ヒグのサッカー分析ブログ

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臥薪嘗胆~J1 2ndステージ第6節 ベガルタ仙台vs松本山雅FC~

 東アジアカップによるプチ中断を経ての第6節。ここまで2ndステージ勝利のない仙台はホームで松本との対戦となった。両者の勝ち点差は3。反町氏の言葉を借りるならば「勝ち点6」の価値があるゲームである。f:id:khigu:20191218200902p:plain

 仙台は前節の東京戦で渡部が負傷。代わりに石川直樹センターバックで左サイドバックに二見。2トップは金園と奥埜のコンビとなった。

 一方の松本は、3142のシステム。1トップに前節ゴールを決めている阿部吉朗。オビナはベンチスタート。

 

■前半~松本の忠実さ~

 前半は松本がエンドを変えてキックオフ。

 開始から両チームともロングボールを放り込む展開が多かった。仙台はまず相手を押し込もうという狙いのロングボールに終始していたが、いかんせんポイントの金園のところ、そして競ったセカンドボールを拾えない展開が続いていく。f:id:khigu:20191218200935p:plain

 逆に松本は、拾ったボールを素早く仙台のサイドバックの裏のスペースへと蹴っていく。そして仙台のセンターバックに対して阿部が猛烈な走りでかき回すことで、仙台のセンターバックに前に蹴らせず、またスローインに逃げさせることを狙ってやっていった。

 松本の得点源はセットプレーなので、いかにセットプレーを得るかが松本のカギとなる。今節は、松本は忠実にサイドバックの裏をポイントにロングボールで相手を自陣へ下げさせ、そしてスローインなり、コーナーを得ていった。

 8分の先制点もスローインからだった。仙台はセットプレーの守備時は全員が下がるので、松本もセットプレーの際には全員が敵陣に入っていた。このシーンでもセカンドボールを拾って左から右に流れたところから先制点が生まれている。この失点シーンでは、工藤と安藤に対して二見とミンテが軽率な守備で簡単にクロスを折り返されてしまっている事が一番いけなかった。中ではセットプレーの残りで飯田も入っていたし、それに菅井がつられる形になってしまったので、ファーの岩上がフリーなのは若干致し方ない部分があった。それだけに二見とミンテには簡単にクロスを上げさせてもらいたくなかった。

 

 松本が先手を取ると試合も、徐々に落ち着き始める。ここで仙台に変化が起きる。f:id:khigu:20191218201004p:plain

 10分過ぎあたりから仙台はポゼッション時に3-4-3気味の変化を見せるようになる。これはおそらくこの中断期間でやってきた対松本戦へのプランの1つだろう。両サイドバックを高く上げ、前線に人をかけようという狙いだった。特に菅井を高い位置に取らせることで、なお攻撃に迫力を持たせようというのがあった。

 しかし、松本もブロックを作らず、果敢に前に出ていく。後ろの3枚(鎌田、ミンテ、石川)に対して阿部、工藤、岩上が前プレをかけてくるので、仙台は思ったようにボールを運べず、逆に阿部にかっさられて、ショートカウンターを食らう場面が目立った。リャンあたりがフォローに来るのだが、前線が相手のディフェンスに対して張り付くことが多く、思っていたようにボールを循環させることがなかなかできなかった。

 

 よってその後も松本が激しいプレスとチェックで仙台を苦しめ、セットプレーを獲得しまくる。とにかくサイドバックの裏を忠実につく、阿部がかき回すの連続。忙しい岩上。松本の圧力に我慢する時間帯が続く仙台であった。

 

 ようやく自分たちのターンになったのは30分過ぎあたりから。我慢すれば流れはやってくるのである。仙台は左から菅井というパターンを基本に、左から攻めていく。少しずつ松本の前からの圧力も弱くなり、前プレがかからなくなったことで、仙台は攻め入ることができた。だけど最後の集中力の高さはさすがの松本。惜しい場面は菅井の特攻ぐらいに終わる仙台であった。

