ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

J1第15節 柏レイソルvsベガルタ仙台

 W杯も終わり、いよいよJリーグのある日常が戻ってきた。仙台の再開初戦はアウェイでの柏戦となった。この対戦は、ここ最近は僅差の試合が多くタフで激しいゲームとなる。個人的には楽しみなゲームの1つである。今回も例外なく非常にタフなゲームとなった。

 また、このゲームは雷雨の影響で開始が1時間遅れとなり、ピッチもところどころ水たまりがある状態での試合となった。

 

 スタメンは・・・f:id:khigu:20190502120208p:plain

 ホームの柏は、この中断期間でレドミ(→名古屋)、田中順也(→スポルティング・リスボン)がいなくなった。その穴を埋めるために先週の天皇杯から352で中盤がワンボランチのシステムを採用している。中盤で厚みを加えながら、サイドの選手が絡んでいく柏のスタイルを継続させるためにはこのシステムがよいと考えたのだろう。

 一方の仙台は、ウイルソンとリャンがケガで欠場。新加入のハモン・ロペスは移籍登録が完了せず、この試合でのデビューはお預けとなった。スタメンでは八反田がJ1初先発となった。先週の天皇杯、その前のPSMで複数失点を喫して敗れているため、まずは守備の修正が大事となる一戦となった。

 

1.前半

 前半は仙台のペースでゲームが進んでいった。仙台がボールを奪うとすかさず右の太田に展開し、太田が右サイドを単独突破しクロスまで持っていくシーンが多かった。柏が3バックのためサイドにスペースがあるが、左WBの橋本があまり後ろを気にしないため太田がそこを有効に使えた。柏は橋本を下げてしまえば、左サイドを制圧されてしまうため、あまり下げさせたくなかったのかもしれない。その代わりDF3枚がクロスに対してしっかり中で準備することで対処していた。それでも太田のクロスがはじき返された後のセカンドを仙台がしっかり奪うことで二次攻撃ができた。惜しいシーンは少なかったが、いい形が作れていた。左の八反田は、サイドに広がって受けるよりも相手の間と間でボールを受け、柳沢とうまいコンビネーションから崩そうとしていた。そこにボランチやSBが絡めばさらに厚みを増すことができたが、ピッチの関係であまりリスクを負うことはしなかったのかもしれない。

 柏は、中盤を逆三角形にし、そこを起点に攻撃を開始したかったのだろうが、仙台のダブルボランチがしっかり大谷と茨田をマークしていたし、二人の動きが少なかったため中々そこにボールが入ることがなかった。なので、まずは2トップに当てて「なんとかお願い」みたいな攻撃が続いた。仙台も最後まで2トップについていったためシュートまで持っていくシーンが少なかった。

 前半は互いの守備がしっかり機能した内容だった。

 

2.後半

 後半は、選手交代による変化が試合を変えていった。まず動いたのは柏、手詰まりだった二列目を修正するためにアンカーだったハン・グギョンに代え狩野を後半頭から投入し、大谷をアンカーの位置に下げた。柏はこの交代で流れを変えることに成功する。狩野がすこし下がったポジションまで下がってボールを受けることで、ボールが落ち着き、ためができることで中央から崩すシーンが増えていく。また大谷がアンカーに入ったことでボールの配給がよりスムーズになった。前半はサイドで待つことが多かった橋本が中に切り込むシーンが増え、仙台の守備陣を翻弄し始めるが、仙台も仙台で集中した粘り強い守備で守り抜く。また柏は、仙台が攻撃のポイントとしていた太田に対して3バックがスライドすることで対抗し始めたことで太田サイドを機能不全にすることに成功した。

 前半と打って変わってしのぐ時間が多くなった仙台は、柳沢に代え鈴木規郎を投入した。一見攻撃の修正かと思ったが、鈴木規郎は前線からの守備プラス大谷に対するチェイシングの役割のために投入されていた。大谷対してプレスをかけ始めたことで少しずつ仙台の守備も落ち着きを取り戻した。しかし、大谷の配給を鈍化させられた柏は、ビルドアップの起点を右ストッパーの鈴木大輔へ変更する。鈴木大輔がドリブルで運ぶことで仙台の守備がまたずれ始める。またキム・チャンスも高い位置を取ることが可能になり、右からのチャンスが増えていく。そこで、八反田アウトで武藤。元気な武藤で右サイドを抑える狙いだった。が、右サイドから崩されるシーンは変わらず多い。この時間から石川が疲弊し始め、キムがえぐるシーンが増える。すかさずネルシーニョはキムに代え攻撃力のある高山を投入し狙いを右サイドに集中させた。これに対し仙台も必死な守備で対抗する。角田、鎌田を中心に体を張るシーンがいくつもあった。

 ラスト10分あたりから攻め疲れが見え始めた柏に対し仙台が攻勢を見せる。が、シュートが枠に飛ばず、試合終了。雷雨で1時間遅れとなった一戦はスコアレスドローとなった。

 

3.最後に・・・

 お互いにファイトしあういいゲームだった。特に柏、仙台両方の守備陣は本当に最後のところまでしっかりついていき粘り強い守備だった。毎回このカードは僅差でローゲームが多いがそれは、攻撃が下手ではなく守備が素晴らしいからだと思う。

 仙台は、前半いい形ができていたが、もう一歩足りなかった。後半に入って自分たちの時間帯がなかなか来ない中、集中した守備で守り切れたことは、いつもの仙台らしかった。先週、先々週と複数失点し心配していたが、あまり過度に心配する必要はないと思う。ウイルソンとリャンが戻ってくれば攻撃力は自然と出てくると思う。

 最後に八反田が先発でデビューすることができた。ピッチコンディションが悪い中で本来の良さがあまり出せなかったが、それでも守備面では頑張っていた。あとは、自分たちの流れが来ない中で八反田みたいな選手がリャンのように中盤から降りてきたり中央で顔を出したりしてボールを循環させることで、流れを引き戻せるようになったらもう一皮むけた証拠になると思う。八反田が先発に絡んで来れば選手層に厚みができるし、オプションも増える。これから楽しみな選手の1人である。

 次節はミッドウィークに名古屋戦。次は、いい守備からいい攻撃につなげられるように期待したい。