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【耐えて、耐えて、引き寄せた勝点3】明治安田J2第21節 ジュビロ磐田vsベガルタ仙台

 さて、今回はジュビロ磐田戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

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↓前回対戦のレビューはこちら

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ヴァンフォーレ甲府戦でスコアレスドロー甲府の堅い守備と鋭いカウンター攻撃に手を焼き、ユアスタ初戦となった試合で勝利することができなかった。

 リーグ戦も折り返しとなり、ここからJ1昇格争いもより一層ヒートアップしていく。そんな中で迎える今節はジュビロ磐田との対戦。勝点2差で迎えるシックスポインター

 個人能力の高い攻撃陣と、ここ2試合クリーンシートしている守備を兼ね備えている磐田は非常に厄介な相手だが、難敵を攻略してさらに勝点を上積みしていきたい一戦だ。

 仙台は、前節から3人を入れ替え。右サイドバックに奥山、ボランチの一角に松井、右サイドハーフに郷家が起用されている。真瀬や鎌田などここまで出続けていた選手に疲労の色も見えてきてため、この試合ではベンチからのスタートとなった。

 

 一方のジュビロ磐田は、前節・ジェフユナイテッド千葉に1-0の勝利。ここ8試合負けがなく、徐々に順位も上げてきた。なんといっても磐田の特徴は、ボール保持を高めて個人能力の高い選手たちがゴールへ襲い掛かるところ。さらに守備もシーズンを通して改善され、8試合負けなしに繋がっている。

 シックスポインターとなる今節は、ホームで仙台に勝利することで順位を入れ替えて自動昇格圏をターゲットにしていきたいところだ。

 磐田は、3試合連続で同じスタメンとなった。ベンチには6月に新加入となったヤン・ファンデンベルフが初のメンバー入り。それ以外にも川崎、角、ペイショットらスタメンで起用されてもおかしくないメンバーが名を連ねている。

 

前半

(1)強気のライン設定とプレッシング

 試合序盤はキックオフから仙台が磐田陣内でのプレー時間を増やしながらゲームを進める。

 

 磐田のビルドアップに対して、この日の仙台は強気のライン設定と積極的なプレッシングで応戦していく構えを見せた。

 磐田の特徴は、何といっても倍井とクルークスの両ウイングであり、彼らを起点としたサイド攻撃が磐田の最大の武器である。

 前回対戦での仙台は、磐田のボール保持に対してミドルブロックで構えるところから守備をスタートしていたが、この試合ではいつもより高いライン設定にして、2トップからビルドアップ隊にプレッシングを仕掛けていく。

 磐田のビルドアップも質が高いので、センターバックからボランチにボールを付けられるシーンもしばしばあったが、そこは2トップのプレスバックやダブルボランチの連動したプレッシングで対応していった。

 磐田の両ウイングに対しては、石尾と奥山がアラートに対応。背後へのロングボールや対角フィードなど、長いボールを利用して前進しようとしていたが、仙台は高いライン設定をし、両サイドバックがしっかり蓋することが出来ていた。

 仙台のこの強気なライン設定は、第16節のジェフユナイテッド千葉戦でも見せていた。このときもやはり両サイドがストロングである千葉に対して、ラインを高く保ちながら両サイドバックが集中した守備でウイングに仕事をさせなかった。

 そんな成功体験があったからこそ、この試合でも磐田に対して高いライン設定で挑むことが出来たと思う。

 

 ただ、時間の経過とともに磐田もボール保持を高めて仙台を押し込んでいくようになる。両ウイングがマークに遭うなかで、磐田は佐藤と松原がポジションを移動することで変化を付けていく。

 右サイドでは大外に佐藤が広がってビルドアップの出口を作り出す。クルークスが石尾に対応されているなかで、磐田の右サイドはコンビネーションから崩していくことを狙う。為田のオーバーラップや金子のインナーラップなどでクルークスを追い越して仙台陣内の奥深くへ侵入することが出来ていた。

 一方の左サイドでは、松原が左シャドーの位置に移動し、リカルド・グラッサから倍井へのパスコースを作り出しながら、自身はポケットへの侵入を目指していく。18分には倍井から左ハーフスペースで受けた松原がペナルティエリアへ侵入するもシュートまでは持ち込めなかった。

