクス・ヴィニシウスがダイビングヘッドで合わせた。
これも狙い通りのゴールだっただろう。大森が運ぶことで相良を引き付け、また新井は奥山をピン止めすることで梅木がフリーとなった。梅木の高精度のアーリークロスも、マルクス・ヴィニシウスの決定力の高さも見事だった。
仙台としては対処法を見出せないまま僅か15分足らずで逆転を許してしまった。
(2)右サイドへの誘導と出足の早い守備
今治が主導権を握れていたのは、攻撃だけではく守備でのハードワークがあったからだった。

今治の狙いは仙台の右サイド、特に井上だった。
仙台のビルドアップは基本的に右偏重になることが多い。特に右サイドで井上が始点となることが多く、そこに対して今治は強烈なプレッシングを仕掛けた。
仙台のビルドアップを右サイドへと誘導すると井上には持井がスプリントを掛けてプレッシャーを掛ける。それに呼応して他の選手もマンツーマンで掴めることで、仙台は前進に苦しみ、今治はボールを奪うことに成功する。
時間の経過とともに井上は判断が難しくなり、トラップミスをしたり持井が引っ掛けたりした。これは今治のプレッシャーがハマっている証拠でもあった。
またそれだけではなく、中盤の激しい攻防やセカンドボールの攻防においても今治は出足の早い守備でボールを回収していく。
この辺の絶対に負けられないという状況下で、強度が高くプレー出来ていたのは今治の方だった。
そして37分にはさらにスコアを広げるゴールを決める。
弓場堅真の絶妙スルーパスから、
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2025年11月2日
マルクス ヴィニシウスが2得点目!👏
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 今治vs仙台
🔢 3-1
⌚️ 38分
⚽️ マルクス ヴィニシウス(今治)#Jリーグ pic.twitter.com/PPpbbAZM9O
これもきっかけは3バックからだった。加藤徹也のパスから弓場へ繋げると、弓場はマルクス・ヴィニシウスへ絶妙なスルーパスを送り、抜け出したマルクス・ヴィニシウスが冷静に林との1vs1を制してゴールへと流し込んだ。
この時間は仙台も前からボールを奪いに行っていたところで、うまく3バックに剥がされての失点だった。
その後は右サイドのポケットを侵入したところからチャンスを作り出すも、今治の堅固な守備を前にシュートを打てなかった。
仙台は、幸先よく先制には成功したもののしっかりスカウティングして準備をしてきた今治に対して、前半だけで3ゴールを奪われ1-3で後半へと折り返す。
後半
(1)激しく襲い掛け続ける今治

2点を追う仙台は、後半から工藤と山内に代えて武田と荒木を投入する。
しかしながら、ペースは今治。後半も開始から仙台に対して前線から積極的なプレッシングを仕掛けることで攻撃の糸口を作らせない。
48分、49分にはそれぞれショートカウンターから安井に決定機が訪れるが、いずれもシュートは枠の外。仙台は肝を冷やすシーンが続いた。
後半は武田と鎌田がセンターバックをフォローするポジションを取ることも多くなったが、今治のプレッシャーの餌食となり、なかなか地上戦から掻い潜ることが出来なかった。
(2)解決してくれたのは「時間」
なかなか今治のプレッシャーを掻い潜れない仙台だったが、60分に林のフィードから相良が収めると奥山、井上を経由して右サイドの真瀬へ。真瀬のグランダーのクロスを相良が中央で受けて、落としたボールを武田がミドルシュートを放つ。これは相手ディフェンスにブロックされるが、このシーンから仙台が押し込む時間帯が続くようになる。
そして64分には右サイドの真瀬を起点に武田が左サイドの奥山へ展開。奥山から中央の鎌田へパスを出し、鎌田のアウトサイドでのフリックから郷家が抜け出そうとしたところでダニーロのファウルを誘いPKを獲得する。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2025年11月2日
