さて、今回はブラウブリッツ秋田戦を振り返ります。
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スタメン

ベガルタ仙台は、前節・カターレ富山に1-0の勝利。相良、エロンにアクシデントが起きるも、途中出場の宮崎が前半でゴールを奪い、その後は堅い守備で富山の攻撃を零封。4試合ぶりの勝点3を獲得した。
ホームに戻って今節は、ブラウブリッツ秋田との対戦。相良、エロンの離脱に加えて武田が累積警告で今節は出場停止のなかで、代わって起用された選手が自分の存在価値を示せるかが重要な一戦となった。
今節は欠場者3人のところに、それぞれ松井、オナイウ、宮崎が起用された。ベンチでは、髙田、工藤がベンチへ戻ってきており、またグスタボが今シーズン初のベンチ入りを果たした。
一方のブラウブリッツ秋田は、前節・レノファ山口FCに1-0で勝利。連敗を4でストップした。前線では小松が目下7試合で7ゴールと開幕から好調を維持しており、前節は久々にクリーンシートと秋田らしい戦いぶりが戻りつつある。
この復調の兆しを自信に変えるべく、今節はアウェイではあるが仙台に勝利し、さらに順位を上げたい一戦である。
今節は右サイドハーフに長谷川を起用。それ以外は変更なしとなった。ベンチは1人少ない8人のメンバーで、大石、川本が前節から代わってメンバー入りとなった。
前半
(1)宮崎に収まるか収まらないか、それが問題だ
試合開始から両者ともにロングボールを敵陣に送り合う時間が続いた。
仙台は、プレッシングを仕掛けてくる秋田に対して、林とセンターバックでボールを動かしながら、機を見てターゲットの宮崎へロングボールを送り込む。
この試合の序盤は、そんなターゲットの宮崎がボールを収められるかどうかによって、仙台のチャンスが生まれるかの命運が掛かっていた。
開始直後の2分には宮崎が収めたところから真瀬を経由し、オナイウへ展開。オナイウのファーへのクロスに郷家が合わせるも僅かにゴール左へ逸れた。
しかし、次のチャンスで仙台は先制点を奪うことが出来た。
CLIP📹
— ベガルタ仙台【公式】 (@vega_official_) 2025年4月5日
🦅明治安田J2 第8節
🆚ブラウブリッツ秋田
⚪️1‐0
🗓4/5 SAT 13:00
🏟️キューアンドエースタジアムみやぎ#宮崎鴻 のポストプレーに連動してボールをつなぐ #荒木駿太#オナイウ情滋 には相手DFがつくものの自らコースを作ってからのゴラッソ🫰嬉🫰#VEGALTA #PASSION_限界を超えろ #08秋田 pic.twitter.com/E5bqkLf3E8
石尾のロングフィードに宮崎が胸で収めると荒木へ。荒木はオナイウへ展開し、そのままオナイウは少し外へドリブルしながら、ファーサイドへシュート。これが決まって仙台が幸先よく先制した。
まさに序盤のロングボール合戦から宮崎が収めたところをきっかけにゴールを奪えた。オナイウにとっては、ルヴァンカップなどで悔しい想いをしていただけに、それを払しょくするゴールとなった。
(2)いつもと違ったボール保持とボールの解放場所
先制できた仙台は、その後も地上でボールを動かしながら宮崎をターゲットにするロングボールを活用しながらゲームを進めていく。
秋田のプレッシングに対してなかなか地上での糸口を見出せなかったが、中盤での攻防でボールを回収したり、ファウルを受けたところをきっかけにミドルゾーンでボールを保持できる場面も少しずつ増やしていく。

この日の仙台はメンバーが入れ替わったこともあり、ボール保持の配置にも変化があった。
特に右サイドでは真瀬が内側のポジションを取り、大外にオナイウが張る形となる。
仙台は3バック(井上、菅田、石尾)に加えて鎌田が上手くサポートに入りながら、松井も一緒にビルドアップ隊を形成し、ボール保持率を高めていく。
ここまでの仙台であれば、ボール動かしながら相手の状況を見て、荒木へ楔パスを通したり、サイドを利用しながら前進していくことが多かった。
しかしながらメンバーが変わった影響もあり、連携不足が否めずいつもテンポでボールを動かすことが出来なかった。
また右サイドではオナイウと井上の距離が遠かったことで、最近確立しつつある「井上→真瀬」のパスラインのようなサイドへのパスを通すことが少なかった。
34分には左サイドから右サイドへボールを動かしながら、井上のパスからオナイウがドリブルで駆け上がりクロスを送るまで持っていくことが出来たが、逆に言えば右サイドからの展開はそれくらいだった。
ボール保持に課題を抱えながらも、仙台はそれ以外の狙いも見せていた。

