さて、今回は鹿児島ユナイテッドFC戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・レノファ山口FC戦で劇的な逆転勝利で連敗を2でストップした。苦しい試合展開だったが、耐え時を耐えて自分たちのチャンスをものした試合だった。
一方で連敗は止めたものの、3試合連続で失点を喫しており、再び守備を引き締め直す必要がある。中2日となる今節は得点力のある鹿児島に対してクリーンシートかつ連勝を目指す試合となった。
連戦となる今節はボランチに工藤蒼生、左サイドハーフに山口戦でPK獲得の大仕事をした名願、2トップの一角に菅原をそれぞれスタメンで起用した。ベンチには知念が入っている。
一方の鹿児島ユナイテッドFCは、前節・ロアッソ熊本に2点差を追いつきアウェイで引き分けに持ち込んだ。J3から昇格し、地上からボールを繋いでいくスタイルで得点力もある。特に後半の得点が多く、いかに前半を無失点で抑えながら、後半にギアを上げていけるかがポイントになっている。ホームに戻ってきて、今節こそ4試合ぶりの勝点3を目指す。
鹿児島はセンターバックに戸根、ボランチに山口、トップ下に端戸、1トップに前節ゴールを決めたンドカ・チャールズが前節と代わってスタメンとなった。ベンチには千布がメンバー入りを果たしている。
前半
(1)序盤から押し込み先制点をゲット
試合開始から敵陣に押し込むことができたのは仙台だった。
この日スタメンとなった菅原と中島の2トップが時にはボールを収めて、時には背後へ抜け出して前線でポイントを作ってくれた。また自陣からの組み立てだけではなく、小出などからの対角フィードによる大きな展開を使い分けるなどしてピッチを縦横に広く使い鹿児島陣内でのプレーする時間を増やすことができた。
またボールを奪われても、松井と工藤のダブルボランチを筆頭に素早い切り替えで即時奪回することも試合開始からできていた。
そして、ペースを握った仙台が先制に成功する。
CLIP📹
— ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2024年5月6日
🦅明治安田J2 第14節
🆚鹿児島ユナイテッドFC
⚪️1-0
🗓5/6 MON 14:00
🏟️白波スタジアム#菅田真啓 からのフィードをシンプルにズドン💨レーザービームがJ初ゴール&決勝弾✨SUPERゴール&おめでとう #髙田椋汰#VEGALTA #PASSION_限界を超えろ #14鹿児島 pic.twitter.com/HfuAaY6D22
押し込んだ形から菅田が右ハーフスペースで待つ髙田へフライパスを送る。髙田はファーストタッチを成功すると、そのまま右足を振り抜きネットを揺らした。
髙田にとってはこれがプロ初ゴール。濡れたピッチコンディションのなかで、しっかりボールの芯を捉えた素晴らしいシュートだった。
(2)両サイドバックを軸に押し込み始める鹿児島
先制を許した鹿児島だったが、その後はボール保持から次第にリズムを取り戻していく。
鹿児島のビルドアップは、センターバックとサイドバックの片割れが3バックを形成し、ダブルボランチとともに押し上げていくものだった。しかし、仙台のプレッシングに対してうまく前進することができなかった。
失点以降の鹿児島は、山口がセンターバック間に降りて3バックを形成するようになる。両サイドバックはハーフスペースに絞るポジションを取り、仙台のサイドハーフの背中から内側やサイドに広がってボールを受けることで、ファーストプレッシャーラインを越えていくようになった。
またサイドバックがレーンを移動して受けるだけではなく、自身が絞ることで福田と五領の両ウイングへのパスコースを作ることで、ビルドアップ隊からウイングへのパスも次第に増えていった。
徐々に押し込めるようになった鹿児島は、サイドから攻めていくようになる。コーナーキックなどのセットプレーも獲得しながら仙台ゴールへと迫っていった。
このボール保持の変化から序盤は主導権を握っていた仙台から完全に奪い返して自分たちのターンを数多く作れるようになった。
前半は序盤の勢いそのままに仙台が先制するも、ボール保持からペースを取り戻した鹿児島がチャンスを作れるようになったところで後半へと折り返す。
後半
(1)守備の修正・それでもペースを取り戻せない仙台
後半から両チームともに交代カードを切る。仙台はオナイウから郷家、鹿児島は五領から西堂が投入される。
前半は時間の経過とともに主導権を握り返された仙台。後半はまず鹿児島のボール保持に対して守備の修正を行った。ハーフスペースへ絞る鹿児島の両サイドバックに対しては仙台の両サイドハーフが背中でケアしながら2トップと連動してプレッシングを仕掛ける。またウイングに対してもサイドバックが素早く寄せることで前を向かせない、仕掛けさせない守備を行っていた。
攻撃では、ハーフスペースへ絞る両サイドバックよりも両サイドハーフがスプリントを掛けて、カウンターへ出て行くことで鹿児島が空けてサイドのスペースを突こうという意識があった。
