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【7年ぶりの開幕戦勝利】明治安田J2第1節 サガン鳥栖vsベガルタ仙台

 今シーズンもお付き合いのほど、よろしくお願いします!

 それでは、開幕節・サガン鳥栖戦を振り返っていきましょう。

 

スタメン

 昨シーズンはプレーオフ決勝で悔しさを味わったベガルタ仙台。今シーズンは、この悔しさを力に悲願であるJ1昇格を目指すシーズンとなる。攻撃の核であった中島元彦や守備の要だった小出悠太は抜けたものの、多くの主力選手を慰留に成功。そこに多種多様な選手を補強し、選手層の厚みを増した。

 昨シーズン築き上げた守備とハードワークをベースに、今シーズンはより攻撃の部分を上積みしていきたいところだ。多種多様な前線の選手を揃えるなかで、様々なバリエーションや攻撃パターンを構築していくことを目指す。

 開幕スタメンは、センターバックに名古屋から加わった井上詩音、2トップは町田から加入した荒木駿太と栃木から加わった宮崎鴻がコンビを組む。この2人は駒澤大学時代にともにプレーしていた経験がある。新たに増員したベンチには、浦和から加入した武田英寿など攻撃的な選手が多い一方でマテウス・モラエスや石尾など逃げ切り体制を図るためのメンバーも入った。

 

 一方、J1から降格してきたサガン鳥栖は14シーズンぶりのJ2での戦いとなる。今シーズンからセレッソ大阪で指揮を執っていた小菊昭雄監督が就任。1年でのJ1復帰を目指すシーズンとなる。

 しかしながら、このオフに数多くの主力選手が移籍し、一からチームを作り直す必要がある。そんな中でヤン・ハンビンや西川潤、山田寛人など小菊監督がよく知るメンバーも加入し、早く小菊監督のサッカーを浸透させたいところだ。

 ホーム開幕ということもあり、鳥栖もまた是が非でも勝利したい開幕戦だ。

 スタメンの実に8人が新加入。4バックには愛媛でセンターバックコンビを組んでいた小川大空と森下怜哉、中盤には水戸でプレーしていた櫻井辰徳、新井晴樹、そして清水から加入した西澤健太が名を連ねた。2トップは山田とヴィキンタス・スリヴカのコンビとなった。ベンチにも新外国人のクリスティアーノやジョー、4シーズンぶりに復帰した酒井宣福らが控えている。

 

前半

(1)ベースとなる守備組織と鳥栖の突破口

 前半序盤の落ち着かない時間が過ぎていくと、鳥栖がボールを保持する時間が増えていった。

 対する仙台は、ミドルブロックで構えながらも鳥栖のビルドアップが停滞すると見るや前線からプレッシングを仕掛けていく。

 鳥栖のボール保持は、右サイドバックの安藤を片上げする形となる。キーパー、3バック、ダブルボランチの6人がビルドアップ隊を形成する。

 仙台は展開力のある鳥栖のダブルボランチを警戒するために、2トップが背中で消しながら構える。このときに両サイドハーフも高い位置を取り、4-2-4のようなボール非保持の体制となる。

 鳥栖のボール保持が不安定になったり、キーパーへバックパスをすると仙台はプレッシングのスイッチを入れる。特に宮崎がヤン・ハンビンに対してパスコースを切りながらプレッシングを掛けていたことが印象的で、ヤンのフィードを高い位置で引っ掛けて攻撃へ転じれそうなシーンも作れた。

 

 守備のやり方は昨年と大きく変わった部分はない。宮崎と荒木は新加入ながらも守備の理解度も高く、前線から非常に効果的なプレッシングと守備を見せてくれた。森山ベガルタの生命線と言える守備の部分を評価されてのスタメン起用だったように感じる。

 

 しかし、時間の経過とともに鳥栖も突破口を見つけていくようになる。

 鳥栖は4-2-4となる仙台のボール非保持に対して、仙台のボランチ脇をビルドアップの出口としてプレッシングを越えていこうとしていた。

 基本的にはスリヴカがボランチ脇に登場して、ボールを受ける。そこから単独で仕掛けることができる新井へ展開し、左サイドから仕掛けるシーンには再現性があった。

 鳥栖は山田も降りて出口を作り出そうとしていたところからも、後方からボールをしっかり繋いで、サイドの仕掛けられる選手へ展開することで、攻撃を加速させたい狙いがあったように感じた。まだまだ構築途中という印象だったが、シーズンを戦うなかでクオリティを上げていけるかは1つのポイントのような気がした。

