ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

更なる教訓に~J11stステージ 第5節 横浜F・マリノスvsベガルタ仙台~

 前節、清水に苦しみながらも逆転勝利し、未だ負けなしの仙台。今節はここまで2連勝とモンバエルツ氏のもと、ようやく結果が出始めたマリノスとの対戦となった。

スタメン

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 水曜日にナビスコを戦った仙台は右SBにナビスコ・神戸戦に引き続き多々良が入り、それ以外は前節・清水戦と同じメンバー。一方のマリノスは水曜日のナビスコはお休み。メンバーも前節から変更はなかった。

 

前半~ローリスク~

 前半は、お互いに守備重視のローリスクな展開が続いた。

 仙台の狙いは2つ。1つはロングボールを多く用いて全体を押し上げ、競った後のセカンドボールを拾うことでペースを握ろうとした。しかし、セカンドボールも必ず拾えていたわけではなかった。また、仙台はボールを握れるとき(後方からのビルドアップなど)はサイドに循環させることが多く、一方のサイドハーフサイドバックにつけたら、奥埜、ウイルソン、リャン、逆のほうのサイドハーフまで近い距離となり、そこから崩していこうという狙いが見て取れた。開幕戦の山形戦では、奥埜が中央で受け、相手を密集させて空いた外のスペースを使うという狙いがあったが、今回は最初から外への展開が多かった。マリノスは中央の守備が堅かったので、リスクを負わないためにもそうしたのかもしれない。

 一方のマリノスは、ビルドアップ時に片方のボランチを落とし、SBを高い位置に上げ、自然と攻撃に人数がかかるようにしていた。仙台が442のブロックを組んでいるので、後方を3枚にし、数的有利な状態で後方からビルドアップをしていこうという狙いだった。が、マリノスはどうやって崩していくかのイメージがまだのようで、アデミウソンが下がってきてポストプレーからスイッチを入れるというのはあるが、アデミウソンを抑えられてしまうと、攻めあぐねるシーンが多かった。マリノスもリスクをかけることなく、ローリスクな展開だった。

 お互いに守備に重きを置くチームではあるのでこういう展開はある程度想定内ではあったし、集中力の高い前半であったといえる。ということでアディショナルタイムもなく、スコアレスで折り返す。

 

後半~ゴラッソと受け身~

 後半、大きな変化は両チームともなかったが、仙台は前半よりもボールを保持できるようになり、特に右サイドから崩していこうという場面が多かった。仙台は前半よりもリスクを負うようになり、サイドから斜めの縦パスが増え、ペナ角あたりから侵入していこうという意図が見て取れた。

 マリノスも流れを取り戻すために兵藤から伊藤にスイッチし、アデミウソンをサイドに持っていきより攻撃的にした。しかし、いまいち機能せず、手詰まり感は否めなかった。もしかすると前節のようにアデミウソンと伊藤を近い位置でプレーさせたほうが仙台にとって嫌だったかもしれない。

 そんなマリノスをよそに仙台は67分に先制。裏に出したボールをファビオがクリアするもリャンに当たり、ウイルソンのもとへ。フリーだったウイルソンは冷静にクロスを上げ、最後はなぜかいた鎌田がきれいなボレーで決めた。あとあと映像を確認すると、自陣でボールを奪った位置が鎌田のところで、鎌田がそのまま勢いよく上がっていった格好になっていた。仙台の今節のスタメンはDFラインが4人ともCBの選手なので、その辺も状況に応じてカバーしあうことができたのかもしれない。

 その後は、マリノスが矢島を投入し、一気に攻勢をかけ仙台が受けて立つような展開へと変わっていった。仙台は六反中心に集中力の高い守備でなんとか乗り切っていた。

 そして仙台は武井を投入する。f:id:khigu:20190813204235p:plain

 この時仙台は、奥埜に代えて武井を入れているのだが、ボランチに武井を置くのではなく、あくまで4141で守っていた。おそらくマリノスも442にしたので、リャンと武井にボランチを付かせ、富田をアンカーとしておきたかったのだろう。そうすることで高い位置でボールを奪えるし、中盤のまん中で数的有利な状況を作れることになる。

 しかし、これが裏目に出て、ウイルソンが孤立したことで攻めに出ていけず、反対にマリノスの猛攻を正面から受け止める形になった。それでも守る仙台は金園、蜂須賀を投入し、逃げ切りを図ろうとするが、最後の最後で、パワープレーからファビオにダイレクトボレーをお見舞いされ、1-1で終了。何とも悔しいドローになった。

 

最後に・・・

 試合の内容、どちらもゴラッソだったことを考えれば引き分けは妥当かなと(笑)。しかし先制し、その後も集中力の高い守りでゲームをコントロール出来ていたが、如何せん受け身になりすぎた印象が否めない。交代の切り方、システムの変更もこれでよかったのかと若干疑問に残る。これでアディショナルタイムに失点したのは2試合目。すでに勝ち点4取りこぼしたことになる。まぁ、今は団子状態だし、あまり気にすぎてもいけないのだが・・・(笑)。

 とにかくこれもいい経験だと思うしかないし、リーグを戦っていく中で渡邉氏も選手たちもこの教訓を生かしてなくしていけばいい。反省しなければならないが、そう悲観しすぎることもない。

 またこの試合では奥埜にしろ茂木にしろ、どんどんJ1の戦いに慣れてきたなという印象を受けたし、けしてマイナスな要素ばかりがこの試合で出たわけではない。

 まだまだ5試合目。これからこのチームがさらに成長していくと考えるととてもワクワクする。

 次はホームで川崎F。あの強力攻撃陣に仙台の守備は、しっかり対応できるか楽しみである。次もさらに成長していく仙台に期待したい。