さて、今節は浦和レッズ戦を振り返ります。
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スタメン
ベガルタ仙台は、前節・横浜FCとスコアレスドロー。ここ最近は、前から行くよりも、失点を抑えながら戦うことに重きを置ている。結果が出ない厳しい状況ではあるが、なんとか希望を見出したい。
3連戦最後に試合となる今節は、5人のメンバーを変更した。ボランチにはここ最近パフォーマンスが向上している田中渉。また1.5列目には、初スタメンとなるクエンカが入った。ベンチには、ケガから復帰した蜂須賀が入った。
一方の浦和レッズは、3連敗後のサガン鳥栖戦に勝利。前節は柏レイソルと引き分けている。内容は徐々に向上しているようだが、中位に甘んじているだけにここから逆襲を仕掛けたいところだ。
浦和は前節の柏戦からメンバーの変更はなし。連戦ながらも同じメンバーで挑んだ。
前半
(1)決定的なミスからの3失点
試合は0-6の大敗。非常にショックの大きい試合となった。
しかし失点シーンを振り返ると、自分たちが自陣で起こしたミスが失点に直接つながった形の3失点だった。
1失点目はボールを奪ってから渉の判断が遅れたところを、奪われてからのショートカウンターからの失点。
2失点目も、渉が自陣でボールを回収するも、マルティノスに即時奪回され慌ててファウルしたシーンからの失点。
3失点目はビルドアップのミス。椎橋の横パスを汰木にインターセプトされ、そこからの流れで興梠にPKを与えてしまった。
浦和は、トランジション時に素早い切り替えからボールを奪い返すことを、チームの狙いとして持っていたし、そこで仙台が引っかけられたという理由もある。
しかし1失点目なんかは、渉が早めに展開していれば問題なかったシーンだったし、非常に悔いが残るシーンが前半に立て続けに起こったことは残念だった。
そして残念だった理由のもう1つが、決して試合の入り方が悪くなかったことだ。
前節・横浜FC戦よりも、試合開始からサイドハーフを加えて前線からプレッシングを掛けていく姿勢が見られ、セカンドボールを回収することで自分たちのターンへ移行することもできていた。
なので、ミスからの失点は痛かったし、ペースを握れそうな展開だっただけに無失点でゲームを進めていきたかった。
(2)仙台のボール保持を改めて考えていく
前述した通り、仙台は開始から前プレを掛けることで、セカンドボールを回収し、自分たちのターン(=ボール保持)へと移行できていた。
しかし、そんなボール保持、特にビルドアップからの前進の部分で、この試合でも狙いとしていることが明確ではなかったように感じた。
この試合に限らず仙台のボールの前進は、サイドからのことが多い。これは恐らく前進しやすい場所がサイドだからだと思う。
しかし、相手からしてみればゴールよりも遠いエリアで前進させらているので、脅威には感じない。むしろ、サイドから追い込むことができ、守りやすくなるのだ。
なので、仙台のボール保持からの攻撃はなかなか上手くいかない。もちろんセンターバックが、選手間や狭いスペースへパスを通す能力が低い選手になっていることもあるが、そもそもチーム全体の設計がまとまっていないように思える。
なので、パスを出しやすいサイドからとりあえず前進しよう!みたい形になっているのではないかと考えている。
しかし、上手くいったシーンも何回かあった。
図は前半10分のプレー。このシーンもいつものようにボランチが下りてビルドアップを3枚+ボランチでスタートしている。
このシーンでは、アピアタウィアが飯尾に出したところからスタートするが、椎橋が下りた位置から列を上げることで、パスコースを形成。飯尾は椎橋に出して、椎橋はダイレクトで道渕へスルーパスを送った。道渕のシュートは槙野にブロックされたが、ビルドアップからの流れは良かった。
ポイントは、一度中央(図で丸く囲ったエリア)へボールを付けられたこと。序盤の浦和の守備は、4-4-2でセットすることが多く、そこまでボールホルダーへプレスを掛けてこない。加えて2トップもプレスバックをあまりしなかったこともあるが、ビルドアップの時点で2トップを越せたことで、仙台はチャンスが作れた。
