さて、今回は横浜FC戦を振り返ります。後半戦のスタートにして大一番。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・徳島ヴォルティス戦で2-2の引き分け。ラストプレーで追いつき勝点1をもぎ取った。前半戦を終えて2位の位置に付けた仙台。ここから後半戦になるにつれて相手の研究も進む中で、いかにそれを上回り勝点3を積み上げていくことができるかが後半戦のポイントとなる。
後半戦初戦はさっそく大一番、横浜FCとの対戦となった。ホームという地の利を生かして、前半戦の借りを返したい一戦だ。
スタメンは2人変更となった。左サイドバックに石原、2トップの一角に富樫が起用され、内田はベンチ外、遠藤がサブからのスタートとなった。それ以外は変更点なし。
横浜FCは、前節・ツエーゲン金沢戦で先制するも追いつかれドローとなった。開幕から無敗が続いていたが、一時的に調子を落としている。ここ4試合負けなしではあるものの勝ち切れない試合もあった様子。後半戦スタートから仙台、新潟と昇格争いのライバルと試合が続くだけに、ここで2チームを叩いて再度首位に躍り出たいところだ。
前節・金沢戦から左ウイングバックを亀川に変更した。ベンチには田部井や安永らが前節変わって控えている。
前半
(1)あっけなく与えてしまった先制点
キックオフからの横浜FCは、シンプルに背後へのロングボールを送ることで仙台のラインを押し下げることを行っていった。
そして開始5分にそのロングボールから先制点が生まれる。
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— 横浜FC【公式】 (@yokohama_fc) 2022年6月18日
先制弾!
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\#中村拓海 からのロングフィードに抜け出したのは #サウロミネイロ !屈強なフィジカルとスピードを活かした先制ゴール✨
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中村のロングボールに抜け出したサウロ・ミネイロが吉野との競り合いを制してゴールを決める。
仙台としては、大事な試合であっけなく先制点を奪われた。吉野のサウロ・ミネイロへの対応は一か八かでボールを奪いに行こうとした形で、カバーがいない状態でのスライディングは少々拙い判断だったかなと感じる。
先にサウロ・ミネイロに触られてもストイシッチと協力し合ってシュートコースを限定するなど冷静な対応が欲しかったシーンだった。
(2)攻守において前へ仕掛ける仙台
失点後の仙台は、攻守において積極的な姿勢を見せた。もしかすると先制点に関わらず、この試合で準備してきたプランだとは思う。
まずは守備について見ていく。
横浜FCのボール保持を整理すると、和田が仙台の2トップ脇に登場し、中村拓海がサイドバックの立ち位置になる。そして前線5人が並ぶ形で前進を試みる。
和田のいる左サイドは同サイドで亀川と長谷川と協力し合いながら崩していく。一方の右サイドは、中村からサウロ・ミネイロへの背後や亀川や長谷川への大きなサイドチェンジから一気に攻撃のスピードを加速させていく形がメインだった。
仙台は、そんな横浜FCに対してまずブロックを組みながら対応する。サイドチェンジへは名倉と真瀬がスプリントを掛けてスライドしていく姿が見られた。
仙台が守備で仕掛けだすのはブローダーセンに下げたときだった。
ブローダーセンへボールが下がったと同時に富樫か中山がプレスのスイッチを入れて、それに呼応し後方もマンツーマンで人へ付いていく。
ブローダーセンにプレスを掛けるときは、必ずどっちかのサイドへ限定することでより圧力を強められるようにしていた。
そこまで足元の技術がないブローダーセンにプレスを掛けることでロングボールを誘発し回収。もしくは無理に繋いだところ奪ってショートカウンターへと繋げていった。
続けて、ボール保持について見ていく。
仙台のボール保持の中心となったのは、デサバトだった。ビルドアップ時には右斜め下に落ちることが多く、そこから真瀬を経由してボランチ脇にポジショニングする名倉へ届けたり、デサバトから中島へ通して中央からの侵入を試みたりしていた。
またそれ以外の局面でもデサバトが中盤の底でボールを持つことで両サイドの展開や楔のパスから横浜FCの列を越えていくことに成功していた。
ここまでコンディションが上がり切っていない印象だったデサバトだったが、この試合では攻守において非常に効果的なプレーを連発していた。
また左サイドでは、久々の先発となった石原が起点になることが多かった。
石原にボールが渡るのと同時に氣田がハーフスペースからサイドへ抜けていく。石原はそのまま抜けた氣田へスルーパスを送るか、氣田がランニングして生まれた2トップへのパスコースに楔のパスを入れるかどっちかの選択のなかでプレーしていた。
また状況に応じて氣田ではなく富樫がサイドへ抜けることもあった。ここら辺は臨機応変にといったところだろうか。
失点後は前線からのアグレッシブな守備でボールを奪えたり、構える横浜FCに対して両サイドから中央へ侵入していく形からチャンスを作り出すことができた。
それだけに前半のうちに追いつきたかったのが本音な内容となった。しかしブローダーセンのセーブもあり、前半は決めきることができず後半へと折り返すこととなる。
前半は、開始5分のサウロ・ミネイロの得点で横浜FCがリードする展開となった。
後半
(1)より厚みのある攻撃を目指して
前半早々の1点リードを許した仙台。その後は押し込む展開だったものの前半のうちに追いつくことができずに後半を迎えることとなった。
後半も自陣でブロックを敷く横浜FCに対して押し込んでいく展開が続いた。
