ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

自分たちの土俵でサッカーができるかどうか~明治安田生命J1第20節 北海道コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台~

 さて、ご無沙汰になりました。更新再開です。

 今回は、北海道コンサドーレ札幌戦を振り返ります。

↓前回のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 ベガルタ仙台は、前節・セレッソ大阪に2-3で敗戦。先制を許すも、後半に西村の2得点で逆転に成功。しかし、終盤にコーナーキックとエクストラプレーヤー・清武に鮮やかに再逆転を許し、悔しい敗戦を喫した。FC東京戦、横浜F・マリノス戦で3バックを採用し、セレッソ大阪戦では4バックに戻した形となったが、それなりに内容が向上したと思う。そしてこの札幌戦で、その向上した部分を「結果」につなげたい一戦だ。
 スタメンは、キーパーのクバから小畑になった以外は変更点はなし。ベンチには、ついにクエンカが入ったが、恐らくクエンカが入ったことによる枠(外国人籍選手)の関係上でクバを外さざるを得なかったからだろう。

 北海道コンサドーレ札幌も、なかなか結果が出ない日々を過ごしている。前節・ヴィッセル神戸戦では、4失点での敗戦を喫している。こちらも浮上のキッカケを掴みたいところだ。

 札幌は、前節から2人しか変わっていないが、配置を大きくいじってきた。システムもお馴染みの3-4-2-1に戻し、前線はアンデルソン・ロペスを頂点にシャドーに駒井と小柏。ウイングに金子。ダブルボランチは荒野と高嶺。3バックは福森が帰ってきて、福森、キム・ミンテ、田中の3枚となっている。

 

前半

(1)中途半端だったボール非保持

 この試合の前半は、開始15分までは仙台がカウンターからチャンスを作り出せていたが、徐々に札幌がペースを握ると仙台の不安定なボール非保持が露わになっていった。

 まずは、その辺りを見ていきたい。

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 この試合の仙台は、ボール非保持のセットは4-4-2。前線2枚(ゲデスと関口)はミンテとダブルボランチの3枚を2人で見る形。残りは最終ラインで数的優位を残しながら人を基準として、プレスを掛けるような形でセットされていた。

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 狙っていたことは、昨年対戦したときと同じような形だったと思う。前線2枚がミンテからボランチへのコースを消しながらサイドへ誘導し、そこでサイドハーフがボールを奪ってショートカウンターを狙うような展開へと持ち込みたかったと考えている。

 

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 しかし、蓋を開けてみるとこの試合の前線2枚は、相手ボランチへのパスコースを消すことができていなかった。よって、ミンテや左右バック(福森、田中)からボランチへ縦パスを通されることで、あっさり前プレを剝がされることが多かった。

 なので仙台は、時間の経過とともに自陣で構える時間が長くなる。結果的に福森をフリーにさせてしまうことで、福森からの正確なロングフィードからチャンスを作られたり、中途半端に前から行くことで背後を小柏に狙われ、サイドから危ない場面を作られてしまう。

 24分の先制点も、フリーだった福森のフィードから抜け出した金子が折り返し、最後はアンデルソン・ロペスに決められてしまう。

 

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 仙台が動き出したのは30分過ぎ。札幌のボール保持に対して、仙台の前プレ隊に浜崎が加わるようになる。数を合わせることで少し札幌に圧力を与えることができたが、ハマらないことが多く、背後を突かれたり、ミンテからアンデルソン・ロペスに一発で縦パスを入れらてしまうシーンがあった。

 なので、前から行くときには、しっかりボランチを消せるかが大事だったし、無理そうならメリハリをつけて撤退守備に切り替えるなど、チームとして意思疎通を持ったプレーをして欲しかったところだ。

 失点は自然な流れだったように思える。

 

(2)前進できなかったボール保持

 曖昧なボール非保持で先制を許した仙台だったが、ボール保持の局面でも、なかなか前進することができなかった。

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 この試合で再現性のあった攻撃は、同サイド完結の攻撃だった。11分のプレーが象徴的だったが、センターバックから柳がボールを受けて、相手のウイングバック(菅)を引き出す。そして引き出した背後を道渕がランニングし、ボールを受ける。あとは道渕が福森をぶち抜き、サイドをえぐるパターンだ。また逆サイドのウイングは、ダイアゴナルにランニングすることで、背後を狙ったり、ペナルティエリアへ侵入する。