 

 仙台としては、前半序盤は前線からの守備がハマったシーンもあったが、徐々にプレッシングを越えられて自陣で守るシーンが増えていった。それでも最後のところでは林や菅田、井上を中心に対応できていたのでピンチになることは少なかった。

 

(2)宮崎へのロングボールとアタッキングサードの崩し

 仙台はボールを保持する局面になると、ピッチコンディションが悪かったこともあり、地上でボールを動かすよりも宮崎へロングボールを送り、そのセカンドボールを回収する前進が多かった。

 高さがあり、ポイントになれる宮崎が加入したことによる新たな前進のパターンとなった。宮崎もしっかりポイントになれるシーンもあり、開幕戦にしてはそれなりに成果が見られたと感じる。もちろんロングボールが多くなると全体が間延びしていくために、空中と地上の両面からボールを前進できるようになることは今後求められてくるところだろう。

 

 昨シーズンの課題として相手を押し込んだときの崩しのクオリティが低く、シュートまで持ち込めるシーンが少なかったことが挙げられる。

 今シーズンは得点数を増やすためにも、崩しのクオリティを上げること、特に中央突破からの仕掛けを増やしていくことを目指し、キャンプでもトレーニングを積み重ねてきた。

 この試合では、特にアタッキングサードに入ったところの攻撃において、昨シーズンよりも両サイドハーフが内側へポジションを取ってボールを受けようとする回数が多かった。相良は左サイドだけではなく、右サイドにも顔を出すことも増え、より中央の位置でボールを受けようという狙いがあった。

 また相良が内側へ入ったときは、状況に応じて荒木が広がって受けるなど中央に固まりすぎないことも意識されていた印象だった。

 

 加えて、サイドハーフが去年よりも内側の2トップに近い位置でプレーすることによって、ボランチのプレーするエリアも高くなったように思える。

 特に配球役となる鎌田は、より高い位置で前向きにボールを受ける回数が多かった。

 アタッキングサードでは鎌田が縦パスではなく、サイドからの横パスを受けることで前向きにボールを持ち、楔を差し込む場面もあった。

 33分には右サイドの郷家から鎌田が横パスを受けると楔を差し込み、最後は宮崎のシュートまで持ち込む。

 37分には荒木から鎌田がボールを受けるとバイタルエリアに潜り込んでいた郷家へパスし、宮崎とのコンビネーションからシュート。このシュートはブロックされるが、こぼれを奥山が拾うとファーへのアーリークロスを上げ、真瀬の折り返しに荒木が合わせるもバー直撃のシーンを作り出した。

 このようにボランチアタッキングサードで前向きでボールを受けることや両サイドハーフが内側に入っていくこと、そして彼らの動きで空いたサイドのスペースを活用するなど、中央からでもサイドからでも攻撃の活路を見出してくことが今シーズンの得点数を増やすことに繋がっていくはずだ。

 まだまだクオリティは上げていかなければならないが、狙いとしているシーンが開幕戦で出来たのは収穫だったのではないだろう。

 

 前半はお互いに決定機が1つずつあったものの、ゴールネットを揺らすことが出来ずにスコアレスで折り返す。

 

後半

(1)序盤から押し込み始める鳥栖

 鳥栖は後半から痛めた今津に代わって順天堂大から加わった井上が投入される。

 

 後半はキックオフから鳥栖が押し込む形で試合が進んでいく。仙台のロングボールによる前進をアラートに対応し、しっかりセカンドボールを回収することで自分たちのターンを増やしていった。

 仙台はボールを奪えどなかなか落ち着かせることが出来ずにロストし、鳥栖にボールを明け渡してしまう悪循環に陥ってしまった。

 よって自陣で守備ブロックを構築し、粘り強く鳥栖の攻撃に応戦していく流れとなる。鳥栖の攻撃精度が高ければ失点していた可能性もあったが、シュートが枠に飛ばず助かる場面も多々あった。結果的にこの悪い流れだった序盤の時間帯を無失点で乗り越えられたのは大きかった。

