ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

隙を見逃さない王者~J1第24節 川崎フロンターレvsベガルタ仙台~

 さて、今回は川崎フロンターレ戦を取り上げます。

 

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 前節・ガンバ大阪戦で逆転勝利し、3連勝中のベガルタ仙台。ミッドウィークの天皇杯横浜F・マリノス戦も競り勝ち公式戦4連勝中となっている。

 今節は、この連戦でフル出場を続けていた奥埜がベンチスタート。代わりに椎橋がインサイドハーフ金正也が久々のスタメンとなった。また2トップは西村とジャーメインの若手2トップとなっている。

 一方の川崎フロンターレは前節、広島との首位攻防戦で勝利し、じわじわと首位の背中を詰めている。調子を完全に取り戻している川崎のスタメンは、5試合連続で同じメンバーとなった。なお天皇杯湘南ベルマーレ戦ではターンオーバーを採用し、ほとんどの選手を休ましている。

 

前半

(1)連戦を考慮したスタメンとその狙い

 5連戦の最後となる今節だが、仙台はここまでフル出場だった奥埜、そして天皇杯でフル出場した石原をベンチスタートにしている。これはコンディションを考慮したメンバー選考だった。

 そして代わりにスタメンとなったのが、椎橋とジャーメイン。また椎橋が1列上がったことで金正也が久々のスタメンとなった。

 このメンバーで戦うこと、また対戦相手が川崎であることを考えると、自分たちがボール保持することよりも、ボールを持たれる時間の方が長くなるだろうと。そう考えた渡邉監督だった。

 もしくは川崎相手となると力量差でボールを持たれる時間が長くなる。よってスタートから奥埜や石原を使うよりかは、前半は我慢して後半にカードを切ることで、得点を狙うという考えだったのかもしれない。

 どちらにせよ川崎相手ということ、加えてアウェイということも考え、自分たちがボールを保持することよりも、しっかり守ることを優先させた仙台だった。

 

 仙台は、前から奪いに行くことよりも、しっかり自陣に撤退して構える姿勢を見せる。ポジションが流動的に変わっていく川崎の攻撃に対して、無理に食い付いたりせずに、しっかりと我慢強い守備をすることで最後のところをやらせなかった。

 ポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)では、西村とジャーメインが2トップということもあり、前回対戦のように川崎のサイドバックの裏をポイントに攻めるのかなと思ったが、この試合ではその裏を突くプレーを必ずしも狙いとしている訳ではなかったように思う。

 ボールを奪って縦に早く行けるのなら行くが、そうでないときはインサイドハーフを経由しながら、ウイングバックを高い位置に押し上げて、サイドから攻撃する形を作っていった仙台だった。

 

(2)ボールを保持しながら変化してゆく川崎フロンターレ

 ボール保持の時間が長かった川崎は、ボールを保持しながらさまざまな立ち位置に変化していき、最適解を見つけていった。

 開始から10分あたりは中村憲剛サイドバックの位置まで下がり、また左サイドでボールを持ったときは右サイドの家長が流れてきたりしていた。

 しかし時間の経過とともに、仙台の守備時の立ち位置を確認しながら、自分たちの立ち位置を整理していく。特に守田、大島、憲剛は30分くらいまで、さまざまなポジションに顔を出しながら、仙台の守備の穴を見つけ出していった。

 そして30分過ぎになるとようやく形が整理されていく。

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 川崎の攻撃は流動的なため、これといった形ではないが大まかに表すと上図のようになる。

 守田(時々大島)がセンターバック間に落ちるないしはその前にポジショニングし、センターバックをハーフスペースの入口へと広げる。前方では、サイドバックが外レーン、サイドハーフがライン間(ハーフスペース)にいるような形となり、センターバックサイドバックサイドハーフの三角形が出来上がる。そこに大島や憲剛が絡み、局地的に数的優位を作っていくことで、チャンスを作り出していった川崎だった。

 仙台としては、守田のポジションで3対2の状況となり、センターバックへのプレスが緩まってしまったので、前半半ば過ぎからは押し込まれる展開となっていった。

 

