ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

目指すサッカーなんてない!?日本代表vsオーストラリア代表

 3週間もリーグ戦がなかったため、書くこともなくサボっていたこのブログですが、久々に書こうと思います(笑)

 ということで、今回のテーマはアギーレジャパン。ここまで書く暇もなかったし、あまりにもいろいろ実験していたので、何とも言えない部分が多かったので、あえて書かなかったのですが、アジアカップ前の6試合も終わったことなので、自分なりに思ったことを書こうと思います。

 ということで、オーストラリア戦の雑感とアギーレはどういうチームを作りたいのかという2点について自分なりに触れていこうと思います。

 

1. オーストラリア戦

 ここまでの5試合は中南米の相手ばっかりだったが、今回は初めてアジアのチームとの対戦。アジアカップのホスト国として今回のアジアカップをなんとしても優勝したいオーストラリアとの対戦である。

 スタメンとかみ合わせをまず見てみる。

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  日本はこの11月シリーズで、遠藤や今野、長谷部、内田というザックジャパンの主軸を復活させ、ホンジュラス戦ではさすがパフォーマンスで60でホンジュラスを粉砕したわけだが、今回も内田のケガで酒井が右SBで太田が左SBに入った以外はホンジュラス戦と同じメンバーを起用した。

 一方のオーストラリアが興味深く、4312を採用し、あたかも日本のシステムに合してきたこのような布陣を採用した。このシステムにすることで、中盤では図のようなマッチアップができ、しかも中盤に1人余るような格好になる。本来このシステムを採用しているかどうかはわからないが、もしかするとここまでの日本の試合を分析してこのシステムにしたという可能性は十分にあるのではないだろうか。

 

ということでオーストラリアの狙いは2つあった。

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 まず1つは、433攻略の定石、アンカー脇を狙うことと、取られた後の素早いプレッシングである。

 先ほど、オーストラリアは4312であると言ったが、それは守備時の話で攻撃時はトロイージとクルーズが広がり、WGとインサイドハーフの4人がうまくアンカー脇を突いて、攻めの起点としていた。日本は4141で守るが、遠藤も香川もインサイドーハーフをマークせねばならず、長谷部のヘルプには行けなかった。そのためDFラインが押し上げて何とか対応するシーンが見られた(幸いオーストラリアも最後の精度を欠いたため、危ない場面が1回程度におさまる)。そして、日本がボールを奪うもののオーストラリアが多くの人数をかけ前プレをかけるために日本はお得意のパス回しが出来ず、ロングボールで回避する場面が多かった。これも狙いの一つで、日本は9人が自陣にいるため、オーストラリアも敵陣で人数をかけることができ、そのため圧力をかけ、奪い返すことができるのである。またオーストラリアは同サイドに人数をかけることでスペースを消し、間で受けるプレーを徹底的にさせなかった。これも中盤のゾーンでマッチアップの部分を増やしたことにある。

 そしてもう1つはアンカー・ジュディナクのプレーである。

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 日本がポゼッションで苦労する一方でオーストラリアは日本よりは、スムーズにボールを動かせた。というのもさっきの中盤で1人余ることとなったジュディナクがその要因である。オーストラリアが後ろからビルドアップするとき、2CBとGKで後ろからつなぎ出し、ジュディナクはその前で待ち構えるのだが、ジュディナクがいることで岡崎はCBにあまり強烈にプレッシングに行けず、どうしてもジュディナクのパスコースを切りながらになってしまう。それを見かねた遠藤がヘルプしようとするが、そうすると今度はインサイドハーフが空き、そこに通されてしまうという展開が続いた。日本はけっこうこういうシーンが多く、かなり苦労していた。またGKのライアンが足元がある選手で、オーストラリアは詰まってもライアンに下げ、そこから的確なフィードでチャンスメイクしていた。

 

 さすがにそんな状況に我慢出来なかったアギーレは35分頃にあの「4231」へ変更する。まさに形だけをみればザックジャパンの復活である。

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 とは言いつつもこれで、だいぶミスマッチが起こせるようになり、日本は自分たちがボールを回し、イニシアチブを握るようになった。ということで前半は0-0で終わる。

 

 後半、日本は遠藤に代え今野を投入。中盤に守備を強化したわけであるが、これが反対に前線の活性化につながったわけだからサッカーって不思議だなと思ってしまうところである。

 たぶんアギーレが今野を入れたのは4231になって前線のプレスができるようになった時に奪ったボールを誰が回収するのかというところで今野をチョイスしたのではないか。今野はつなぎの面でも遠藤や柴崎ほどできるわけではないが問題なくやれるし、決して悪い選択ではなかった。おかげで後半は前線のプレスが機能し、完全に日本のものできた。得点もコーナーから今野、そして森重の股抜きドリブルから岡崎のヒールで決め、得点につなげることができた。しかし、最後のケーヒルの失点は残念。ボランチを含めた守備陣は0で終わらせようとしていたのに前が出ていったしまったためサイドにスキができ、フリーで上げさせてしまってからの失点だった。これから本番に向け、こういういらない失点をどう減らし、試合をクローズしていくのか、ポイントであろう。ということでアジアカップ前のラストテストマッチは21で勝利することができたのである。

 

2.アギーレが目指すもの

 はっきり言ってないと思います(笑)そう自分は考えていて、たぶん前任のザックのように攻撃的なサッカーをとかそういうものはあんまりないと思う。アギーレが433を採用しているのは、中盤の構成で戦術やそのチームの色が変わりやすいところにこのシステムを見出しているのではないでしょうか。長谷部、遠藤、香川と今野、長谷部、細貝で構成された中盤では全く違うチームになります。

 で、何が言いたいかというと、さまざまなチームに対応できるチームにしたいんだと思います。自分たちより格下には攻撃的に、反対であれば守備的に組めるようなチーム。とにかく柔軟に戦える集団にしたいんだと思います。だから時にはシステムを変え、前任がやっていたようなサッカーをやる時もある。それが正しいかどうかはわかりませんが、それも一つに手だし、ありだと思います。ただあくまでアギーレのサッカーをやってもらいたいのが本音で、あまりに前任のやり方を多用するとどこかで行き詰ってしまいます。そこは1つのオプションとして採用してもらいたいです。

 正直言ってアギーレのサッカーがまだ馴染んだという段階ではないのですが、アジアカップでの連覇をタスクとして言い渡されているはずなので、ここからが本当の意味でのアギーレの本領発揮であり、お手並み拝見だと思います。さてさてどうなるか、アジアカップ楽しみです!