 これはセレッソ戦にもあった形で、2点目のPKでは西村がダイアゴナルにランニングすることで、セレッソディフェンスラインの裏を取ることができた。

 

 試合序盤はそれで、チャンスを作り出すことができたが、札幌の前からの圧力が強くなると、次第に仙台はボールを前進できなくなった。

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 仙台のセンターバックは決してビルドアップ能力に長けている訳ではない。よって前プレを食らうと厳しくなるのは正直なところある。

 よってダブルボランチが下がってボールを受けようとフォローに来るのだが、それによって相手も引き連れてくることになり、どんどん自陣でのエリアがなくなり自ら窒息してしまうことが多かった。

 前回対戦では、吉野がゲデスと長沢を目掛けてロングフィードを送ることで、相手の前プレを回避することができたが、この試合で高さでポイントになれるのはゲデスのみ。よって前線へ送ってもマイボールになることは少なく、札幌のターンになっていった。

 

 このように前半は、ボール保持・非保持の局面で上手く行くことが少なく、時間の経過とともに札幌にボールも主導権も握られる展開になってしまった。先制を許したことも当然の流れだろう。ただ、最少失点で折り返せたことは幸いだった。

 ということで、1点ビハインドで後半へと折り返す。

 

後半

(1)怒涛の3ゴール

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 仙台は関口と西村の立ち位置を変更。関口を左サイドハーフ、西村を2トップの一角とする4-4-2へとシステムを変えた。

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 1点を追いかける仙台は、後半開始から積極的なプレーを見せる。

 サイドハーフがハーフスペースへ。そしてサイドバックが高い位置を取ることで、サイドの深い位置を取っていく。

 また前線起用の西村はディフェンスラインの背後へ積極的にランニングし、ボールを引き出す。

 このことで仙台は相手陣地でのプレー機会を増やすことができ、二次三次攻撃へとつなげられるようになった。

 そして47分、50分とゲデスが決めて逆転。さらに57分には浜崎の左コーナーキックからニアで平岡が合わせて3点目を決め、一気に逆転に成功する。

 

 特に1点目と2点目は相手陣地の深いエリアへと侵入できたことで、札幌のラインを下げさせ、押し込むことでゴールへと繋がった。

 ビルドアップからの攻撃が上手くいかなかったなかで、あえて早いタイミングで相手陣地にボールを入れることでチャンスを作り出した。この12分間は見事な時間帯だった。

 

(2)受けに回ってしまった仙台

 しかし、その直後の仙台は逆転し追加点を奪ったことでの安堵感なのか、少しプレーの勢い、強度が落ちて札幌の攻撃に対して受けに回ってしまった。

 結果としてこれが、逆転直後の同点へと繋がるわけだが、非常に勿体なかった。

 特に札幌の2点目は、福森のロングフィードから攻撃が始まるのだが、福森に対しても、アンデルソン・ロペスに対しても、サイドへ展開した駒井に対してもプレッシャーを掛けられていない。よって、テンポよくサイドに展開され、ダイレクトのクロスに合わせられてしまった。

 

 前節もだが、受けに回ってしまう。腰が引けてしまう状態になる。リードを奪ったからこそ、もう一度前からプレーしたいし、相手陣地でのプレー機会と時間を増やしたい。

 まだ失点も多く、選手のなかでは背後を取られることを気にしているのかもしれない。しかし、それでもリードしたからこそ、主導権もしっかり握り続けながらプレー欲しい。

 

(3)給水タイムでの修正

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 仙台は、67分に長沢と崇兆を投入する。今度は道渕と長沢の2トップという布陣へと変更する。

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この交代によって仙台は再び前からプレスを掛けられるようになった。長沢が投入されたことで、ボランチのコースを消しながらプレッシングを掛けられるようになり、札幌のパスルートをサイドへと誘導することができるようになった。

 また馬力のある道渕が前線になったことで、二度追いができるようになり、仙台は高いラインを設定することができた。そして相手陣地でボールを奪ってのショートカウンターを繰り出せるようになった。

