ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

自分たちが信じる道みたいなもの~J1 1stステージ第6節 ベガルタ仙台vsガンバ大阪~

 前節、アウェイ広島で0-3と完敗を喫した仙台は、今節、ホームでガンバ大阪との対戦となった。f:id:khigu:20191218211650p:plain

 仙台は、六反に引き続き関が負傷で、ゴールキーパーがピンチ。ミッドウィークに引き続き、石川慧がスタメン。ベンチのキーパーは昨シーズンまで仙台ユースだった特別指定の田中勘太。それ以外は変更なし。

 ガンバはミッドウィークのACL・上海上港に敗れ、公式戦4連敗中といまいち波に乗れていない様子。毎試合メンバーを入れ替え、ターンオーバー使っている様子。今節は井手口がケガで欠場、けど丹羽が復帰して遠藤、今野のダブルボランチ。1トップは長沢。

 

■前半~15分間でなぜ3失点したのか~

 仙台は、序盤の15分で3失点する。まずはこれを振り返ることにしよう。

 最初の失点は5分。宇佐美とアデミウソンの関係から、アデミウソンアーリークロスに長沢がファーで合わせたもの。

 この時点で、仙台がまずはガンバの陣形(特に2列目の構成)を把握しきれていない状態で起きている。この得点の起点は、遠藤が仙台のボランチ付近にいた宇佐美に縦パスを入れたところから入っている。

 失点の流れも4-4のブロックが仙台は出来ているものの、宇佐美とアデミウソンに対してプレスが掛かっていなかった。あまりにも2人を自由にやらせてしまった。ガンバの奇襲とまでは言わないが、ガンバのほうがより早くゲームに入り、仕掛けることに成功した。

 2失点目は、カウンター。奥埜が敵陣左サイドでボールをロストしたところから始まっている。あとは宇佐美の独走。

 この15分間。ガンバはより前に圧力を掛けていた。ガンバは敵陣でボールを奪われたとき、センターバックが長い時間ボールを持ったとき、サイドバックにボールが出た時は前からプレッシングに行く。特にハマったときは、1列目から猛烈なプレッシングを掛けていた。

 しかし仙台もそれを掻い潜る場面は何回か見られた。だから先制点を取られた後で、ガンバが前から来ていることが多くても、仙台はサイドから攻撃を仕掛ける展開に持っていくことが出来た。

 2失点目は、そんな相手を押し込めたときの状態だった。人を掛けたところで、奥埜がボールをロストしてしまい、簡単にやられてしまった。

 3失点目は、今書いたようにセンターバックが長い時間ボールを持ってしまったため、ガンバの守備のスイッチが入ったところで、富田が今野にボールを狩られ、その後一度は平岡がクリアをするチャンスがあったにもかかわらず、それを繋ごうとし、アデミウソンに奪われ、エリア内でワンツーされやられた。

 まずは、相手が前から来るのに対して、正面から面を食らった形になってしまったこと。それに加え、平岡がクリアできるチャンスを、易々と相手の注意しなければいけない選手にボールを渡してしまったことが、失点に繋がってしまった。

 このように2,3失点目は、イージーな個人のミス絡みで起きてしまったことである。もちろん奥埜にしろ、平岡にしろチームがやりたいことがある上でのミスなんだけど、ガンバみたいなチームは、そんなミスを簡単にゴールへと繋げてしまう抜け目なさがあるわけ。それは前節の広島戦同様に。

 この15分間で仙台の身に起きてしまったことがもう1つ。それはDFラインと中盤のラインの間が間延びしてしまったこと。監督も試合後のコメントで言っていたが、その原因として挙げられるのは長沢の存在かなと。長沢がいることでロングボールという選択肢が生まれた。仙台もガンバ同様に前からプレスに行く姿勢を見せるが、ロングボールで回避があるので、簡単に掻い潜られてしまう。それに長沢が空中戦で勝つ、または長沢が競ったセカンドボールをガンバが奪う回数が多かったので、仙台のDFラインは長沢のロングボールを警戒してしまい、ズルズルとラインを下げてしまったのだと個人的には思う。そしてその間延びしたところを宇佐美が使うなどして、ガンバはペースを握ることが出来たのだ。だから15分間でオフサイドは1個も取れていない。こういうことも絡んで、仙台はあの悲惨な15分を過ごしてしまった。