秋田の特徴はボールサイドへの密集を作り出して、そこへロングボールを送り込んでセカンドボールを回収することで押し込んでいくことだ。
特に秋田の攻撃は右サイドに偏ることが多く、右サイドバックの村松が高い位置を取ることも多かった。
仙台はボールを奪えれば、逆サイドに大きなスペースがあり、そこへボールを逃がすことで快足のオナイウと真瀬の突破でカウンターないしは、陣地回復を目指した。
オナイウを起用したのも、この辺の狙いを含めたものだったのではないかと考えている。
(3)ゴール前でのセットプレーで押し込み始める秋田
先制された秋田だったが、前述の通り密集地帯へのロングボールをきっかけにセカンドボールを回収して仙台陣内へと押し込む。
そして仕掛けたところからファウルをもらい、ゴール前でセットプレーを獲得していった。
前半中盤以降から少しずつセカンドボールを回収できる回数も多くなり、それと比例してセットプレーの数も増やしていった。この辺りは秋田の狙いの1つだっただろう。
それでもゴール前では仙台も集中して弾き返し、シュートを打たせない。前節同様に前半から集中力の高い守備を見せていた。
前半は、試合序盤にオナイウのゴールで先制したが、徐々に秋田のロングボール戦法に押し込められたものの、ゴール前での集中した守備で乗り切り後半へと折り返した。
後半
(1)さらに圧力を強める秋田
後半に入るとさらに秋田の圧力が強くなっていった。
仙台のビルドアップに対してもマンツーマンで付くようになり、連携不足の仙台はどうしてもそのプレッシングを剥がすことが出来ない。
ゆえにセカンドボールを回収され、そこからロングボールを手っ取り早く送り込まれることで、仙台は終始秋田に押し込まれる展開となった。
後半開始から秋田が押し込むとクロスも増え、またコーナーキックなどのセットプレーも数多く獲得していった。
それでも前半同様に集中力高く守っていた仙台は、時々林のセーブに助けられながらも体を張った守備でゴールを割らせなかった。
(2)早めの髙田投入
圧力を強める秋田は、54分にフィジカルバトルに強い梶谷とクロッサーの石田を投入し、さらに前線の活性化を目指す。
防戦一方の仙台も、早いタイミングでカードを切り、61分にオナイウと荒木に代えて髙田と名願を投入する。右サイドは真瀬が一列前に上がって、真瀬と髙田が右サイドでコンビを組むことになった。
後半から秋田にクロスを上げられる回数も増え、特に仙台の右サイドを狙われる回数は多かった。そこで競り合いに強い髙田を投入したことでまず蓋をすることを狙った。
そして、髙田もしっかり競り合いに勝つことで秋田の思惑を外すことに成功する。
その後、仙台もセカンドボールを回収し、秋田のプレッシングを脱出できるシーンもあったが、そこからボール保持を高めて押し込む時間を作れずに淡白な攻撃に終始してしまった。結果的に後半に放ったシュートは0本だった。
秋田は70分に水谷に代わって大石を投入。83分には畑橋と藤山に代えて長井と佐川を投入し、さらに高さを加えることで攻勢を強めていった。
対する仙台は守備強度を維持するために松井と宮崎に代わって工藤と梅木を投入。83分の秋田の交代を見て、仙台は真瀬に代えてマテウス・モラエスを投入し、5バックにして逃げ切り体制を構築する。
終盤は秋田のロングボール大作戦に対して菅田、井上、マテウス・モラエスを中心に跳ね返す展開に。彼らがしっかり跳ね返してくれたことで、ペナルティエリアでは大きな事故が起きることなく戦うことが出来た。
アディショナルタイムに入ると、両チームが衝突する場面もありながら、最後まで秋田の攻勢を跳ね返した仙台が虎の子の1点を守り切って勝利。今シーズン初の連勝となった。
最後に・・・
試合序盤以外は秋田のロングボール戦法に押し込まれる時間が長く、苦しい展開だったが、去年から培われた集中力の高い守備はこの日も健在で、勝点3をゲットすることが出来た。長いリーグ戦、こういう自分たちの流れじゃない試合が必ずあって、そういう試合で勝点3をもぎ取れたことは今後にも繋がる大きな勝利だったと思う。
また欠場者の代わりに出た選手が活躍してくれたのは良かった。オナイウは雪辱を晴らす決勝ゴール。宮崎はゴールに繋がるポストワークが冴えており、松井も肉弾戦の多い展開で、粘り強い対応を見せてくれた。
しかしながら、欠場者が3人も出ると少なからず影響が出たのも本音。特に攻撃においては前線でポイントとなるエロンと、中盤の底でリズムを作れる武田が不在だったのは大きかった。武田は次節には戻ってくるが、エロンはいつ戻って来れるか分からないため、宮崎をはじめ前線の選手の奮闘に引き続き期待したい。
次節もホームでの戦い。FC今治との対戦となる。今治はJ3から初昇格してきたが、昨シーズンのJ3得点王&MVPのマルクス・ヴィニシウスとウェズレイ・タンキの2トップが強烈。今節はV・ファーレン長崎に4-1と勝利し、仙台よりも上の順位にいる。まさに旋風を巻き起こしているチームだ。そんな強力2トップを擁する今治に対して、前節、今節同様に集中力の高い守備が求められる。特にセンターバックの活躍が重要になるだろう。
昇格組と言えども決して侮ってはいけない相手だ。次節も集中力の高い守備と高い強度、そして迫力のある攻撃で今治に襲い掛かって、さらに連勝を伸ばしていって欲しい!!
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