 71分の道渕のシュートが決まれば、さまざまなことを帳消しにできたと思う。

 前線からの守備が機能したことで、仙台は再びペースを握ることができるようになった。

 

(3)クエンカ登場から始まった地獄の10分間

 そして仙台は80分に道渕に代えて待望のクエンカが投入される。まさに攻撃の切り札と期待されての投入だった。

 しかし、ゲームはそこから三度札幌のゲームへと移り変わっていった。

 クエンカが投入されたことで、道渕と長沢が行っていた前プレの強度が下がり、長沢が単独でプレッシングに行くことが増え、次第に札幌がボールを保持できる時間が長くなった。

 よって仙台は、前半のように自陣へ撤退し札幌の攻撃を跳ね返す時間帯が長くなる。

 最終的に85分には、ジョンヤを投入してシステムを5-3-21へ変更し、勝ち点1を奪いに行く体制へと変わっていった。

 再三、札幌に決定機を与えながらも、なんとか水際で跳ね返す。クエンカを前線に残し、長沢すらも自陣での守備に参加している状態だった。

 

 仙台は、アディショナルタイム6分間もなんとか凌ぎ切りタイムアップ。悩める両者の対決は痛み分けに終わった。

 

最後に・・・

 逆転し、2点のリードを奪いながらも追いつかれ、痛い引き分けとなった。

 木山監督も試合後の会見で話している通りで、リードを奪った後に腰の引けたプレー、受けに回ってしまったことで、試合を振り出しに戻すことになった。

 なかなか勝てていないと、どうしてもリードを守らないとという意識が芽生えてしまう。ただ、守ろうとするとどうしても今の仙台は守れない。ならば、やはりリードを奪った後も前から行く必要があるし、自分たちのゴールから遠い位置=相手陣地でのプレー機会と時間を増やしていかなければならない。

 そして現状の仙台は、相手陣地に押し込めれば、結構な確率で得点を奪えるようになった。要はいかに自分たちの土俵でプレーできるかだと思う。

 強度を保つのは難しいし、体力的にも厳しい。それでも勝つためには、自分たちが優位な状況を作り出すことが大事だ。そこが生命線になってくる。

 

 勝つことは難しい。今シーズンは特にそう思う。しかし、これを越えなければ勝利は手にできない。まずは灰になるまでハードワークして欲しい。

 次節は圧倒的首位の川崎フロンターレ。もちろん勝つ確率は低い。けど、失うものはない。今できる現状のベストを首位・川崎フロンターレにぶつけて欲しい!!

システム変更で光は見えたか~明治安田生命J1第17節 FC東京vsベガルタ仙台~

 さて、今回はFC東京戦を振り返ります。早くもリーグも折り返し。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

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 ベガルタ仙台は、前節・大分トリニータに0-3の完敗。これで3連敗となった。攻守ともになかなか手応えを掴めず、内容も結果も乏しいのが本音の状況だ。

 今節は、この状況を打破するためにシステムを3-4-2-1のシステムを採用。今シーズン初の3バックとなった。3バックの一角には横浜Fマリノス戦以来の出場となるアピアタウィア久。またウイングバックには真瀬と崇兆。前線は長沢を頂点に、関口とジャーメインがシャドーとして並ぶ。ベンチには今シーズン初めて川浪が入り、また道渕も戻ってきた。

 一方のFC東京は、ミッドウィークにACLの日程の関係で大分トリニータ戦を戦っている。しかし2-3で敗戦。その前の神戸戦でも引き分けを喫し、停滞気味な印象だ。FC東京にとっては波に乗り切れていない仙台に対してしっかり勝ち点3を得たい一戦だ。

 大分トリニータ戦からは5人のメンバーを変更。渡辺、中村帆高、内田、田川、アダイウトンがそれぞれ先発に名を連ねている。

 

前半

(1)5-2-3でのボール非保持

 この試合の仙台は、今シーズン初めて3バックでゲームに臨んでいる。木山監督がコメントしている通り、「まずは失点しないこと」を意識し、後ろに厚みを持たせることとなった。

 では、そんな仙台の攻守の狙いについて整理していきたい。まずはボール非保持から。

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 仙台のボール非保持のセットは5-2-3だった。東京がボール保持の局面になったときは、初めから5-4-1でセットというよりは、やや高い位置で守備をセットしていた。