 

 人の配置に変化を加えたりなど工夫も見られた仙台であったが、とにかく松本の守備に終始苦労し、ちぐはぐな展開のまま前半をビハインドで折り返すこととなった。

 

■後半~ダメだったらもとに戻す~

 後半の仙台は、前半にあったような3-4-3気味のシステムでのポゼッションから、従来の4-4-2でのポゼッションのスタイルに戻して挑んだ。f:id:khigu:20191218201053p:plain

 原点回帰。まずは松本のサイドの裏のスペースを起点にする狙いの仙台。ロングボールでサイドの裏を使い、奥埜とサイドハーフサイドバック、時にはボランチも絡んで、サイドで数的優位を作り、クロスから攻めていくシーンが多くなった。

 松本が前半にやっていたのと似ているが、松本はセットプレーを得るためのサイドバックの裏へのロングボールで、仙台はサイドの裏を起点に攻撃を仕掛けようという狙いだった。ここはチームのスタイルの問題。

 

 ということで、56分の同点もサイドから。石川のロングボールを二見がスルーし、野沢へ。野沢のアーリークロスをキーパーが取り損ねて、金園がプッシュし追いついた。この場面、仙台が後ろでボールを回しているのに対して松本は、前にジワリと人数をかけようというところで、石川のロングボール→二見のスルーがあったので、松本の守備は後手を踏む形になった。二見のスルーが肝になった同点ゴールであった。

 

 その後は膠着状態が続く。お互いに攻め込む場面はあるけど、最後のところでこじ開けられない状況が続く。仙台はハモン、松本はオビナ、前田直輝を投入して、攻撃に勢いを持たせる。

 消耗戦の様相を見せてきた後半であるが、先に足が止まり始めたのは松本だった。前線はプレスをかけるのだが、それに中盤が続いてこない、なかなかラインが押し上げられない状況が続いていった。特に岩上はかなり辛そうだった。前半から激しいプレスで走りまくっていたので、後半はかなり足に来ていた。それでも途中投入の前田、オビナで決定機を作ったが、六反がストップ。

 このセーブの3分後。85分に仙台は直前に入った金久保のクロスに金園が反応し、一度競った後のこぼれ球を押し込み(?)、逆転。89分には前掛かりになった松本に対して、前線で富田が飯田をつぶすと、それを拾ったハモンがダメ押しのミドルを決めて勝負あり。

 仙台は6試合ぶりの勝利とともに、2ndステージ初勝利をようやくあげた。

 

■最後に・・・

 前半の悲惨な内容を考えれば、後半はよく持ち直したと思う。ただ、前半はチャレンジしたうえでの悲惨な内容なので、そう悲観することもないような気もする。大体仙台が新しいことをやるときはこんなもんだと思うし。

 後半は、松本のミスや先にバテテくれたことが幸いだった。後半の得点は自分たちで守備を崩したとは決して言えないが、相手のミスを逃さないあたりは成長だと思う。途中投入された選手も自分のタスクを全うしてくれたし、結果を出してくれたのでよかった。

 

 松本は前回対戦よりも、かなり前から来た印象だった。特に岩上のプレーなんかは象徴的で、松本は松本で、自分たちとの戦いを繰り広げている中なのだろうと感じた。守備だけでは戦っていけないが、攻撃に人を裂くと守備に穴がある。前からプレスをかけると後半は足が止まるというジレンマとの戦い。松本は仙台と同じで運動量が必要なチームなので、本当の勝負は秋以降だろう。それまで上との勝ち点差が開かないことが大切になりそう。

 

 仙台は次はアウェイ・鹿島戦。監督交代して3連勝と、自分たちの戦いを思い出してきた感じだろうか。今節は広島を撃破したようで、勢いは本物。今節同様にいかに相手の時間帯に粘り強く守れるかがポイントになる。連戦となるが、勢いのある相手に我慢強く、仙台らしい戦いを期待したい!