 

(2)悪循環を断ち切ったエロンのポストワーク

 仙台はこの悪循環を断ち切るため、63分に荒木に代えてエロンを投入する。この交代が流れを変えた。

 それまでなかなかボールを収められなかった仙台だったが、エロンが入ったことでボールの収めどころができ、マイボールになることが増えていった。

 加えて、エロンと対峙したのが後半から投入された井上で、エロンの対応に慣れていないこともあり、このマッチアップで優位性を作ることが出来た。

 そしてこのマッチアップから先制ゴールが生まれる。

 菅田のロングフィードを収めたエロンを起点に宮崎が右サイドへ展開。フリーの真瀬がファーへクロスを上げると、郷家がヘディングシュートでゴール右隅へ決めて仙台が先制に成功した。

 エロンと井上のところでキープできたことで、センターバックを1枚剥がすことに成功。鳥栖の守備が中央へ寄ったことによって、右サイドに大きなスペースが生まれた。

 真瀬もここまで精彩を欠いたクロスが多かったものの、大事な場面で郷家にピンポイントの見事なクロスを上げた。

 

(3)逃げ切りの5バック

 その後、仙台は79分に相良と宮崎に代わってオナイウと梅木を投入。同じタイミングで鳥栖は森下と新井に代わって上原と酒井を投入した。

 仙台は鳥栖の攻撃をしっかり守りながらもカウンターで出て行く形に変化していく。

 一方の鳥栖は酒井を前線のターゲットにセカンドボールを回収して攻撃する形へ変化していった。85分に後方からのロングフィードから酒井がポイントとなり、最後はスリヴカがミドルシュートを狙うが右ポストに嫌われる。さらに86分にジョーを投入し、パワープレー気味の攻撃になっていく。

 

 一方の仙台はそれを見て、マテウス・モラエスと石尾を郷家と鎌田に代わって投入し、5バックにして逃げ切り体制を構築する。

 パワープレーで前線へロングボールを放り込む鳥栖に対して、菅田、井上、モラエスを中心にしっかり跳ね返してチャンスを与えない。昨シーズンよりも逃げ切り体制もより強固となり、やられる感じがしなかった。

 最後まで集中した守備で守り切った仙台が、郷家の虎の子の1点を守り切り、実に7年ぶりの開幕戦勝利を挙げた。

 

最後に・・・

 降格組の鳥栖に対して開幕戦勝利。昨年築き上げた守備とハードワークは健在で、新加入選手も守備の理解度が高く、大崩れすることはなかった。

 得点数を伸ばしたい攻撃に関しては、道半ばといったところだった。中央攻撃の糸口は見出せているが、やはりコンビネーションの部分では今後も連携を深めてクオリティを上げていく必要があるだろう。それでも狙いとしている形が何回か作れただけでも収穫だったように感じる。

 

 この試合では、真瀬と鎌田がコンディションの良さを感じるパフォーマンスだった。真瀬は特徴でもある上下動だけではなく、内側を取るポジショニングなども昨年以上にトライしている印象だったし、何よりいいクロスでアシストできたことが良かった。これが自信に繋がればと思う。

 鎌田も昨シーズンから成長した守備の激しさに加えて、今シーズンは前線へのパスを積極的に狙っている印象がある。特に背後へ抜け出す宮崎へ何回かフィードを送るなどより前方へのパスを意識している印象だった。昨シーズンはなかなか試合に絡めない時期もあったが、今シーズンは序盤からやってくれそうな期待感がある。

 

 次節もアウェイ。徳島ヴォルティスとの対戦となる。徳島は藤枝との開幕戦を2-0で勝利。特にカウンターに勢いがあるように感じた。

 昨年は1分1敗と勝てなかった相手だけに、ここでその悔しさを払しょくしたいところだ。徳島が3バックを採用するので、どのような対策を取るのかも注目ポイントだろう。

 次節も変わらず全員でハードワークし、勝点6を持ってホームへ帰還して欲しい!!

 

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