グループGの最終節、決勝トーナメントへ片足を入れている同士の対戦となったアメリカvsドイツ。クリンスマンとレーヴの師弟対決という一面も含まれている一戦となった。
スタメンは
アメリカは今回初めて見るので何とも言えない。一方のドイツはバイエルン7人+アーセナル3人+シャルケ、ドルトムントといったメンバー。今大会はスペインだったらバルサ、イタリアだったらユーベ、ドイツだったらバイエルンと自国の強豪のサッカーをナショナルでもやっちゃうチームが増えた。今後もこういう傾向が続くかもしれない。
1. 前半
前半早々からボールを握ったのはドイツ。雨でピッチが濡れていたことも助けとなりパスが素早く回る。そのパス回しはまさに今シーズンのバイエルンのようだった。クロースとシュバイニーがボランチの位置に下がって自由に中盤でボール回し、最後はサイドに展開にし低いクロスでアメリカゴールを襲い掛かった。一方のアメリカは44の守備ブロックを築きドイツのパスワークに無理に食いつくことはなく、一人一人のゾーンを大切に守っていた印象があった。が、ドイツがゴール前まで簡単に運んでくるのですぐさま修正をした。
スタート時点ではダブルボランチだったアメリカの中盤の構成だったが、ジョーンズを1枚上げドイツのパス回しの中心であるクロースをマンツーマン気味し、4141にした。このことでドイツのパス回しが徐々に停滞し始めた。また、もともとドイツのサイドバックがあまり攻撃のセンスがないのでサイドも停滞し始め、アメリカがボールを持てる時間が増えていった。そして運動量豊富なジョーンズを1枚上げたことで、前線で孤立していたデンプシーを助ける結果にもなった。しかし最後が堅いのがドイツ。
シュートまで持ち込めないアメリカだった。前半はアメリカがドイツの攻撃を停滞させることに成功するもののそれ以上の成果を上げることができなかった。
2.後半
後半スタートからドイツはクローゼを投入し、停滞を打破しようとする。後半はエジルを左、ミュラーを右に配置しサイドを活性化しようという狙いがあった。またクロースがジョーンズに監視されているので、前半は攻撃時はDFラインの真ん中に位置していたラームが積極的に前に顔を出すようになる。しかし、崩しきれないドイツだった。アメリカのDFラインはハワードを中心に集中して我慢強く守っていたのが印象的だった。しかし一瞬のスキが先制点を生む。ドイツが左サイドからクロスを上げたボールをデイビスが簡単にコーナーにする。そのコーナーのクリアのこぼれ球をミュラーが決め、先制する。ミュラーの左斜め45度からのシュートは素晴らしかった。濡れたピッチを計算し、上手にコースを狙いながら56割程度の力で打っていた。まさに完璧なコントロールシュートだった。アメリカは集中した守りを見せていたのにコーナーでやられてしまったのは残念。ああいう与え方をすると強豪相手だと見逃さなので気を付けなければならない。
ここのままだと、アメリカの敗退の可能性があったがポルトガルvsガーナがポルトガルが僅差でリードしていた。その情報がベンチにも入っていたのだろう。アメリカは無理にバランスを崩すことなく、同点になればラッキーかなくらいの攻めをしていた。ということでこのまま10で終了し、ポルトガルvsガーナも21でポルトガルが勝ったので、仲良く次のラウンドへ進めることとなった。
3.最後に・・・
このゲームに限らないが、今大会を見ていて44の守備ブロックを作るだけではなく相手のストロングポイントを消すためにマンマークを利用して局地戦に持ち込む展開をよく見る。やはり普通に守っていただけでは勝てないということだろう。相手をスカウティングしストロングポイントを消すことは、こういった短期決戦ではより重要になっているという表れであると思う。
決勝トーナメントでもこういった局地戦が見られるだろう。自分たちが勝つために相手をどう攻略していくのか。サッカーにおける駆け引きが面白いのはこの局地戦であることは間違えない。これからも局地戦に注目して今大会を見ていきたい。