 

 対する仙台は、磐田の攻撃に対してサイドバックはウイングに集中しながら、追い越していく磐田の選手に対してはセンターバックボランチのスライドやサイドハーフがそのまま磐田のサイドバックに付いていくことで、とにかくマークをハッキリさせながらの守備を徹底していた。その成果もあり、前半は想定よりもクロスを上げられる数も少なく、狙い通りの守備を行うことが出来た。

 

(2)オナイウの背後と荒木のプラス1

 仙台の攻撃に目を向けていくと、大きく2つの狙いがあった。

 

 まず1つ目は、オナイウの背後を狙ったロングボール。試合序盤からまず相手の背後を取りたい仙台は、オナイウがいる左サイドの背後へロングボールを送り込むことが多かった。オナイウのスピードを活かすとともに、高い位置でスローインを獲得できればロングスローもあるので、序盤の仙台はそこをポイントに前進を目指した。

 しかし、肝心のオナイウがこの日は精彩を欠くプレーで、なかなかボールが届かない場面が多かった。オナイウもずっと試合に出続けていて、他の選手同様に疲労が蓄積していたのかもしれない。

 

 もう1つの狙いは、中盤エリアでボール保持率を高めて押し込むことだった。

 磐田の守備は、仙台同様に4-4-2のミドルブロックで構える形。仙台は郷家が右ハーフスペースに、荒木はいつもであれば左ハーフスペースを起点としているのだが、この日の荒木はトップ下のような振る舞いで自由に動き回り、ボールサイドでプラス1を作り出す役割を担っていた。特にダブルボランチとのパス交換でボールを落ち着かせてボール保持へ局面を移行するなど、いつも以上に広範囲に動いていた。

 しかしながら、仙台は背後を取ってもボール保持から押し込む展開を作っても、ラストパスが届かないなどしてシュートまで持ち込めなかった。前半は終盤までシュートがなく、この試合のファーストシュートは前半ラストプレーにカウンターからエロンが持ち込んでミドルシュートを放った場面だった。

 

 アウェイでかつ攻撃に特徴のある磐田が相手だっただけに、どちらかと言えば守備にウェイトを置く展開となったので仕方ないと言えば仕方ない面もある。

 ただ、その中でも守備一辺倒にならずに、相手陣地から守備をして、時にはボールを保持できたのは悪くない内容だったと思う。

 

 前半は拮抗した展開となり、スコアは動かずに後半へ折り返す。

 

後半

(1)ビルドアップの出口を変えた仙台

 仙台は、後半開始からオナイウに代わって真瀬を投入。郷家が左サイドハーフにポジションを変えた。

 前半は高いライン設定でのミドルブロックと積極的なプレッシングで、磐田の攻撃に対応していった。しかしながら、攻撃ではなかなかシュートまで持ち込むことができない展開だった。

 後半の仙台は、磐田のミドルブロックに対して荒木と真瀬がウイングの裏でビルドアップの出口を作り出すことで、前半よりもスムーズに前進することが出来るようになった。

 左サイドでは、荒木がサイドまで流れてくることでパスコースを作り出し、右サイドでは真瀬がハーフスペースでボールを受けたり、背後へ飛び出したりと前半よりもダイナミックな動きが増えていく。

 48分には押し込んだ形から石尾の楔パスをきっかけに真瀬が中央でフリックし、郷家のシュートまで繋げた。

 

(2)3枚替えをきっかけにスタートした磐田の猛攻

 後半序盤は、仙台の立ち位置の修正もあり前進できるようになったが、次第に磐田がボールを握って押し込む時間が増えていく。

 そんな展開のなかで、磐田が交代カードを切ってさらに攻撃の火力を上げていく。62分に佐藤に代わって角がトップ下で投入され、70分には江崎、倍井、渡邉に代わってファンデンベルフ、川崎、ペイショットの3人を一気にピッチへ送り込む。

 3枚替えをした70分すぎからは完全に磐田が押し込むようになっていく。特に新加入で、この日がデビュー戦となったファンデンベルフがセンターバックから攻撃の起点になることが多かった。

 最初はファンデンベルフが左サイドへハンドルする攻撃が多かったが、その後はペイショットへの楔パスや右サイドへのロングフィードを織り交ぜるなど攻撃を活性化させていく。