このシーンでは、2トップに加えて汰木がプレスに行ったことで、浦和の左サイドでの守備にズレが生じて、道渕が抜け出すスペースが生まれた。
これ以外のシーンでも、ボランチが2トップを越えたところでボールを受けられたときは、ある程度チャンスが生まれたし、押し込むことができた。
なので、ビルドアップの時点でいかに相手の前線を越えられるかはポイントかなと思う。特に仙台は、椎橋や渉、浜崎や松下といった球出しできる選手がおり、ボランチが鍵を握る。チームとしていかに彼らを前向きの状態にするかが、重要ではないだろうか。そこから逆算すれば、ボール保持の局面からチャンスを作り出すことができるのではないだろうかと考えている。
後半
(1)試合の雑感
後半スタートから仙台は、椎橋に代えて松下を投入する。
浦和は、点差が広がったこともあり、前から行くよりも仙台の攻撃を受け止めながら、奪って早いタイミングで縦へ仕掛けることを意識した。
これは、仙台の弱点でもある高いラインの背後を狙うこととも一致している。特に守り方が変わったことでシマオ・マテは、本来苦手としていた背後への対応をすることが多くなり、そこを狙われるケースも増えてきている。浦和は低く構え、仙台をおびき寄せることでさらに仙台の高くなった最終ラインの背後を狙おうとした。
前述の通り浦和が構える姿勢をしたことで、仙台は相手陣地でのプレー回数を増えていく。サイドからの崩しも、前半同様にサイドバック、サイドハーフ、クエンカ、逆のサイドハーフまで加わることで、サイドからの攻撃からシュートまで持っていけることは多くなったと思う。松下が加わったことでボランチからの球出しもより多くなり、そこまで悪くなかったと思う。
しかし、51分に興梠に決められ4点目を与えてしまったところで、ここで仙台の勢いはガクッと落ちた。意気消沈。
もちろん、リスクを負って攻めるが、高くなった仙台の最終ラインを途中投入されたレオナルドに突かれて決定機を作られる。最終的には、そんなレオナルドに67分、85分と決められて、0-6。
試合は0-6。大敗となった。
試合の感想
実際はそこまで悲観する内容ではなかったと思う。試合の入り方も悪くはなかった。
しかし、前半の失点が非常に痛かった。どれも崩された形ではないだけに、悔いが残る形となった。渉にとっては、ある意味で大きな経験をしたと思う。この経験を生かしてくれれば。
守備のところでは、去年よりも最終ラインが高くなったことで、その背後を取られるシーンが多い。特にシマオ・マテにとっては苦しいシーズンとなっている。
これは前線でのプレッシングが掛かっていないことも原因の1つだと思う。もう一度、チーム全体としてどうやって守備をしていきたいのかを整理する必要があるだろう。
まだまだ課題が多い中で試合は続いていく。浦和戦から次節の名古屋グランパス戦までは1週間のインターンバルがあるが、またそこから連戦が続く。戦術面、選手起用等、木山監督にとっては悩ましい日々だと思うが、この苦しい状況をなんとか乗り越えて欲しい。
最後に・・・
本当にしょうもないクラブだと思う。債務超過でサポーターに募金を求める。チームは勝てない。おまけに選手は不祥事を起こして契約解除。本当にしょうもないし、今年は17年間応援してきて最悪なシーズンだ。
だけども、このクラブには感謝しかないのだ。悔しい思いも、苦しい思いも、胸糞悪いこともたくさん味わってきたけど、スタジアムで味わう興奮、ゴールしたときや勝利したときの喜びという日常では体感できないものをこのクラブに提供させてもらった。
また、このクラブを応援していることで、多くの方々と出会うことができた。
そして何より、この仙台という街を好きになり、誇りにできたのは、このクラブがあってこそだった。
だからこそ、このクラブには感謝しかない。僕の人生に彩りを加えてくれた存在だ。
こんなしょうもないクラブだけど、やっぱりこのクラブが好きだし、これからも応援していく。それ以外の選択肢はない。
「悲しみの果ては 素晴らしい日々を送っていこうぜ」なんて宮本浩次は歌っていた。
そんな「素晴らしい日々」を送っていくために、それぞれの立場で、みんなでクラブもサポーターも1つになって這い上がっていけばいい。いや、這い上がろう。
次節は名古屋グランパス戦。仕切り直しの一戦。戦いましょう。