(3)川崎の前プレとネガティブトランジション対策

 川崎の守備の立ち振る舞いは、前からの激しいプレッシングだった。

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 川崎は、小林と2列目の3人で仙台のキーパー、3バック、富田へと圧力を掛けることで、ボール保持を阻害していった。

 仙台は前述の通り、守備に重きを置いたメンバーなので、いつものように相手の前プレをなかなか剥がせない状況に陥っていった。野津田や奥埜がいれば幾分解決できたのかもしれないが、この試合のスタメンだとそこまでできる状態ではないということだろう。

 

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 また、川崎は守田がボール保持時に中央にいることで、ネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)の時に、しっかり対応できるようになる。

 川崎は前線が流動的に動き、ネガティブトランジション時にどうしてもスペースが生まれやすくなるが、そこをアンカー的な役割の守田の存在によってうまくカバーできた。川崎の攻撃を陰で支える選手の一人だ。

 

 前半は、川崎がボール保持し、仙台が我慢強い守備で対抗する展開。スコアは動かず後半へと向かう。

 

後半

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 後半スタートからジャーメインに代わって石原を投入する。役割は概ね変わらなかった。

(1)狙いどころの明確化とパスルートの確立

 後半の川崎は前半見つけ出したボール保持時の最適解で、より狙いどころを明確化して攻撃を行っていった。

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 後半の川崎はビルドアップ時に、レーン間のパスをすることで仙台の2トップをずらし、受けたセンターバック(図でいう車屋)に対して仙台のインサイドハーフが出てくるので、その背後を狙うというのが1つあった。

 前半よりも車屋の持ち出しが多くなり、車屋が攻撃に加わることで、より同サイドでのコンビネーションによる崩しのクオリティを上げていった。

 後半始まって川崎はいくつかのチャンスを作り出すが、どれも左サイドからのものだった。

 

(2)脈絡のない川崎の先制点

 川崎の先制点は55分だった。流れは仙台のボール保持から。

 川崎が前プレを掛けるとダンは、右の蜂須賀へロングフィードを送る。蜂須賀は登里との競り合いに負け、大岩へ。大岩はトラップミスをし、ボールは残っていた憲剛のもとへ。憲剛は冷静に決めて川崎が先制に成功する。

 

 前半から行っていた川崎の前プレが実を結んだ得点とも言える。一方で、仙台としては我慢強く守っていた中、1つの隙でやられてしまった形となった。

 この場面では大岩のトラップミスだけが責任ではない。ダンが右を向いたときに全体がスライドをしたかどうかは非常にポイントとなる。大岩がトラップミスをしたときの金のポジションは明らかにスライドしておらず、やはりミスやサボりの連鎖から失点喫してしまったといえるだろう。勿体ない失点であった。

 

(3)攻撃へと転じたい仙台

 失点直後、仙台は金に代えて奥埜。椎橋を左バックに、奥埜をインサイドハーフへと配置する。

 仙台としては攻撃へと転じたいところだった。しかし、なかなか川崎のゴール前へと侵入できない。理由は2つあった。

 1つは自分たちの攻撃に厚みを持たせられなかったこと。仙台は川崎のパスミスもあって、攻撃へと転じることはできても、厚みのある攻撃ができなかった。サイドから素早くクロスを上げたり、縦に通そうとするも合わなかったり、2トップに届けられなかったり、または単純なパスミスが起こるなど、最後のところでミスが増えてしまった。

 加えて3バックもカウンター対策や暑さの影響で、攻撃に加わることができなかった。なのでウイングバックが単独でだったり、インサイドハーフと2人の関係で突破しなければならず、サイドバックサイドハーフでしっかり守る川崎のサイドを攻略することができなかった。

 

 2つ目の理由は、川崎のボール保持であった。川崎は先制したことで攻撃時に無理に急ぐことなく、仙台のプレッシャーを剥がし、スペースを探しながら前進していく。仙台としては川崎のボール回しに食い付くとそこを剥がされてしまう怖さがあり、どうしても川崎がボールを保持すると自陣に引かざるを得なくなった。

