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【整理されたボール保持攻撃】明治安田J2第3節 ベガルタ仙台vs大分トリニータ

 さて、今回は大分トリニータ戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・徳島ヴォルティスに0-1の敗戦。今季初黒星となった。

 徳島の連動した守備を崩せずにカウンターから失点。後半は武田などの活躍もあり決定機は作れたものの追いつくことはできなかった。

 今節はいよいよホーム開幕戦。今シーズンはユアテックスタジアム仙台が大規模改修のために6月まで使用できない。それまではキューアンドエースタジアムみやぎでの開催となる。試合を行うのは実に13年ぶり。

 ホームスタジアムは違えどホームであることには変わりない。まずは幸先よくホーム初戦を勝利したいところだ。

 前節より4人のメンバーを入れ替え。左サイドバックに石尾、ボランチに武田、右サイドハーフに郷家が入り、2トップはエロンと荒木のコンビとなった。ベンチには實藤、オナイウが前節から代わってメンバー入りしている。

 

 一方の大分トリニータは、前節・いわきFCに0-0のドロー。開幕2戦は無失点で、昨年後半戦の5バックの守備ブロックをベースにチーム作りを行っている。

 前線にはいわきから加入した有馬や横浜Fマリノスから獲得した榊原などベテラン勢はいなくなったものの若手の機動力ある選手を補強した。昨シーズンは残留争いに巻き込まれ、苦しいシーズンを過ごしたが、今シーズンはその雪辱を晴らしたい。

 堅い守備をベースに攻撃では機動力を生かしゴールを目指す。

 スタメンは前節から1人変更。ボランチに野嶽が起用され、シャドーの位置に榊原が起用されている。ベンチには薩川や宮川、小酒井がメンバー入り。また帰ってきた清武もベンチから出場を待つ。

 

前半

(1)整理された地上戦での攻撃

 前半からボールを保持して攻撃することが出来たのは仙台だった。

 大分は5-2-3ないしは5-4-1での守備ブロックを構築するために、ビルドアップの始点となるセンターバックは比較的プレッシャーを受けずにプレーすることができた。

 

 仙台の攻撃は左右で異なる前進方法となっているが、前節の徳島戦よりもメンバーが変わって各選手の役割整理が進んだように思える。

 基本的なビルドアップ隊のメンバーはセンターバックの2人と石尾、そしてダブルボランチの5人で形成される。

 仙台はまずビルドアップ隊からボールを動かしながら、大分のダブルボランチと前線3枚を前へおびき寄せる。

 左サイドでは、大分のダブルボランチが仙台のダブルボランチに食いつくところで、その背後にポジショニングする荒木へ楔のパスを通すことで、大分陣内へ侵入することができた。

 もし荒木のエリアを埋められていたら、石尾が大外でボールを受けて、サイドから前進することも狙っていた。

 右サイドから前進では、まず鎌田をアンカーにし武田が右インサイドハーフのような立ち位置からスタートする。武田は大分のボランチ脇で列を越えたり、逆に下がったりなど駆け引きをしながらボールを引き出す。

 また武田の動きや大外にいる真瀬の動きに連動して、郷家はあらゆるエリアで顔を出すことでボールを引き出していた。

 井上から真瀬、または武田にボールが入れば、真瀬、武田、郷家の3人でさらに右サイドを攻略していくし、右サイドでの攻撃が手詰まりであれば、武田が逆サイドへ展開し、左サイドからの攻撃に切り替えるなど、全員が連動してボールを動かすことができていた。

 大分の3バックは基本的に迎撃守備を行わないために、3バックとダブルボランチの間のエリアが空くことが多く、そこに荒木や郷家、さらにはエロンが降りてきたり、相良が飛び出すなど様々な選手がチャレンジするシーンが見られた。

 

 前半序盤からボールを保持しながら押し込むことが出来ると、7分に先制点を奪う。

 押し込んだところから、一度はボールを奪われるも石尾が即時奪回。そのままエロンへ繋げると、エロンはタイミングを外すトーキックでゴール右隅へ流し込んだ。

 しっかりボールを保持し押し込むことが出来たからこそのゴール。エロンに早い段階でゴールが生まれたことも良かった。

 

 主導権を握り続けた仙台は、さらに23分に大分を突き放す。

 鎌田のロングフィードをきっかけに、郷家が抜け出し潰れると、すかさずエロンがフォロー。その先にいた相良は左足で豪快にネットを揺らした。

 鳥栖戦、徳島戦では宮崎をターゲットにするロングボールが多かったが、この試合では昨シーズンあったような相手ディフェンスラインの背後を狙うボールも多かった。

 この得点シーンでもディフェンスラインの背後に郷家が抜け出したことで、大分のディフェンスラインが下がり、その手前のスペースでシュートチャンスを作ることができた。相良のシュートはさすがの一言。大分戦が得意な相良はこれで3シーズン連続のゴールとなった。

 

(2)ミシャ式を採用する片野坂監督

 試合序盤から仙台が主導権を握って2ゴールを奪えたことで、その後は少しペースをコントロールしながら戦うことが出来た。

 仙台はミドルブロックを組みながら、行けるときは大分のビルドアップ隊へプレッシングを仕掛けるような守備になっていく。

 大分のボール保持はミシャ式を採用していた。天笠がディフェンスラインに落ちて、両ウイングバックを高い位置へと押し上げる。

 大分は榊原と池田のシャドーが列を降りることでビルドアップの出口を模索するシーンが多々見られた。

 しかし、近年ミシャ式の対応も各チーム慣れてきたところもあり、仙台にとってこの陣形が脅威ではなかった。

 仙台はしっかり4-2-4のミドルブロックを組みながら、横パスやバックパスがあればそれをスイッチに、前線からのプレッシングを仕掛けていく。

 守備ブロックも大きな穴が出来ることもなく、サイドへ攻撃を誘導しながらしっかりとサイドバックサイドハーフの2人の関係でボールを奪えることが出来ていた。

 

