ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

負けなかったことへの評価か、勝てなかったことへの評価か~J1 1stステージ第16節 ガンバ大阪vsベガルタ仙台~

 神戸と鳥栖に勝利し、今季初の連勝となった仙台。1stステージも残り2試合。1桁順位も夢じゃない!、という今節は4位・ガンバとの対戦。

スタメン

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 まだ数字上1stステージの優勝の可能性があるガンバ。今節は中盤に高校2年生の堂安律を先発起用。思い切った采配をしてきた長谷川健太氏。

 一方の仙台。このブレイクで石川が負傷。代わりに帰ってきた鎌田が先発。左SBはこちらもケガの二見に代わって蜂須賀。

 

前半~ミラーゲーム~

 この試合、お互いのシステムは「4-4-2」。いわばミラーゲームである。f:id:khigu:20191217214411p:plain

 ガンバはボールを持っているとき、人が大きく動かない。人を能動的に動かすことで相手とのずれをあまりつくらない。動くといっても宇佐美がフラフラ下がってボールを受けるくらいである。遠藤がいて宇佐美がいてなので、個の力で繋げられるからである。

 けど、人が動かないことは相手にとっては狙いがはっきりするということ。仙台は開始から、ガンバの最終ラインに対して前プレを決行。それに後方の中盤もついていく。東口に対してもプレスに行くことをいとわなかった。

 けど、仙台もガンバが落ち着いて回し始めれば、おとなしく撤退守備へと切り替える。遠藤へのパスコースを2トップが限定しながら、サイドへと追いやる。そんな二段構えの守備を仙台は見せた(神戸戦の後半もこんな感じだった)。

 ガンバは仙台のプレッシングに苦しみながらも、少しずつチャンスを作る。そのほとんどがカウンターだった。ガンバはパスを繋ごうとするのだが、なかなか縦にボールが入らず、サイドからの展開が多くなった。期待の堂安も沈黙。たぶん遠藤、宇佐美だけではなく、新たな出し手として期待したのだろうが、その期待に応えられなかった。

 けど先制はガンバ。32分に遠藤のFK→今野で先制。いい形は多くなかったが、遠藤の右足で均衡を破って見せた。

 その後も宇佐美が決定機を作るも枠外と六反のセーブで決めれなかった。

 ガンバリードで後半へ。

 

後半~自分たちの意思と相手の弱み~

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 後半。ガンバは堂安から阿部へスイッチ。仙台はリャンと野沢がポジションチェンジ。理由は知らん。また、途中で戻している。

 ガンバが阿部を入れた意図は仙台が前半、左からの攻撃が多く、堂安に守備の負担を掛けてしまったことと、阿部のほうがカウンターに出やすくハードワークできるという理由だろう。

 ガンバは後半、前半よりもより戻りの意識が高くなったように思える。特に大森、阿部の両SHはプレスバックが早かった。

 しかし、そんな展開の後半、仙台がボールを握る展開が長かった。理由はいくつか。

 1つは、ガンバが後半になって自分たちがボールを持つことよりも2トップを中心としたカウンターを狙うことにしたこと。実際にパトリックが抜け出して決定機を作っている。

 ガンバは全体のラインを下げることはなかったが、攻撃に掛ける人数がだいぶ減った。

 もう一つは「1列目、2列目問題」f:id:khigu:20191217214521p:plain

 ガンバは前述したように2トップが居残り、残りの8人でブロックを作る。よって前線と中盤の間が開き、仙台のボランチのところに大きなスペースが生まれた。前半もいくつかそういう場面が見られたが、後半はより顕著に見られた。後半、富田がボールを触る回数が増えたのもそれが要因である。

 以下の理由で仙台はボールを持つ時間が長くなった。おそらく富田のところのスペースが広くなることは前半のうちにわかったことかもしれない。ガンバの2トップがCBにプレスを掛けてもそれ以降は無理に追わない。

 仙台は、まず1列目、2列目の間を攻略したことでだいぶ前を向いてボールを持てた。以前であれば慌てて縦に急いだかもしれないが、焦らずに野沢やリャンを使いながら隙を伺うシーンが何度も見られ、だいぶ自分たちの意思で回せているように感じた。また後半は明らかにチャンスシーンが増えた。

 仙台はミンテ→金久保でリャンをボランチへ、また奥埜を投入して一気に畳みかける。

 ようやく実になったのは88分。リャンのFK→渡部、はじいたところを奥埜が押し込み同点。

 最後に金久保のクロスに金園の決定機があったが、東口のビッグセーブで阻まれタイムアップ。なんとか1-1で勝ち点1をもぎ取った。

 

最後に・・・

 ガンバ相手に勝ち点1をもぎ取れた。これは何より良かったこと。

 しかし、内容を見れば早い段階で追いつき逆転まで持っていきたかった。負けなかったことを評価すべきか、勝てなかったことを評価すべきか、この試合はわかれると思う。

 ただ、この狭間にいるのが今の仙台の現状かもしれない。ガンバ相手にも落ち着いてボールを回して攻撃できたが、逆転は出来なかった。この「逆転できる力」を徐々につけていけば仙台はもっと成長できると個人的には強く思う。今節は今後に向けて意味のある試合だったかもしれない。

 1stステージも残り1試合。ホームに名古屋を迎えるわけだが、ここで勝てば1桁順位で1stステージを終えられる。そのためにも名古屋に勝って、2ndステージへ弾みをつけたい。次もまたいいゲームを期待したい!