 川崎とすれば、自分たちがボールを持つことで相手の攻撃回数を減らすという、川崎らしい振る舞いを見せていった。

 

(4)的確な交代でゲームを進める川崎

 川崎の1枚目は憲剛から齋藤学。相手が前に出たところをドリブラーの齋藤で突く狙いだった。なお、この交代で家長トップ下、齋藤左、阿部が右となっている。

 次のカードは阿部に代えて鈴木。体格の大きい鈴木を入れて守備の強度を保つ。特にハーフナーが入って仙台が3-4-3に代えてくると、ブロックを組んだ際は5バックで鈴木が中野を見る形となり、その体格とフィジカルの強さでしっかり右サイドで蓋をした。

 そして最後は小林に代わって知念。前線で追いかけることで、仙台の後方からロングボールを封じる。時間こそ短かったが、愚直にタスクをこなしていた。

 

 ということでアディショナルタイムも丁寧にクローズした川崎が1-0で勝利した。

 

最後に・・・

 1つのミスが命取りになった試合となった。そしてそれ見逃さずしっかり勝利へと繋げられるのは、さすが王者といった印象だった。

 川崎の振る舞いを見ていると前節対戦したガンバと似ている部分が多かった。仙台のビルドアップに対しての前プレ、ポジションレスのボール保持など、実は似た部分が多かった。ただ、ガンバと明らかに違ったのは守田がカウンター対策でアンカー的役割を担っていること、リードしている展開で、5バックも厭わずにしっかり守り切ることだった。ここは前節対戦したガンバとの大きな違いだった。

 仙台としては、奥埜や石原が万全なコンディションだったらどういう策を練っていたのか気になる。そういった意味では連戦の厳しさが最後に出た形となった。

 

 大事なのは連敗しないこと。次節はホーム清水戦。今節の悔しさを晴らすいいゲームを期待したい!

ヒントはピッチに落ちている~J1第23節 ベガルタ仙台vsガンバ大阪~

 さて、今回はガンバ大阪戦を取り上げます。イケメン監督対決。

 

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 ベガルタ仙台は前節・湘南戦で4-1の勝利。久々のホーム勝利で連勝となった。この勢いを持続させたホーム連戦となる。システムは3-1-4-2。インサイドハーフに中野と奥埜。2トップは阿部と西村のコンビとなった。

 残留争いの真っ只中にいるガンバ大阪。前節・札幌戦ではリードを守り切れず、アディショナルタイムに失点しドロー。これ以上の取りこぼしが許されない状況となっている。スタメンでは夏に補強した小野瀬康介渡邉千真が名を連ねた。渡邉千真は、初出場初スタメンとなった。

 

前半

 試合はガンバが陣地を変えてキックオフをする。ガンバがするなんて意外だった。

(1)ガンバの守備~積極的な前プレ~

 前半は、ガンバが攻守において狙い通りの形を数多く作り出していった。まずはその狙いについて見ていきたい。始めに守備から。

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 ガンバの守備で狙いだったのは、前から積極的にプレスを掛けることで、仙台のビルドアップを阻害することだった。

 前半開始から積極的な前プレで、仙台のビルドアップ隊に襲い掛かるガンバだった。時間やスコアの変化につれて、その勢いを落としていったものの、基本的に前プレであることは変わりなかった。

 特に先制点を奪った後は、仙台の左右バック(椎橋と平岡)にボールが入ったところを合図に、サイドハーフが縦スライドでプレスを掛けに行った。

 仙台は、ダンを使ってビルドアップを仕切り直したいのだが、次は2トップがダンにプレスを掛けることで、仙台はロングボールを蹴らざるを得なくなる。

 この試合の2トップは阿部と西村だったこともあり、ガンバは菅沼とファビオのところで競り勝ってセカンドボールを回収することで、ボール保持へと移り変わることに成功していった。

 

