ヒグのサッカー分析ブログ

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ジレンマ~J1 1stステージ 第10節 ベガルタ仙台vsFC東京~

 GW連戦、もがきにもがき続けている仙台。何としても勝ち点を得たい今節はただいま絶好調の2位・FC東京との対戦となった。

スタメン

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 仙台は渡部が出場停止、鎌田が肉離れで1か月アウトと、ここまで不動だったCBコンビが揃って欠場。代わって多々良と石川が先発。

 東京は前田と東が先発。見ないうちにアンカーが梶山になっていて、高橋秀人はベンチでくすぶっている様子。

 

前半~自分たちのペース~

 東京のシステムの特徴的なところは中盤が3センターであるということ。3枚がスライドすることで一方のサイドで数的有利を作り、そこから守備をスタートさせる。モデルは現在のユベントスだが、さらにさかのぼれば、アンチェロッティミランで「ピルロシステム」をやっていたのが起源かもしれない(その辺はよくわからん・・・。)

 ということで、仙台も東京撃破のポイントを3センターの位置だと考えた。f:id:khigu:20190813210259p:plain

 狙いは3センターを動かすことと、茂木、野沢がうちに入ることでSBを押し上げ、そこからチャンスメイクしていくという狙い。仙台は大きなサイドチェンジを用いたり、一回中央で奥埜が受けて、3センターを中央に吸収させてからサイドに散らすことで、3センターを動かすことができた。おかげでSBもオーバーラップしやすくなりサイドからのチャンスメイクが多くなった。菅井が前半から積極的にペナに入れたのが何よりの証拠だろう。

 守備でも武藤にボールを入れさせなかったり、前田に対して石川が厳しく行くことで安定した守備が出来ていた。所々で東に危ない場面を作られたりしたが、六反を中心に集中した守備でしのいでいた。入りは仙台のペースでゲームを進めることができた。

 おかげで、22分に多々良のロングキックから吉本がウイルソンに対してのホールディングを取られPKを獲得する。が、これをウイルソンは権田に止められる。ウイルソンの脳裏にはきっと去年の外したシーンがこびりついていたのだろう。去年の分をという思いが強かったためにやらかしてしまったのかもしれない。まぁ、ウイルソンが自ら得たPKだから文句は言えないが。。。

 これで潮目が変わってしまった。反対に東京は落ち着きを取り戻し、仙台は焦ってしまった印象だった。

 そして34分に左からのFKを東京に与えて、太田のキックからファーに走り込んだ森重が合わせて東京が先制。おそらく練習通りだろう。仙台のゾーンの弱点をうまく突いた格好になってしまった。

 その後、東京は米本と羽生のポジションを変え、すかさず守備を修正。野沢のところのパスコースを限定させることと、二見を狙い撃ちにするのが狙いだったのだろう。おかげで、仙台は攻撃が前に進まなくなり、反対に東京はボールを握る時間を増やしたことに成功した。

 自分たちのペースでPKまで得たのに点を決めれなかった仙台と、PKをきっかけに自分たちのペースに引き戻し、セットプレーから先制点が取れた東京という前半だった。

 

後半~自分の首を自分で絞める~

 後半、ゲームが2分で動く、しかもPK。何でもないロングボールに対して二見が米本を引っ張って倒してPK。もともと手の使い方が下手な二見であるが、前半に吉本が取られたように今日はペナの中でも手を使ったら厳しく取られるというジャッジが分かっていたにも関わらず、青のようなPKを取られるのは本当に稚拙だった。で、これを武藤が決めて0-2。

 52分には太田にサイドをえぐられ、最後は武藤のボレーで3点目。仙台が前掛かりになったところを東京は見逃さなかった。

 その後仙台は、ハモン、金園を入れて攻勢を強めるも東京の堅い守備を崩すことが出来ない。東京は武藤の猛烈なプレスバックを代表とするように全員が守備の意識が高く、また攻撃時には手数をかけずも少ない人数で仙台ゴールに襲い掛かった。

 仙台の攻撃が実ったのは88分。リャンのFKから多々良が落として石川が決める。その2分後には金園のシュートのこぼれをハモンが詰めて、土壇場で1点差に、ロスタイムは5分あったが、最後に追いつくことはできず、渡邉監督が退席処分を食らうというおまけつきで2-3で敗れた。ついにこれでリーグ5連敗である。

 

最後に・・・

 今節も狙い通りの前半だっただけに、先制取れれば流れも違ったのかなと思う。すべてはあのウイルソンのPKだということがとても切ない。そして守備も渡部、鎌田が抜けた穴を多々良、石川はよく責任もってカバーしてくれたと思う。それなのにセットプレーで失点してしまうあたりがまだまだ。

 今回の1,2失点目は実際何でもないはずだった。1失点目は奥埜が自陣でクリアボールを受けて無理に前につないでしまったところを奪われてからの場面からFKを与えてしまった。バックパスで富田や六反に戻せば何でもない場面だった。2失点目も前述のとおり二見の軽率なプレーでPKを与えてしまった。こういう部分が仙台がまだまだ甘いところであり、若いところである。

 ある程度攻撃が出来ているのに点が取れないジレンマ。しっかりとした守備が出来ているのに個人の不注意から失点するジレンマ。ただ、もうちょっとなのである。このチームは結果こそ出ていないけど、着実に前へ進んでいると個人的には思う。これに結果がまた付き始めたらきっともう一皮むけるんだと思う。そのきっかけがラスト5分の追い上げだと信じたいし、そう思っている。

 次は首位・浦和。自分たちがぶつかっていくには格好の相手だと思う。とにかくチャレンジし続けること。ぶつかっていくことでしか何も起きないのだ。