前半の仙台はサイドによって起点になる選手が違っていたが、後半は両サイドともにダブルボランチがサイドバックの位置に降りて、サイドバックを高い位置に押し上げ、両サイドハーフをハーフスペースでプレーさせることで、より2トップに近い位置に人を配置し厚みのある攻撃を目指した。
よって、後半は中央から侵入していくシーンが増えていったし、両サイドバックが高い位置を取ったことで真瀬だけではなく石原からもクロスが上がるようになる。
またある程度押し込む形を作れたことで、デサバトとセンターバックを中心にセカンドボールを回収し、二次攻撃へ繋げることもできた。
サウロ・ミネイロをはじめとする横浜FCのカウンターは脅威であったが、センターバックとボランチ、時にはストイシッチが飛び出してカバーすることで危ないシーンを作らせないようなリスクマネジメントをしていた。
そして押し込んだ形から62分に同点ゴールが生まれる。中央で名倉⇒中島⇒氣田と繋ぎ、氣田のシュートがガブリエウに当たり中山のもとへ。中山は冷静に決めて同点に追いついた。
後半からより厚みのある攻撃で同点に追いつき、仙台としては逆転に向けたシナリオ通りにゲームを描けることができた。
(2)魔の4分間。虎視眈々と狙っていた横浜FC。
最初に動いたのは横浜FC。長谷川とサウロ・ミネイロに代えて松浦と渡邉千真。小川を頂点に彼らがシャドーのポジションとなった。
前半の仙台の立ち振る舞いを振り返ると、横浜FCのボール保持に対して仙台はブローダーセンにプレスを掛けることで、横浜FCのボール保持を壊しにかかった。
しかし横浜FCは、ボール保持を壊されるリスクはありながらも、後半もブローダーセンを使ってプレッシングを外していこうという意思が見れた。
そして、その結果が74分の勝ち越しゴールに繋がる。
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— 横浜FC【公式】 (@yokohama_fc) 2022年6月18日
1⃣3⃣ゴール目!
\#イサカゼイン (@zenkun120529 )の早いクロスに飛び込んだのは #小川航基 (@k46293219 )!今シーズン13ゴール目は貴重な勝ち越しゴール!桐光コンビの2試合連続ゴール!
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きっかけはブローダーセンから。仙台が前プレに来るとシャドーを目掛けてロングフィード。松浦が気合いで競り勝ち、小川が一気に右サイドへ展開するとイサカ・ゼインのクロスにそのままペナルティエリアに飛び込んだ小川が決めて勝ち越しに成功する。
横浜FCとしてはめげずにブローダーセンを使い続けたことで出た結果となった。
一方の仙台としては狙い通り前プレを掛けて、ロングフィードを競り勝てれば回収できたが、そこで回収しきれずに展開された形となった。また疲労が溜まってきた70分過ぎにラインを上げてコンパクトさを保てなかったことも悔やまれる。
続く78分には横浜FCがさらに追加点を挙げる。
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— 横浜FC【公式】 (@yokohama_fc) 2022年6月18日
決勝点!
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ブローダーセンのロングキックがゴールラインを割りそうなところを渡邉が奪ってイサカ・ゼインがクロス。これを松浦が合わせて3点目を奪う。
横浜FCは交代して入った選手が要所で活躍することで、仙台を一気に突き放すことに成功した。
(3)フォギーニョのゴールで一矢報うも追いつけず
3失点目直後に仙台は遠藤とフォギーニョを、続けて鎌田と加藤を投入し、残り時間が少ないなかで同点に向かって攻勢を強める。
82分には左サイドの崩しから皆川が落としたボールを遠藤がシュートを打つも曲がり切らずにゴール左へ。
その後も横浜FC陣内へと押し込む仙台は89分にこの日初めて得た右コーナーキックのこぼれをフォギーニョが叩き込んで1点差に詰め寄る。
しかし、アディショナルタイムは横浜FCの粘り強い守備の前にチャンスが作れず。そのまま5分間を過ごすこととなった。
試合は2-3で終了。大一番となった試合は仙台にとって手痛い敗戦となった。
最後に・・・
後半戦初戦であり、大一番。スタジアムもピッチに立つ選手たちの熱量と気合も伝わって、いい雰囲気のなかでの試合だっただけに負けたことが非常に悔しい。
虎視眈々と仙台の背後を狙う横浜FCに対してボールを保持して押し込む展開となった試合だが、どうしても楔のパスや中央へ侵入するための斜めのパスが合わずに潜り込むことができないシーンが多かった。
気合いの空回りなのか、連携不足なのか、はたまた連戦による勤続疲労なのかは分からないが、もともと仙台が得意にしていた形がなかなか発揮できなかったことがとても痛かった。アタッキングサードからバイタルエリアへのクオリティという部分はもっともっと高めて行って欲しいと思う。
守備に関しては、今節もサイドからのクロスから失点を喫してしまったことは残念だった。試合後の原崎監督のコメントにもあったように少しの寄せの甘さがこの結果に出てしまっているのなら、やはり日頃のトレーニングから突き詰めていく必要があるだろう。攻撃的なサッカーを標榜しているだけに守備の脆さはある程度受け入れながらも、やはりやられてはいけないところでいかに厳しくやっていけるかは今後の試合にも求められてくるだろう。
次節はミッドウィークの天皇杯・セレッソ大阪戦を挟んでからのモンテディオ山形戦。みちのくダービーとなる。もちろんダービーだから負けられないというのはあるが、もう一回ここまでやってきたサッカーを思い出しながら、またワクワクした面白いサッカーを期待したい。厳しい連戦が続くが、チーム一丸でこの状況から這い上がって欲しい!!