 

 この後は、次第にゲームが落ち着いてくる。ガンバが3点取ったこともあり、少し落ち着く時間帯が続いた。

 仙台は、ロングボール蹴り、自陣を回復しながら、前からプレッシングを掛けることで、少しずつペースを握ることに成功していく。特に仙台は右サイドからの攻めが多かった。なぜならアデミウソンは守備をしないから。右サイドで水野が起点を作って攻撃する回数が増えていく。

 そして25分にPKゲット。エリア内で富田と遠藤が接触したところで、遠藤のファウル。足の裏を見せてなおかつ足を高く上げていたので、印象は確かに悪かった。そしてウイルソンが決めて1-3。

 その後も仙台がボールを握る時間帯が続いていった。ようやくリズムをつかみだすと、水野起点の右サイドの攻撃を中心に、前節の反省から、無理なら逆サイドへ展開して、再び攻撃することも行っていた。ピッチの横幅をしっかり使いないながら、相手のブロックの横幅を広げて行く。そうすることで中央も空き、そこに奥埜などが顔を出すシーンが増えていく。

 前半ロスタイムには水野のフリーキックから大岩が合わせてネットを揺らすが、オフサイド

 前半は1-3で折り返す。

 

■後半~今後のキッカケに出来るか~

 後半は、ACLの疲れがあるガンバに対して、ボールを保持して押し込む展開が終始続いた。監督のハーフタイムコメントにもあったように、粘り強く攻撃していく。

 後半の開始早々に前半で痛めた左足首の影響でアデミウソンが大森に代わったこともあり、前半のように右サイドを中心に攻めることは難しくなったが、左右にボールを振ることで、相手のブロックの横幅を広げて、奥埜や三田、富田が出来た中央のスペースへと顔を出す回数が増えていった。

 そして59分に金園→ハモン。

 この交代で、2トップに推進力が生まれたことで、仙台の攻撃はさらに圧力を増していった。ガンバは疲労もあり、前半のような前からのプレッシングは出来なくなり、また2トップと中盤以下が間延びし始めたので、全体的に押し上げることも難しくなり、仙台の攻撃を跳ね返すのに精いっぱいだった。

 69分に大岩→菅井。

 これで、左で作って右で完結する流れを作ろうとする。というか、左右からのクロス爆撃。水野や石川直樹がシンプルにクロスを上げていく。仙台は、どうにも最後のシュートの精度に欠ける場面が続いていった。

 ガンバは倉田、小椋を入れて守備の強度を上げる。

 仙台のラストカードは野沢。仙台は攻めに攻める。ハモンが2回、左サイドをえぐって、押し込めばというシーンを作るが押し込むことが出来ず。最後の野沢のフリーキックも東口に防がれて、タイムアップ。前半15分間の3失点が響き、1-3での敗戦で3連敗となってしまった。

 

■最後に・・・

 またも3失点での敗戦。特に連続しての失点が続いている。冷静に見れば、実はすごく単純なミスで失点しているところがいただけない。

 後半の猛攻はとても良かったと思う。水野がいることで、クロスの質が良くなったし、広島戦ではあまりにも同サイドを崩そうという意識がありすぎたが、このガンバ戦では左右ボールを振ることで、相手のブロックに隙間を作らせようという狙いを持ててやれていた。

 だけど、得点が入らなければ意味がないじゃんという内容。あれだけのチャンスを作って決めたのがPKのみという切なさ。ガンバはACLもあって後半は疲労で前に出てこれなかったので、やはりそういう相手にしっかり決めていける力をつけていけないと上位なんて話にならない。

 

 こんなことを言っても、続けるしか道はないように思える。誰かがすぐに良くなる魔法なんてないって言ってた気がするけど、やっぱり継続して、愚直にやり続けることが、このチームの未来を明るくする最も近い道のりだと思う。急がば回れである。

 自分たちが歩んでいるこの道を信じて、闘い続けることが出来るかが大事。本当の敵はおのれ自身的な。

 

 次は浦和。広島、ガンバ、そして浦和と厳しい3試合の最後。厳しいのは百も承知。その中でも自分たちがやっていることを自信を持って表現できるか。いいゲームを期待したい!