 仙台としては、ガンバがこれだけの前プレを掛けることは計算外だったように思う。いつもならダンを使って、相手の前プレを剥がすことができたが、全体的なポジションバランスが前傾姿勢になっていたので、距離感も悪く、ロングボールに頼る展開となってしまった。

 

(2)ガンバの攻撃~狙いは富田脇~

 続いてはガンバの攻撃。ガンバの攻撃は左右で立ち位置が変わっている。

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 まずガンバのボール保持で共通だったのは、センターバックが広がること。そしてその間にボランチ(主に遠藤)が登場している。仙台が2トップだったこともあり、ボランチが2トップ間にポジション(センターバックの間には原則落ちない)して、センターバックを広げることで、仙台のプレッシングを弱めようという狙いがあった。

 またアタッキングサードに入るとサイドハーフはポジションレスとなり、ボールサイドに寄って数的優位を作る。そこはガンバらしいところだった。

 

 右サイドからの攻撃は三浦弦太が起点となっていた。三浦のポジションで中野もしくは関口を引き出す。中野が出てきたら、その裏で小野瀬やアデミウソンが受ける。関口が出てきたら、関口の裏が基本的な狙い。どちらかというと、中野の裏(富田の脇)にボールを供給することが多かった。

 

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 一方の左サイドでは、高が奥埜の周辺に登場し、ファビオからボールを引き出す。そして倉田は平岡をピン留め。たまに自由に動くこともあったので、そこまでこだわりはなかったけど。そして奥埜を引き出した背後で渡邉千真が落ち、ボールを受ける。その際に大岩が付いていくので、仙台のディフェンスラインにはギャップができていた。そこを突く場面はなかったが、おそらく上手くいけば、そのギャップをアデミウソンが突く仕組みだったのかもしれない。

 このようにガンバは仙台のインサイドハーフをうまく引き出し、その背後(いわゆる富田脇)のスペースを作り出して、そこへボールを供給することでチャンスを作り出そうとしていた。

 しっかりと仙台の5-3-2のブロックに対して、どうやって攻略するかの設計図を作っていたガンバだった。

 

 一方の仙台は、そんなガンバのボール保持に対して、守備を嵌めることができなかった。ガンバが所々でミスする、またはパスがずれることで助かった場面がほとんどだった。

 

(3)ボール保持できなくても攻め込めた仙台

 前半、狙い通りに試合を運べていたのはガンバだったと思う。ただ仙台にチャンスがなかった訳ではない。 

 仙台は、中盤での奪い合いやロングボールを回収してからの攻撃が中心だった。その一方で、ボール保持から相手を押し込んでの攻撃はほぼなかった。そんな内容だった。

 ガンバの中盤の守備はそんなに固くないので、中盤の3人が前を向けたらチャンスになる場面は多かった。そして、そこからサイドの展開で攻撃を仕掛けることがほとんどだった。

 またサイドにボールが渡ると2トップないし、インサイドハーフがハーフスペースで顔を出すことは意識的に行っていた。ガンバは4バックだったので、そのギャップを突くことができるという算段だったのだろう。

 右サイドでは、平岡が効果的な攻め上がりを見せ、攻撃に厚みをもたらした。前節アシストした平岡だが、攻め上がりのタイミングやクロスの質はかなり向上し、西村や蜂須賀の成長に目が行きがちだが、今シーズン急激に成長している選手の1人と思っている。

 

 前半はお互いにチャンスを作る中で、27分に仙台の守備のエアポケットを見逃さなかった渡邉千真がゴールを決めてガンバリードで折り返す。

 

後半

(1)ガンバの弱点を突いた仙台

 仙台視点から前半を振り返ると、ガンバの前プレと富田の脇を狙ったボール保持攻撃で、ガンバのペースで試合が進んだ。しかし、カウンターや中盤でのセカンドボールを回収からサイドに展開することで、自分たちも少なからずチャンスを作り出すことができていた。

 ガンバが仙台に対してカウンターを発動させる機会があったということは、ネガティブトランジションに問題があるのかもしれない。そういうヒントを前半見つけ出していた。

 

