ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

覚悟を持って~J1第25節 ベガルタ仙台vs鹿島アントラーズ~

 11年ぶりの4連敗で、何とかしなければならいない仙台。今節は、ホームで4位・鹿島との対戦だった。結果は0‐1でついに5連敗となってしまった。順位は依然14位と変わらないが、降格圏はすぐそこ、もう後がない状況が続いている。f:id:khigu:20190502122517p:plain

 スタメンは、仙台は前節からGKを桜井から関にまた変えただけで、大きな変更点はなかった。

 一方の鹿島は前節マリノス相手にシュート1本を抑え、鹿島らしい勝利を得たメンバーと変えずに臨んだ。

 

 前半は、鹿島のしたたかさが目立った内容だった。早々から攻勢を仕掛けた鹿島は、仙台の高いディフェンスラインの裏に小笠原や柴崎が正確なボールを供給し、そのボールにダヴィや二列目の選手が反応していく攻撃が狙いだった。仙台もダブルボランチに好きなようにやられているのにラインが高い状況だったので、DFとGKの連係ミスでヒヤッとするシーンを何度も作ってしまった。

 それでも耐えに耐え、徐々に鹿島の攻撃に慣れた仙台だったが、攻撃は相変わらずの状態。前半は、奪ったボールを縦に速く持っていくことを狙いにしていたのだろうが、それが裏目に出てしまい、反対に攻撃が単調で淡泊なものになってしまい、鹿島を楽に守らせることになってしまった。

 この内容だったら0‐0で折り返しても何ら問題ないなと思った43分にやられてしまう。これも前述したように淡泊に攻めてしまった後の鹿島の攻めだった。せっかくボールを奪えた富田が、無謀にも赤嶺に一本で裏に通そうとしたパスがパスミスになってしまい、曽ヶ端にわたる、曽ヶ端は小笠原に出し、小笠原はほぼフリーで前半から狙っていたダヴィへ裏へのロングパスを送る。抜け出したダヴィは左サイドをえぐり、最後は走り込んできた土居がニアで合わせ鹿島が先制。失点の原因はいくつかあるが、前半の内容が悪かっただけに富田のところで無理に攻めずに、ボールを回し、とりあえず落ち着かせることが出来たら失点はおそらくなかったし、前半を0‐0で折り返すことが出来た。あのシーンでそこが一番残念だった。調子が悪かったり、点が取れないとどうしてもこういう攻め急ぎが起きてしまう。調子がいい時は自分たちの流れが悪いことを把握し、無理に攻めず前半をこのまま終わらせて、ハーフタイムで修正しよう考えれることが出来るのだが、それが今できていない状況があのシーンで現れたような気がした。というわけで、前半は鹿島1点リードで折り返す。

 

 後半、なんとか巻き返したい仙台が鹿島ゴールを必死で襲う展開になる。開始早々から赤嶺、ウイルソンでゴール前まで持っていくことできると、仙台にリズムが生まれ出す。前半のような攻め急ぎは減り、人数をかけて攻めるようななっていく。また前半あまり目立たなかったリャンがボールを動かせるようになるとサイドからの攻めも生まれる。だがしかし、相変わらずゴールへと結びつかない。決定機は攻めている割には少なかった。早い時間帯で菅井を投入し、その後武藤、中原を入れパワープレーに出るが決められず、ロスタイムにFKを獲得し、リャンから菅井、最後は赤嶺がプッシュしネットを揺らすが、オフサイドの判定。リプレイを見てもどこがオフサイドかいまいちわからなかったし、どの解説者も首をかしげていたので誤審であったのだろう。チームが調子が悪いとこういう運にも見離されるものである。ということで試合は0‐1で鹿島が鹿島らしく勝利。仙台は泥沼5連敗となってしまった。

 

 ついにここまで来てしまう、個人的には開き直ってしまっています(笑)。もうどうなっても仕方ないねって。

 今節を見ていると、チーム全体のメンタルがやはりひどいような気がする。なんとかこの状況を打破しようとしてしまい全体が空回りして、悪循環に陥ってしまっている。特に前半はそれが顕著に表れてしまった。仙台がいい時は全員がハードワークし、体を張ったプレーが出来ていたのと同時に、我慢どころで我慢できるチームなんだと思う。ゲームの流れが悪いときには悪いなりに最低限やることはやるチームだった。今は、それを忘れている状況だと感じる。もう一回そういうことを思い出してやるべきである。地に足をつけて1つ1つ粘り強くやらなければ。

 そしてもう1つ。この敗戦をどうとらえるか。個人的には前半の内容はひどいと感じたが、後半は鹿島相手に最後まで粘り強く攻めることが出来た。そこをどう考えるかである。「また点が取れなかったから前と何ら変わってないじゃん」と思うか、「鹿島相手にこれだけ攻めれたことは自信にして次につなげなければ」と思うかでかなり変わると思う。「危機感」ばっかり持っていても「やれる」という自信や確信がなければいけない。少しでもそういう自信や確信を見いだせれば今節の鹿島戦は少しでも収穫点があったはずだ。

 次節は2位・川崎。今節は出場停止から戻ってきた大久保がハットトリックし大宮に快勝している。今まで通りにやれば負ける。粘り強く、仙台らしいフットボールをやり、覚悟を持って挑んでもらいたい。まずは連敗脱出すること、あわてなくていい、勝ち点1でもいい、サポーターと共に闘い、希望を見いだせる試合にしたい。