 局面ごとに見ていくと、前線の3枚は長沢が基本的にアンカーの品田を監視。時と場合によってはセンターバックへとプレッシングを行っていた。

 シャドーの関口とジャメは、センターバックを睨みながら、サイドバックにもプレスへ行ける中間ポジションを意識。

 この試合の仙台の前プレは、東京がセンターバックへボールを下げたときを合図に、シャドーがセンターバックへとプレスに行くことからスタートしている。

 そしてシャドーがプレスへ行くと、ウイングバックサイドバックへプレスを掛け、東京のボール保持を制限していく。

 また東京がロングボールを蹴ったときには、空中戦に強い3バックが弾き返す。3バックは基本的には相手3トップと同数を受け入れながら、マンツーマンで見るような形を取っていた。

 試合序盤は、前プレがハマらなかったり、全員の意識が統一されずに前から行けなかったが、時間の経過とともに連動して前プレを掛けられるようになり、徐々に東京のボール保持を窮屈にさせていった。

 

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 また撤退時はお馴染みの5-4-1で守備をセットする。

 5バックになったことで、大分戦のような大外へのサイドチェンジも対応できるようになった。また、4バック時にはボランチサイドバックの裏をカバーすることで中央のスペースを開けることがあったが、それも解消され、真ん中のスペースを埋めることに集中できるようになった。

 仙台は13分に、東京の早いリスタートから三田に決められてしまうが、ゲームを通してみれば、おおよそしっかり守れていたと思う。

 なので、失点シーンのような、トランジションが発生するシーンを極力なくすか、トランジションが発生したときにはしっかり中央を埋めることを意識しなければならないだろう。

 

(2)思い通りにいかなかったボール保持攻撃

 続いてボール保持時について見ていく。

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 仙台のボール保持は3-4-3。東京のボール非保持は4-3-3となっていた。

 仙台は、3バックがボールを持ったときに、相手3トップがプレスに来る。そうするとシステムの嚙み合わせ上、ウイングバックが相手ウイングの背後とサイドバックの間でボールを受けられるので、そこをビルドアップの出口として設定していたようだ。そこからシャドーがアンカー脇かウイングバックに食いついたサイドバックの背後へランニングする。そんなイメージで設計と準備をしていたと思う。

 

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 しかし蓋を開けてみると、東京のサイドバックは、ウイングバックにボールが入ると迷わずにしっかりプレスを掛けてきた。

 よって仙台としては、本来時間とスペースを得られると想定していた場所で、得られることができずにプレスを受けてボール保持からの前進がなかなかできなかった。

 また仙台は、ウイングバックを経由せずに3バックやボランチからシャドーへロングフィードを送るが、そこは東京もセンターバックがカバーするようになっていて、なかなか糸口を見出せなかった。

 

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 もし仙台がウイングバックをビルドアップの出口にし、ボールを前進させたいとしたら、上図のようにシャドーのポジションをサイドにして、相手サイドバックをピン止めし、ウイングバックに時間とスペースを与えるような立ち位置が必要だったと思う。

 この辺は、チームの狙いもあるので、次節やその後の試合でどうしていくかは注目して見ていきたい。

 

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 そんな仙台だったが、東京を押し込めたシチュエーションでは、ボランチの縦パスから中央3人で崩して惜しいシーンを作っていた。

 東京の撤退守備は、ゾーンを守ることを意識し、ボールホルダーにあまりプレスが来ない。よって、ボランチが余裕を持ってボールを持てるシーンが何回かあった。ここは、後半に向けてのいいヒントだったように思える。

 

 ということで、前半は序盤に失点を許してしまったなかで、守備では手応えを掴み、攻撃では今一つ足りないという内容だった。0-1で折り返す。

 

後半

(1)FC東京の圧力に押し込まれる

 後半のスタートは、両チームともにあまり変化はなかったと思う。

 そんな中で東京は、仙台のボール保持に対してより強度と圧力を強くして、プレッシングを掛けてきた。仙台も前半同様にウイングバックを経由して、ボールを前進させていくが、東京のプレッシングにうまく行くことは少なかった。逆にボール保持からのミスで奪われると決定的なチャンスを作られてしまった。