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 今治vs仙台
🔢 3-2
⌚️ 66分
⚽️ 郷家 友太(仙台)#Jリーグ pic.twitter.com/8FwwJ75HVg
そして、このPKを郷家が自分で沈めて1点差へ詰め寄る。
今治のプレッシャーに苦しんでいた仙台だったが、解決してくれたのは時間だった。
後半半ばで追いつけたことで、仙台は鳥栖戦同様に2点差をひっくり返すには十分時間が残されたシチュエーションとなった。
(3)横山の投入により変化した戦い方
失点直後の67分に今治は安井と持井に代えてヴィニシウス・ディニスと横山を投入する。
1点差に詰め寄られた今治だったが、この交代を機に戦い方に変化が生まれる。ここまで仙台のビルドアップ隊にプレッシングを仕掛けていたが、5-3-2の守備ブロックを形成することに重きを置き、ロングカウンターから追加点を目指す形に変わった。
実際に仙台がボールを保持して今治陣内に攻め込む回数が増えたが、それと同時に今治がボールを奪うと、手薄になった仙台守備陣に対してマルクス・ヴィニシウスが個人能力でボールを収めて横山がスピードを活かした飛び出しで幾度もゴールへ迫っていった。
仙台もかなりこのカウンターに手を焼いたが、最後の最後に林のセーブで4点目を与えない。
仙台は、奥山に代わって石井、相良に代わって小林が投入される。
ボールを保持して今治陣内へと押し込む時間帯が増え、仙台も荒木が縦横無尽に顔を出して局面で数的優位を作ったり、3列目から武田、鎌田の配球によってチャンスを作り出すも、なかなか今治の堅い守備陣を突破することが出来ない。
セットプレーの数も増えていったが、88分の武田の右コーナーキックに荒木が合わたシーンは枠の左に逸れた。
仙台は最後の交代で鎌田に代わってグスタボを投入するも、今治守備陣を慌てされることはできず、反対にアディショナルタイムに入っても今治にカウンターからゴールを脅かされ、結局追いつくことが出来ずにタイムアップを迎えた。
試合は2-3で今治の勝利。仙台は鳥栖戦での劇的勝利の勢いを持続させることが出来なかった。
最後に・・・
やはり今治は難敵で、プレーオフに向けて負けられない状況のなかでしっかりスカウティングされて敗れてしまった内容だtった。さらに負けられない戦いのなかで、より勝負に対して必死さがあったのは今治の方で、球際や走力の部分で仙台は正直劣ってしまっていた。
このゲームにおける教訓は色々あるが、まずは今治のような必死さや戦う部分をもう1回見つめなさなければならいところだろう。自分たちだけではなく相手も昇格や残留に向けて必死で負けられない戦いが続くなかで、いかに相手よりも球際の攻防で勝てるか、高い強度でハードワークできるかが問われる。そういう意味でもラスト3試合に向けていい教訓を得た試合だったと思う。
次節以降は熊本、秋田、いわきといずれのチームも残留やプレーオフ進出に向けて負けられない状況が続いている。そんな相手に対して仙台は100%以上の力を発揮できるかどうかが重要だ。まさに理屈ではなくメンタルの戦いとなる。
もちろん、今治にスカウティングされやられてしまった部分は反省しなければならない。次節のロアッソ熊本もまた3バックのチームであり、また今治とは毛色の違うチームである。
熊本の特徴と言えば、狭い局面での細かいパスワークだが、守備ではマンツーマンで厳しく来る。負けられない状況となれば、さらにその守備面を強調して来る可能性は十分にある。
大混戦のJ2なだけに昇格、残留に絡んでいるチームが半数以上ある。負けられない理由はそれぞれ異なるが、必死で来ることは間違いない。
最後までこの昇格戦線に生き残り、そしてJ1を目指すためにもまずは次節の熊本戦がとにかく重要な一戦となる。熊本に総力戦で襲い掛かって、飲み込んで勝点3をゲットしたい!!!
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