ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

個人の差~J1 2ndステージ第3節 ベガルタ仙台vsヴィッセル神戸~

 ミッドウィークは盆地甲府で勝ち点1をゲットした仙台。3バック3連戦のラストの相手は神戸。

スタメン

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 仙台は、前節からケガの菅井に代わって蜂須賀。ベンチには石川直樹が戻ってきた。

 一方の神戸、レアンドロが加入。2ndステージは清水をフルボッコし、湘南とは引き分けと上々な滑り出しを見せている。ようやくネルシーニョの色に染まってきたかなという印象。ベンチにも千真、小川、石津、安田などなど贅沢な面々が揃っており、コツコツ毎年獲り続けたおかげで、気付けばかなり層の厚いチームになっている。

 

前半~深み~

 立ち上がりから、なんとなくボールを持てていたのは神戸だった。森岡チョン・ウヨンを中心にボールを回していく。

 

 仙台はそんな相手に対して、まずは前プレを決行する。f:id:khigu:20191217215527p:plain

 といってもやっていたのは前回対戦の時と同様のやり方。前回は神戸も自分たちがボールを持った時のデザインがされていなかったため、仙台の前プレの餌食になっていた。

 仙台も3-4-2-1の相手に対してこのやり方を採用することがパターン化されてきた。これはこれで定石になりつつある。

 

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 だけど実際は、そう長くは続かなかったしハマらなかった。というか、夏場だし、これを続けようとも思っていなかったのかもしれない。あくまで奇襲。これで引っかかればいいぐらいに思っていたのかも。

 で、なぜハマらなかったのかというと、神戸の最終ラインの位置取りにある。神戸がボールを奪っても最終ラインは低いまんま。まずはDFラインが深みを作って、FWがプレスを掛けてこないポジションに位置する。そうすることで仙台はおとなしく自陣撤退する。そこから神戸はボールを回し始める。自由に動く森岡を使ったり、高橋祥平や岩波が運ぶドリブルをしたり、サイドから循環させていくやり方だったりさまざまだった。神戸のボールの運びは、チームとしてオートマチックというより個々の判断によるものが多い。けど、みんなうまいからそれなりにボールを回せるし、距離感がいいからパステンポもいい。チームとしてはまずは確実に自分たちのボールにするために相手が寄ってこないポジションにDFが位置することがポイントだろう。ついでにおかげでGKはほとんど使っていない。

 けど神戸も最後のところはいまいち。ボールは回せているんだけどね、みたいな声が聞こえてくる内容。

 

 仙台も自陣で我慢する展開が続く中でなんとかチャンスを作ろうとするが、できない。連戦のせいか前線の選手のプレーに切れがなく、ミスが多い印象だった。それに蜂須賀と二見のところでつまってしまうorミスでチャンスがつぶれる、みたいな切ない状況が起こっていたので尚更だった。

 組織的に悪いというより、個々の問題が仙台には生じていた。

 そんな感じで0-0で折り返す。

 

後半~質の差~

 後半、交代カードをお互い切ることもなくスタート。

 前半にボールを握られっぱなしだった仙台だが、ハーフタイムを経て、だいぶ落ち着いた。中盤でボールを落ち着いて持てるようになり、相手の裏のスペースへ抜けるシーンが増えていった。

 そして55分にコーナーからミンテが押し込んで先制。しっかりと修正できた中での先制点だった。 

 その後も仙台はアグレッシブに戦えていた。富田を中心にセカンドボールも拾えるようになり、前半に比べればかなり改善された。

 

 しかし、試合の潮目が変わったのは、お互いの交代カード。仙台は奥埜、野沢アウトでハモン、金久保。神戸は千真と小川を投入。

 神戸は2人が入ったことで、アッタキングゾーンでの迫力を増そうという狙いだった。一方の仙台は疲労を考慮しての交代。ハモンが入ったことで推進力は増したものの、奥埜のようにためれないし、ドリブルのミスもあったので前進できなくなっていった。

 そして70分に小川が倒れてPK。千真が決めて同点。その2分後には仙台のコーナーのこぼれからのカウンターから高橋峻希で逆転。レアンドロのタメは見事だった。

 その後、攻める仙台であるが、夏場の連戦で足がストップ。攻撃に迫力を持たせることができずに、タイムアップの笛を聞くことになった。

 

最後に・・・

 仙台としては先制しただけにうまくゲームを進めたかった。内容は決して悪くないんだが、神戸の個の能力やうまさにやられるという切ない敗戦だった。しかし、この連戦でケガ以外でほぼ固定のスタメンだったため、どうしても最後まで持つ選手が少なかった。特にFWには守備のタスクが重いし、前線でおさめないといけないので相当しんどい。選手層が薄いチームであるが故だが、サブのハモンや山本、金久保をスタメンで使ってもよかったかもしれない。

 神戸は、レアンドロを獲って、全体がかなり整理された印象だった。もともと質の高い選手が多く在籍しているので、パズルさえ当てはめれば結構強い。ただ、個と個を組み合わせて作られている感じなので、ほかの選手が出たらどうなるか、特に守備陣は。ただ、ネルシーニョなのでそう大崩れはしなさそうだから、2ndステージはいい成績になるかも。

 

 最後にPKだが、どっちともとれるだろう。渡部がボールに行っているからファウルじゃないとも取れるし、後ろから足の裏を見せている感じにも取れるからPKともいえる。もしPKじゃなかったら神戸が怒っていただろうから、どちらにしろ審判は詰め寄られる格好になっていたな。審判はつらいよ。

 

 と、まぁ切り替えて次は柏。まずは2ndステージ初勝利を目指して、闘ってもらいたい!