ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

僕たちの現在地~J1 1stステージ第8節 ヴィッセル神戸vsベガルタ仙台~

 1stステージもちょうど半分のところまで来た。広島、ガンバ、浦和に3試合連続3失点を喫して、4連敗中の仙台。今節はアウェイに乗り込んでの神戸戦。f:id:khigu:20191218212721p:plain

 神戸は先週の鳥栖戦は、熊本地震のために中止。その前の福岡戦で小川がケガ。代わりに右のサイドハーフにはルーキーの小林成豪がスタメン。またケガからレアンドロが帰ってきてペドロジュニオールと2トップを組む。

 仙台は、ミッドウィークのナビスコ・福岡戦から六反、金久保が復帰し、今節はスタメン起用。まだまだケガ人が多い現状はあるものの、少しずつ帰ってきている。奥埜は福岡戦でフル出場だったためにベンチからのスタート。

 

■前半~神戸の攻撃の作り方~

 試合開始から、圧力を掛けたのは神戸。レアンドロ、ペドロジュニオールセンターバックにプレスを掛けることで、仙台から自由を奪う。

 仙台はロングボールを蹴っても、岩波と伊野波に簡単にはじき返されて、セカンドボールを取られ、神戸の攻撃の時間が続いた。

 先制点は8分。左のスローインから。藤田のロングスローは一回ミンテがクリアするが、セカンドボールを小林に競られ、こぼれたボールを渡邉千真が決めて先制。仙台はミンテがクリアした時点で、ラインを上げようとしていたが、ミンテのクリアが思っていたよりも伸びなかったことに加えて、金久保が残っていたので、オフサイドを掛けれずにやられてしまった。

 

 その後は仙台もウイルソン、野沢にボールを預けることで、前へ進める場面は増えるが、中途半端にボールを奪われ、カウンターを受ける展開が続く。

 それでも同点に追いつく仙台。18分。右サイドから大岩が野沢にパスするも一回クリアされるが、セカンドボールを拾って、左サイドから金久保がクロスを上げると、飛び込んできた富田が触って、最後は野沢がボレーで決める。最初のシュートで追いつくことに成功した仙台であった。前半は富田がペナルティエリアに侵入する回数が多かった。おそらく互いに4-4-2のため、富田が侵入することでマークにズレを生じさせたかった狙いがあったのだと思う。この場面でも、神戸のボランチは付いてくことが出来ずに、マークのズレが生じていた。

 

 前半は常時、神戸がゲームを支配する時間が続いた。

 

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 神戸は、4-2-2-2で基本的に攻める。横幅はサイドバックが取り、2トップとサイドハーフが中央で流動的に動くことで、相手に混乱を生じさせるのが狙いの一つである。攻撃の起点はボランチから。藤田と三原が主に神戸の攻撃をけん引していた。左サイドでは相馬に入った時にレアンドロが左で流れてくる場面もちらほら見えたが、状況に応じて行われている印象だった。

 そんな神戸の攻めに対して、仙台は1つの問題を抱えていた。それはミンテのポジショ二ング。ミンテは相手の藤田、三原に意識がいく場面があり、そのおかげで、ボランチセンターバックの間が空いてしまうような状況が続いた。

 この試合では基本的にフォワードは相手のボランチの位置まで下がることがなかったので、ボランチは比較的自由に持たせていたが、そこをミンテが食いついてしまうことで、仙台は全体のバランスを他の選手が担わなければならない状況になってしまった。

 

 ということで決定機を神戸に作らせてしまう仙台。幸いにも六反のセーブと、枠外のシュートでなんとか持ちこたえることに成功する。

 前半終了間際に仙台はちょっとした反撃を見せて、後半へと続いていく。ゲームは1-1。

 

■後半~窮屈さからの解放~

 後半、神戸はスタートから小林に代えて増山朝陽。ヒガシのクリロナの登場。

 後半も、展開は変わらず、神戸がボールを握る時間が続く。

 仙台は、後半開始早々に動く。ミンテから奥埜。f:id:khigu:20191218212919p:plain

 これで奥埜が左、金久保が右、三田、富田のダブルボランチで、おおよそ全員がいつものポジションでプレーをすることになった。

 この交代で仙台も、徐々に前に出てこれるようになる。奥埜が入ったことで、左サイドでウイルソン、野沢、奥埜の連係が生まれ、前半にはなかった攻撃の厚みを増すことに成功する。

 また三田がボランチになったことで配給係が登場し、豊富な運動量も併せて、仙台がセカンドボールを拾って2次、3次攻撃が出来るようになった。中盤の選手がいつものポジションでプレーすることで、窮屈さや不自由さから解放され、いつものプレーが出来るようになった。仙台は神戸の攻撃に対して、自分たちがボールを持つ時間帯・機会を増やすことで問題を解決した。

 そんな仙台ペースになってきた72分に逆転ゴールが生まれる。敵陣ハーフウェーライン辺りで、博文が神戸の縦パスをカットし、野沢に預けると、そんままペナルティエリアに。野沢はその上がってきた博文にクロス。それを奥埜に落として、奥埜は反転してシュートを決める。仙台は全体が高い位置でプレーすることが出来たので、高い位置でボールを奪い、それを得点へと繋げることへと成功した。

 

 残り時間は、神戸の攻撃を抑えながら、前掛かりになった神戸の裏のスペースを狙う展開に仙台は持っていく。ハモン、藤村を立て続けに投入し、前線のパワーを残しながら、時計の針を進めていく。

 しかし90+3分に、自陣でペドロジュニオールに中央を突破されると最後は、渡邉千真に決められ、同点に。最後の最後に仙台もチャンスを作るが、キム・スンギュに止められタイムアップ。

 あと少しだった勝ち点3を掴むことが出来なかった仙台であった。

 

■最後に・・・

 どうやってゲームを締めるかということには様々な方法がある。今回はハモン、藤村を投入して、前線のパワーを残す選択をした。それは決して悪い判断ではなかっただろうし、同点にされたことはあくまで結果論だと思う。もちろん後ろの選手を投入して逃げ切る方法だってあるわけだが、そういう選択をしなかったことには何かしらの意図や考えがあったはずである。

 

 同点にされてしまったことは非常に悔しい。しかもアディショナルタイムでの失点なので、なおさら。けど、これが仙台の現在地なのかなと。勝ち切ることが出来なかったことは、もちろん反省点ではあるが、神戸相手に複数得点を決めれたこと、奥埜投入後のサッカーは間違いなく自分たちの実力である。ここまでやってきたことは結果というものでしか評価されないのだろうけど、まずは今の現在地を見つめて、このサッカーを信じてやっていくことがベストだと個人的には考えている。

 たぶん結果が出れば波に乗れると思う。道が間違っていないことを証明するのは自分たち次第なので、次節の鳥栖戦以降、GWの連戦では結果が出ることを期待したい!!