 前半は、前節の課題であったボール保持の局面を各選手の役割整理を行ったことで、しっかり改善でき、また2ゴールを奪うことができた。

 その後はペースをコントロールし、大分のボール保持に対してもしっかり対応できたことで2点差を維持し、後半へと折り返す。

 

後半

(1)3-1-4-2へ変化した大分

 大分は後半開始から池田に代えて清武を投入し、システムも3-1-4-2(清武が1.5列目)に変更した。

 

 大分がシステムを変えたのは、効果を発揮してなかったミシャ式からビルドアップの形を変化させることで、ボールを敵陣へ運ぶことを目指したからだろう。

 後半スタートから決して機能していたわけではなかったが、60分に野嶽から野村に代わってから徐々に機能し始めるようになる。

 後半の大分は、3バックと3センターがビルドアップ隊となる。天笠は仙台の2トップ間にいることでピン止めの役割を担い、野村、榊原が2トップ脇でビルドアップの出口となる。

 特に野村の交代によって右インサイドハーフに移動した榊原はうまく3バックからボールを引き出すと、そのままウイングバックや清武、有馬との連携からシュートまで持ち込んでいくプレーを増やし、仙台にとっても嫌らしい存在になっていた。

 また仙台陣内に押し込めるようになったことで、茂と吉田の両ウイングバックは高い位置でプレーする回数を増やしていく。

 榊原が右インサイドハーフになったことで、吉田も推進力のある突破からいくつかチャンスを演出していたことは印象的だった。

 早い時間帯で1点を返せれば、展開も分からなかったところだがなかなかシュートが枠に飛ばなかった大分だった。

 

(2)2点リードの余裕と守備強度の維持

 システムを変更した大分に対して仙台は、変わらず5バックとボランチの間に生まれる中間ポジションを起点に攻撃を仕掛けていく。

 特に荒木が中間ポジションで起点になることで仕掛ける回数は増やせていた。

 押し込んだ状況になると、今度は鎌田や武田も3列目から絡んでいき、3点目を狙う。開幕2戦同様にアタッキングサードでの仕掛け、特にサイドで複数人が絡むコンビネーションはこの試合でも果敢にチャレンジしていた印象だった。

 また、押し込んで攻めるだけではなく継続して相手の背後も狙っていく。59分には武田のロングフィードに抜け出した相良がゴールキーパーを交わして決めるも、惜しくもオフサイドの判定となった。

 

 前述の通り、大分が野村投入後に少しずつボール保持から攻め込むようになってくると、仙台もボールを奪えずに自陣で守備ブロックを構築する時間が長くなっていく。

 なかなか大分からボールを奪って押し返す展開が作れなかったが、2点リードもあり、失点しないことにウェイトを置きながらプレーしていくように変化していった。

 仙台は71分に相良とエロンに代わってオナイウと宮崎を投入。続いて81分には武田と荒木に代えて松井と梅木を、5枚目のカードは石尾に代わって奥山を投入し、しっかり守備強度を維持しながらゲームを進めていった。

 大分にシュートシーンを作られるも、しっかりシュートブロックや簡単にシュートを打たせずに危ないシーンは作らせなかった。

 

 最後まで集中して守り切った仙台が2-0で勝利。これで3年連続ホーム開幕戦を勝利で飾ることが出来た。

 

最後に・・・

 今節のスタメンは、徳島戦の後半で良かったメンバーを中心に選んだ。前半でも書いたように各選手の役割整理が進み、大分が前から来なかったこともあるが、ある程度やりたいことができた試合だった。

 武田は徳島戦から継続して存在感を見せ、ストロングポイントである左足のキックで数多くのチャンスを演出した。荒木も開幕2試合は精彩を欠くプレーもあったが、この試合では中間ポジションで起点になったり、相良など周りの選手とのコンビネーションも向上したように感じた。

 そして特筆すべきは石尾のパフォーマンスだった。前節は停滞気味だった左サイドのビルドアップを解決するだけではなく、守備でも貢献度の高いプレーを見せた。また押し込んだときには「第3のボランチ」として中盤の底で武田と鎌田をサポート。内側に入ってプレーすることで相手のカウンターを予防する役割もしっかりこなせていた。今後の左サイドバックのレギュラー争いも熾烈になっていきそうだ。

 

 勝利した仙台は、次節もホームでの戦い。V・ファーレン長崎との対戦となる。

 長崎とは昨シーズンのJ1昇格プレーオフ準決勝で勝利した記憶がまだ新しい。

 そんな長崎はエドゥアルドや山口蛍など大型補強を敢行。プレーオフで敗れた悔しさを晴らそうと気合十分で乗り込んでくるはずだ。

 今節勝利したわけだが、長崎の強度は大分よりもさらに高くなるはず。今節はボール保持で上手くいったが、次節はボールを握られる時間が長くなり、耐える時間も長くなるはずだ。そんな中でも変わらず全員のハードワークが必要だろうし、何より焦れないことが大事だ。

 ホームでの連勝を目指す一戦となる。今節の自信とまだまだ成長していくんだという謙虚さを持って、長崎へ果敢に挑んで欲しい!!

 

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