ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

J1 第17節 FC東京vsベガルタ仙台

 前半戦の折り返しとなった今節。仙台は、ここ最近「鬼門」となりつつある味スタでFC東京との対戦となった。3連戦の最終戦となるこのゲームだったが、結果は0‐3で完敗。蒸し暑い中で、明らかに暑さに負け、足が止まってしまった印象だった。

 

 では、スタメンは・・・f:id:khigu:20190502120445p:plain

 東京は、前節勝利した新潟戦から出場停止のエドゥーに代わり平山、三田に代わり羽生を起用した。一方の仙台も前節負傷交代をした石川直樹から二見、連戦を考慮し赤嶺ではなく柳沢を起用した。

 

 仙台は、名古屋戦で前半からロングボールを多用し、後半に入って間延びをしてしまったことを反省し、入りからロングボールではなくショートパスを繋ぎながら攻めていくことを狙いとしていた。

 おそらく柳沢を起用したのも、前線で足元で収めることができるからであろう。しかし、この戦い方が東京を楽に戦わせた原因だった。

 仙台は、まず2トップにくさびを入れようとするのだが、そこに対して森重や吉本、高橋がしっかり潰しに行き、好きにさせていなかった。また、前を向いた状態で守備ができるのですぐにショートカウンターへ持っていける展開になって行った。15分過ぎから東京がセカンドボールを拾いはじめ、仙台はなかなかボールを握れなくなるし、ボールを奪って攻めようと思ってもすぐに東京の守備陣がプレスをかけに行くので簡単に東京ボールになってしまう。

 そして18分に、案の定東京が先制点を奪う。先制点の場面では、ウイルソンにくさびを入れたところを高橋がつぶしたところから始まり、左SBの太田に展開し、ダイレクトでクロスを送り、ファーにいた平山がヘディングで決めた。前述したようにショートカウンターに近い形での得点となったわけだが、この場面では仙台の守備は明らかに後手を踏んでいた。太田に対する寄せが甘かったり、平山に対して二見が競っている状況にさせてしまった。仙台はボールの奪われ方も悪かったし、その後の守備の準備をちゃんとできなかった。その後も東京ペースで試合が進んでいく。東京は、自分たちでボールを保持するだけではなく、仙台にボールを「持たせる」時間帯も作っていた。昨年からの東京の戦い方の進歩が見られた。

 そして、東京に追加点が生まれる。この場面も先制点と同じようにショートカウンターでの得点だった。ウイルソンに対して複数人でボールを囲んで取り、仙台の守備のバランスが悪くなったところを河野と平山がワンツーで抜き去り追加点をもぎ取った。仙台はこの場面でも1点目と同じように、FWにくさびを入れたところを狙われた。この場面ではウイルソンに収まっていたにも関わらず、仙台の選手のフォローが東京の守備のアプローチよろり遅かったように見られた。やはり暑さの影響はあったのだと思うが残念な場面だった。そして東京の猛攻は続き、43分にセットプレーから高橋が決め、前半だけで30としてしまった。仙台は、自分たちが入りからこうしようという狙いがあったがそれが裏目に出る形となってしまった。

 

 後半、仙台は巻き返しを図るために柳沢から赤嶺にスイッチする。仙台は、後半からサイドにボールを散らし、そこから崩していくシンプルな形にしてきた。前半に菅井が負傷交代した影響でリャンがボランチに入ったのだが、リャンがボランチに入ったことで前半よりは少ないタッチで、ボールが動き始めたように見えた。しかし、時間を追うごとに東京も慣れていき、仙台のサイド攻撃も単調になったことでチャンスになるような場面は少なくなっていった。東京は前半の3点リードをうまく利用しながら、戦っていた印象だった。結局、仙台は1点も返すことなく0-3で敗れてしまった。

 

 このゲームで今シーズン初めて東京のゲームを見ることができたが、やはりイタリア人監督になり選手一人ひとりの守備意識は相当高くなった印象だった。全員がしっかりとボールホルダーに対して激しくいけるようになっていた。中断前は苦しい時期があったが、中断が明けて調子がいいのも納得できる試合内容だった。また、個人的には2トップの一角の武藤嘉紀が印象的だった。どうしても守備に人数をかけなきゃいけない中、ドリブルで打開できるプレーヤーなので、今後も期待したい選手の1人だ。

 一方の仙台は、前節も土壇場で勝ち点2を失い、今回も完敗といい流れではない。またケガ人が多く台所事情も厳しい状況が続いている。そんな中でもまず自分たちが今の段階で何ができいて何ができていないのかをはっきりさせ、1つずつクリアにしていくことが求められると思う。毎年夏場に苦しむのはある意味想定の範囲内、今更勝てないからと言って焦る必要はない。とにかく我慢強くやること。この夏場は渡邉監督になって次なる試練だと思う。ここを乗り越えることが出来れば監督としてもチームとしてもレベルアップを図れる絶好の機会だと考えればいい。ここから2試合は大宮、甲府と近い順位のチームと対戦することになる、この2試合はこの先のことを考えれば1つのポイントになっていくゲームになる。後半戦に巻き返しを図るためにも、この2試合でしっかり勝ち点が取れるように仙台らしい粘り強いゲームを期待したい。