 連戦の東京にとって、1点リードした展開で後半序盤に追加点を奪うプランだったと思う。よって、強度と圧力をより増して仙台へと襲い掛かっていったのではないだろうか。

 仙台は幸いなことになんとか失点はしなかったことで、逆にこの後のゲームをボールを持った展開のなかで進めることができた。

 

(2)平岡という出口と兵藤とゲデスの登場

 仙台がボールを保持して、押し込めるようになったことには主に3つのポイントがあった。

 まず1つは、平岡の立ち位置だ。

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 東京のプレッシングがきつい中で、平岡が変化をもたらす。

 平岡は、クバがアピアタウィアやシマオからボールを受けたタイミングで、左サイドへ広がり、そこでクバからボールを受ける。サイドへ広がることで東京のプレッシングから遠い立ち位置を取ることができ、そこで時間とスペースを得られることができた。

そして崇兆と関口を高い位置へ押し上げ左サイドから攻撃を展開していく。

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 また2つ目、3つ目のポイントとしては、兵藤とゲデスの登場と東京がシステムを変更したことだ。

 兵藤とゲデスが登場したことで、関口をウイングバックへ。兵藤のリンクマンとしての役割とハーフスペースでボールを受けられるゲデス、サイドで仕掛けられる関口の関係性によって、左サイドの攻撃は活性化。徐々に左サイドの深い位置まで潜り込むことができるようになった。

 また、東京は飲水タイムを挟み、原とアルトゥール・シルバを投入したタイミングで、システムを4-4-1-1へと変更する。この交代によって、前から奪いに来ていた東京は後ろで構えるようになる。この辺は連戦を考慮しての采配だったのだろう。後ろの林、渡辺、森重という東京の質的優位の1つを生かすやり方だ。

 仙台はこの3つのポイントによって、ボールを保持して押し込めるようにはできた。しかし前述している通りで、やはり東京の後ろは堅い。そこの牙城をなかなか崩せずに、時間だけが過ぎていってしまった。

 

(3)ラスト10分の足掻き

 ボールを保持し、東京陣内でプレーできる時間が増えていても、チャンスを作り出せない仙台。

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 ラスト10分を過ぎるとボール保持時は4-4-2のような形になっていた。

 左サイドでは関口を高い位置へ押し出すことを目的に、また中央では長沢、ゲデス、途中投入の道渕が、プレーできる時間を長くしていった。

 しかし、両サイドの関口と真瀬はここまでフルで戦っており、ラスト5分くらいからは、なかなかパワーを持って仕掛けることができなかった。個人的にはサイドから攻めるなら、飯尾を投入しても面白かったんじゃないかとは思う。

 東京もレアンドロから永井へスイッチし、ゲームをクローズする作業へ移行する。

 

 アディショナルタイム5分も最後まで東京の堅い守備からゴールを奪うことができかなった。試合は0-1で敗戦。これで4連敗となった。

 

最後に・・・

 負けが続き、失点も重なる中で、システムを3バックへと変更した今節だった。守備では、5バックになったことで、ここ最近の問題だったことはある程度クリアできたと思う。もちろん前から行くところでの意識の統一やネガティブトランジション時の守備の準備などはまだまだ課題だが、しばらくはこのやり方で練度を高めたほうがいいかもしれない。

 ボール保持の面では、おそらくこの1週間のトレーニングで、守備に時間を割いていたと思うので、まだまだな面が多い。ただ、やりたいことはあったし、やれたこともあった。時間との勝負にはあるが、こちらも練度を高めていくしかない。また西村や柳などこのシステムとの相性がいい選手がまだ出ていないので、彼らが起用されたときにどうなるかは楽しみなところだ。

 

 システムも変更し、それでも勝てないとなると、なかなか評価が難しいのはあるが、チームとしての土台ができてない中で、こういう大きな変化が必要なことは確か。あとは戦っている選手が手応えを感じてポジティブに捉えて、チャレンジできるかどうかが大事だろう。

 

 次節はもう明日。次は横浜F・マリノスとの対戦。ボール保持を行うチームとの対戦は、守備での丹念さとしぶとさが大事になってくる。粘り強く戦い続けることを期待したい!!