ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

J1 第22節 ベガルタ仙台vs横浜Fマリノス

 前節、アウェイで神戸に逆転負けを喫し、今節ホームで巻き返しを図りたい仙台は、ここ最近調子が上向いてきたマリノスとの対戦となった。結果は、1-2での敗戦。スコア上は接戦だったものの内容としては完敗の内容だった。

 

スタメンはf:id:khigu:20190502121855p:plain

 仙台は、前節からウイルソンがスタメンに復帰し、武藤との2トップで挑んだ。それ以外は変更なし。

 一方のマリノスラフィーニャ齋藤学がケガで離脱。攻撃陣に不安を残す中、兵藤と伊藤を起用した。

 

 仙台vsマリノスの試合の印象と言われると、互いに中盤での激しいぶつかり合いが多く、相手のストロングの消し合いになるのが恒例で、ロースコアが比較的多い。今回も決して例外ではなく、激しいぶつかり合いからこのゲームは幕開けした。よってなかなか互いにチャンスを作るシーンが少なかったが、仙台がショートカウンターから武藤のパスをリャンが受け、1対1のシュートを放ったものの榎本に阻まれるシーンあたりからゲームが動き始める。そして、18分にコーナーからマリノスが先制する。こういうロースコアになるようなゲームは特にセットプレーが鍵になるがそれを先に生かしたのはマリノスだった。俊輔のキックも素晴らしかったが、中で中澤や栗原など背の高い、仙台としては気を付けなければいけない選手を密集させその後分散することでうまくマークをはがすことに成功した。おそらく練習通りの形の得点だっただろう。

 その後もマリノスペースで試合が進む。ポイントとなったのはマリノスの中盤の運動量と役割が明確だったことだ。マリノスは奪われるとその瞬間にしっかりプレスをかけ始め仙台にやりたいようにさせなかった、特にボランチの小椋・中町コンビは素晴らしいポジションバランスと猛烈なプレッシャーで中盤を制圧することに成功した。攻撃では、兵藤が自由に動き回り、俊輔と藤本は互いに補完し合うようなプレーをしていた。だから攻撃も流動的になおかつ落ち着いてできていた。シーズン当初は藤本と俊輔はあまりうまくかみ合っていなかったが、このゲームを見る限りかなり連携面が深まってきたように思えた。

一方、劣勢の仙台も31分に一瞬のスキをつき同点にする。上本がロビングのパスをペナルティエリアに放り込むと榎本がパンチングしきれず、太田のもとへ、そして太田が折り返し最後は菅井が押し込み同点にする。ほぼチャンスがない中、しっかり同点にできたこと大きかった。前半は、このまま1-1で折り返す。

 

 後半は、45分のうちのほとんどがマリノスペースだった。前半から見られたプレッシングはさらに強みを増し、仙台はクリアするので精一杯なシーンが続き、またセカンドボールもことごとくマリノスへ渡るためカウンターも打てない状況が続いた。こういう時に頑張ってもらいたいのが前線のウイルソンと武藤なのだが、彼らもほとんどボールが収められず、また独断でボールを運ぶこともできないので、攻め手がなかった。そこで仙台はすかさず野沢を投入し流れを変えようとしたものの、変化は一時的に過ぎず、ペースは変わらぬまま進んでいった。しかし、次第にマリノスも攻め疲れし始めると、仙台もカウンターから幾度か決定機を作るが、ことごとく榎本のセーブに遭う。そして、90+3分に俊輔の右コーナーから最後は下平が決め、ジ・エンド。仙台はまたしてもセットプレーから失点を喫し、連敗をしてしまった。

 

 試合を分けたポイントは中盤の争いで完全にマリノスが制圧したことにあると思う。特に小椋・中町の二人の活躍は素晴らしかった。あれだけのプレッシングとしっかりとしたバランスでやれていたことはこのチームがここ最近調子が良くなっていることの一つの要因だと思う。今後マリノスはどれだけ上に行けるかわからないがこの先もう少しはこの調子を維持できそうな気がする。

 一方の仙台は、深刻な状況に陥っているかもしれない。守備に関しては、確かに我慢はできているが、あまりにも守りっぱなしの時間が多すぎた。今までであれば、こういう展開になっても前線の赤嶺、ウイルソンが何とか押上げしてくれていたが、ここ最近では相手に読まれているのもあるし、ウイルソンに関していえば、移籍後最悪のコンディションであり、今まで見せていたような単独突破が見られなくなってしまっている。仙台が今までこういうサッカーを続けられていたのも前線の「個」の力で打開できていた部分が少なからずあった(もちろんあの湧き出るようなカウンターが一番のストロングなのだが)。しかしここ最近を見ているとそれも限界がきているような気がする。だからこそのポゼッションではないだろうか。カウンターも武器として、マリノスのように相手のプレッシングがきつくても複数人でプレスを掻い潜り、相手の勢いをうまく殺すようなことができれば、今節のような展開もうまく回避できる。そのために野沢のようなテクニックがあり、ゲームを落ち着かせる選手を獲得したのではないだろうか?

 とにかく次の新潟戦まで2週間ある。まずは、足元を見て改善するところを改善していくことが大切なポイントになるだろう。自信を取り戻すためにも次こそはいい結果を期待したい。