予選が終わり、いよいよ始まった決勝トーナメント。ブラジルがチリ相手に接戦の末勝ったり、ハメス・ロドリゲス擁するコロンビアがウルグアイに完勝したりする中、今回はオランダvsメキシコを取り上げる。
スタメンは
オランダは前回書いたスペイン戦からシステムは変わらないものの、メンバーが結構変わってる。ファン・ハールはコンディション重視で選んでいるみたいだ。で、一番驚いたのはカイトが5バックの左にいること、ハードワークできる選手だがここまでポジションを下げるとは・・・。
一方のメキシコは出場停止のバスケスの代わりにサルシドを起用した以外はメンバーの変更はなし。
1. 前半
互いに似たようなシステムを採用しているため、マンマーク合戦になった。とくに中盤は激しい主導権争いを繰り広げていた。しかし、9分にデ・ヨングが負傷交代を余儀なくされると中盤でボールを刈り取る選手もなく、またオランダの2トップがプレスをかけづらい位置にマルケスが位置取ったことで、次第にマルケスが自由にボールを持てるようになり、メキシコのペースになっていく。そうなると暑い中マンマーク合戦をやってられないのでオランダは前線の3人を以外を自陣に撤退させ、攻撃は3人に任せる形を取る。おかげでメキシコが押し込む時間が多くなる。マルケスがサルシドと上手にポジションを変えながら、一人ビルドアップをし、チャンスを作ろうとする。メキシコはなかなかPA内に侵入できないが、ミドルシュートで惜しい場面を作るようになる。オランダはというとロッベンの高速カウンターに頼るがメキシコも上手に対応し、シュートが打てない展開となった。ここでのメキシコの守備は見事で一人がアプローチしに行ったら必ずマルケスなどがカバーをしていた。素晴らしい守備の連係だった。
ということで、0‐0で前半を折り返すこととなる。
2.後半
後半開始早々にゲームが動く。ルーズボールを拾ったドス・サントスが右から中にカットインし約30mあたりからミドルシュートを決めて、メキシコが先制する。このシュートを代表として、メキシコの選手はみんなシュートが強烈だが正確でとても上手だった。ドス・サントスのゴールシーンは相手の体が寄せてきているのに強烈なシュートが打てていた。あれこそが世界基準なのだと思う。
ということで、点を取らなければ次がないオランダ。ファン・ハールは手を打つことにする。
右SBだったフェルハーフを下げ、ウィンガーのデパイを投入。システムを433に変更する。こうすることで前半自由を手にしていたマルケスからファン・ペルシーが自由を奪い、攻撃は両サイドからというプランに変える。このことで、メキシコを自陣に引きずり込ませることに成功する。しかし、なかなかオチョアのゴールを破ることができない。
ということで、次なるプランを決行する。
ファン・ペルシーからフンテラールにスイッチし、カイトを前線に上げてパワープレーにでる。これで、メキシコ自陣中央がさらにカオスな状態になる。おかげで、両サイドは1対1の状況をさらに作りやすくした。そして放り込みながらも我慢強く両サイドから攻めるオランダ。そして、88分に右コーナーからフンテラールの折り返しにスナイデルが強烈な一撃をメキシコゴールに突き刺し、土壇場で同点にする。その後も容赦ないオランダ。そして90+3分にロッベンがマルケスにPA内で倒されPKを獲得し、それをフンテラールが押し込み、逆転。そのままオランダが21で劇的な勝利を挙げることとなった。
3.最後に・・・
まず、最後のPKに関してはロッベンのシミュレーションだったかもしれない。このゲーム何度もPA内で倒れていて、PKをもらおうとしていた。本人もシミュレーションについては正直に言っていたが、果敢なチャレンジが実を結んだということだろう。
オランダがこのゲーム勝てたのは試合中にいくつものオプションがあったということだ。W杯のような短期決戦ではこのようなオプションが何個あるかも重要になってくる。そう言った面ではファン・ハールは優れていた。そして、もう1つカイトの存在。このゲームでオランダは3つのシステムを使用したが、いずれもカイトなしではできなかったことだ。そしてカイトのハードワークぶりはリバプール時代から見てきたが、相変わらずなタフな選手だった。本当にいい選手だと思う。
一方のメキシコの敗退は残念。オチョアはじめ、マルケス、エレーラ、ラユン、ドス・サントスといったいい選手を有しているだけにもう少し見たかった。このゲームで疑問に思ったことと言えば選手交代の切り方があれでよかったのかという問題である。アキーノとエルナンデスはオランダにとって脅威になる選手ではなかったし、オランダの攻撃を抑える役でもなかった。あいまいな交代だったように思えた。