 両サイドに展開することが出来るようになると、磐田はクロスの本数も増えていくようになる。よって仙台をペナルティエリアに貼り付け状態にしていく。

 

 一方の仙台は、67分に松井とエロンに代えて鎌田と小林を投入する。しかし前線の起点となるエロンが退き、背後への抜け出しを得意とする小林になったことで前線のポイントを失った仙台は、なかなかセカンドボールを回収することができずに、磐田のペースに持ち込まれ、自陣での守備で耐え凌ぐ時間が長くなっていく。

 疲労の色も濃くなり、クロスを上げられる回数も増えるなかで、仙台は林や4バックを中心になんとかペナルティエリアで持ちこたえる。時には林のセーブに助けられながらも、途中投入されたペイショットにはセンターバックコンビがほとんど仕事をさせず、最後のところはやらせなかった。

 高温多湿のなかで耐え凌ぐ展開となり、武田、奥山と足を攣る選手が続出。アクシデントで交代カードを切らざるを得なくなり、彼ら2人に代わって相良と中田を投入し、仙台は交代カードを切り終える。

 

(3)小林心、殊勲の決勝ゴール

 武田が足を攣って奥山がボランチとなったが、その奥山も足を攣り、最終的には郷家がスクランブルでボランチとなる布陣となった。

 ホームで是が非でも押し切って勝ちたい磐田は、再三再四両サイドからのクロス攻撃でゴールを目指す。アディショナルタイムには、クルークスのアーリークロスに3列目から飛び込んできた上原が頭で合わせるも林の正面にシュートが飛んだ。

 

 耐える時間が長かった仙台は、終盤には鎌田が中盤でボールを落ち着かせ、ようやく攻めに出るシーンを作っていった。

 そんな中で90+3分に松原のハンドでフリーキックを獲得する。

 鎌田のファーサイドへのキックに中田が打点の高いヘディングで折り返すと、荒木が川島の前で触り、最後は小林が体ごと押し込んで、土壇場で仙台が先制に成功した。

 後半は終始、磐田に押し込まれる展開だったがセットプレーのワンチャンスを活かした。鎌田、中田、そしてゴールを決めた小林と途中投入の選手がわずかなチャンスをモノにしてくれた。

 

 残り僅かの時間で磐田はパワープレーに出てくるが、最後まで集中を切らさなかった仙台が、そのまま守り切ってシックスポインターを制し、自動昇格圏の2位に浮上した。

 

最後に・・・

 前半こそ高いライン設定で狙い通りの守備が出来ていたが、後半は高温多湿な環境下で磐田の猛攻を耐え凌ぐ時間が本当に長かった。

 本音を言えば、勝点1でも御の字という試合内容だったが、数少ないチャンスを活かし切って勝つことが出来たのは、このチームの底力であり、森山監督が得意とする一戦必勝・決勝戦スタイルをこの試合でも見せつけることが出来た。

 

 小林の嬉しい移籍後初ゴールが重要な試合の決勝ゴールというのは、彼自身の高知時代から続く調子の良さとゴールへの嗅覚と執念が実ったものだろう。移籍後3試合目でのゴールは上出来だろう。

 もちろん課題がないわけでない。特に70分以降は前線でなかなか起点が作れずに、守備一辺倒の時間がかなり長かった。一度、押し込まれたときにどうやってラインを押し上げて、セカンドボールを回収して局面を変えていくかは、さらに暑くなる夏場の戦いに向けて克服すべき課題だろう。

 

 次節はホームに戻ってカターレ富山との一戦。前回対戦では1-0で勝ったものの、直近の天皇杯ではサブ組中心だったとはいえ敗れている。今節は、ジェフユナイテッド千葉を下し、安達監督へ変わって徐々にチーム状態も上向いている。特に後方からの組み立ては整備されており、我慢強く守る時間も出てくるだろう。

 富山も残留を目指して必死に戦っているだけに、決して侮れない相手だ。仙台としてもホーム・ユアスタで勝って勢いをさらに付けたいところ。次節も守備での集中力を保ちながらも、ダイナミックに富山ゴールへ襲い掛かって、連勝を目指して欲しい!!

 

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