後半序盤に郷家が2回ほど出て行くシーンがあったが、うまく繋がらずカウンターから遅攻に切り替わったシーンもあったが、そういう場面をカウンターで完結できればさらにチャンスの数を増やしていけただろう。
そんな仙台の修正はあったものの、それでも鹿児島ペースでゲームは進んだ。
その1つの理由として仙台のボール非保持に対して、鹿児島の左センターバックである岡本がボールを運べる選手のため、彼の運ぶドリブルで仙台を押し下げられることできていたからだ。この辺は仙台としても対応がうまくできなかった。
また自分たちにもこの試合では原因があったように思う。
後半はハーフタイムに郷家を、56分には相良と中山を投入しボールを持てるメンバーへと早い段階でシフトチェンジしていった。
後半はマイボールにして、自分たちがボールを握れそうな場面はいくつかあった。しかし奪ったボールを下げて、自分たちの立ち位置を取り直さなければならない(リポジショニング)ときに、前線の選手が取り直せておらず、中間ポジションに選手が立ってない状態になっているためにパスコースが少なく、うまくボールが循環できなかった。
連戦でかつ雨で体が重くなるコンディションで疲労が溜まってくる時間帯ではあったものの、やはり的確なポジション取っていたないと攻撃には出て行けないので、この辺は疲れていてもしっかりやっていくべきなんだと感じた。
反対でしっかり立ち位置を取っていればチャンスを作ることができていた。78分は小出から松井に縦パスが入ったところから右サイドで郷家と打開し、中央の中島へ。中島の絶妙なスルーパスに相良が反応するも泉森にセーブされた。このシーンでは各選手がしっかりと立ち位置を取れていたためボールが循環し決定機を作れた場面だった。
攻撃時は苦しいときでもこのような小まめな立ち位置の微調整から勇気を持ってボールを受けていくことが、さらに求められていくだろう。
(2)幾多のピンチを防いだ林・真瀬投入によるクロージング
前述した通り、リズムを取り戻せない仙台に対して敵陣でボールを回収して攻め込む鹿児島。
相手のミスを奪って素早くシュートへ持ち込んだり、ロングフィードのこぼれを拾ってミドルシュートを放ったりとかなり押し気味で試合を進める。
そんななかでチームを救ったのは林だった。難しいピッチコンディションのなかでも、シュートやクロスに対してしっかり反応しボールもこぼさずにしっかりキャッチする。今シーズンは守備陣の頑張りもあって、林のビッグセーブで救われた場面も減ったが、この日は獅子奮迅の活躍ぶりで前半から危ないシーンを数多く防いでくれた。
そして仙台は最後の選手交代で真瀬に投入する。真瀬は右サイドハーフの位置に入り、積極的に背後へ抜け出したり、中間ポジションでボールを受けるなどして攻撃の起点となった。真瀬の動きもあって、鹿児島を押し下げることに成功するとラスト5分からはボールを持ってゲームをコントロールできるような場面もでてきた。
アディショナルタイムには松井と途中投入された長澤を中心に時間稼ぎ、最後には鹿児島のロングフィードから田中渉にチャンスが訪れるがここも林が抑えた。
前半で奪った虎の子の1点を守り切った仙台が1-0で勝利。4試合ぶりのクリーンシートで、今季2度目の連勝となった。
最後に・・・
連戦でかつ雨のなかでの試合。序盤こそいい入り方ができ、先制点も奪えたがそれ以降は苦しい展開が終始続いていった。
それでも林を中心になんとか無失点で抑えて勝つことができた。悪い内容なりにも勝点3を獲得できたことは良かった。しかしアウェイの地でそれができたのだから尚更である。
しかし、しっかり課題は修正していかなければならない。特に後半はボールを握りたいときに、各選手が立ち位置を取り直せていなかったことが印象的だった。いい時の仙台はしっかり中間ポジションを取り続けて、そこへボールを入れることができている。また押し込めばボランチを経由し、左右へ揺さぶりながらチャンスを作り出すことができるチームだ。
今節は連戦で疲労度が高いゲームだったが、今後夏場の戦いなどを考えると、苦しい状況のときでも同じ強度・出力でプレーできるかは非常に重要になってくる。そういう意味ではまだまだこのチームには伸びしろがあって、さらに成長していけば後半に向けて上昇していくことができると思っている。
次節はホームに戻ってザスパ群馬との対戦。昨シーズンは途中までプレーオフ争いに加わるなど大槻監督の下で成長したチームだが、今シーズンはここまで勝点6しか稼いでおらず最下位となっている。
最下位が相手だが、近年の仙台はこういうシチュエーションで勝てないことが多かった。だからこそ、相手のペースに飲み込まれず自分たちからアクションを起こしてゴールを目指していきたい。
ホームの大声援を背にアグレッシブな戦いで、さらに連勝を伸ばして欲しい!!
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