 ということで前半のヒントをもとに仙台は修正を施す。

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 まず守備では、前半よりも全体のラインを下げて、自陣で5-3-2のブロックを形成する。2トップもガンバの両センターバックに無理くりプレスを掛けることを止めた。そしてインサイドハーフが富田の脇を蓋することで、ガンバの攻撃のポイントを消すことに成功する。もし2トップに縦パスが入れば、3バックと3センターで挟んで刈り取っていた。

 そしてなによりも全体のラインを下げたのは、効果的なカウンターを打つためだった。3ライン(DF-MF-FWのライン)の距離感が良くなった仙台は、ボールを奪うと、ネガティブトランジションでプレスを掛けるガンバを複数人で剥がしてサイドに展開し、カウンターを発動させていった。

 なお、後半始まってから西村の同点ゴールが決まる10分間で、4回ものカウンターを発動させることに成功する。

 ガンバは前半同様に、前プレで仙台のパス回しを分断しようと試みたが、仙台が人数を増やして、いなせるようになったことで機能不全に陥る。またダブルボランチも前プレに加わるので、そこを突破すると仙台のカウンターの速度は一気に上がっていった。

 仙台は前半の反省から、カウンターは同サイドで完結するのではなく、広く空いた逆サイドへ展開することを意識的に行っていた。逆転ゴールとなる57分のシーンでは右サイドから蜂須賀→奥埜→関口という展開からのクロスでゴールを奪っている。

 仙台は、ガンバのネガティブトランジションの弱点をうまく突いた形で後半早々に逆転に成功する。

 

(2)人は変われど、役割が変わらないガンバ

 逆転されたガンバだったが、振る舞いはさほど変わらない印象だった。もしかすると前半のプラン以外用意されていなかったのではないだろうか。仙台が後半始まった変化に対して次なるプランが見えてこなかった。

 そして疲労も重なって、徐々に攻撃も機能しなくなり、仙台に押し込まれる時間帯が長くなっていった。

 交代で入る選手も、オ・ジェソク→藤春、遠藤→藤本、小野瀬→食野とほぼ役割に変化はなく、仙台の守備に脅威を与えていたかというと非常に微妙なところであった。

 この辺は、宮本監督はまだまだ経験不足というか、そういったものを感じさせる部分であった。

 

(3)逆転後の仙台

 逆転後の仙台は、守備に軸足を置いて無理をしないサッカーへと変化していく。ダンがロングボールで逃げる場面が増えたのはその象徴であるように感じる。

 ただ、ガンバの疲労もあって、中盤でボールを奪えるようになり、徐々に押し込めるようになっていった。

 その主役にいたのは奥埜。奥埜はピッチの至るところで顔を出しボールを配給したと思えば、デュエルで勝って相手の攻撃を寸断し、チームを助け続けた。この中断明けに野津田がケガで不在の中、奥埜が野津田の役割をこなすことで、相当成長した。野津田が帰ってきたときの中盤は中断明けよりも間違いなくグレードアップするはずだ。

 

 試合は終盤、個人能力で上回るガンバが決定機を作り出すが、残念そこはシュミットダニエル。

 終盤に石原、リャンを投入し、丁寧にゲームをクローズしてタイムアップ。2-1で勝利し、これで3連勝となった。

 

最後に・・・

 前半はガンバのペースで進んだが、後半は相手の弱点をうまく突いての勝利となった。素晴らしい勝利だった。

 特にハーフタイムを経て、選手や配置をいじらずに、自分たちがやるべきことをしっかり遂行したことで逆転に成功した。

 今まであれば立ち返る場所は「堅守速攻」だったが、それが「いい立ち位置を取る」ということに変わった。それを象徴するような試合ができた。そういった意味ではこの成功体験は非常に大きいと感じている。

 

 次回は水曜日に天皇杯横浜Fマリノス戦を、そして週末に川崎フロンターレとの試合となる。日曜、水曜、土曜と非常に厳しい日程となっているが、総合力でこの3連戦を乗り切ってほしい。次節もまたいいゲームを期待したい!